紹介営業入門|既存顧客から紹介を生む頼み方のコツ | マナビズ

紹介営業入門|既存顧客から紹介を生む頼み方のコツ

紹介営業入門|既存顧客から紹介を生む頼み方のコツ

担当しているお客様とは、良い関係を築けている。困りごとには丁寧に応えてきたし、相手も信頼してくれている手応えがある。それなのに、新しい見込み客は毎月ゼロから探し続けていて、「あの人から誰かを紹介してもらった」という経験は、ほとんどない——もしそんな心当たりがあるなら、紹介営業のコツは「待つこと」ではない、と最初にお伝えします。紹介は縁があれば来るもの、運任せのもの、と思って待っているうちは、いい関係はあっても次の顧客にはつながりません。

紹介営業とは、新しい見込み客を一から探すのではなく、すでに信頼してくれている相手から、自然なかたちで次の相手をつないでもらう動き方です。本講座は、その「紹介が生まれる関係を作り、自然に紹介を頼める状態にする」ことだけに絞ります。営業の流れ全体や各段でやることの地図は営業の基礎が、紹介が生まれ続ける土壌=契約後に満足を届け続ける実務はカスタマーサクセス入門が、それぞれの正本です。本講座はそこには踏み込みません。

この講座を終えると、次の3つができるようになります。紹介が生まれる関係の条件と、紹介が生まれない原因を自分の言葉で説明できること。既存の顧客の中から、いつ・誰に紹介を頼むのが適切かを見極められること。そして、相手が動きやすい形で紹介を依頼する一連の流れを作れることです。覚えて帰る型は「関係を見直す(信頼・満足・頼みやすさ)→ 頼みどきと相手の像を決める → 動きやすい形で頼み、お礼・報告まで返す」。本講座では、半年付き合いがあり満足してくれている担当顧客(例)に、別の困っていそうな相手を紹介してもらう、という場面を全章で追いかけます。

この講座のポイント

  • 紹介が生まれる関係の条件と、紹介が生まれない原因を、自分の言葉で説明できる。
  • 既存の顧客の中から、いつ・誰に紹介を頼むのが適切かを見極められる。
  • 相手が動きやすい形で紹介を依頼する一連の流れ(依頼+お礼・報告)を作成できる。

紹介はなぜ生まれるのか——紹介営業とは何か

この章のゴール

紹介が生まれる関係の条件と、紹介が生まれない原因を、自分の言葉で説明できる。

紹介営業とは、信頼してくれている相手から次の相手をつないでもらう動き

紹介営業の出発点は、商品を売り込むことではありません。相手の課題解決を中心に考えて信用を得ることです。J-Net21は、営業について「自社の商品やサービスを売ることだけに執着すると、結果的に相手に不必要なものを売りつけることになり、関係はあまり長続きしません。相手から信用を得られれば、自社の商品を売れる機会はおのずと生まれます。一緒に提案した会社から紹介をしてもらえるかもしれません」と述べています(出典:J-Net21「営業スキル向上のポイント」)。つまり、紹介は売り込みの先ではなく、信用の先に「おのずと」生まれるものだということです。

信頼してくれている相手からの紹介が強いのは、その相手があなたの「営業部隊の延長」のように働いてくれるからです。満足している顧客は、友人や同僚に会社を薦めてくれます(出典:Bain「Introducing the Net Promoter System」)。新規をゼロから探す営業では、相手とまだ関係がないので一から信頼を築く必要がありますが、紹介では、信頼してくれている人の一言が後ろ盾になり、信頼を得た状態で商談を始められます。

紹介が生まれる関係には信頼・満足・頼みやすさが揃っている

紹介が生まれる関係を観察すると、共通して見られる要素が3つあります。1つ目は信頼——約束を守り、誠実に対応してきた積み重ね。2つ目は満足——相手が「役に立った」と実感していること。3つ目は頼みやすさ——紹介しても相手が損をしない、気まずくならないこと。

このうち、見落とされがちなのが「満足」の水準です。紹介してくれるのは、ただ満足している人ではなく、深く満足している人だけです。顧客の推奨度を測るNPSという指標では、顧客を「推奨者(友人に薦めるほど体験に非常に満足している人)」「中立者(支払った対価に見合うものは得られたが、それ以上ではない人)」「批判者」に分けます(出典:Bain「Net Promoter 3.0」)。ここで大切なのは、「対価に見合った」と納得しているだけの中立者は、誰かに紹介する行動までは取らない、ということです。紹介してくれるのは、友人に薦めたくなるほど満足している相手に限られます。

