離職防止入門|離職要因を特定して効く対策を選ぶ | マナビズ

離職防止入門|離職要因を特定して効く対策を選ぶ

離職防止入門|離職要因を特定して効く対策を選ぶ

退職届が机に置かれてから、ようやく動き出す。理由を尋ねても返ってくるのは「一身上の都合」。引き止められず、本当のところは分からないまま、また一人いなくなる。そして次の一手は、とりあえず研修を増やす、面談を増やす——思いつきの打ち手です。気づいたときには手遅れで、何に効くのかも説明できない。心当たりがあるなら、この講座はそのループを断ち切るためのものです。

離職防止とは、辞めてから慌てて動くことでも、給料を上げることでもありません。なぜ辞めるのかを要因に分解して特定し、辞める前の兆候をつかみ、その要因に効く対策を選んで打つこと。思いつきの施策ではなく、要因に根拠を置いた打ち手こそが定着を生みます。本講座は、この「離職要因の見立てと打ち手の設計」だけに絞ります。組織への愛着や貢献意欲を測って高めていく運用そのものはエンゲージメント向上入門が、入社直後のメンバーが独り立ちするまでの受け入れ計画づくりはオンボーディング入門が、意欲を引き出す現場の関わりはモチベーション管理が、それぞれの正本です。本講座はそこには踏み込まず、必要な場面で送客します。

この講座を終えると、次の3つができるようになります。自社・自部署の離職要因を入社後ギャップ・処遇・人間関係・成長実感・働き方などの観点に分解して特定できること、辞める前に現れる変化を勤怠・態度・発言・1on1などの手元の情報から読み取れること、そして特定した要因に効く防止策を選び、いつ・誰が・何をするかの形で提案できることです。覚えて帰る型は「要因を分解して特定する → 兆候を読み取る → 効く対策を選んで提案する」。本講座では、半年で3人が辞めた営業課という仮の自社事例を、退職面談メモ・勤怠・1on1記録という手元の情報から要因特定→兆候読み取り→対策提案していく場面を通して、全章で追いかけます(数値や事情は説明のための例で、実在の事例ではありません)。

この講座のポイント

  • 自社・自部署の離職要因を、入社後ギャップ・処遇・人間関係・成長実感・働き方などの観点に分解して特定できる。
  • 辞める前に現れる兆候(勤怠・態度・発言・1on1での反応の変化)を、手元の情報から読み取れる。
  • 特定した離職要因に効く防止策を選べる(要因の観点ごとに打ち手の方向を変え、自分が動かせる手と制度として経営に上げる手に仕分ける)。
  • 特定した要因に効く防止策を、いつ・誰が・何をするかの形で提案できる。

離職要因を分解して特定する——なぜ人は辞めるのか

この章のゴール

自社・自部署の離職要因を、入社後ギャップ・処遇・人間関係・成長実感・働き方などの観点に分解して特定できる。

「一身上の都合」は要因ではなく蓋——その下を分解する

最初に押さえたいのは、退職時に語られる理由と、本当の要因は食い違うことがある、という事実です。ある調査では、退職経験者のうち会社に伝えなかった本当の退職理由がある人は半数以上にのぼりました。会社に伝えた退職理由のトップは「別の職種にチャレンジしたい」でしたが、これは本当の退職理由のランキングでは下位に沈みます。一方、会社に伝えなかった本当の退職理由のトップは「人間関係が悪い」でした。そして本音を伝えなかった理由のトップは「話しても理解してもらえないと思ったから」です(出典:エン株式会社「本当の退職理由」調査2024)。

つまり「一身上の都合」や「キャリアのため」は、本当の要因にかぶせられた蓋であることが少なくない。本人が本音を言わないのは、不誠実だからではありません。話しても理解されない、円満に辞めたい、辞める相手が原因だから言えない——そう判断して建前にすり替えるのが普通なのです。だから退職面談で本音をそのまま聞き出そうとしても、限界があります。離職防止の第一歩は、語られた言葉を鵜呑みにせず、この蓋を開け、その下にある本当の要因を、複数の手元の情報から分解して特定することです。なお、退職理由の構成比は調査や年によって変わるため、本講座では特定の数値を結論にせず、要因を分解して読む手つきそのものを身につけてください。

