「お疲れさまです、確認お願いします」——あなたが上司へ送ったこのダイレクトメッセージ(DM)、相手は「何を・いつまでに」すればいいか分かるでしょうか。そして1週間後、あなた自身はこのやり取りを見つけ出せるでしょうか。会社にSlackが入って、メールやLINEの感覚で何となく使っているうちに、「これ、誰に送ればいいの?」「前に言ったあの件、どこに書いたっけ?」「通知が多すぎて逆に見落とす」——そんな引っかかりが増えていませんか。「@をつけると怒られそう」と、つい全部DMで送ってしまう人も多いはず。
でも、安心してください。うまくいかない原因は、あなたのSlackのセンスではありません。Slackの上手な使い方とは、機能を全部覚えることではなく、報連相を「相手に届いて・後から追える形」で流すこと。あとから身につけられる「型」です。
覚えて帰る型は、たった3ステップ。どこに書くか(チャンネル/DM)→ 誰に何を(メンション/スレッド)→ 見失わない(検索/通知)。この講座を読み終えると、あなたは次の3つができるようになります。
- チャンネルとDMの違いが分かり、その連絡を「どこに書くか」を選べる
- メンションとスレッドを使って、「誰に・何を」が伝わる報連相を投稿できる
- 検索で過去のやり取りを見つけられ、通知を自分の業務に合わせて調整できる
この講座は最後まで、「『確認お願いします』とだけ書いた埋もれるDMを、届いて・追える報連相に作り変える」という、たった1つの場面だけで説明します。各章末には演習も置いているので、自分のSlackを開きながら読み進めてください。なお、Slackはあくまで「流れていく情報(フロー)」を回す道具です。報連相そのものの型は別の関連講座(報連相)、残して育てるべき情報の蓄積は別の関連講座(Notion入門)で続きを学べる、と最初に住み分けを宣言しておきます。
この講座のポイント
- チャンネルとDMの違いが分かり、その連絡を「どこに書くか」を選べる
- メンションとスレッドを使って、「誰に・何を」が伝わる報連相を投稿できる
- 検索で過去のやり取りを見つけられ、通知を自分の業務に合わせて調整できる
チャンネルとDMを使い分ける
最初の一手は、Slackの使い方の中でも「その連絡をどこに書くか」を選ぶこと。ここが、届いて・追える報連相のスタート地点です。
この章のゴール
この章を読み終えると、チャンネルとDMの違いが分かり、その連絡を「どこに書くか」を選べるようになります。
Slackは「チャンネル」と「DM」の2つの場でできている
Slackの会話は大きく2つの場に分かれます。ひとつは、テーマごとにみんなで共有するチャンネル。もうひとつは、相手と自分だけのDMです。
チャンネルには、ワークスペースのメンバーが見つけて参加できる「公開チャンネル」と、招待された人だけが入れる「非公開チャンネル」があります(例)。ここで誤解しやすいのが「公開」の意味です。公開チャンネルの「公開」は、インターネット全体に丸見えという意味ではなく、同じ会社(ワークスペース)の中の人が見られるという意味です。社外に漏れる話とは別なので、そこは安心してください。
DMは、相手と自分だけの閉じた会話です。1対1のほか、何人かを追加した複数人のDMもつくれます。ただし人数が増えたり話が長く続いたりするなら、DMのままにせずチャンネルへ移したほうがよい場面が出てきます。その理由を次で見ます。
報連相は原則チャンネル、その理由は「後から追える」
報連相は、原則チャンネルに書きます。理由はシンプルで、チャンネルに書けば後から追えるからです。担当チャンネルに書けば、関係者がその場で文脈を共有でき、あとから入ったメンバーも経緯を読め、検索でも見つけられます。一方、DMに閉じたやり取りは、あなたと相手しか見えません。これが「埋もれる」状態です。
ここで、この講座でずっと使う場面に登場してもらいます。あなたが上司へ、こんなDMを送ったとします(例)。
お疲れさまです、確認お願いします。
このDM、なぜ埋もれるのでしょうか。あなたと上司しか見えないのでチームの他のメンバーが文脈を追えず、上司が席を外していれば止まり、後から探そうにもたくさんのDMの中に紛れて見つけにくい。「届いて・追える」という条件を、このDMはどれも満たしていないのです。
「どこに書くか」を選ぶ判断の手順
では、この連絡はどこに書けばよかったのか。判断は3ステップです。
- 1人だけか、チームで共有すべきかを判断する。その連絡を自分と相手だけが知ればよいのか、を最初に問います。
- 共有すべきなら、該当チャンネルへ書く。報連相のほとんどは共有すべき内容なので、原則チャンネル行きです。
