MASTER / BUSINESS NUMBERS
売上が下がった。本当の原因はどこにある?
売上を要因に分解し、「計算上の要因」と「因果的な原因」を分けて考える
購買率
20%→25%
売上
−10%
約40分実務基礎演習 5問講義をはじめる
※ 本レッスンに登場する「ハルノ雑貨 駅前店」と来店客数・売上などの数値は、学習用の架空の店舗・架空のデータです。
この講義でできるようになること
- 売上の変化を「来店客数×購買率×客単価」に分解して計算できる
- 計算上の要因と、因果的な原因を区別して説明できる
- 原因の候補ごとに、追加で調べるべきデータを指定できる
BUSINESS MASTERCLASS
売上が下がった。本当の原因はどこにある?
数字を理解し、使う力 BE04-05
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売上が下がった。本当の原因はどこにある?
マナビズの本格レッスンです。今回は、売上の変化を数字で分解し、原因を考えます。途中で、計算と記述の演習があります。Excelのワークブックも、この下からダウンロードできます。
売上が10%減った
架空の雑貨店、「ハルノ雑貨 駅前店」の数字です。前月の売上は200万円でした。今月の売上は180万円。20万円、率にして10%の減少です。店長は言いました。「お客さんが減ったから、売上が落ちたんだろう」。本当にそうでしょうか。売上という一つの数字だけでは、何が起きたのかはわかりません。今日の問いはこれです。売上が10%減った。客数が減ったからだと言ってよいのか。
売上=来店客数×購買率×客単価
店舗の売上は、三つの数字の掛け算に分解できます。まず、来店客数。店に入ったお客様の数です。次に、購買率。来店したお客様のうち、実際に買った人の割合です。来店客数に購買率をかけると、購入客数、つまり買った人の数になります。そこに客単価、一人あたりの平均購入金額をかけます。すると、売上になります。売上=来店客数×購買率×客単価です。一つの数字を、こうして要素に分けることを、要因分解と呼びます。
データを並べて、計算を確かめる
では、前月と今月のデータを見てみましょう。来店客数は、前月2,000人、今月1,600人。400人減っています。購買率は、前月20%、今月25%です。購入客数は、前月400人、今月も400人です。2,000人×20%で400人。1,600人×25%でも400人です。客単価は、前月5,000円、今月4,500円です。売上は、400人×5,000円で200万円。今月は、400人×4,500円で180万円です。計算が合っているかを、必ず自分で確かめましょう。分析は、数字の確認から始まります。
購入客数と売上を計算する
一つ目の演習です。データから、前月と今月の購入客数と売上を計算してください。ワークブックを使う場合は、黄色の計算欄に式を入れてみましょう。
来店客は減ったが、購入客数は横ばい
店長の見立てを、データで確かめます。確かに、来店客数は400人、率にして20%減りました。ところが、購買率は20%から25%へ、5ポイント上がっています。割合どうしの差は、%ではなく、ポイントで表します。その結果、購入客数は400人のまま。来店客の減少は、購買率の上昇で打ち消されています。つまり、「客数が減ったから売上が減った」とは、この数字からは言えません。実際に買った人の数は、前月と変わっていないからです。なお、購買率が上がった理由も、まだわかっていません。来店客が絞られた結果なのか、別の理由なのかは、このデータだけでは判断できないのです。
増減と増減率を計算する
二つ目の演習です。売上と客単価、購入客数の、前月からの増減と増減率を計算してください。
売上の差20万円は、客単価の変化に対応する
では、売上の差20万円は、どこから来たのでしょうか。前月から今月への橋渡しの図で見てみます。出発点は、前月の売上200万円です。購入客数は400人で変わっていないので、客数による影響はゼロです。客単価は5,000円から4,500円へ、500円、率にして10%下がりました。500円×400人で、20万円の減少です。こうして、今月の売上180万円に着地します。データから言えるのは、売上減少の直接の算術的な要因は、平均客単価の低下だということです。売上の減少率と客単価の減少率が、同じ10%なのも、購入客数が変わっていないからです。
このデータから言えることは?
三つ目の演習です。このデータから言えることを、一つ選んでください。
言えること・まだ言えないことを分ける
続けて、記述の演習です。このデータから言えることと、まだ言えないことを、短い文で分けて書いてください。
それでも、本当の原因はまだわからない
ここで、とても大切な区別をします。客単価の低下は、計算上の要因です。でも、なぜ客単価が下がったのかという、因果的な原因は、まだわかっていません。候補の一つは、値引きやセール。同じ商品を、前月より安く売ったのかもしれません。二つ目は、商品構成の変化。単価の安い商品が、多く売れたのかもしれません。三つ目は、購入点数の減少。一人あたりの買い上げ点数が、減ったのかもしれません。四つ目は、客層や時期の違い。客層の変化や営業日数、前月だけの大口購入も考えられます。どれも、今の段階では仮説です。データで確かめるまで、原因とは呼べません。「値引きをしたから売上が減った」と言い切ると、確かめていない仮説を、事実のように話すことになります。
原因の候補ごとに、次に調べるデータを決める
では、次に何を調べればよいでしょうか。分析を頼むときの指示シートの形で整理します。値引きを疑うなら、値引き額と、値引きして売った商品の比率を見ます。商品構成を疑うなら、品目別の売上と販売数を、前月と比べます。購入点数を疑うなら、一人あたりの購入点数と、1点あたりの単価に分けて見ます。客単価は、1点あたり単価×購入点数だからです。客層や時期を疑うなら、客層別のデータや、営業日数、日別の売上を確かめます。ポイントは、原因の候補と、確かめるデータを、一つずつ対応させることです。調べる前に、この結果が出たら次に何をするか、まで決めておくと、分析が行動につながります。
原因の候補と、必要な追加データを書く
最後の演習です。客単価が下がった原因の候補を二つ以上挙げ、それぞれ確かめるデータを書いてください。
計算上の要因と、因果的な原因を分ける
お疲れさまでした。今日のポイントを振り返ります。売上は、来店客数×購買率×客単価に分解できます。来店客数は20%減りましたが、購買率の上昇で、購入客数は横ばいでした。売上減少の算術的な要因は、客単価の10%の低下です。ただし、計算上の要因と、因果的な原因は違います。原因の候補は、データで確かめましょう。要因分析メモのテンプレートは、この下からコピーして使えます。
