「Web広告を出してみて」と言われて、管理画面を開いたものの、検索広告・ディスプレイ広告・SNS広告と並ぶメニューの違いがわからず、目に入ったものから予算を入れてしまう。あとで上司に「なぜこの広告を選んだの?」と聞かれても、はっきり答えられない——もしあなたが心当たりがあるなら、それは能力の問題ではありません。広告の「地図」を持っていないだけです。
Web広告は、ひとことで言えば「お金を払って流入を買う」手段です。検索結果やWebサイト、SNSのタイムラインに、お金を払って自社の情報を表示してもらう。だから自然検索(広告を出さずに検索結果へ表示されること)とは性質が違います。そして、その「買う流入」にはいくつかの種類があり、それぞれ効く相手と効く場面が違います。種類を取り違えると、目的とズレた面に予算を入れてしまい、成果が出ません。
この講座のゴールは、主要なWeb広告の種類を一枚の地図に整理し、目的に合わせて選び分けられるようになることです。具体的には、次の3つができるようになります。
- 主要なWeb広告の種類(検索広告・ディスプレイ広告・SNS広告・動画広告)が、それぞれ誰に・どの段階の人に効くかを説明できる
- 「認知を広げたい/指名買いを取りたい/迷っている人を後押ししたい」といった目的から、合う広告の種類を選び分けられる
- 選んだ広告の種類とその理由を、上司や同僚に1文で説明できる
最初に住み分けをはっきりさせておきます。この講座が扱うのは「広告という、お金を払って買う流入の、種類の選び分け」だけです。広告を出さずに検索結果から流入を育てる方法(SEO)はSEO入門(kouza-130-seo-basic)で、広告を含めたデジタル集客の全体像はデジタルマーケティング入門(kouza-040-digital-marketing)で扱います。SNSの日々の投稿運用そのものはSNSマーケティング(kouza-100-sns-marketing)へ。費用対効果の計算や、クリックした先の改善は、それぞれ専門の講座に切り分けます。ここでは深入りせず、「どの種類を、なぜ選ぶか」だけに集中しましょう。
覚えて帰っていただきたい型は1つです。目的を1つ決める → 「探している人/知らない人」で地図に置く → 合う広告の種類を選ぶ → 理由を1文で言う。この型を、各章で繰り返し練習します。
この講座を通して、予算が限られた中小企業のマーケ担当者(あなた自身を想定しています)が、目的に合わせて広告の種類を1つ選ぶ、という同じ場面を使い続けます。架空の数字や難しい運用設定は出てきません。選ぶための「考え方の地図」を、自分の言葉で持って帰ってください。
この講座のポイント
- Web広告が「お金を払って流入を買う」手段だと説明でき、自然検索との違いを自分の言葉で言える。
- 主要なWeb広告の種類が、それぞれ誰に・どの段階の人に効くかを説明できる。
- 「認知を広げる/指名買いを取る/検討中の人を後押しする」など目的から、合う広告の種類を選び分けられる。
- 広告の種類を選んだ後、クリックの受け皿と「効いているかの最低限の見方」を説明できる。
Web広告とは何か——「流入を買う」という考え方
この章のゴール
Web広告が「お金を払って流入を買う」手段だと説明でき、自然検索との違いを自分の言葉で言える。
流入を「育てる」のか「買う」のか——自然検索との根本的な違い
Webサイトに人を集める方法は、大きく2つに分けられます。1つは時間をかけて自然検索からの流入を育てる方法。もう1つは、お金を払って今すぐ流入を買う方法、つまり広告です。
自然検索とは、検索した人の画面に、広告ではない通常の検索結果として自社のページが表示されることです。Google広告のヘルプでも「オーガニック検索結果」は有料の掲載とは区別された独立の概念として扱われています。ここに表示されるようにするには、ページの中身を充実させ、検索エンジンに評価されるまで時間をかける必要があります。育てる流入、と呼べます。
