MASTER / LOGICAL THINKING
仕事ができる人は、何を考えるべきかを先に決める
「売上が下がった」から、意思決定につながる論点を立てる
約40分実務基礎演習 4問講義をはじめる
※ 本レッスンに登場する「ミドリ生活ストア」と売上などの数値は、学習用の架空の会社・架空のデータです。
この講義でできるようになること
- 現象・問題・課題・論点・仮説の違いを、具体例で区別できる
- 意思決定者の目的に沿って、答えがわかれば次の判断ができる主要論点を立てられる
- 論点を要素に分解し、論点ごとに必要なデータと優先順位を選べる
BUSINESS MASTERCLASS
仕事ができる人は、何を考えるべきかを先に決める
論理的に考える力 BE03-03
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仕事ができる人は、何を考えるべきかを先に決める
マナビズの本格レッスンです。今回のテーマは、論点の設定です。売上が下がったとき、最初に何を考えるべきか。架空の会社を例に、順を追って考えます。途中で4回、手を止めて考える演習があります。自分の答えを書いてから、続きを見てください。
売上が下がった。会議は何も決まらなかった
架空のEC会社、「ミドリ生活ストア」の会議の場面です。日用品をネットで販売しているこの会社で、今月の売上は900万円でした。前月は1,000万円。100万円、率にして10%の減少です。部長の問いかけに、次々と意見が出ます。広告を増やそう。キャンペーンをやろう。商品を増やそう。どれも前向きな意見です。それなのに、会議は何も決まらずに終わりました。アイデアが足りなかったのではありません。何に答えるための会議なのか、つまり問いが決まっていなかったのです。問いがないまま話すと、意見は答えではなく、思いつきの列になります。
目的が違えば、問いが違う
会議を立て直すために、まず確かめることがあります。この分析の結果を、誰が、何の判断に使うのか、です。実は経営からは、二つの依頼が届いていました。依頼A。「売上が減った要因を把握したい」。これは原因究明です。前月と今月の間で、何が変わったのかを知りたい依頼です。依頼B。「次月までに改善施策を選びたい」。こちらは、来月の売上を戻すための選択です。答えるべきは、どの施策を選ぶかです。数年先の成長を考える中期の戦略なら、問いはまた変わります。同じ「売上が下がった」でも、目的が違えば、最初に立てる問いが違うのです。原因の分析は大切です。ただし、いつも原因分析が正解とは限りません。依頼Bでは、原因を完全に特定する前に、手を打つ判断を求められることもあります。
依頼Aと依頼B、それぞれの主要論点は?
一つ目の演習です。依頼Aと依頼Bについて、主要な論点を一つずつ、問いの形で書いてください。書けたら、自己チェックと回答例で振り返りましょう。
現象・問題・課題を分ける
ここで、言葉を整理しておきます。似ているようで違う、三つの言葉です。一つ目は現象。実際に観測された事実です。「今月の売上は900万円だった」。現象そのものには、良い悪いの判断はまだ含まれていません。二つ目は問題。目標や基準と、現状との差です。前月を基準にすれば、不足は100万円。もし今月の目標が950万円なら、不足は50万円です。問題の大きさは、何を基準にするかで変わります。基準を言葉にしておきましょう。三つ目は課題。その差を埋めるために、対処すべきことです。例えば「来月までに、減少分のどこを取り戻すかを決める」。課題には、主体と期限が入ります。会議が散らかるのは、この三つが混ざったまま話しているときです。
論点とは、答えがわかれば次の判断ができる問い
では、論点とは何でしょうか。このレッスンでは、こう定義します。論点とは、答えがわかれば、次の判断や行動ができる問いのことです。単なる疑問や関心ごとではなく、意思決定につながる問いです。問いには型があります。まず、イエスかノーで答える問い。「広告費を増やすべきか?」答えは出しやすいのですが、広告という手段を、最初から決め打ちしています。次に、なぜを問う問い。「なぜ売上が減ったのか?」原因を探る出発点になりますが、そのままでは範囲が広く、調べ終わりが見えません。そして、どうするか、どれを選ぶかを問う問い。「来月実行できる施策のうち、どれが最も効果を見込めるか?」依頼Bのように行動を決めたい場面では、この型が判断に直結します。どの型が正しい、ということではありません。目的に合った型を選ぶことが大切です。
依頼Bにふさわしい論点はどれ?
