REINTERPRET / STORY 04・ゼミの研究
ゼミの研究から学ぶ仮説検証
学食の利用者が減った理由は、値上げ? 確かめてみたら、データは違うことを語っていた。
架空の学習用ストーリー約9分読み物+経験マップ(任意)

SCENE 01 / 10月のはじめ
学食の利用者が、減っている
「学食の利用者が去年より減っているらしい。理由を調べてみてくれないか」
ゼミの先生からそう言われたのは、10月の初めだった。担当になったのは、3年生の健太と彩花の二人。
最初の打ち合わせで、健太は勢いよく言った。「値上げしたからでしょ。定食、50円上がったし」
彩花は少し考えてから返した。「それもありそう。でも、それって本当かどうか、まだ分からないよね。ほかの理由もあるかも」
SCENE 02 / 仮説を置く
ひとまず、値上げを疑ってみる
二人は、思いつく理由をノートに書き出した。値上げ、メニューが変わらない、昼休みの混雑、近くにできたコンビニ。そのうえで、「一番影響が大きいのは値上げではないか」をひとまずの仮説にした。
「じゃあ、値上げが原因なら、どんなデータが見えるはず?」と彩花。 「値上げした定食だけ売れなくなって、値段が変わらない麺類は減ってない……とか」
学食の担当者にお願いして、メニュー別の販売数を月ごとに見せてもらった。結果は意外だった。定食も麺類も、同じくらいの割合で減っていた。値上げだけでは説明がつかない。
SCENE 03 / 外れた、その先
減っているのは、12時台だけ
「仮説、外れたかも」と健太が肩を落とすと、彩花は表の別の列を指さした。「見て。減ってるのは12時台だけ。13時以降はむしろ少し増えてる」
二人は昼休みに学食の前で、10分ごとに列の長さを数えた。12時10分には、入口の外まで40人近く並んでいた。そこで、利用をやめた学生に短いアンケートをとった。回答した30人のうち、半数以上が「並ぶのが面倒」を理由に挙げた。
SCENE 04 / 発表の日
外れた仮説も、隠さずに
発表の日、健太はこうまとめた。「最初の仮説は値上げでした。でもデータを見ると、本当の原因は12時台の混雑だった可能性が高いです。次は、事前注文の仕組みを試してみる価値があると考えています」
先生は言った。「外れた仮説を隠さずに出したのがいいね。それで次の仮説に進めたんだから」
※ このストーリーは、よくある場面をもとにした架空のエピソードです。登場人物・数字は学習用に作ったもので、写真はイメージです。
TURNING POINT
予想が外れたことは、失敗ではなく情報だった。
「値上げが原因」という仮説は、データで確かめると説明がつきませんでした。けれど、外れたからこそ表の別の列に目が向き、12時台の混雑という次の仮説にたどり着けました。
EXPERIENCE BREAKDOWN
経験を分解してみる
- 01
「値上げが原因でしょ」と決めつけそうになった
行動理由を複数書き出し、そのうち一つを「ひとまずの仮説」として置いた
ビジネスの言葉仮説思考(答えを決めつけず、確かめる前提で仮の答えを置く)
- 02
仮説を立てたあと
行動「仮説が正しければ、どんなデータが見えるはずか」を先に考えた
ビジネスの言葉検証の設計(何を見れば確かめられるかを決めてから集める)
- 03
定食も麺類も同じように減っていた
行動仮説が外れたことを認め、表の別の切り口(時間帯)に目を向けた
ビジネスの言葉反証と仮説の修正(データに合わせて考えを更新する)
- 04
12時台だけ減っていると分かった
行動列の長さを数え、利用をやめた人にアンケートをとった
ビジネスの言葉定量と定性の組み合わせ(数字と声の両方で裏づける)
- 05
発表の場
行動外れた仮説も含めて経緯を示し、次に試す打ち手を提案した
ビジネスの言葉示唆と次のアクション(分かったことを行動につなげる)
WHAT WE CAN LEARN
仮説・検証・データ
仕事では、すべての情報がそろうのを待っていると時間が足りません。そこで、限られた情報から「たぶんこうではないか」という仮説を置き、データで確かめるという進め方がよく使われます。
職場で使うときの流れは、たとえば次のとおりです。
- 仮説を一文で置く:「問い合わせが増えたのは、先月の料金改定のせいではないか」
- 確かめ方を先に決める:「その仮説が正しければ、改定した商品の問い合わせだけが増えているはず」
- データを見る:数字(件数・推移)と声(問い合わせ内容)の両方を見る
- 仮説を更新する:外れていたら、それも成果。別の切り口で次の仮説を立てる
大切なのは、仮説が外れることを失敗だと思わないことです。外れたと分かれば、調べる範囲が一つ絞れます。上司に報告するときも、「最初はこう考えたが、データではこうだった。だから次はこれを確かめたい」と伝えられると、考えた道筋が相手に伝わります。
アンケートに答えた30人は、利用をやめた学生の一部です。混雑が原因である「可能性が高い」とは言えても、それだけで断定はできません。
YOUR EXPERIENCE MAP
あなたの経験に置き換えてみる。
似た経験でなくても構いません。何かを工夫した、困った、考え直した出来事を一つ思い出してみましょう。取り組まなくても、ストーリーは読み終えています。
思い浮かばなければ:卒業論文やレポートでの調査/アルバイト先で売れる商品・売れない商品の違いに気づいたとき/部活やサークルで練習方法を変えて成果を比べたとき
STEP 1 / 4
書き始めると、この端末に下書きが保存されます
経験マップのまとめ
- 場面
- 未記入
- 行動
- 未記入
- 結果
- 未記入
- 学び
- 未記入
未記入の項目があっても、そのまま残せます(空欄を自動で補うことはありません)。経験マップは自分の経験を整理するための記録です。内容から能力や職種への向き不向きを判定することはありません。
STORY TAKEAWAY
学生経験の見方が、ひとつ増えました。
限られた情報から仮説を置き、「それが正しければ何が見えるはずか」を決めてデータで確かめる。外れた仮説は、次の仮説への手がかりになる。
あなたの記録
- ストーリー
- 読んでいる途中
- 経験マップ
- 未作成(任意)
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