一方の広告は、表示枠をお金で買います。検索結果の上部、Webサイトの広告枠、SNSのタイムライン——そうした場所に、費用を払って自社の情報を出してもらう。育つのを待つのではなく、今すぐ買う流入です。
この違いを最初に押さえておくと、迷子になりません。「自然検索でやるべきこと」を広告に求めても噛み合いませんし、その逆も同じです。広告を出さずに検索結果からの流入を育てる具体的なやり方は、SEO入門(kouza-130-seo-basic)で扱います。この講座は「買う流入」だけを見ていきます。
広告の強み——今すぐ、狙った相手に届けられる
広告の一番の強みは、出したその日から、狙った相手に届けられることです。自然検索で評価が育つのを何か月も待つのとは違い、予算を入れれば今日から表示が始まります。
しかも、ただ広く出すだけではありません。「商品名で検索している人」「特定の興味を持っている人」「過去に自社サイトを見た人」など、誰に見せるかをある程度選べます。今すぐ・狙った相手に、というのが広告の核心です。
予算が限られた中小企業のマーケ担当者にとって、これは大きな意味を持ちます。たとえば「来月発売の新商品を、できるだけ早く知ってほしい」という場面。自然検索で評価が育つのを待っていたら、発売に間に合いません。こういうとき、広告で流入を「買う」という選択が効いてきます。
止めれば止まる——広告特有の性質を知っておく
ただし、広告には知っておくべき性質があります。それは、予算を止めれば流入も止まる、ということです。
自然検索は、一度評価が育てば、広告費をかけ続けなくても流入が続きやすい。これに対して広告は、お金を払っている間だけ表示されます。蛇口のようなもので、ひねれば出るが、閉めれば止まる。だから「広告を出しているうちに、自然検索やリピートにもつなげる」といった長い目での設計が、本来はあわせて必要になります。
この講座ではそこまで踏み込みませんが、「広告は止めれば止まる買い続ける流入」だという性質だけは覚えておいてください。広告を含めたデジタル集客全体のなかでの位置づけは、デジタルマーケティング入門(kouza-040-digital-marketing)で俯瞰できます。
広告を考える前に決める3つ——誰に・どの段階の人に・何をしてほしいか
ここで、よくあるつまずきを1つ。「広告はとにかく出せば売れる」という思い込みです。実際は、出す前に決めておくことを決めていないと、どの種類を選んでも空振りします。
決めるのは、たった3つです。
- 誰に届けたいか(どんな人に見てほしいか)
- どの段階の人か(まだ商品を知らない人か、今まさに探している人か)
- 何をしてほしいか(知ってほしいのか、問い合わせてほしいのか、買ってほしいのか)
たとえば共通例の担当者が新商品を売り出すなら、「①30〜40代の自社商品をまだ知らない層に、②商品の存在をまだ知らない段階で、③まず名前と特長を知ってほしい」と1文にできます。この1文が決まると、次章からの「種類選び」が一気に楽になります。逆に、ここを飛ばして種類から考え始めると、勧められるままの配信に戻ってしまいます。
この章の確認(演習)
自社(または身近な商品)を1つ取り上げ、「①誰に ②どの段階の人に ③何をしてほしいか」を1セット書き出してください。3つを1文につなげて言い切れたら合格です。この1文は、第3章まで使い続けます。
主要なWeb広告の種類を地図にする——検索・ディスプレイ・SNS・動画
この章のゴール
主要なWeb広告の種類が、それぞれ誰に・どの段階の人に効くかを説明できる。
「探している人に当てる」か「知らない人に広げる」か——地図の2軸
広告の種類はたくさんあるように見えますが、まず1本の軸で整理すると一気に見通せます。その軸は、「今まさに探している人に当てる」のか「まだ知らない人に広げる」のかです。
お客さんには段階があります。商品の存在をまだ知らない人、なんとなく興味を持ち始めた人、今まさに探して比べている人。広告の種類は、このどの段階の人に強いかで色分けできます。この1軸を頭に置いて、主要な4種類を地図の上に置いていきましょう。
検索広告——今まさに探している人に届ける