離職要因を観点に分けて見る——ギャップ・処遇・人間関係・成長実感・働き方

要因を分解するために、観点を用意します。公的な調査や白書では、離職や定着、働きやすさに影響する要因が複数の観点で整理されています。職場の人間関係・コミュニケーション、有給休暇の取得や労働時間といった働き方、人事評価の公正性・納得性などの処遇、研修や教育訓練といった成長・人材育成——これらが、いずれの年齢階級でも重視される要素として並びます(出典:令和元年版 労働経済白書)。

ここに、もう一つ「入社後ギャップ」を加えます。入社前に得た情報と実際の労働条件が異なることは、それ自体が離職の要因になります。とくに研修や上司・先輩からの働きかけが不足し、指示が曖昧なまま放置されたり、最初から先輩と同等の仕事を任されたりすると、離職傾向と結びつきやすい(出典:労働政策研究・研修機構 調査シリーズNo.191・No.250)。入社前の期待と入社後の現実のズレ、これも一つの観点です。本講座では離職要因の観点を、入社後ギャップ/処遇/人間関係/成長実感/働き方の5つに整理して使います。なお、この入社後ギャップを埋める受け入れ計画そのものの設計はオンボーディング入門が正本なので、本講座は「早期離職の一要因として見立てる」ところまでを扱います。

手元の情報を観点別に振り分け、要因が集中している観点を特定する

観点が決まれば、あとは手元の情報を振り分けるだけです。共通例の営業課で考えましょう(仮の事例です)。半年で3人が辞めたこの課について、退職面談メモ・勤怠記録・1on1の記録を集め、一つひとつの事実を5つの観点に振り分けていきます。「上司と合わなかった」は人間関係、「残業が多かった」は働き方、「評価に納得できなかった」は処遇、というように。

すると、バラバラに見えた退職が、ある観点に集中していることが見えてきます。例えば3人のうち2人の言葉が人間関係と成長実感に偏っていた、というように。1人ひとりの退職は別々の物語に見えても、観点で束ねると同じ弱点が浮かび上がる。これが分解の効用です。手順はシンプルです。第一に、退職面談メモ・勤怠・1on1記録など手元の情報を集める。第二に、それを5つの観点に振り分ける(1つの退職が複数の観点にまたがって構いません。離職はたいてい複数要因の積み重ねだからです)。第三に、どの観点に要因が集中しているかを特定する。要因が集中している観点こそ、その職場で一番効く打ち手のありかです。逆に、観点に分けず「なんとなく雰囲気が悪い」で止めると、打ち手も「なんとなく面談を増やす」で止まります。

「給料が原因」と最初から決めつけるつまずき

ここでのつまずきは2つあります。1つは「給料が原因に決まっている」と最初から決めつけること。本当の退職理由として人間関係が上位にあがる調査結果が示すように、処遇以外の要因が中心であることは珍しくありません(出典:エン株式会社「本当の退職理由」調査2024)。最初から処遇だけを見ると、本当の要因を取りこぼします。もう1つは、本人が語った表面的な理由をそのまま要因とみなすこと。前の節で見たとおり、語られた理由と本音はズレます。手元の複数の情報を突き合わせて、はじめて本当の要因に近づけます。この2つのつまずきに共通するのは、「1つの情報源を信じ込む」こと。退職者の言葉だけ、給与だけ、という単一の見方を捨て、複数の手元の情報を観点で突き合わせる。それが要因特定の精度を上げる唯一の方法です。

この章の確認(演習)

直近で辞めた人を1名選び、退職面談メモ・勤怠・1on1記録など退職時の情報を、入社後ギャップ/処遇/人間関係/成長実感/働き方の5つの観点に振り分けてください。そのうえで、その人の離職要因が最も集中している観点を1つ挙げ、なぜそう判断したかを手元の情報を根拠に一言で説明してみましょう。

辞める前の兆候を読み取る——手遅れになる前に気づく

この章のゴール

辞める前に現れる兆候(勤怠・態度・発言・1on1での反応の変化)を、手元の情報から読み取れる。

離職は突然ではない——要因は手元の情報に変化として表れる

退職届が出てから動くと、もう打てる手はほとんど残っていません。だからこそ、その前に気づきたい。手がかりは、第1章で分解した離職要因が、手元の情報に変化として表れる点にあります。

公的な調査を見ると、長時間労働が続くほど、有給休暇が取れないほど、働きにくさを感じる人が増えます。人手不足が職場に及ぼす影響としては「残業時間の増加、休暇取得数の減少」が最も多くあげられ、それが「離職者の増加」や「職場雰囲気の悪化」「働きがいや意欲の低下」につながっていきます。さらに、労働時間以上に人間関係が働きやすさに与える影響は大きく、上司からのフィードバックが乏しいと働きにくさを感じる人が増える(出典:令和元年版 労働経済白書)。実際、「人手不足で業務がまわらない・休みをとれない状況が離職につながる」傾向も確認されています(出典:労働政策研究・研修機構 調査シリーズNo.250)。

