非言語コミュニケーション入門|表情・姿勢・視線で印象を整える基本 | マナビズ

非言語コミュニケーション入門|表情・姿勢・視線で印象を整える基本

非言語コミュニケーション入門|表情・姿勢・視線で印象を整える基本

「お疲れさまです、ご報告です」。同じこのひと言でも、無表情でうつむき、腕を組んで言うのと、口角を少し上げ、背筋を伸ばし、相手を見て言うのとでは、受け取られる印象がまるで違います。前者は「機嫌が悪い?」「自信なさそう」と取られ、後者は「感じがいい」「ちゃんと報告してくれている」と取られる。中身はまったく同じなのに、です。話す内容は間違っていないのに、なぜか「感じが悪い」と言われてしまう——その正体は、言葉そのものではなく、言葉以外にあるのかもしれません。

この講座が扱うのは、その「言葉以外」です。非言語コミュニケーションとは、話す・書くといった言葉を使う以外の手段で相手に伝わる信号のこと(出典:カオナビ「非言語コミュニケーションとは?」)。表情・姿勢・視線・声のトーンなどがそれにあたります。覚えて帰ってほしい型は「気づく(今どう見えているか)→ 整える(表情→姿勢→視線)→ 場面に合わせる」の3ステップです。本講座は、この非言語チャネルの観察と整え方だけに絞ります。伝え方を相手・目的・場面で選ぶ全体像はコミュニケーションの基礎、聴く側の中身(要約して返し確認する)は傾聴力の基本、話の順番や間はプレゼンの話し方入門が、それぞれの正本です。言葉の中身や話の組み立てには踏み込みません。

なお、「人は見た目が9割」式の数字を聞いたことがあるかもしれません。本講座では、その種の数字での効果主張は使いません(理由は第1章で触れます)。言葉以外が相手の印象を左右するという事実だけを、観察できる行動として扱っていきます。共通の場面として、「朝、上司に近づいて簡単な業務報告をする」というひとコマを全章で使います。言葉は変えず、表情・姿勢・視線という非言語だけを章ごとに整えていきましょう。

この講座のポイント

  • 言葉以外の信号(表情・姿勢・視線・声のトーン)が相手の受け取る印象を左右することを、自分の言葉で説明できる。
  • 自分の今の表情・姿勢・視線が相手にどう見えているかに気づき、言葉にできる。
  • 場面(挨拶・報告・傾聴・オンライン)に合わせて、自分の表情・姿勢・視線を整えられる。

言葉以外が伝えている印象——非言語コミュニケーションとは何か

この章のゴール

言葉以外の信号(表情・姿勢・視線・声のトーン)が相手の受け取る印象を左右することを、自分の言葉で説明できる。

非言語コミュニケーションとは言葉以外で相手に伝わる信号

非言語コミュニケーションとは、字のとおり、言葉に頼らないコミュニケーションです。話す・書くといった言葉を使う以外の意思伝達のすべてを指します(出典:カオナビ)。厚生労働省「こころの耳」でも、カウンセリングは「言語的または非言語的コミュニケーションを用いて行われる相談・援助活動」と定義されており、非言語的コミュニケーションは言語的なものと並ぶ伝達手段として位置づけられています(出典:こころの耳「メンタルヘルス関係:用語解説」)。

本講座で扱う信号は、次の4つに絞ります。表情(特に口角や眉)、姿勢(背筋・体の向き・腕組み)、視線(合わせる・外す)、そして声のトーンや速さです。声の大きさ・高さ・話すスピードといった「言い方」は、専門的にはパラ言語と呼ばれ、これも非言語の一部です(出典:カオナビ)。

同じ言葉でも表情・姿勢・視線・声で受け取られ方が変わる

ここで共通例に戻ります。朝、上司に「お疲れさまです、ご報告です」と言う場面を、2つのやり方で並べてみましょう。(A)無表情でうつむき、腕を組んで言う。(B)口角を少し上げ、背筋を伸ばし、相手を見て言う。言葉は一字一句同じです。それでも(A)は「不機嫌そう」、(B)は「感じがいい」と受け取られます。非言語には、言葉だけでは表せない想いや状況を伝え、言葉を補う働きがあるからです。自信なさげに伏し目がちで言われれば、相手は「本当に大丈夫だろうか」と不安になります(出典:カオナビ)。中身が同じでも、表情・姿勢・視線で「感じ」は変わる——これが本講座の背骨です。

「内容さえ正しければ伝わる」「整える=演技」というつまずき

つまずきは2つあります。1つは「内容さえ正しければ伝わる」という思い込み。実際には、言葉と表情・態度が食い違うと、相手は言葉よりも表情・態度のほうを信じてしまうことがあります。たとえば「君は悪くないよ」と言いながら目線を合わせず浮かない顔をしていれば、受け手は言葉ではなく態度のほうを受け取ります(出典:Wikipedia「アルバート・メラビアン」)。