紹介が生まれない主な原因は「満足を確かめていない」「そもそも頼んでいない」

紹介が来ないのは、縁がないからではありません。半年付き合いがあり満足してくれている担当顧客(例)から紹介が来ないとしたら、原因はたいてい、頼む場面と言い方を作っていないことにあります。具体的には3つです。1つは、相手が本当に満足しているかを確かめていないこと。2つは、そもそも紹介を頼んでいないこと。3つは、頼んでも「どなたか紹介を」と漠然としていて、相手が誰のことも思い浮かべられないことです。

ここでのつまずきは2つあります。1つは、紹介=押し売りだと思い込んで、最初から頼むこと自体を避けてしまうこと。相手中心で信用を得ていれば、紹介は相手にとっても自然な行為です。もう1つは、相手が満足しているかを確かめないまま「紹介ください」とだけ言ってしまうこと。満足が浅い相手に頼んでも、紹介は動きません。なお、その満足を契約後にどう届け続けるかという実務はカスタマーサクセス入門が正本で、本講座は「すでにある満足を紹介につなげる」ところに絞ります。

この章の確認(演習)

自分の担当顧客から1人を選び、その相手について「信頼・満足・頼みやすさ」の3条件のうち、どれが満たされていて、どれが弱いかを書き出してください。そのうえで、「この相手から紹介が来ていないのは、3条件のどれが足りないからか/それとも、ただ頼んでいないだけか」を一言で説明してみましょう。

紹介を頼むタイミングと相手を見極める

この章のゴール

既存の顧客の中から、いつ・誰に紹介を頼むのが適切かを見極められる。

頼みどきは、相手が「役に立った」と実感している時

紹介は、いつでも頼めるわけではありません。頼みどきは、相手が「役に立った」と実感している時です。前章で見たとおり、紹介してくれるのは友人に薦めたくなるほど満足している相手に限られます(出典:Bain「Net Promoter 3.0」)。だとすれば、相手がその水準の満足を感じている瞬間——成果が出た直後、感謝の言葉をもらった直後など——が、最も自然に頼める時です。逆に、満足が浅いタイミングで頼んでも、相手は動けません。

頼む相手は「友人に薦めてくれるほど満足しているか」で選ぶ

頼む相手の見極めも、満足の水準で行います。NPSでは「この商品・サービス・会社を友人や同僚にすすめる可能性はどのくらいありますか」と0〜10で尋ね、9〜10を推奨者、7〜8を中立者、0〜6を批判者と分けます(出典:Bain「Introducing the Net Promoter System」)。指標として運用するかどうかはさておき、見極めの考え方として使えます。つまり、「この相手は、自分を友人に薦めてくれるほど満足しているだろうか」と問い、薦めてくれそうな相手(推奨者にあたる人)を頼む先に選ぶ、ということです。満足を引き出すための質問の組み立てそのものはヒアリング力入門に、誰がいつどんな取引をしたかを記録して頼む相手を選ぶ顧客情報の一元管理はCRM入門に、それぞれ譲ります。

新規をゼロから集めるより、既存顧客との関係から紹介を得るほうが、はるかにコスト効率が良いのも理由があります。J-Net21は「新規顧客を集めるには、既存顧客の維持に比べ数倍のコストが掛かる」と述べ、推奨者を育てることは顧客獲得コストを下げ、定着率を高めるとされています(出典:J-Net21「既存顧客数をアップする…」/Bain「Introducing the Net Promoter System」)。だからこそ、すでに満足してくれている相手は、次の顧客への一番の近道なのです。

「どんな相手を紹介してほしいか」を自分が言えるか点検する

頼みどきと相手が決まっても、もう一つ足りないと紹介は動きません。それは「どんな相手を紹介してほしいか」を自分が言える状態かどうかです。相手が「同じように困っていそうな知り合い」を思い浮かべやすいかどうかは、こちらがその像をどれだけ具体的に持っているかで決まります。ここでのつまずきは2つ。満足しているか分からないまま頼んでしまうことと、紹介してほしい相手の像が曖昧で、相手が誰のことも思い出せないことです。手順としては、①相手が満足しているかを確認し、②頼みどき(成果実感の直後など)を選び、③紹介してほしい相手の像(どんな業種・どんな悩みの人か)を自分の言葉で1つに絞る、という順で整えます。

この章の確認(演習)

第1章で選んだ顧客について、「頼みどき」と「紹介してほしい相手の像」を1セット書き出してください。頼みどきは「いつ・どんな出来事の直後に頼むか」、相手の像は「どんな業種・どんな悩みを持つ人を紹介してほしいか」を、それぞれ一文で具体的に書きます。

