効果的な学習法入門|自分に合う勉強法の選び方と最初の学習計画 | マナビズ

効果的な学習法入門|自分に合う勉強法の選び方と最初の学習計画

効果的な学習法入門|自分に合う勉強法の選び方と最初の学習計画

「勉強法、いろいろ試したけど結局続かない」。参考書を買い、評判の動画講座を申し込み、人気の勉強法を真似してみる。それでもしっくりこなくて、気づけば時間だけが消えていく——こうした行き詰まりの正体は、たいてい意志の弱さではありません。自分の条件に合わない方法を、選ぶ基準のないまま選んでいるだけ、ということがよくあります。

効果的な学習法とは、万人に効く最強の勉強法のことではありません。実際、研究の世界でも「最適な学び方は、何を学ぶか(分野)や、その人がすでに持っている知識によって変わる」と整理されています(出典:Pashler ほか「Learning Styles: Concepts and Evidence」2008)。つまり効果を決めるのは方法そのものの強さではなく、その方法が自分の「目的・使える時間・自分の学習タイプ」に噛み合っているかどうか。続かないのは、合わない方法を選んでいるからかもしれません。

本講座は、この「自分に合う学習法を選ぶ」という学び方の設計だけに絞ります。何を学ぶか・どのスキルを伸ばすかというテーマ選びはリスキリング基礎が、選んだ学習法を続けて習慣にするコツは習慣化の基本が、それぞれの正本です。本講座はそこには踏み込みません。終えるころには、(1) 学習法の効果を左右する3要素を説明でき、(2) 複数の学習法を比べて自分に合うものを見分けられ、(3) 最初の1週間の学習計画を「いつ・何を・どの方法で」の形で作成できるようになります。覚えて帰る型は「3要素を知る → 選択肢を比べて選ぶ → 最初の1週間を計画にする」。本講座では、資格Aを3か月で取りたい・平日は朝20分しか時間が取れない若手が、参考書・動画・問題演習から自分に合う学習法を選んでいく場面(例)を、全章で追いかけます。

この講座のポイント

  • 学習法の効果を左右する3要素(目的・使える時間・自分の学習タイプ)を説明できる。
  • 複数の学習法を3要素に照らして比べ、自分に合う方法を見分けられる。
  • 選んだ学習法で「いつ・何を・どの方法で」の最初の学習計画を作成できる。

学習法の効果は何で決まるのか——目的・時間・学習タイプの3要素

この章のゴール

学習法の効果を左右する3要素(目的・使える時間・自分の学習タイプ)を説明できる。

「最強の学習法」はない——効果は自分の条件で決まる

まず押さえたいのは、「誰がやっても効く最強の勉強法」は存在しない、ということです。最適な学び方は、何を学ぶか(分野)や、その人がすでに持っている知識・適性によって変わります(出典:Pashler ほか 2008)。同じ方法でも、目的や使える時間が違えば、効き方は変わります。だから「人気だから」「みんながいいと言うから」だけで選ぶと、自分の条件と噛み合わず空回りしやすいのです。

ここで一点、よくある誤解を解いておきます。「自分は視覚タイプ/聴覚タイプだから、それに合わせた方法にすれば成績が上がる」という考え方(いわゆる学習スタイル論)は、研究レビューでは十分なエビデンスが確認されていません。情報の受け取り方に「好み」があること自体は否定されていませんが、「好みに合わせれば学習効果が最適化される」という主張を裏づける証拠は見つかっていない、というのが現在の整理です(出典:Pashler ほか 2008)。ですから本講座でいう「学習タイプ」は、成績を上げる魔法ではなく、自分が無理なく着手し・続けやすい入口を選ぶための自己理解、という意味で使います。

効果を左右する3要素は「目的・使える時間・自分の学習タイプ」

選ぶ前に書き出してほしいのが、次の3要素です。1つ目は目的——何のために、いつまでに、どこまで到達したいか。2つ目は使える時間——1日にどれだけ学習にあてられるかを、願望ではなく正直に見積もる。3つ目は学習タイプ——自分が頭に入りやすい形(読む・聞く・書く・人に説明する など)の好みです。

共通例の若手で考えます。彼は3要素をこう書き出しました(例)。目的=資格Aに3か月で合格する。使える時間=平日の朝20分だけ。学習タイプ=読んでいるだけだと眠くなるが、手を動かすと頭に入る。たったこれだけでも、この後の「方法選び」の土台になります。逆に、この3要素を曖昧にしたまま方法から決めると、選んだ理由を後から自分で説明できなくなります。

人気・評判だけで選ぶ/取れない時間を前提にする、というつまずき

この段階でのつまずきは2つです。1つは、人気・評判だけで方法を選ぶこと。多くの人が頼りがちな再読やハイライト(線引き)は、研究レビューでは効果が限定的(低有用性)とされ、再読の代わりに問題演習を使うなど、別の方法に置き換えることが勧められています(出典:Dunlosky ほか「Improving Students' Learning With Effective Learning Techniques」2013)。「よく使われている=自分に効く」とは限らない、という一例です。もう1つは、実際には取れない時間を前提にすること。「1日2時間やる」と決めても、平日に20分しか取れない人には絵に描いた餅です。使える時間を正直に見積もるほど、現実に回る方法を選べます。

この章の確認(演習)