ここで、「見た目が9割」式の数字に触れておきます。あの数字は、もともと「感情や態度を伝えるとき」かつ「言葉と表情・声が矛盾している場合」という、限られた条件での実験結果でした。それが条件を無視して「話の中身は重要でなく見た目がすべて」と拡大解釈され、誤って広まったものです(出典:Wikipedia「アルバート・メラビアン」)。ですから本講座では数字は使いません。学ぶべきは比率の暗記ではなく、「言葉と表情・態度を一致させる」ことだけです。もう1つのつまずきは「整える=作り笑い・演技」という誤解ですが、整えるとは演技ではなく、伝えたい意図と見え方を一致させることです(第3章で扱います)。なお、相手・目的・場面に応じて伝え方そのものを選ぶ全体像を知りたい場合はコミュニケーションの基礎へ進んでください。

この章の確認(演習)

最近、自分が「感じが悪い」「自信なさそう」と受け取られた場面を1つ思い出してください。そのとき、表情(口角・眉)・姿勢(背筋・腕)・視線・声のトーンが、それぞれどうだったかを書き出します。そのうえで、「言葉の中身ではなく、どの非言語が誤解を生んだのか」を自分の言葉で1文にまとめてみましょう。

自分がどう見えているかに気づく——表情・姿勢・視線を観察する

この章のゴール

自分の今の表情・姿勢・視線が相手にどう見えているかに気づき、言葉にできる。

印象を整える前提は「今どう見えているか」に気づくこと

整える前に、まず気づくことが必要です。なぜなら、非言語は無意識に出るものだからです。非言語は伝達内容をコントロールするのが難しく、隠そうとした感情さえ表に出てしまいます。だからこそ相手は、言葉よりも非言語から相手の真意を読み取ろうとします(出典:カオナビ)。つまり、自分では普通にしているつもりでも、緊張や疲れが表情・姿勢・視線に勝手ににじみ出て、意図しない印象を相手に与えているかもしれない、ということです。

視線・姿勢が伝えているものを知る

具体的に見ましょう。視線については、適度に相手を見ていると「自信がある」、下を向いて視線が合わないと「自信がない」という印象になります(出典:ダイレクトコミュニケーション「アイコンタクトの心理学的な意味と効果」)。さらに、いつもより目を合わせないと「シャイ」「退屈している」「懐疑的」などと取られ、逆にいつもより合わせすぎると「攻撃的」とも受け取られかねません(出典:カオナビ)。視線は合わせ続けるのではなく、時々自然に外すくらいがちょうどよいわけです。姿勢も同じく雄弁です。人は興味があると体が前を向き、退屈・無関心だと体を後ろに引いたり頭を下げたりする傾向があり、相手にはその関心の度合いが伝わってしまいます(出典:カオナビ)。緊張すると、人は固まりやすく、うつむきがちになり、声も小さくなりがちで、それが「自信のなさ」として相手に届いてしまうのです。

表情→姿勢→視線の順でセルフチェックする

そこで、共通例の報告に入る直前の自分を、3点で観察してみます。まず表情——口角は下がっていないか、眉間にしわが寄っていないか。次に姿勢——背筋は伸びているか、体は相手のほうを向いているか、腕を組んでいないか。最後に視線——相手のほうを見られているか、泳いでいないか。確認する手立てとして、オンライン会議では自分の映像が画面に映ります。Web会議は真正面から映るため、自分の目線や表情が画面越しにどう見えているかは意外と確認しやすいものです(出典:サイボウズ「Web会議をスムーズに進行する13のコツ」)。鏡やスマートフォンのカメラでも、報告のひと言を言ってみて、今の自分の見え方を言葉にしてみましょう。聴く側として「ちゃんと聞いている」と相手に伝わる返し方の中身(要約して確認するなど)は傾聴力の基本が正本です。本章はあくまで、自分の見え方に気づくところまでを扱います。

この章の確認(演習)

オンライン会議の自分の映像、または鏡やスマートフォンのカメラの前で、報告のひと言を実際に言ってみてください。その状態の①表情(口角・眉間)②姿勢(背筋・体の向き)③視線(合っているか・泳いでいないか)を、それぞれ「相手からどう見えるか」の言葉に直して3点書き出します。

