1on1の基本 | マナビズ

1on1の基本

1on1の基本

「来月から、部下と毎月30分、1on1をやってください」——半年前に初めてチームリーダーになったあなたは、会社の制度でそう言われました。いざ部下と向き合うと、「最近どう?」「特に問題ないです」で、5分。気まずい沈黙が流れて、終了。あるいは、その沈黙が怖くてつい自分が話し続け、気づけば「で、あの見積りの案件どうなった?」と、進捗を詰めるミニ会議になっている。回を重ねるほど「もう話すことがない」「これ、意味あるのかな」と感じる——心当たりはありませんか。

でも、安心してください。1on1がうまくいかない正体は、あなたの話術でもセンスでもありません。原因は、たった2つです。1つは、1on1を「上司が部下の様子を聞く・進捗を確認する場」だと勘違いしていること。もう1つは、場当たりでやっていること——つまり、型を持っていないことです。

1on1は本来、「部下のための時間」です。主役は部下で、上司は話す側ではなく、聴いて支える側。そして、うまくいくかどうかは才能ではなく、「準備・進行・記録」という型を持っているかどうかで決まります。型さえあれば、ネタ切れも沈黙も、怖くなくなります。この講座を読み終えたあなたは、次の3つができるようになります。

  1. 1on1を「上司が様子を聞く・進捗を確認する場」ではなく、部下が主役で話し、上司が聴いて支える、成長のための時間として、評価面談・進捗確認との違いを含めて、自分の言葉で説明できる
  2. 1on1の準備として、部下に「話したいこと2〜3個」を事前に出してもらい、自分も問いを用意する、という準備の手順を実行できる(ぶっつけ本番で「最近どう?」から始めない)
  3. 当日をチェックイン→前回の続き→傾聴(部下が8割話す)→問いで気づきを引き出す→次の一歩進行し、3行で記録して次回冒頭で振り返る——という準備・進行・記録の型で1on1を実施できる

この講座は最後まで、「初めてチームリーダーになった“みなとさん”が、入社2年目の部下“さきさん”と、初めての1on1をやってみる」という、たった1組の場面だけで説明します。この同じ1on1を、1on1とは何か→準備→進行→記録、と1ステップずつ型に乗せていきます。各章末には手を動かす演習も置いているので、自分の部下を思い浮かべながら読み進めてください。そして、この型を毎回ラクに回せるように、1on1の準備・進行・記録シート(テンプレート)も用意しています。まずは、この1本で型の全体像を掴みましょう。

この講座のポイント

  • 1on1を「上司が様子を聞く・進捗を確認する場」ではなく、部下が主役で話し、上司が聴いて支える、成長のための時間として、評価面談・進捗確認との違いを含めて、自分の言葉で説明できる
  • 1on1の準備として、部下に「話したいこと2〜3個」を事前に出してもらい、自分も問い(アジェンダ)を用意する、という準備の手順を実行できる
  • 当日を「チェックイン→前回の続き→傾聴→問いで気づきを引き出す→次の一歩」で進行でき、上司2割・部下8割の配分を保てる
  • 話したこと・決めた一歩を記録し、次回冒頭でその記録から始める、という記録・継続の型を実行できる

1on1とは何か(部下が主役の時間/評価面談・進捗確認との違い)

まずは、「最近どう?で5分」「いつのまにか進捗の詰め」になってしまうモヤモヤの正体を、はっきりさせましょう。1on1という言葉を、ふわっとした制度のイメージから、自分で使える1つの型に変える土台の章です。

この章のゴール

この章を読み終えると、1on1を「上司が様子を聞く・進捗を確認する場」ではなく、部下が主役で話し、上司が聴いて支える、成長のための時間として、評価面談・進捗確認との違いを含めて、自分の言葉で説明できるようになります。

「最近どう?で5分」「進捗の詰め」になる正体

みなとさんの最初の数回は、こうでした。「最近どう?」「特に問題ないです」「……そっか」。気まずくて5分で終了。次の回は、沈黙が怖くて自分から話し出し、気づけば「で、あの見積りは?」「あの納期、間に合いそう?」と、業務の進捗を詰める時間になっている。