検索広告は、検索サイトに入力された特定のワードに応じて、検索結果ページに表示される広告です(電通の広告種別の定義でも「検索連動型広告:検索サイトに入力した特定のワードに応じて、検索結果ページに掲載する広告」とされています)。リスティング広告、検索連動型広告とも呼ばれます。
効くのは、今まさに探している人です。Google広告のヘルプでも、検索キャンペーンは「商品やサービスを積極的に検索しているユーザーに広告を表示できる」ものとされています。たとえば「会計ソフト 比較」と検索している人は、すでに会計ソフトを探しています。ここに広告を出せば、買う気のある人に直接届きます。
地図の上では、検索広告は「探している人に当てる」側の代表格です。強みは購買意欲の高い人に当たること、弱みはまだ商品を知らない人には届きにくいことです(探していない人は検索しないからです)。
ディスプレイ広告——まだ知らない人に広く見せる・思い出してもらう
ディスプレイ広告は、Webサイトやアプリ上の広告枠に表示する、画像やテキストの形式の広告です(電通の定義)。Googleの場合、これを配信できる枠の集まりをGoogleディスプレイネットワーク(GDN)と呼びます。
GDNについてGoogle広告のヘルプは、「Google 広告を掲載できる 200 万以上のウェブサイトや動画、アプリの総称」であり、「世界中のインターネット ユーザーの 90% 以上に広告を表示できます」と説明しています。さらにディスプレイ広告は「関心を示したユーザーから購入間近のユーザーまで、購買サイクルのあらゆる段階のユーザーにアプローチできます」とされています。
地図の上では、ディスプレイ広告は「まだ知らない人に広げる」側に置けます。検索結果ではなく、いろいろなサイトを見ている最中の人の目に入るので、商品をまだ探していない段階の人に存在を知らせたり、一度見た人に思い出してもらったりするのに向きます。強みは広く届くこと、弱みは「探している人」ほど買う気が固まっていない場合があることです。
SNS広告——興味関心で狙って見せる
SNS広告は、Facebook・Instagram・X・LINE・TikTokといったSNSのタイムラインなどに配信される広告です。SNSはユーザーの属性や興味関心、行動のデータを持っているため、それを手がかりに「この興味を持っている人に見せる」という狙い撃ちができます。
地図の上では、SNS広告は「まだ知らないけれど、興味を持ちそうな人に広げる」側に置けます。探して検索する前の段階の人に、興味関心を手がかりに見せられるのが特長です。
ここで線引きを1つ。この講座が扱うのは「SNSという配信面に広告を出す」ことだけです。日々の投稿やアカウントの育て方といったSNS運用そのものは、SNSマーケティング(kouza-100-sns-marketing)で扱います。混同しないようにしましょう。
動画広告——伝わりにくい良さを映像で知ってもらう
動画広告は、映像と音声の形式の広告です(電通の定義)。代表的なのがYouTubeに出す広告です。YouTubeのヘルプによれば、利用できる動画広告のフォーマットには「スキップ可能なインストリーム広告/スキップ不可のインストリーム広告/インフィード動画広告/バンパー広告/マストヘッド広告/YouTube ショートの広告」があります。たとえばバンパー広告は「6 秒以下の、スキップできない」短い動画で、「記憶に残りやすいインパクトのあるメッセージを打ち出すことができます」とされています(秒数などの細部は運用設定の話なので、ここでは(例)として触れるだけにします)。
地図の上では、動画広告は主に「まだ知らない人に広げる」側に置けます。文字や静止画では伝わりにくい商品の良さを、映像と音声で見せて知ってもらえるのが特長です。Googleの説明では、YouTubeの動画広告は認知度向上・比較検討・見込み顧客の獲得・コンバージョン促進まで対応する「フルファネル」とされ、目的に合わせてフォーマットを選ぶことが重要だとされています。つまり、知ってもらう段階に強いだけでなく、目的次第で幅広く使える種類です。
