EV/EBITDA倍率が、PERに比べて「資本構成(負債の多寡)の影響を受けにくい」とされる主な理由として、最も適切なものはどれか。
解説まとめ
正解は D です。EV/EBITDA倍率は、分子のEVが負債を含む事業全体の価値、分母のEBITDAが利息(金利)を支払う前の利益であり、いずれも資本構成(負債と株主資本の比率)の影響を受けにくい構造です。一方、PERは分子の株価も分母の当期純利益も、支払利息や負債の影響を受ける株主価値ベースの数字です。そのため、負債水準が異なる会社どうしの比較ではEV/EBITDAの方が使いやすいとされます。分子分母がそろって資本構成に中立であることが理由です。
ポイント
この問題の核心は「分子・分母がともに資本構成に中立かどうか」という視点です。EBITDAは利払い前なので負債の多寡で変わらず、EVは負債込みの価値です。当期純利益は支払利息を引いた後の数字で負債の影響を受ける、という対比がつまずきどころです。
ワンポイントアドバイス
負債水準の異なる会社を比べるときは、PERだけでなくEV/EBITDAも併用してみましょう。借入の多い会社をPERだけで比べると、金利負担で利益が歪み、誤った割安・割高判断につながることがあります。倍率の長所と限界を理解して使い分ける姿勢が大切です。
解説詳細
EVもEBITDAも資本構成に中立
EVは株主価値に負債を加えた事業全体の価値なので、負債が多くても少なくても事業価値そのものを表します。EBITDAは支払利息を差し引く前の利益なので、借入の多寡で変動しません。分子分母がともに負債の影響を受けにくいため、倍率が資本構成に中立になります。
PERとの違い
PERの分母である当期純利益は、支払利息を差し引いた後の利益です。負債が多い会社は利息負担で純利益が減り、PERが歪みます。分子の株価(株主価値)も負債の影響を受けます。この点がEV/EBITDAとの差です。
ほかの選択肢が誤りである理由
Aは為替の話で、資本構成中立の理由とは無関係です。Bの「いつも一定の値に調整」は事実ではなく、倍率は会社ごとに異なります。Cは「EBITDAが必ず小さい」が誤りで、通常EBITDAは当期純利益より大きく、大小と安定性も関係しません。分子分母が資本構成に中立だと述べたDが正解です。