これは、みなとさんの能力が足りないからではありません。1on1を「上司が部下の様子を聞く場」「進捗を確認する場」だと捉えていて、それ以外のやり方を知らない——これが正体です。様子を聞こうとすれば「最近どう?」しか出てこないし、沈黙が怖ければ、自分の慣れた仕事(進捗の確認)に逃げてしまう。地図を持たずに歩き出せば、来た道を引き返すしかないのと同じです。

ここで覚えてほしい背骨は、ひとつです。1on1は“部下のための時間”。主役は部下で、上司は聴く側。そして、場当たりでなく、準備・進行・記録の型で回す。この章ではまず、「主役は部下」という土台を据えます。

1on1=部下のための時間(主役は部下、上司は聴く側)

1on1とは、上司と部下が定期的に1対1で行う対話のことです。週に1回〜月に1回くらいの頻度で、1回あたり15〜30分ほど。短い時間を、高い頻度で繰り返すのが特徴です(みなとさんの会社は「月1回30分」でした)。

ただ、いちばん大事なのは時間や頻度ではありません。1on1は「部下のための時間」だ、ということです。主役は部下。上司は、自分が話す側ではなく、部下の話を聴いて、支える側にまわります。実際、1on1のもとになった考え方では、上司が一方的に話すのは「不適切」とされています。

少しだけ背景を紹介します。1on1は、もともとアメリカのシリコンバレーで広まった手法です。インテルの経営者だったアンディ・グローブが、著書『HIGH OUTPUT MANAGEMENT』(1980年代の本です)で、1on1を上司と部下の大切なコミュニケーション手段として紹介しました。日本では、2010年代にヤフー(現在のLINEヤフー)が取り入れ、本間浩輔さんの『ヤフーの1on1』という本で広く知られるようになりました。つまり1on1は、思いつきのおしゃべりではなく、「部下を育てるための、ちゃんとした手法」なのです。

だから、みなとさんが最初にやるべきは、「うまく話すこと」ではありません。「この30分は、さきさんのための時間だ」と心の中で決めること。主役を、自分から部下に渡す。ここがスタートです。

評価面談・進捗確認との違い

「部下のための時間と言われても、評価面談や進捗確認と何が違うの?」と思うかもしれません。同じ「1対1で話す」場でも、目的がまったく違います。3つを並べてみましょう。

主役目的頻度の目安
評価面談上司上司が評価・査定を“伝える”、目標を管理する半期・四半期に1回
進捗確認上司業務の報告を受け、タスクを詰める随時・週次など
1on1部下部下が話したいことを話し、上司は聴いて支える週1〜月1(高頻度)

評価面談は、上司から部下へ「あなたの評価はこうです」と伝える場です。進捗確認は、仕事が予定どおり進んでいるかを詰める場です。どちらも主役は上司で、上司から部下への矢印が中心になります。

一方、1on1は逆です。主役は部下で、部下から上司への矢印が中心。部下が話したいこと(仕事の悩み、これからのこと、最近モヤモヤしていること)を話し、上司はそれを聴いて、必要なところを支える。みなとさんがやっていた「進捗の詰め」は、実は進捗確認であって、1on1ではなかったのです。1on1は、評価でも進捗報告でもない。ここをはっきり分けるのが、第一歩です。

この章の確認(演習)

あなたが部下と過去にやった面談(または、これからやる想定の面談)を、1つ思い浮かべてください。それは「評価面談(評価を伝える)」「進捗確認(報告を詰める)」「1on1(部下が主役)」の、どれでしたか。仕分けしてみましょう。

そのうえで、「1on1とは、部下が主役で話し、上司が聴いて支える、部下の成長のための時間だ」を、自分の言葉で1〜2行に書いてみてください。“何の場なのか”を自分の言葉で言えるようになったら、この章はゴールです。

準備(部下にテーマを出してもらう+自分の問いを用意する)

