Q.
WACCの計算において、株主への「配当」を税引後ベースに調整しない(株主資本コストに (1 − t) を掛けない)のはなぜか。
解説まとめ
正解はBです。支払利息は損金算入されて節税効果があるため税引後に調整しますが、株主への配当は損金にならず節税効果がないため、(1 − t) を掛けません。配当は税引後利益から支払われるもので、法人税を減らす効果がないからです。だから負債だけに税効果調整を行います。
ポイント
この問題の核心は、税効果調整の対象が「損金になるかどうか」で決まる点です。利息は損金=節税あり、配当は損金でない=節税なし、という非対称が、負債コストにだけ (1 − t) を掛ける理由です。両者を同じように扱わないことを理解しておきましょう。
ワンポイントアドバイス
税効果を調整するか迷ったら、「これは費用として税金を減らすか」を自問してみましょう。利息はイエス、配当はノーと答えられれば、どちらに (1 − t) を掛けるべきかが自然に判断できます。
解説詳細
損金になる利息だけが節税効果を持つ
法人税は課税所得に対して課されます。支払利息は損金(費用)として課税所得を減らすため、税金が軽くなる節税効果が生まれ、税引後負債コストは rD × (1 − t) と小さくなります。一方、株主への配当は税引後利益の分配であり損金になりません。したがって配当には節税効果がなく、株主資本コストに (1 − t) を掛ける必要がないのです。Bがこの理由を正しく説明しています。
他の選択肢が誤りである理由
Aの「二重控除になるから」というのは事実と異なり、配当はそもそも一度も損金算入されません。Cの「売上原価に含まれる」は誤りで、配当は原価でも費用でもなく利益処分です。Dの「無関係だから無視してよい」は明確な誤りで、株主資本コストはWACCの主要な構成要素として必ず計算に入れます。配当に税効果調整をしないのは、節税効果がないという理由に尽きます。