LTV(顧客生涯価値)とは|意味・計算式・施策判断への使い方 | マナビズ

LTV(顧客生涯価値)とは|意味・計算式・施策判断への使い方

LTV(顧客生涯価値)とは|意味・計算式・施策判断への使い方

「LTVって言葉は知ってるけど、自分で出せと言われると手が止まる」——マーケ担当として広告やメルマガ、販促の数字を日々追っていても、上司の「その施策、LTVで見て合ってる?」に感覚でしか答えられない。CPA(顧客獲得単価)も今月の売上もすぐ出せるのに、LTV(顧客生涯価値)だけは数字にならず、つい言葉で濁してしまう。理由はシンプルで、LTVを「1つの式で1人あたりの金額として出す」やり方に触れていないだけです。

LTVは、感覚で語る言葉ではなく、自社の数字を当てはめて1人あたりの金額として計算できる指標です。この講座では、(1)LTVが何を表す指標でCPAや今月の売上と何が違うかを説明できるようになり、(2)「平均購入単価 × 購入頻度 × 継続期間」という式に自社の数字を当てはめてLTVを1つ計算できるようになり、(3)算出したLTVをCPAと並べて、その施策を続けるか見直すかを判断に使えるようになることを目指します。

なお、扱う範囲は「LTVの意味・計算・施策への活かし方」の3点に絞ります。マーケティング全体の中で各指標がどこに位置づくかの地図はマーケティングの基礎(kouza-029-marketing-basic)、施策単体の投資対効果そのものの計算は投資対効果ROI入門(kouza-028-roi-basic)、LTVを実際に伸ばす継続施策(解約防止・利用定着)の実務はカスタマーサクセス入門(kouza-039-customer-success)で扱います。本講座はそれらには踏み込みません。

この講座を通して、「あるサブスク型サービスの1顧客のLTVを式で計算し、CPAと並べて施策の続行/見直しを判断する」という1つの場面を、各章で使い回しながら進めます。

この講座のポイント

  • LTV(顧客生涯価値)が何を表す指標で、CPAや今月の売上と何が違うかを、自分の言葉で説明できる
  • 自社の数字(平均購入単価・購入頻度・継続期間)を式に当てはめて、LTVを1つ計算できる
  • 算出したLTVをCPAと並べ、獲得にいくらまでかけてよいか・どの施策を優先するかの判断に使える

LTVとは何かを言葉にする

この章のゴール

LTV(顧客生涯価値)が何を表す指標で、CPAや今月の売上と何が違うかを、自分の言葉で説明できるようになります。

「今月の売上」と「1人が生涯でいくら使うか」は別の問いだ

LTV(顧客生涯価値)とは、1人の顧客が取引の始まりから終わりまでに自社へもたらす金額(売上または利益)の合計を表す指標です。1回の取引ではなく、その顧客との関係が続く全期間で価値を測ります。

ここで大事なのは、LTVが「すでにいくら使ったか」だけでなく「これからいくら使いそうか」を含めて、1人を生涯で見る前向きの指標だという点です。今月の売上は「期間で切った全体の金額」、つまり過去の一断面にすぎません。クリックや今月のコンバージョンだけを追っていると、何度も戻ってきて多くの価値をもたらす顧客が、1回きりの取引客の中に埋もれて見えなくなります。

費用を見るCPAと、価値を見るLTV

もう1つ対比したいのがCPA(顧客獲得単価。出典では CAC と表記されますが同義です)です。CPAは、1人の新規顧客を獲得するためにかかった費用——マーケ費・広告費・営業の人件費・販促費などの合計を、獲得した新規顧客数で割った金額です。

つまり、CPAは「1人を獲得するのに出ていく費用」、LTVは「その1人が生涯で生む価値」を見ています。今月の売上が全体の金額、CPAが1人あたりの費用、LTVが1人あたりの生涯価値、と並べると役割がはっきりします。LTVとCPAを並べると、「獲得にかけた費用が、その顧客が生涯で生む価値で見合っているか」を判断できるようになります。これが第3章でやることです。

単価・頻度・継続期間の3観点で1人の顧客を眺める

LTVを計算する前段として、1人の顧客を次の3つの観点で眺めてみてください。①その顧客は1回いくら使うか(単価)、②どれくらいの頻度で使うか(頻度)、③どれくらいの期間続くか(継続期間)。この3つが、第2章の計算式の各項そのものになります。

たとえば共通例のサブスク型サービスで、「今月の売上は好調」に見えても、契約してすぐ解約されているなら継続期間が短く、1人あたりのLTVは低くなります。逆に単価は小さくても長く使い続けてもらえる顧客は、生涯では大きな価値をもたらします。同じ顧客を「1回」で見るか「生涯」で見るかで、施策の評価は変わるのです。