要点はこうです。離職の要因は、残業の増加・有給の取りづらさ・人間関係の様子・上司との関わりといった、勤怠や職場での様子に表れる。だから、その手元の情報を観察すれば、要因が積み上がっているサインを早めにつかめる可能性があります。第1章で集めた手元の情報は、辞めた人の要因を分解するためだけのものではありません。同じ勤怠・1on1記録を、まだ在籍している人について継続的に見れば、要因が積み上がりつつある人を早めに見つける道具にもなります。退職面談は手遅れになってからの記録ですが、勤怠と1on1は、いまこの瞬間の状態を映す記録だからです。

「いつものその人」との差分で見る

ただし注意が必要です。「残業が多い人は辞める」と数値だけで決めつけるのは早計です。もともと残業が多い人もいれば、人付き合いが少ない人もいる。大事なのは絶対量ではなく、「いつものその人」と比べた変化、つまり差分です。

普段は遅刻しない人が遅刻するようになった、有休をほとんど取らなかった人が急に取り始めた、会議でよく発言していた人が黙るようになった、1on1で前向きだった人の反応が薄くなった——こうした「その人らしさからのズレ」が、観察すべきサインです。まず「いつものその人」の基準を押さえ、次に勤怠・態度・発言・1on1での反応を差分で見る。これが順序です。なお、離職の予兆が必ず数か月前に現れるといった断定はできません(そう示す確かなデータは確認されていません)。あくまで「手元の情報の変化に早く気づくための観察手順」として使ってください。

複数のサインが重なる人をリスクとして拾う

1つのサインだけで「あの人は辞める」と決めつけないこと。たまたま体調が悪かっただけかもしれません。見るべきは、複数のサインが同じ人に重なっているかどうかです。残業が減り、発言も減り、1on1の反応も薄い——こうしてサインが重なる人を、離職リスクとして拾い上げます。

共通例の営業課でやってみましょう(仮の事例です)。辞めた3人について、辞める少し前の勤怠と1on1記録を遡り、どんな変化が出ていたかを後づけで学習します。そのパターンを、いま在籍しているメンバーに当てはめて、同じような差分が出ていないかを確認する。ここでのつまずきは3つ。1つのサインで決めつける、全員を同じ目で見て差分に気づけない、そして兆候を見つけても記録せず流してしまうこと。気づいた変化は必ず記録に残し、次章の打ち手と提案の根拠にします。なお、その変化を本人から直接つかむ「場」として1on1を使えますが、1on1そのものの進め方や聞き方は1on1の基本が正本です。本講座は「兆候をつかむ場として位置づける」ところまでにとどめます。

この章の確認(演習)

いま少し気になるメンバーを1名選び、その人の勤怠・発言・1on1での反応について、「いつもとの差分」と言えそうな変化を3点まで書き出してください。そのうえで、複数の変化が重なっているかを確認し、リスクとして拾うべきかどうかを判断してみましょう。気づいた変化は、日付とともに記録に残します。

要因に効く防止策を選ぶ——思いつきの打ち手をやめる

この章のゴール

特定した離職要因に効く防止策を選べる(要因の観点ごとに打ち手の方向を変え、自分が動かせる手と制度として経営に上げる手に仕分ける)。

「とりあえず研修・面談を増やす」をやめ、特定した要因に効くものを選ぶ

要因が分かり、兆候も見えてきた。ここで一番やってはいけないのが、「とりあえず研修を増やす」「面談を増やす」という思いつきの打ち手です。打ち手は、第1章で特定した要因に効くものを選ばなければ意味がありません。

幸い、定着のための打ち手は思いつきで考えなくても、公的に整理された型があります。厚生労働省の職場定着支援の枠組みでは、評価・処遇制度、研修制度、健康づくり制度、メンター制度といった、方向の異なる雇用管理制度が定着のための施策として整理されています(出典:厚生労働省 職場定着支援助成金)。評価・処遇は納得感に、研修は成長実感に、メンターは人間関係や入社後ギャップに効く、というように、型ごとに効く先が違うことに注目してください。そして、こうした評価処遇・人材育成・業務管理・福利厚生などの雇用管理制度を実施している会社では、働きがい・働きやすさが高まり、従業員の定着が進みやすい傾向があることが調査で示されています(出典:「働きやすい・働きがいのある職場づくりに関する調査報告書」)。打ち手は確かに効く。問題は、どの要因にどの打ち手を当てるか、という選び方です。施策のカタログから流行りのものを選ぶのではなく、第1章で特定した要因から逆算して打ち手を引き当てる。順番が逆になると、効かない施策に労力を使うことになります。