- 目的に合うチャンネルを選ぶ。その案件のチャンネル(例:#プロジェクトA、#総務連絡)に書きます。
先ほどの「確認お願いします」は、案件の進行に関わる連絡でした。であれば、上司へのDMではなく担当チャンネル(例:#プロジェクトA)に書き直すのが正解です。これでチーム全員が文脈を共有できます。この「DMからチャンネルへ移した状態」を、次章以降で作り込んでいきます。
つまずきやすいのは、何でもDMで送ること、逆に個人的な連絡を全社チャンネルに流すこと、チャンネルが多すぎて迷うことです。どれも「1人だけか/チームで共有すべきか」を一度問えば防げます。本当に1対1で閉じてよい連絡だけ、DMに残しましょう。
なお、そもそも報連相とは何をどう伝えることか、という報連相の型そのものは関連講座の報連相で扱います。
この章の確認(演習)
直近で自分が送ったDM連絡を1つ選んでください。それは本来どのチャンネルに書くべきだったか、あるいは本当にDMでよかったか。「1人だけが知ればよいか/チームで共有すべきか」を基準に書くべき場所を仕分けて、一言メモしてみましょう。
メンションとスレッドで「誰に・何を」を届ける
担当チャンネルへ移しただけでは、まだ「誰がやるのか」が曖昧なまま。この章では、宛先と用件を相手に届け、やり取りを1か所にまとめる操作を身につけます。
この章のゴール
この章を読み終えると、メンションとスレッドを使って、「誰に・何を」が伝わる報連相を投稿できるようになります。
メンションは「これはあなた宛て」の合図
チャンネルに書いても、宛先を付けないと「これは誰がやる話なのか」が伝わりません。みんなが見られる場所だからこそ、「自分宛てだ」と気づいてもらう合図——それがメンションです。
メンションは、@に続けて相手の名前を入力すると、その人に通知が届く仕組みです。「@田中さん」と書けば、田中さんに「これはあなた宛てです」と届きます。確実に見てほしい相手には、メンションで宛先を明示するのが基本です。
注意したいのが、全員宛ての特別なメンション(@channel/@here など・例)です。これらは全員に通知を飛ばすため、多用すると通知の乱発になり、嫌がられます。特定の人に動いてほしいときは、全員宛てではなくその人を直接メンションするのが基本です。
スレッドは「1つの話題」を1か所にまとめる
宛先を付けて投稿できたら、次はスレッド。スレッドは、ある投稿への返信をその下にぶら下げて、1つの話題のやり取りを1か所に集約する仕組みです。
スレッドを使わず毎回新規投稿で返していると、同じ話題があちこちに散らばり、後から見た人は経緯を追えません。返信したいメッセージにカーソルを合わせ、「スレッドで返信」(例)から返していけば、その話題のやり取りが1本にまとまり、後から追える形になります。
「宛先+用件+期限 → 続きはスレッド」で投稿する手順
メンションとスレッドを組み合わせれば、報連相は次の手順で投稿できます。
- 宛先を@で指定する。動いてほしい相手をメンションします。
- 用件と期限を1文で書く。「何を・いつまでに」をはっきり書きます。
- 続く議論はスレッドに集約する。質問や返答は、新規投稿でなく同じスレッドへ。
第1章で担当チャンネルへ移した「確認お願いします」を、この手順で書き直します。
@田中さん ○○の件、本日中に確認お願いします。(例)
これで「誰に・何を・いつまでに」が一目で伝わります。さらに、田中さんからの質問やあなたの追加説明を同じスレッドに返していけば、この件のやり取りが1か所にまとまり、後から検索でも追えます。
つまずきやすいのは、全員宛てメンション(例)の連発で通知を乱発すること、宛先を付けず「誰かやって」になること、1つの話題なのに新規投稿を重ねて散らかすことです。「宛先+用件+期限」をワンセットにし、続きはスレッドにまとめれば防げます。
なお、宛先・用件・期限をどう組み立てれば伝わるかという報連相の中身の作り方は、関連講座の報連相で扱います。
この章の確認(演習)
第1章で挙げた「埋もれていた連絡」を1つ取り上げ、「@宛先+用件+期限」の形に書き直してみましょう。実際にどう打つかを文字で書き出してください。書けたら、その後の質問や返答を「新規投稿」と「スレッド返信」のどちらでやり取りすべきか考えてみましょう。
検索と通知で情報を見失わない
ここまでで報連相は「届く形」になりました。最後は、それを見失わないための操作です。
この章のゴール
この章を読み終えると、検索で過去のやり取りを見つけられ、通知を自分の業務に合わせて調整できるようになります。