ここでマーケ全体の中でLTVがどの指標群に位置づくか、地図として押さえたい場合はマーケティングの基礎(kouza-029-marketing-basic)を参照してください。本章はLTVの意味とCPA・売上との違いに絞ります。

この章の確認(演習)

自社、または身近なサブスク型サービスの顧客を1人思い浮かべ、「単価・頻度・継続期間」の3観点でそれぞれ何が当てはまるかを言葉で書き出してください。あわせて、その顧客を「今月の売上」で見たときと「生涯の価値」で見たときで印象がどう変わるかを1文添えてみましょう。

LTVを計算してみる

この章のゴール

自社の数字(平均購入単価・購入頻度・継続期間)を式に当てはめて、LTVを1つ計算できるようになります。

LTVの基本式は「平均購入単価 × 購入頻度 × 継続期間」

LTVの基本式は次のとおりです。

LTV = 平均購入単価 × 購入頻度 × 継続期間

各項の出し方は次のように分解できます。

  • 平均購入単価=一定期間の総売上 ÷ 同じ期間の総購入回数(1注文あたりの平均金額)
  • 購入頻度=一定期間の総注文数 ÷ ユニーク顧客数(1人が一定期間に何回買うか)
  • 継続期間=その顧客が取引を続ける期間(年または月)

たとえば(例)平均購入単価50ドル × 購入頻度 年3回 × 継続期間2年 = LTV 300ドル、というように1人あたりの金額が1つ出ます。別の例(例)として、平均購入単価80ドルの店で顧客が2年に4回買うなら、80 × 4 × 2 = 640ドルです。いずれも出典の計算例で、自社の実数ではありません。自社で出すときは、ここに自社の数字を当てはめます。

解約率しか分からないときは「1 ÷ 解約率」で継続期間を見積もる

サブスク型では「継続期間が何年か」を直接つかみにくいことがあります。その場合は解約率(churn rate)から平均継続期間を見積もれます。

平均継続期間 = 1 ÷ 解約率

注意点は、継続期間と解約率の単位(月か年か)を揃えることです。たとえば(例)月次の解約率が2.5%なら、1 ÷ 0.025 = 40か月が平均継続期間になります。月次の解約率を使ったなら継続期間も「月」で計算し、式に入れる単価・頻度の期間ともずれないように揃えます。

まず売上ベースで1つ出してから、利益ベースで精緻化する

LTVには売上ベースと利益ベースがあります。基本式の「平均購入単価 × 購入頻度 × 継続期間」は売上ベースです。利益で見たいときは、ここに粗利率を掛ける(または提供にかかる原価を引く)ことで利益ベースのLTVになります。たとえば(例)売上ベースで640ドル出た顧客でも、粗利率が20%なら利益ベースのLTVは640 × 20% = 128ドルです。

最初から利益ベースで悩むと手が止まりがちなので、まずは売上ベースでLTVを1つ出し、判断の精度を上げたい段階で利益ベースに切り替える、という順番がおすすめです。なお、ここで使う「単価そのものをいくらに設定すべきか」という価格決定の考え方は本講座の範囲外です。価格の決め方は価格設定の基礎(kouza-024-pricing-basic)で扱います。

この章の確認(演習)

共通例の数字(または自社の数字)を「平均購入単価 × 購入頻度 × 継続期間」に当てはめ、LTVを1つ計算してください。数式と答えを書き出し、継続期間を解約率から見積もった場合は「1 ÷ 解約率」の計算過程と単位(月/年)も明記しましょう。

LTVを施策の判断に使う

この章のゴール

算出したLTVをCPAと並べ、獲得にいくらまでかけてよいか・どの施策を優先するかの判断に使えるようになります。

LTVはCPAと並べて初めて施策判断に効く

LTVは出して終わりではありません。CPA(獲得単価)と並べることで、「新規顧客は、獲得にかかる費用より多くの価値をもたらしてくれるのか」という収益の問いに答えられます。LTVとCPAの関係は、その事業が利益を生めているかのサインになります。

「LTV > CPA」なら続ける、「LTV < CPA」なら見直すサイン

判断の軸はシンプルです。

  • LTV > CPA:1人の生涯価値が獲得費用を上回っている状態。獲得にかけた費用をまかなって利益が残る目安で、その施策は続ける方向で考えられます。
  • LTV < CPA:獲得費用が生涯価値を上回り、獲得にかけすぎている状態。獲得コストが高すぎるか、継続が弱い可能性があり、見直しのサインです。