要因の観点ごとに打ち手の方向が変わる

打ち手の方向は、要因の観点ごとに変わります。これも調査が裏づけます。働きにくさを感じている層がより強く求めていたのは「人事評価に関する公正性・納得性の向上」でした。また、フレックスタイム制で働く正社員のほうが、同じ会社で働き続けたいと考える割合が高い。上司からのフィードバックを充実させることで、働きやすさが向上する可能性も示されています(出典:令和元年版 労働経済白書)。

ここから、観点ごとの打ち手の方向が見えてきます(具体策は要因に合わせて選びます)。処遇が要因なら、評価の公正性・納得性を高める方向。働き方が要因なら、労働時間や柔軟な働き方の方向。人間関係や成長実感が要因なら、上司の関わり方やフィードバックの方向。入社後ギャップが要因なら、受け入れと期待値のすり合わせの方向です。共通例の営業課で、要因が成長実感の欠如と上司との関係に集中していたとしましょう(仮の事例です)。すると打ち手は、研修を闇雲に増やすことではなく、任せ方やキャリアの見通しを示すこと、上司の関わり方とフィードバックを変えることに絞られます。要因と関係のない流行りの制度に飛びつくのは、つまずきの典型です。

「自分が動かせる打ち手」と「制度として経営に上げる打ち手」を分ける

打ち手を挙げたら、もう一段の仕分けをします。その打ち手を、自分(人事・管理職)が今すぐ動かせるか、それとも制度として経営に上げる必要があるか、で分けるのです。上司のフィードバックの頻度や1on1での関わり方は、明日からでも自分で動かせます。一方、評価制度の見直しやフレックスの導入は、制度として経営に提案しなければ動きません。

この仕分けが効くのは、全要因に一度に手を出して何も進まなくなるのを防げるからです。自分で動かせる手はすぐ着手し、制度として上げる手は次章の提案に回す。そのうえで、効果の大きさと着手のしやすさで優先順位をつけます。なお、要因への打ち手として組織への愛着や貢献意欲そのものを高める運用に踏み込むならエンゲージメント向上入門へ、意欲を引き出す現場の関わりの各論はモチベーション管理へ進んでください。本講座は「要因に効く打ち手を選んで仕分ける」ところまでを担います。

この章の確認(演習)

第1章で特定した要因を1つ取り上げ、その観点に効く打ち手を2つ挙げてください。次に、その2つを「自分がすぐ動かせる打ち手」と「制度として経営に上げる打ち手」に仕分けます。そのうえで、効果の大きさと着手のしやすさを見て、最初に動かす1つを選んでみましょう。

防止策を提案する——根拠つきで上司・経営を動かす

この章のゴール

特定した要因に効く防止策を、いつ・誰が・何をするかの形で提案できる。

見立てと打ち手は、提案して実行されて初めて離職防止になる

ここまでで、要因を特定し、兆候を読み取り、効く打ち手を選びました。けれど、それが自分の頭の中にあるだけでは、誰も辞めなくなりません。とくに制度として経営に上げる打ち手は、提案して実行されて、はじめて離職防止になります。最後の関門は、上司や経営を動かす提案です。

経営が動かないのは、多くの場合「やりたい施策」だけが語られるからです。「他社もやっているから」「面談を増やしたいから」では、判断する側に判断材料がありません。動かすために必要なのは、「この要因に、これが効く」という筋道、つまり要因という根拠と、打ち手と、効果の見方が一本につながった説明です。ここまでの3つの章は、まさにその筋道の材料を集める作業でした。あとは順番に並べるだけです。

「要因(根拠)→対策→いつ・誰が・何を→何で効果を見るか」の順で組み立てる

提案は、次の順で1枚に組み立てます。第一に、第1章で特定した要因と、第2章で読み取った兆候を、根拠として並べる。第二に、第3章で選んだ打ち手から、一番効くものを1つに絞る。第三に、それを「いつ・誰が・何をするか」という実行プランに落とす。第四に、「何で効果を見るか」を先に決める。