「主役は部下」と分かっても、当日いきなり部下と向き合えば、やっぱり「最近どう?」で詰まります。それを防ぐのが、この章の準備です。1on1がうまくいくかどうかは、実は当日より前に、大きく決まっています。

この章のゴール

この章を読み終えると、1on1の準備として、部下に「話したいこと2〜3個」を事前に出してもらい、自分も問い(アジェンダ)を用意する、という準備の手順を実行できるようになります。

「話すことがない」の正体は、準備不足

「1on1って、話すことがないんですよね」——これは多くの新任リーダーが口にする悩みです。でも、話すことがないのは、部下にやる気がないからでも、あなたの雑談力が低いからでもありません。当日ぶっつけ本番でやっているからです。

準備せずに臨むと、「最近どう?」と聞くしかありません。聞かれた部下も、心の準備がないので「特に……問題ないです」と返すしかない。そして沈黙。1on1は、当日の話術ではなく、準備で8割が決まります。逆に言えば、準備さえすれば、当日の不安はぐっと減ります。準備の肝は、2つです。

準備の肝①:部下に「話したいこと2〜3個」を出してもらう

1つめは、部下に「話したいこと2〜3個」を、事前に考えておいてもらうことです。1on1は部下のための時間なので、その日の議題(これを「アジェンダ」=話したいことリスト、と呼びます)も、本来は部下が持ちます。

みなとさんは、次回の1on1の数日前に、さきさんにチャットでこう送りました。「来週の1on1、話したいこと2〜3個ありそうなら、当日までにメモしておいてもらえる? 仕事のことでも、最近モヤモヤしてることでも、何でもOK」。

これだけで、当日の景色が変わります。さきさんは「何を話そう」と少し考えてから来るので、「特にないです」で固まりません。ポイントは、テーマを仕事の進捗だけに限定しないこと。体調や気持ち、これからのキャリア、人間関係——1on1で話していいテーマは、もっと広いのです。「何でもOK」と一言添えるだけで、部下は話しやすくなります。

準備の肝②:上司は“問い”を用意する(アドバイスでなく問い)

2つめは、上司であるあなた自身も準備することです。ただし、ここで用意するのは「アドバイス」や「言い聞かせること」ではありません。用意するのは、問いです。

たとえば、前回の記録を見ながら(記録の取り方は第4章で扱います)、「あの仕事、その後どう?」「最近、いちばん時間を使っているのは何?」「困っていることはある?」といった、部下が話し出すきっかけになる問いを、2〜3個メモしておきます。問いを持っていれば、部下の話が止まったときも、慌てずに次の話を引き出せます。

逆に、ここで「こう指導しよう」「この前のミスを指摘しよう」と準備してしまうと、1on1が説教の場になり、主役が上司に戻ってしまいます。用意するのは、答えではなく、問い。これが大事です。みなとさんは初回なので、前回の記録はまだありません。その場合は、「最近の仕事の手応え」「困っていること」くらいの問いを、ざっくり用意しておけば十分です。

準備の手順を、まとめておきます。

手順やること
① 位置づけを共有「この時間は、あなた(部下)のための時間だよ」と伝える
② 部下にテーマを依頼「話したいこと2〜3個、事前にメモしておいて」と頼む
③ 上司は問いを用意前回の記録などから、問いを2〜3個メモする
④ テーマの幅を伝える「仕事でも、体調でも、何でもOK」と幅を広げる

この章の確認(演習)

あなたの部下を1人、思い浮かべてください。その人との次回1on1の前に送る、「テーマを出してもらう一言メッセージ」を、実際に書いてみましょう(「話したいこと2〜3個、当日までにメモしておいて。仕事のことでも何でもOK」のような形で)。

さらに、自分が当日使う“問い”を2〜3個、書き出します。コツは、「〜について教えて」「〜はどう感じてる?」という、部下が話し出す形にすること。「こうしなさい」というアドバイス文・説教文になっていないか、見直してみてください。問いの形で2〜3個書けたら、ゴールです。

進行(傾聴を軸に、部下8割で話を引き出す)