Slackは「流れる情報」だから、探す力と絞る力が要る
Slackに流れるのは、基本的にフロー情報——次々に流れて過ぎていく会話です。だからこそ、3ステップ目の探す力(検索)と絞る力(通知)の2つが必要になります。
逆に、何度も見返したい情報(ストック情報)をSlackの会話の中にためこむのはおすすめしません。流れて消えてよいものはSlackで、残して育てたいものは別の場所で、と線引きすると迷子になりません。残すべき情報の蓄積・管理は、関連講座のNotion入門で扱います(Slackはフロー、Notionはストック)。
検索でキーワード・投稿者・チャンネルから過去を見つける
「あの確認、どこだっけ」となったら、スクロールで探すのは卒業。検索を使えば、過去のやり取りを毎回さかのぼらずに見つけ直せます。
検索は、検索バーにキーワードを入れて行います(ショートカットで開くこともできます・例)。さらに、絞り込みを足すと一気に見つけやすくなります。たとえば、投稿者で絞る「from:〔投稿者〕」、場所(チャンネル)で絞る「in:〔チャンネル〕」といった書き方です(例)。第2章でスレッドにまとめた「○○の件」も、投稿者やキーワードで絞れば、1週間後でもすぐ引き当てられます。
なお、こうした絞り込みは、利用しているプランによって使える範囲が異なる場合があります。「どんな絞り込みも必ず使える」とは限らない、とだけ覚えておきましょう。
通知は「重要だけ届く」よう自分で整理する
全チャンネルを全通知のままにしておくと、大事な連絡が雑談に埋もれて、かえって見落とします。「通知が多すぎて逆に見落とす」のは、設定を自分で整えていないだけなのです。
整理の方針はシンプルです。よく見る担当チャンネル(例:#プロジェクトA)は通知を残し、雑談や情報量の多いチャンネルは控えめにします。チャンネルごとに「すべての新規投稿」か「メンションのみ」かを選べますし(例)、見なくてよいチャンネルはミュート(例)にできます。ミュートしても自分宛てのメンションやDMはバッジで気づけるので、大事なものを取りこぼす心配はありません。こうして「重要だけ届く」状態に整えれば、共通例の「確認お願いします」も、もう埋もれません。届いて・追える報連相が、ここで完成します。
つまずきやすいのは、検索を使わず毎回スクロールで探すこと、全チャンネル全通知のまま重要を見落とすこと、残すべき情報までSlackにためこんで迷子になることです。「検索で見つける+通知を絞る+残す情報は別の場所へ」でまとめて防げます。
この章の確認(演習)
自分が「後で探したい」と思っていたやり取りを1つ、検索で見つけてみましょう。キーワードに投稿者やチャンネルの絞り込み(例)を足すと早く見つかります。あわせて、通知が多すぎて困っているチャンネルを1つ、ミュート(例)または「メンションのみ」に変えてみてください。
まとめ
Slackの上手な報連相は、機能を全部覚えることではありませんでした。本質は、報連相を相手に届いて・後から追える形で流すこと。型はたった3ステップ。どこに書くか(チャンネル/DM)→ 誰に何を(メンション/スレッド)→ 見失わない(検索/通知)。
「確認お願いします」とだけ書いた埋もれるDMが、担当チャンネル+メンション+スレッド+検索・通知で「届いて・追える報連相」に変わりました。同じ1通が、ここまで変わります。
届いて、追える形で。 この一言だけ覚えて帰ってください。
明日からの一歩はシンプル。今日の連絡を1つ、DMではなく担当チャンネルで「@宛先+用件+期限」の形で投稿してみる。それだけで、「誰宛か分からない」「あとで見つからない」がぐっと減ります。
ここから先は、報連相そのものの型を関連講座の報連相で、残して育てるべき情報の蓄積・管理を関連講座のNotion入門で続けられます。Slackはフロー、Notionはストック、と使い分けましょう。
「どこに書くか → 誰に何を → 見失わない」をその場で点検できる「Slack報連相チェックリスト」を用意しました。無料会員登録でダウンロードして、次の連絡から使ってみてください。
よくある質問
報連相はチャンネルとDMのどちらに書くべきですか
チームで共有すべき連絡は原則チャンネルに書きます。後から関係者が文脈を追え、検索でも見つけられるためです。
メンションをつけると相手に迷惑ではないですか
宛先を明確にする正しい使い方です。「誰宛か」が伝わらない投稿のほうが、かえって相手の確認の手間を増やします。
過去のやり取りが見つからないときはどうすればよいですか
スクロールせず検索を使い、キーワードに投稿者やチャンネルの絞り込みを足すと、過去のやり取りを再利用できます。