場面に合わせて印象を整える——挨拶・報告・傾聴・オンライン

この章のゴール

場面(挨拶・報告・傾聴・オンライン)に合わせて、自分の表情・姿勢・視線を整えられる。

整えるとは作り笑いではなく意図と見え方を一致させること

「整える」と聞くと作り笑いや演技を思い浮かべるかもしれませんが、そうではありません。効果的なコミュニケーションには、言葉(言語)・声・表情や態度(非言語)が互いに支え合い、一致している必要があります。逆に言葉と態度が矛盾すると、受け手は食い違った情報を受け取って不快に感じます(出典:Wikipedia「アルバート・メラビアン」)。だから整えるとは、伝えたい意図——敬意・誠実さ・関心——に、表情・姿勢・視線を一致させることなのです。誠実に報告したいのに無表情でうつむいていたら、意図と見え方がずれています。そのずれをなくす、それが整えるということです。

場面ごとに重心が変わる——挨拶・報告・傾聴・オンライン

整える順番は、表情→姿勢→視線で共通ですが、場面によって重心が変わります。朝の挨拶では、口角と視線が中心です。相手を見て、口角を少し上げるだけで「感じがいい」印象に近づきます。共通例の業務報告では、背筋と体の向きが効きます。背筋を伸ばし、体を相手に正対させると、関心と誠実さが姿勢から伝わります。傾聴の場面では、うなずきと視線が中心になります。傾聴は黙って聞くことではなく、相手に積極的にかかわる能動的な行為であり、うなずきや視線で「聴いていますよ」という姿勢を見せること自体が大切です(出典:こころの耳「傾聴とは」「積極的傾聴法」)。

オンライン会議は、特に意識が要る場面です。画面越しでは相手の反応が伝わりにくいため、あいづちやうなずきは、ふだんより意識して大きめに出します(出典:サイボウズ。目安として(例)対面の1.5〜2倍ほど)。ミュート中でも、映像をオンにして拍手の動きを見せるだけで、話し手の安心につながります。視線については、相手の顔ではなくカメラのほうを見ると、相手には「見てくれている」と伝わります。

場面に合わせて整える手順

手順はこうです。①その場面で相手に与えたい印象を、ひと言で決める(例:誠実に報告したい)。②表情→姿勢→視線の順で整える。③オンラインなら、カメラの位置・画面の明るさ・声のトーン、そして大きめのうなずきも合わせる。つまずきやすいのは、場面に関係なく同じ顔・同じ姿勢で通してしまうこと、そしてオンラインで画面オフ・無反応のまま「聞いているつもり」になってしまうことです。言いにくいことを伝える場面での言葉の選び方そのものはアサーション入門が扱います。本章は、そのとき相手に与える非言語の印象を整えることに絞ります。

この章の確認(演習)

明日使う場面を1つ選んでください(朝の挨拶/業務報告/オンライン会議のいずれか)。その場面で「相手に与えたい印象」をひと言で決め、それに合わせて「整える表情・姿勢・視線」を1セット書き出します。オンラインを選んだ場合は、カメラ目線とうなずきの出し方も加えてください。

まとめ

非言語コミュニケーションとは、言葉以外(表情・姿勢・視線・声のトーン)で相手に伝わる信号です。中身が同じでも、表情・姿勢・視線で「感じ」は変わります。大切なのは、まず自分が今どう見えているかに気づき、場面に合わせて、伝えたい意図と見え方を一致させること。覚えて帰る型は「気づく → 整える(表情→姿勢→視線)→ 場面に合わせる」の3ステップです。

明日の一歩として、朝の挨拶か最初の業務報告の直前に、口角→背筋→視線の3点を一度だけ整えてから声を出してみてください。たったそれだけで、相手の受け取り方は変わります。さらに、相手・目的・場面に応じて伝え方の全体像を選ぶ考え方はコミュニケーションの基礎、聴いていることが伝わる聴き方の中身は傾聴力の基本へ進むのが次のステップです。

本講座の特典として、報告や会議の直前に表情・姿勢・視線の3点を確認できる「印象セルフチェックシート」をご用意しています。シートの入手は、無料会員登録からどうぞ。

よくある質問

非言語コミュニケーションとは何ですか

言葉以外で相手に伝わる信号のことです。表情・姿勢・視線・声のトーンなどがあり、話す・書く言葉を補い、ときに言葉以上に印象を左右します。

「見た目が9割」は本当ですか

本来は感情を伝える際、言葉と表情が矛盾した場合に限った実験結果の拡大解釈です。中身が不要という意味ではなく、言葉と見え方を一致させることが要点です。

緊張で表情が固まるときはどうすればいいですか

まず自分の見え方に気づくことです。鏡やオンラインの自分の映像で口角・背筋・視線を確認し、話す直前に表情→姿勢→視線の順で一度整えます。

オンライン会議で「聞いている」と伝えるには

うなずきやあいづちをふだんより大きめに出し、カメラのほうへ視線を向けます。画面越しは反応が伝わりにくいため、反応を意識的に見せることが効きます。

監修
マナビズ編集部

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