名前(リスティング・GDNなど)に惑わされない
ここで、もう1つのつまずきに触れておきます。広告の世界は、リスティング、GDN、といった略称が飛び交い、用語に圧倒されて違いを取り違えがちです。
でも、覚えるべきは略称の正式名称ではなく、地図の上での位置です。リスティングは検索広告のことで「探している人に当てる」側、GDNはGoogleのディスプレイ広告を出す枠の総称で「知らない人に広げる」側。略称が出てきたら、まず「これは探している人向け? 知らない人向け?」と地図に置き直してください。それだけで、用語に飲まれずに済みます。
この章の確認(演習)
検索広告・ディスプレイ広告・SNS広告・動画広告の4つを、「探している人向け/知らない人向け」のどちらかに振り分けてください。そのうえで、それぞれ向いている目的(知ってもらう/探している人を取る/思い出してもらう など)を一言ずつ書きます。地図の上に4つを置けたら合格です。
目的から広告の種類を選び分ける
この章のゴール
「認知を広げる/指名買いを取る/検討中の人を後押しする」など目的から、合う広告の種類を選び分けられる。
「広告ありき」でなく「目的ありき」で選ぶ
ここが、この講座で一番伝えたいところです。広告は「どの種類を出すか」から考えてはいけません。「何を達成したいか」という目的から考えるのが基本です。
これは思いつきの話ではなく、広告の仕組み自体がそうできています。Google広告では「目標を指定してからキャンペーンを設定すると、その目標の達成に役立つ機能がわかりやすく表示され」るとされ、手順としても「キャンペーンの目標を選択する(販売促進、見込み顧客の獲得、ウェブサイトのトラフィックなど)」→「目標に基づいて最適なキャンペーン タイプを選択する」という順番になっています。目的が先、種類は後、です。
だから、選び分けの型はこうなります。目的を1つに言い切る → その目的の相手は「探している」「知らない」どちらかを決める → 第2章の地図から合う種類を選ぶ → 「誰に・どの段階で効くから」で理由を1文にする。
お客さんが自社を知る前・比べている最中・今すぐ欲しい——どの段階を狙うか
目的を決めるとき、お客さんの段階を思い浮かべると決めやすくなります。人は、商品を知る前 → 興味を持って比べている最中 → 今すぐ欲しい、と段階を進んでいきます(消費者の購買行動を段階で捉える考え方として、AIDMAやAISASといったフレームが知られていますが、ここでは略語を覚える必要はありません)。
狙う段階が決まれば、地図の上で当てる広告の種類も決まります。知る前の人を増やしたいのか、比べている人を後押ししたいのか、探している人を確実に取りたいのか。次に、共通例の担当者が抱える3つの目的で、実際に選んでみましょう。
目的A「新商品をまず知ってもらう」に合う種類
共通例の担当者が「来月発売の新商品を、まず知ってもらいたい」と考えたとします。相手は、商品の存在をまだ知らない人。段階で言えば「知る前」です。
地図に置けば、これは「知らない人に広げる」側。合うのはディスプレイ広告か動画広告です。Google広告でも、認知を狙うときの選択肢として「YouTube のリーチ、視聴回数、エンゲージメント」という目標が用意され、「お客様の商品やサービスの認知度を高める/新商品をユーザーに知ってもらう」ための機能だと説明されています。
選んだ理由の1文は、たとえばこうです。「まだ商品を知らない人に存在を広く知らせたいから、知らない人に広げるのが得意なディスプレイ/動画を選んだ。」
目的B「サービス名で検索した人を確実に取る」に合う種類
次に「自社のサービス名で検索した人を、取りこぼさず確実に取りたい」という目的。相手は、すでに自社を知っていて、今まさに探している人です。段階で言えば「今すぐ欲しい」に近い。
地図に置けば、これは「探している人に当てる」側。合うのは検索広告です。Google広告のヘルプでも、検索キャンペーンは「商品やサービスを積極的に検索しているユーザーに広告を表示できるため、販売促進、見込み顧客の獲得、ウェブサイトのトラフィック増加に役立ちます」とされています。