準備ができたら、いよいよ当日です。この章では、30分をどう進めるか——その進行の型を渡します。ここでの主役も、もちろん部下です。

この章のゴール

この章を読み終えると、当日を「チェックイン→前回の続き→傾聴→問いで気づきを引き出す→次の一歩」進行でき上司2割・部下8割の配分を保てるようになります。

進行の背骨は「聴く」:上司2割・部下8割

当日の進行で、いちばん大事なことを先に言います。話す量は、上司2割・部下8割。これが目安です。1on1で最も多い失敗は、「上司が話しすぎる」こと。良かれと思ってアドバイスし、自分の経験談を語り、気づけば部下はうなずくだけ——これでは、部下のための時間になりません。

だから上司に求められるのは、上手に話すことではなく、聴くことです。これを「傾聴」と言います。傾聴とは、相手の話を、さえぎらず・先に答えを言わず、最後まで受け止めて聴くこと。人は、自分の話にちゃんと耳を傾けてもらえると、「この人は自分を見てくれている」と感じ、もっと話したくなります。聴くことは、信頼関係をつくる第一歩なのです。

そして、もうひとつ。沈黙を怖がらないでください。部下が黙っているのは、気まずいからではなく、考えているからかもしれません。その沈黙を上司が埋めてしまうと、部下の考えは途中で止まってしまいます。沈黙は、部下が考えている時間。ぐっとこらえて、待ちましょう。

進行の流れ:チェックイン→前回→傾聴→問い→次の一歩

「聴く」と言われても、30分ずっと黙って聴くわけにもいきません。進行には、流れがあります。

段階やることみなとさんの例
① チェックイン本題の前に、今日の調子・気分を一言「今日、体調どう?」
② 前回の続き前回の記録から入る「この前話してた件、その後どう?」
③ 傾聴部下の話を、さえぎらず最後まで聴くさきさんの話をうなずいて聴く
④ 問いで気づき「どうしたい?」と問いを返す「さきさんとしては、どう進めたい?」
⑤ フィードバック必要なところだけ、観察した事実を伝える「この前の資料、分かりやすかったよ」
⑥ 次の一歩次にやることを、一緒に決める「じゃあ次は◯◯、でいい?」

最初の「チェックイン」は、本題に入る前に、今日の調子や気分を一言シェアして、場をひらくことです。いきなり本題より、「今日はちょっと寝不足で」くらいの一言があるほうが、部下は話しやすくなります。

そして⑤の「フィードバック」は、だめ出しのことではありません。あなたが見て気づいた事実を伝えて、次の行動につなげることです。「この前の資料、見出しが整理されていて分かりやすかった」のように、良かった事実も立派なフィードバックです。

アドバイスしたくなったら、一呼吸おいて問いを返す

進行の中で、いちばん我慢がいるのが④です。部下が悩みを話すと、上司はつい「それはこうすればいいよ」と正解を先に言いたくなります。これが、さえぎりです。でも、答えをもらった部下は、自分で考えるのをやめてしまいます。

だから、アドバイスは最後の手段にします。言いたくなったら、一呼吸おいて、まず問いを返す。「あなたとしては、どうしたい?」「何が引っかかってる?」。部下が自分で考えて、自分の言葉で答えを出すのを助けるのです。みなとさんの当日を見てみましょう。

「今日、体調どう?」(チェックイン)。さきさんは「大丈夫です」。みなとさんは前回の話を振り、しばらくすると、さきさんが「実は……新しい見積りの仕事で、ちょっと詰まってて」と話し出しました。みなとさんは「あー、それはこうやって」と言いかけて、一呼吸おきます。そして、最後まで話を聴いてから、こう返しました。「なるほど。さきさんとしては、どう進めたい?」。

すると、さきさんは少し考えて、「……一度、先輩の田中さんに見てもらいたいです」と、自分で答えを出しました。みなとさんは「いいね。じゃあ次の一歩は、田中さんに見積りの相談、でいこうか」(次の一歩)。この30分で、みなとさんが話したのは、全体の2割ほど。残りは、さきさんが話していました。注意したいのは、ここで「で、納期は間に合うの?」と進捗の詰めに戻らないこと。それをやると、また第1章のミニ会議に逆戻りです。