二つ目の演習です。依頼Bに対して、最もふさわしい論点を選んでください。
論点を分解する
論点が決まったら、次はそれを分解します。大きな問いのままでは、何を調べればよいかが決まらないからです。ECの売上は、購入した人の数と、一人あたりの購入金額、つまり客単価に分けられます。売上=購入者数×客単価です。購入者数は、さらに訪問数と購入率に分かれます。購入率は、CVRとも呼ばれます。サイトを訪れた人のうち、何%が買ったかを表す数字です。訪問数は、広告、検索、SNS、リピーターといった流入経路ごとに見られます。客単価は、商品の単価と、1回あたりの購入点数に分けられます。このように分けると、同じものを二重に数えたり、見落としたりしにくくなります。重なりなく、漏れなく分ける考え方を、MECEと呼びます。詳しくは別のレッスンで扱います。分解すると、「売上が減った」という一つの問いが、確かめられる小さな問いに変わります。
仮説は暫定的な説明であり、証拠ではない
分解した問いに対して、仮説を立てます。仮説とは、今ある情報から考えた、暫定的な説明のことです。大切なのは、仮説は証拠ではない、という点です。例えば「広告からの訪問が減ったのではないか」。これは仮説です。確かめるには、流入経路別の訪問数、広告費の推移、広告経由の購入率といったデータが必要です。前月より広告経由の訪問が減っていれば、仮説は支持されます。減っていなければ、仮説を見直し、別の要素を調べます。外れることも、検証の成果です。会議で出た「広告が悪いから売上が減った」は、仮説ではなく、断定になっています。断定してしまうと、確かめる前に、打ち手が決まってしまいます。
断定を、検証できる仮説に直す
三つ目の演習です。「広告が悪いから売上が減った」という発言を、検証できる仮説に直してください。あわせて、確かめるために見るべき指標も書き出しましょう。
論点の優先順位を決める三つの観点
論点や仮説は、たくさん出てきます。全部を同時に調べることはできません。そこで、優先順位をつけます。見るべき観点は三つです。一つ目は重要度。その答えによって、判断がどれだけ変わるかです。二つ目は不確実性。今、どれだけわかっていないかです。すでにわかっていることを調べ直しても、判断は前に進みません。三つ目は検証コスト。確かめるのに、どれだけの時間と手間がかかるかです。重要で、まだわかっておらず、早く確かめられる論点から手をつけます。例えば流入経路別の訪問数は、集計済みのデータがあれば短時間で確認できます。一方、顧客アンケートには時間がかかります。依頼Bのように期限が短いなら、順番を工夫しましょう。
問いに「目的・範囲・期間」を足す
最後に、問いを磨く方法です。よくある失敗は二つあります。一つは、広すぎる問い。「何がいけなかったのか?」では、どこから調べればよいかわかりません。もう一つは、手段が先に決まっている問い。「SNSをどう活用すべき?」は、選択肢を狭めています。磨くときは、三つの要素を足します。目的、対象の範囲、そして期間です。「前月と比べ、どの要素の変化が売上減に最も影響したか?」。比較の基準と範囲がはっきりしました。「来月の新規訪問を増やす手段として、SNSは広告より効果を見込めるか?」。目的と期間が入りました。磨いた問いは、答えが出たときに、次に何をするかが見えます。
「どうしたら売上を上げられる?」を磨く
最後の演習です。「どうしたら売上を上げられる?」という問いを考えます。目的と期間が伝わり、答えが出たら次の行動が決まる問いに書き直してください。
問題 → 目的 → 論点 → 仮説 → 検証
お疲れさまでした。今日の流れを、一枚の図で振り返ります。まず問題。何を基準に、どれだけの差があるのかを言葉にします。次に目的。その分析を、誰が、何の判断に使うのかを確かめます。そして論点。答えがわかれば次の判断ができる問いを立て、要素に分解します。論点ごとに仮説を立て、確かめるためのデータを決めます。最後に検証。データで確かめ、外れたら仮説を修正します。売上が下がったとき、最初に考えるべきことは、アイデアではなく、何を決めるための問いか、です。論点整理シートは、この下からコピーして使えます。
