Q.
他の条件を一定として、節税効果のある負債の比率を高めると、一般にWACCはどう変化する傾向があるか(過度な負債による財務リスク増大は考えないものとする)。
解説まとめ
正解はAです。税引後負債コストは株主資本コストより低いため、財務リスクの増大を考えない範囲では、相対的に安いほうの資金(負債)の比率を高めるとWACCは低下する傾向があります。安いコストの資金の重みが増えれば、加重平均は下がるからです。これが負債活用の基本的な効果です。
ポイント
この問題の核心は、加重平均は「安い項目の重みが増えると下がる」という性質です。税引後負債コスト<株主資本コストという大小関係が前提になります。ただし、負債を増やしすぎると財務リスクで各コスト自体が上がるため、本問では前提を明示して単純化している点に注意しましょう。
ワンポイントアドバイス
WACCの動きを考えるときは、まず「どちらの資金が安いか」を確認しましょう。安い資金の重みを増やせば平均は下がる、という加重平均の基本に立ち返ると、構成変化の方向を直感的に判断できます。
解説詳細
安い資金の重みが増えると加重平均は下がる
WACCは株主資本コストと税引後負債コストの加重平均です。一般に税引後負債コストのほうが株主資本コストより低いため、低コストの負債の構成比を高めれば、平均値であるWACCは下がる方向に動きます。本問は財務リスクの増大を考えないという前提を置いているので、純粋に重みづけの効果だけを見ればWACCは低下します。Aが正しい傾向です。
他の選択肢が誤りである理由
Bの「必ず上昇する」は、安い資金を増やしているのに平均が上がるという矛盾した結論で誤りです。Cの「まったく変化しない」は、構成比が変われば加重平均が変わるという性質に反します。Dの「株主資本コストと等しくなる」も、負債が含まれる限り加重平均は両者の間の値になるため成り立ちません。前提のもとでは負債比率を高めるとWACCは下がります。