この章の確認(演習)

第2章で用意した“問い”を使って、当日の進行を「チェックイン→前回→傾聴→問い→フィードバック→次の一歩」の順で、セリフ起こししてみてください。部下が8割話す前提で、あなた(上司)のセリフは、問い中心にします。

そして、途中に1か所、「アドバイスしたくなったけれど、一呼吸おいて、問いを返した」場面を入れてみましょう。「こうすればいいよ」を「あなたはどうしたい?」に置き換える——この感覚を、自分の手で書いて確かめられたら、ゴールです。

記録(書いて残し、次回の冒頭で振り返る)

1on1は、1回やって終わりではありません。毎月、続いていきます。その「続き」を活かすのが、この章の記録です。記録があるかないかで、2回目以降の景色がまるで変わります。

この章のゴール

この章を読み終えると、話したこと・決めた一歩を記録し、次回冒頭でその記録から始める、という記録・継続の型を実行できるようになります。

1回で終わらせないために「3行記録」

1on1を、単発のおしゃべりでなく、続く対話にする鍵が、記録です。といっても、長い議事録は必要ありません。長文だと続かないからです。終わった直後に、3行だけ残します。

書くことみなとさんの例
① 話したこと今日、部下が話した関心ごとさきさん=新しい見積りで詰まり気味
② 次の一歩一緒に決めた、次にやること田中さんに見積りの相談をする
③ 次回ふれること次回の冒頭で聞くこと田中さんへの相談がどうだったか

これだけです。3行なら、終わった直後の1〜2分で書けます。記録とは、未来の自分への申し送りメモだと思ってください。できれば、この記録は部下とも共有すると、お互いの認識がそろってさらに良くなります。

次回の冒頭は「最近どう?」でなく、前回の記録から

記録の価値は、次回の冒頭で開くことで、初めて出ます。3行メモを残したみなとさんの、次の月の1on1は、こう始まりました。「最近どう?」ではなく——「この前の、田中さんへの見積りの相談、どうだった?」

この一言で、2つのことが起きます。1つは、毎回ゼロからのスタートが消えること。「最近どう?」の気まずさは、もうありません。前回の続きが、今回の入り口になります。もう1つは、さきさんが「ちゃんと覚えてくれている」と感じること。自分の話を覚えていてくれる上司には、人は安心して話せます。

そして、これは「もう話すことがない」という、あの悩みへの答えでもあります。前回の続きが今回のテーマになるので、ネタ切れが起きません。記録を取って、次回の冒頭で開く。たったこれだけで、ネタ切れの不安は消えていきます。

準備・進行・記録を、毎月まわし続ける

ここまでの準備・進行・記録は、1回で完璧にやろうとするものではありません。毎月くりかえして、少しずつ積み上げていくものです。1回目は、きっとぎこちないでしょう。それでいいのです。

大事なのは、うまくやることより、続けること。1on1は、すぐに目に見える成果が出るものではありません。けれど、月に1回、部下のための時間を取り、話を聴き、記録して次につなぐ——これを続けることが、部下の成長を、いちばん地道に支えていきます。準備・進行・記録という型は、その「続ける」を、あなたが1人でも回せるようにするための道具なのです。

この章の確認(演習)

今日学んだ「準備・進行・記録」を、あなたの部下1人との次回1on1に当てはめてみましょう。3行記録のフォーマット(①話したこと ②次の一歩 ③次回ふれること)を、実際に1回ぶん、書いてみてください(想像でかまいません)。

最後に、この型を毎回ラクに回せるように、「1on1準備・進行・記録シート(テンプレート)」をダウンロードして、次回の1on1から使うと決めましょう。型を“持ち物”にすれば、明日からあなた1人でも、1on1を回していけます。