選んだ理由の1文は、こうです。「サービス名を検索している=今まさに探している人を確実に取りたいから、探している人に当てる検索広告を選んだ。」
目的C「資料請求まで迷っている人を後押しする」に合う種類
最後に「一度サイトに来たが資料請求まで至らず迷っている人を、後押ししたい」という目的。相手は、すでに自社を知っていて、比べている最中の人です。
ここで効くのが、一度サイトに来た人に当て直す考え方です。Google広告では「データ セグメントを使用するディスプレイ キャンペーンを作成すると、過去にウェブサイトを訪問したユーザーやアプリを使用したユーザーに広告を表示することもできます」とされています。一度接触した人を狙って再び表示する、この考え方はリターゲティングやリマーケティングと呼ばれます(媒体によって呼び方が違うだけで、本質は同じです)。
選んだ理由の1文は、こうです。「一度来てくれた、比べている最中の人を後押ししたいから、過去に訪問した人へ当て直すディスプレイ(再訪ユーザー向け)を選んだ。」
目的を絞れず全部の面に薄く配信してしまう
ここでのつまずきは、目的を絞れないことです。「認知も取りたいし、刈り取りもしたいし、後押しもしたい」と欲張って、限られた予算を全部の面に薄くばらまくと、どれも中途半端になります。
予算が限られているなら、なおさら「一番達成したい目的を1つ」に絞ってください。1つに絞れば、地図の上で当てる種類も1つに決まり、上司にも「今回はこの目的だから、この種類」と1文で説明できます。なお、選んだ広告が「割に合うか」を獲得単価で見る話はCAC入門(kouza-128-cac-basic)で、顧客生涯価値と照らして判断する話はLTV入門(kouza-127-ltv-basic)で扱います。この章では「目的に合う種類を選ぶ」までを身につけましょう。
この章の確認(演習)
与えられた目的(例:新商品の認知)を1つ取り、合う広告の種類を1つ選んでください。そのうえで「なぜそれか」を、「誰に・どの段階で効くから」という形の1文で書きます。第1章の演習で書いた「誰に・どの段階・何をしてほしいか」とつながっていれば、選び分けができています。
選んだあとに見るべきこと——受け皿と最低限の確認
この章のゴール
広告の種類を選んだ後、クリックの受け皿と「効いているかの最低限の見方」を説明できる。
広告は出して終わりではない——クリックの先まで通して見る
種類を選んで配信したら、それで終わり、ではありません。広告は、クリックされた先で目的が果たせて初めて意味を持ちます。だから、出したあとは「クリックの先」まで通して見る必要があります。
この考え方も、広告の仕組みに沿っています。Google広告では、顧客に取ってほしい行動を「コンバージョン アクション」として設定し、「購入」「コンタクト」「リードフォームの送信」などに紐づけて成果を測ります。適切な目標を選べば「オンライン販売の促進、登録の促進、ウェブサイトへのトラフィックの促進など、特定の成果が得られるようにキャンペーンが最適化されます」とされています。つまり、広告は最初から「目的が果たせたか」で見る前提で作られているのです。
受け皿(着地ページ)が目的とズレていないか確認する
ここで言う「クリックの先」とは、広告をクリックした人がたどり着くページのことです。着地ページ、ランディングページ(LP)とも呼ばれます。
確認することはシンプルです。そのページは、あなたが決めた目的に合っているか。たとえば共通例の担当者が「資料請求」を目的に広告を選んだのに、クリック先がトップページや別の商品ページに飛んでいたら、せっかく来た人が資料請求にたどり着けず、目的は果たせません。
着地ページそのものをどう作り込み、改善するかは、LP最適化(kouza-144-lp-optimization)で扱います。この章では「クリックの先が目的に合っているか確認する」という見方を持つことが目的です。ズレていたら、受け皿の改善を次の課題として切り出しましょう。
「クリックされたか」より「目的が果たせたか」で見る