この最後の「効果の見方を先に決める」が、実は提案の説得力を左右します。施策の効果は、感覚ではなく、一定期間の離職率の変化や、対象者の定着・状態の変化で測る——これは公的な枠組みの考え方でもあります。職場定着支援の助成では、施策の前後で一定期間の離職率がどれだけ下がったかを効果の基準にしています(出典:厚生労働省 職場定着支援助成金)。白書でも、就業継続意向や定着が施策の効果を見る指標として使われています(出典:令和元年版 労働経済白書)。だから提案でも、「半年後にこの指標で確かめます」と先に宣言しておく。そうすれば、続いたのか続かなかったのかを後から検証できます。なお、何ポイント下げるといった具体的な目標数値は制度や状況で変わるため、ここでは自社で測れる指標を決めることに集中してください。

共通例で1枚にまとめる

共通例の営業課でまとめてみましょう(仮の事例です)。根拠は「離職要因が成長実感の欠如と上司との関係に集中し、在籍メンバーにも同じ兆候が出ている」こと。一番効く対策は「上司の関わり方とフィードバックの改善、および任せ方の見直し」。実行プランは「来月から、課長が対象メンバーに月1回の振り返りの場を持ち、半期ごとに任せる仕事の範囲を見直す」。効果の見方は「対象メンバーの1on1での反応の変化と、半年後の定着」。この4点が並んだ1枚があれば、上司は「やりたいから」ではなく「この要因にこれが効くから」という根拠で判断できます。

つまずきは2つ。根拠なしに「とにかくやりたい」で提案して通らないこと、そして効果の見方を決めずに始め、続いたのかどうか分からなくなることです。根拠と効果の見方をセットにする——それが、思いつきと提案を分ける一線です。提案が通り、定着を高める運用を継続して回す段階に進むならエンゲージメント向上入門が次のステップになります。

この章の確認(演習)

これまでの章の演習をつなぎ、1つの要因について「要因(根拠)→一番効く対策→いつ・誰が・何をするか→何で効果を見るか」の4点を、1セットとして書き出してください。書けたら、それを上司に説明する想定で声に出し、「やりたいから」ではなく「この要因にこれが効くから」になっているかを確認しましょう。

まとめ

離職防止とは、辞めてから慌てて動くのでも、給料を上げるのでもなく、なぜ辞めるのかを要因に分解して特定し、辞める前の兆候を読み取り、その要因に効く対策を選んで提案することです。覚えて帰る型は「要因を分解して特定する → 兆候を読み取る → 効く対策を選んで提案する」。「一身上の都合」という蓋を開け、手元の情報を根拠にする。これが、思いつきの研修増から抜け出す道筋です。

明日の一歩として、直近で辞めた1名の退職時の情報を、入社後ギャップ・処遇・人間関係・成長実感・働き方の5つの観点に振り分け、要因が集中している観点を1つ特定してみてください。それが、離職防止の最初の実務です。さらに進んで、特定した要因への打ち手として定着を高める運用を回していくなら、エンゲージメント向上入門へ進むのが次のステップです。

本講座の特典として、要因→兆候→対策→効果の見方の4点を1枚で整理できる「離職要因マップ&防止策提案シート」をご用意しています。シートの最新版の入手案内と、定着・人事に役立つ実務情報のお届けは、メルマガ登録からどうぞ。

よくある質問

退職理由が「一身上の都合」ばかりで本当の要因がつかめません

語られる理由と本音はずれます。退職面談メモ・勤怠・1on1記録を5つの観点に振り分け、要因が集中している観点を手元の情報から特定するのが近道です。

離職防止は給料を上げれば解決しますか

処遇は要因の一つにすぎません。本当の退職理由には人間関係などが上位にあがるため、まず要因を分解し、集中している観点に効く打ち手を選ぶのが先決です。

辞める兆候はどうやって見分けますか

絶対量ではなく「いつものその人」との差分で見ます。勤怠・発言・1on1の反応の変化が複数重なる人を、離職リスクとして拾い、記録に残します。

防止策を提案しても経営に通りません

「やりたい施策」ではなく「この要因にこれが効く」を、根拠と効果の見方とセットで示します。効果は離職率や対象者の定着の変化で測ると先に決めておきます。

監修
マナビズ編集部

マナビズ(Manabiz)編集部。AIを活用した原稿制作に加え、人間によるレビューで品質を担保しています。 編集ポリシー

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