相手が動きやすい紹介依頼を組み立てる——紹介営業のコツ

この章のゴール

相手が動きやすい形で紹介を依頼する一連の流れ(依頼+お礼・報告)を作成できる。

良い紹介依頼は、相手に手間と気まずさをかけない

ここからが、紹介営業のコツの中心です。良い紹介依頼は、相手に手間と気まずさをかけません。これは第1章で見た原則と地続きです。相手中心で信用を得れば紹介はおのずと生まれる(出典:J-Net21「営業スキル向上のポイント」)のですから、依頼そのものも「相手のためになり、相手が動きやすい」形に組み立てるのが筋です。漠然と「どなたか紹介してください」と頼むと、相手は誰を・どう紹介すればいいか分からず、「機会があれば」で立ち消えます。

「誰を・どう紹介してほしいか」を具体化し、一言つなぐだけで済む形にする

相手が動きやすくする工夫は、紹介してほしい相手の像を、こちらから一文で示すことです。たとえば満足してくれている担当顧客(例)に対して、「(例)こういう悩みを持つ方がいれば、一度お話だけでもさせてほしい」と、紹介先の像を添えて頼みます。あわせて、相手の負担を下げる一言を必ずつけます。「つないでいただくだけで十分です」「先方の都合が合わなければ気にしないでください」と添えるだけで、相手は「自分の信頼が傷つくのでは」という不安なく動けます。紹介は、相手が一言つなぐだけで済む形にしておくほど生まれやすくなります。

紹介された後のお礼と結果報告まで決めておく

依頼と同じくらい大切なのが、紹介された後のお礼と結果報告です。紹介が動いたら、まず紹介してくれた相手にお礼を伝え、その後どうなったか(会えたか、役に立てそうか)を報告します。ここを省いて頼みっぱなしにすると、相手は「自分の紹介がどうなったか分からない」状態になり、次は紹介しづらくなります。逆に、丁寧なお礼と報告を返すと、相手は「紹介して良かった」と感じ、安心して次も紹介できます。顧客が「大切にされている」と感じたときに、また来店し、友人を連れてくる——NPSの考え方でもこう説明されています(出典:Bain「Net Promoter 3.0」)。お礼と報告は、その「大切にされている」実感を相手に返す行為であり、次の紹介が生まれる土壌になります。なお、この土壌を契約後の伴走として作り続ける実務はカスタマーサクセス入門が正本です。

この章の確認(演習)

共通例の顧客(または自分の担当顧客)に対して、紹介依頼の一言を作ってください。①紹介してほしい相手の像を一文で伝える、②相手の負担を下げる一言を添える(つなぐだけでいい・断られても気にしないでいい)、③紹介が動いたらどんなお礼と結果報告をするか、の3つを1セットで書き出します。

まとめ

紹介営業とは、信頼・満足・頼みやすさが揃った関係から、頼みどきを選び、相手が動きやすい形で紹介を依頼することです。紹介は待つものではなく、関係から生み出せます。覚えて帰る型は「関係を見直す(信頼・満足・頼みやすさ)→ 頼みどきと相手の像を決める → 動きやすい形で頼み、お礼・報告まで返す」の3ステップ。紹介してくれるのは、友人に薦めたくなるほど満足している相手に限られるからこそ、その満足を確かめ、頼みどきを選び、相手の負担を下げて頼むことが、紹介営業のコツになります。

明日の一歩として、担当顧客から1人を選び、「頼みどき」「紹介してほしい相手の像」「相手の負担を下げる一言」を書き出してから声をかけてみてください。それが、紹介を関係から生み出す最初の一歩です。さらに進んで、紹介が生まれ続ける土壌=契約後に満足を届け続ける実務を学びたい方は、カスタマーサクセス入門へ進むのが次のステップです。

本講座の特典として、頼みどき・紹介先の像・依頼の一言・お礼/報告までを点検できる「紹介依頼の組み立てシート」をご用意しています。シートの入手案内と、紹介営業や顧客との関係づくりに役立つ実務情報のお届けは、メルマガ登録からどうぞ。

よくある質問

紹介を頼むのは押し売りになりませんか

なりません。相手中心で信用を得たうえで、相手が動きやすい形で頼めば、紹介は相手にとっても自然な行為です。漠然とした依頼や満足を確かめない依頼が、押し売りに感じられる原因です。

誰に紹介を頼めばよいですか

友人に薦めたくなるほど満足している相手を選びます。「この人は自分を知人に薦めてくれるだろうか」と問い、薦めてくれそうな相手に、成果を実感した直後に頼むのが基本です。

「機会があれば」で流れてしまうのを防ぐには

紹介してほしい相手の像を一文で具体的に伝え、相手の負担を下げる一言を添えます。相手が一言つなぐだけで済む形にすると、漠然とした依頼より格段に動きやすくなります。

紹介してもらった後、何をすればよいですか

まずお礼を伝え、その後どうなったかを報告します。報告まで返すと相手は安心し、次の紹介につながります。頼みっぱなしは、次の紹介が途切れる一番の原因です。

監修
マナビズ編集部

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