広告の成果を見るとき、初心者がはまりやすいのが「クリック数だけ見て満足する」ことです。クリックがたくさんあると成果が出た気になりますが、クリックは入口にすぎません。
見るべき順番は、表示された → クリックされた → 目的が果たせたという流れです。このうち一番大事なのは最後の「目的が果たせたか」。資料請求が目的なら、クリック数ではなく資料請求の数で見ます。表示回数やクリック率といった指標(CTR・CVRなどと呼ばれます)にはそれぞれ定義がありますが、本講座では計算式までは踏み込みません。まずは「クリックで満足せず、目的が果たせたかで見る」という順番だけを身につけてください。
数字の深掘りと受け皿改善は専門の講座へ切り分ける
最後に切り分けを整理します。この講座でやるのは「種類を目的で選び分け、出したあとは目的が果たせたかで見る」ところまでです。
その先の2つは、専門の講座に切り分けます。1つは、広告が「割に合っているか」を数字で判断すること——獲得単価などで費用対効果を見る話はCAC入門(kouza-128-cac-basic)へ。もう1つは、クリックの受け皿そのものの改善——着地ページの作り込みはLP最適化(kouza-144-lp-optimization)へ。ここを混ぜずに切り分けられると、「自分が今やるべきこと」と「次に学ぶべきこと」がはっきりします。
この章の確認(演習)
第3章で選んだ広告について、「クリックした人にしてほしいこと(目的)」と「その受け皿(着地ページ)は用意できているか」を、1行ずつ書いてください。受け皿がまだなら、それが次の課題です。
まとめ
Web広告は「お金を払って流入を買う」手段です。自然検索のように育てるのを待つのではなく、今すぐ・狙った相手に届けられる代わりに、止めれば止まる。この性質を押さえたうえで、種類を選びます。
主要な4種類は、「探している人に当てる/知らない人に広げる」という1本の軸で地図に整理できました。検索広告は探している人に当てる、ディスプレイ広告と動画広告は知らない人に広げる、SNS広告は興味関心で狙って広げる。略称が出てきても、地図のどこに置くかで考えれば惑わされません。
そして一番大事なのは、広告ありきでなく目的ありき、ということ。覚えて帰る型をもう一度。目的を1つ決める → 「探している人/知らない人」で地図に置く → 合う広告の種類を選ぶ → 「誰に・どの段階で効くから」で理由を1文で言う。広告は「どれを出すか」でなく、「どの目的にどれが効くか」で選ぶ。これが背骨です。
明日の一歩として、自社の「一番達成したい目的」を1つ決め、地図から合う広告の種類を1つ選び、その理由を1文で書いて上司に共有してみてください。選んだ理由を言葉にできれば、もう勧められるまま予算を入れる人ではありません。
選んだ広告が割に合うかを数字で見る次のステップは、CAC入門(kouza-128-cac-basic)へ進みましょう。
目的から広告の種類を一目で選べる「Web広告の種類選びシート(目的→種類の早見表)」を用意しました。無料会員登録でダウンロードできます。今日決めた目的を、さっそくシートに当てはめてみてください。
よくある質問
検索広告とリスティング広告は同じものですか
ほぼ同じものを指します。検索したワードに応じて検索結果ページに出る広告で、検索連動型広告とも呼ばれます。地図では「探している人に当てる」側です。
ディスプレイ広告とSNS広告は、どちらを先に試すべきですか
目的しだいです。幅広く知ってもらいたいならディスプレイ、特定の興味を持つ人に狙って見せたいならSNS広告が向きます。まず目的を1つに絞り、地図に置いてから選んでください。
広告を出す前に準備しておくべきことは何ですか
「誰に・どの段階の人に・何をしてほしいか」を1文で決めることです。これが決まらないまま種類を選ぶと、勧められるままの配信になります。
小さな予算でも効果が出る広告の種類はありますか
予算より「目的に合う種類を選べているか」の精度が成果を左右します。限られた予算なら、目的を1つに絞り、合う種類1つに集中するのが基本です。