まとめ:1on1は“部下のための時間”。準備・進行・記録の型で回す

おつかれさまでした。「初めてチームリーダーになったみなとさんが、部下のさきさんと初めての1on1をやってみる」という、たった1組の場面を、1on1とは何か→準備→進行→記録、と1ステップずつ型に乗せてきました。最後に、全体を振り返ります。

  1. 1on1とは何か……上司が様子を聞く・進捗を詰める場ではなく、部下が主役で話し、上司が聴いて支える、成長のための時間。評価面談(評価を伝える)・進捗確認(報告を詰める)とは、目的が違います(第1章)。
  2. 準備……「話すことがない」の正体は準備不足。部下に「話したいこと2〜3個」を事前に出してもらい、上司は“問い”を用意する。用意するのは、アドバイスではなく問い(第2章)。
  3. 進行……背骨は「聴く」。上司2割・部下8割。チェックイン→前回→傾聴→問いで気づき→フィードバック→次の一歩。アドバイスしたくなったら、一呼吸おいて問いを返す(第3章)。
  4. 記録……終わったら3行だけ記録し、次回の冒頭を前回の記録から始める。これで「毎回ゼロから」も「ネタ切れ」も消え、対話が積み上がる(第4章)。

この4つは、すべて1つの問いに戻ります。「主役は、ちゃんと部下になっているか? そして、場当たりでなく、準備・進行・記録の型に乗っているか?」。この講座でいちばん覚えて帰ってほしいのは、このひと言です——1on1は“部下のための時間”。主役は部下、上司は聴く側。場当たりでなく、準備・進行・記録の型で回す。これが身につくと、「最近どう?で5分」「自分が話し続ける」「ただの進捗確認」「毎回ゼロから」から、抜け出せます。

明日の最初の一歩:次回の1on1の前に、部下に「話したいこと2〜3個、メモしておいて」と、一言だけ送ってみてください。これが、準備の型の第一歩です。当日は「聴く8割:話す2割」を意識し、終わったら3行だけ記録する。完璧でなくて、まったくかまいません。1回まわしてみることが、すべての始まりです。

そして、この準備・進行・記録の型を、毎回手ぶらでなくラクに回せるように、「1on1準備・進行・記録シート(テンプレート)」をダウンロードして、次回から使ってみてください。さらに深めたくなったら、その先の道もあります。部下の話を引き出す問いかけ(コーチング)、伝わるフィードバックの仕方、目標とのつなげ方、そして管理者の役割全体(業務管理・人材育成・成果創出)を扱うマネジメントの基礎——1on1は、その「人材育成」の、いちばん身近な一手段です。まずは今日の型を、自分の手で1回まわしてみましょう。それが、部下の成長を支える第一歩になります。

よくある質問

1on1と評価面談はどう違いますか

1on1は部下が主役で話し、上司が聴いて支える時間です。評価面談は上司が評価・査定を伝える場であり、目的と主役がまったく異なります。

1on1で「話すことがない」と感じるのはなぜですか

当日ぶっつけ本番で臨んでいることが主な原因です。事前に部下へ「話したいこと2〜3個をメモしておいて」と依頼し、上司も問いを用意するだけで、当日の会話が大きく変わります。

上司はどのくらい話すべきですか

目安は上司2割・部下8割です。アドバイスをすぐに言いたくなった場面では、一呼吸おいて「あなたはどうしたい?」と問いを返すことで、部下が自分で考えて話す時間を確保できます。

1on1の記録はどのくらい詳しく書く必要がありますか

終了直後に3行だけ書けば十分です。「①話したこと ②次の一歩 ③次回ふれること」のシンプルな形式で、次回の冒頭に前回の記録から会話を始める材料になります。

毎回30分でネタが尽きないか心配です

前回の3行記録を次回冒頭で開くことで、毎回ゼロからのスタートがなくなります。前回の続きが今回の入り口になるため、ネタ切れは起きにくくなります。

監修
マナビズ編集部

マナビズ(Manabiz)編集部。AIを活用した原稿制作に加え、人間によるレビューで品質を担保しています。 編集ポリシー

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