目安としてよく挙げられるのが「LTV : CPA = 3 : 1」です。多くの業界で健全の目安とされ、獲得に1かけて生涯で3の価値が返る関係を指します。ただしこれは業界や成長段階で変わる目安であり、絶対の合否ラインではありません。3を下回ると獲得費が高い・継続が弱いなどの非効率が疑われ、逆に3を大きく超える(例:5:1など)と、今度は獲得への投資不足で伸ばしどころを逃しているサインとも読めます。たとえば(例)LTV 2,400ドル ÷ CPA 600ドル = 4 : 1、という具合に比率で並べると状態がつかめます(数値は出典の計算例で、自社の実数ではありません)。

LTVを上げる方向と、CPAを下げる方向のどちらを動かすか

施策で動かせる方向は2つあり、改善は両輪で考えます。

  • LTVを上げる:継続率を改善する、アップセル・クロスセルで客単価を上げる。
  • CPAを下げる:費用対効果の高いチャネルに集中する、獲得までのファネルの効率を上げる。

ただし、LTVを上げる継続施策の「実装の中身」——どうやって解約を防ぐか、どう利用を定着させるか——は本講座では扱いません。その実務はカスタマーサクセス入門(kouza-039-customer-success)へ進んでください。また、ある施策単体の投資対効果を計算したい場合は投資対効果ROI入門(kouza-028-roi-basic)が役立ちます。本章はあくまで「LTVとCPAを並べて、続けるか見直すかを判断する」までです。

この章の確認(演習)

第2章で出したLTVと、比べたい施策のCPA(例)を並べ、「LTVとCPAの関係(どちらが大きいか・差はどれくらいか)」と「この施策を続けるか見直すか」を2〜3行で書いてください。最後に、続ける/見直すと判断した理由と、LTVを上げる・CPAを下げるのどちらに動くかを1文で添えましょう。

まとめ

LTVとは、1人の顧客が生涯でもたらす金額を表す指標です。今月の売上やCPA単体ではなく、1人を生涯で見ることで、施策の良し悪しが判断できるようになります。型は3ステップです。第1章で意味をCPA・売上との違いとともに言葉にし、第2章で「平均購入単価 × 購入頻度 × 継続期間」に自社の数字を当てはめてLTVを1つ計算し、第3章でそのLTVをCPAと並べて続けるか見直すかを判断する——「今月いくら」ではなく「この1人が生涯でいくら」で見る、という視点の切り替えがすべての起点です。

明日からの一歩として、次に担当する施策で自社のLTVを1つ計算し、その施策のCPAと並べて「続ける/見直す」を一言で書いてみてください。算出したLTVを実際に伸ばす継続施策の実務に進みたくなったら、カスタマーサクセス入門(kouza-039-customer-success)が次のステップになります。

「単価×頻度×継続期間」の入力欄とCPA比較欄をまとめたLTV計算テンプレートを、メルマガ登録でご案内しています。今日学んだ式をそのまま自社の数字で埋められるので、登録のうえご活用ください。

よくある質問

LTVと今月の売上は何が違うの?

今月の売上は期間で切った過去の一断面ですが、LTVは1人の顧客が生涯で生む価値を、今後の取引も含めて前向きに見る指標です。同じ「好調」でもすぐ解約されていればLTVは低くなります。

解約率しか分からないときはどうやって継続期間を見積もる?

「1 ÷ 解約率」で平均継続期間を見積もれます。たとえば(例)月次解約率2.5%なら 1 ÷ 0.025 = 40か月です。継続期間と解約率の単位(月か年か)は必ず揃えてください。

LTVはどのくらいの頻度で計算し直すべき?

固定の周期が決まっているわけではありません。施策を見直すときや、単価・頻度・継続期間のもとになるデータが更新されたタイミングで計算し直すのが実務的です。

CPAとLTVはどちらを優先して改善すればいい?

どちらか一方ではなく両輪で考えます。LTVを上げる(継続改善・客単価向上)方向と、CPAを下げる(高効率チャネル集中・ファネル改善)方向の両方を見て、自社で動かしやすい方から着手します。

売上ベースと利益ベース、どちらのLTVを使えばいい?

まずは売上ベースで1つ出すと手が止まりません。施策の収益判断まで踏み込むなら、粗利率を掛けた利益ベースのLTVに切り替えると精度が上がります。

監修
マナビズ編集部

マナビズ(Manabiz)編集部。AIを活用した原稿制作に加え、人間によるレビューで品質を担保しています。 編集ポリシー

上部へスクロール