自分が今やりたい学習について、3要素を1つずつ書き出してください。目的(何のために・いつまでに)、使える時間(1日に正直に確保できる分数)、学習タイプ(読む・聞く・書く・話すのうち、無理なく続けやすい形)。3つそろえば、次章で方法を比べる準備が整います。

自分に合う学習法を見分ける——選択肢を3要素で比べて選ぶ

この章のゴール

複数の学習法を3要素に照らして比べ、自分に合う方法を見分けられる。

学習法に唯一の正解はない——手元の選択肢を3要素で比べる

3要素が書けたら、次は手元にある学習法の候補を並べて比べます。学習法に唯一の正解はありません。だからこそ「どれが世界一か」ではなく「自分の3要素にどれが一番噛み合うか」で選びます。比べるときの軸になるのが、第1章の3要素です。

共通例の若手は、参考書・動画講座・問題演習の3つを候補に並べました(例)。そして「朝20分で進むか(時間)」「資格合格に直結するか(目的)」「手を動かす自分に合うか(タイプ)」の3つの観点で見比べていきます。

候補を「目的に効くか・時間に収まるか・タイプに合うか」で○△×評価する

比べ方はシンプルです。候補を2〜3個に絞り、それぞれを3要素で○△×評価し、一番噛み合う1つを選んで、選んだ理由を一言で言えるようにします。

ここで、目的に直結するかという軸が効いてきます。学習法の良し悪しは、最終的に求められるアウトプット(試験で問われる形=評価課題)に効くかどうかで判断するのが研究上の整理です(出典:Dunlosky ほか 2013)。資格試験のように「問題を解いて答えられる」ことがゴールなら、問題を解いて思い出す練習(問題演習)や、間隔をあけて繰り返す学習は、年齢や能力を問わず幅広く成績を押し上げる方法として有用性が高いと評価されています(出典:Dunlosky ほか 2013)。共通例の若手は、参考書は△(読むだけだと眠くなる)、動画は△(朝20分だと再生時間に追われる)、問題演習は○(短時間で区切れて、手を動かせて、合格に直結する)と評価し、問題演習を選びました(例)。ただしこれは彼の3要素での結論であって、目的・時間・好みが違えば、参考書や動画が最適になることもあります。「問題演習が万人の正解」ではない点に注意してください。なお、何を学ぶか(どのスキルを伸ばすか)そのものの決め方は、リスキリング基礎で扱います。

全部を少しずつやって分散する/印象だけで決める、というつまずき

つまずきも2つです。1つは、良さそうな方法を全部少しずつやろうとして分散すること。あれもこれもと手を広げると、どれも中途半端になりがちです。まずは噛み合う1つに絞り、回り始めてから足すほうが続きます。もう1つは、「なんとなく良さそう」という印象だけで決めて、選んだ理由を自分で説明できないこと。理由を一言で言えるかどうかが、後から計画を立て直すときの拠り所になります。

この章の確認(演習)

自分の学習テーマで、候補を2〜3個挙げてください。それぞれを「目的に効くか・時間に収まるか・タイプに合うか」の3要素で○△×評価し、一番噛み合う1つを選びます。最後に、選んだ理由を一文で書いてみましょう(例:「短時間で区切れて、試験形式に直結するから問題演習を選ぶ」)。

最初の学習計画を作る——いつ・何を・どの方法で

この章のゴール

選んだ学習法で「いつ・何を・どの方法で」の最初の学習計画を作成できる。

合う方法を選べても、計画に落とさなければ動き出せない

合う方法を選べても、それだけでは机に向かえません。最後のひと押しが、計画に落とすことです。ここで効くのが、目標は具体的にするほど動きやすいという原則です。「とにかく頑張る」「ベストを尽くす」といった漠然とした目標より、具体的で測定できる目標のほうがパフォーマンスにつながると整理されています(出典:Locke の目標設定理論。Mindtools「Locke's Goal-Setting Theory」)。目標を具体化する手がかりが、よく知られたSMART——Specific(具体的)・Measurable(測定可能)・Attainable(達成可能)・Relevant(関連する)・Time-bound(期限がある)の頭文字です(出典:PositivePsychology「Locke's Goal Setting Theory of Motivation」)。「資格Aの勉強をする」ではなく「今週は問題集の第1章を、平日朝20分ずつ解く」のほうが、いつ・何を・どこまでが明確で、動き出せます。

まず「最初の1週間だけ」を「いつ・何を・どの方法で」で具体化する

計画づくりは、いきなり3か月分を完璧に組む必要はありません。手順はこうです。まず、選んだ方法で取り組む内容を最小単位に区切る(例:問題集を「第1章」ではなく「1日5問」に)。次に、自分の生活の中で確実に確保できる時間帯に割り当てる(例:平日朝、通勤前の20分)。そして「いつ・何を・どの方法で」の形で1週間分だけ書き出す。最後に、1週間後に振り返る日をあらかじめ決めておきます。

この「振り返りを最初から計画に入れておく」ことには理由があります。学習は、計画を立てて実行するだけでなく、終わったあとに振り返って次を直す、という循環で進むと整理されています(事前の計画 → 実行中の自己観察 → 事後の振り返り、の3段階。出典:自己調整学習〔self-regulated learning〕Zimmerman のモデル)。進み具合と方法の効き目を正直に振り返り、合わなければ計画や方法を直す。ここまで回って初めて、自分で学びを調整できている状態になります(出典:同上)。そしてこの「自分で学びを調整する力」は、生まれつきの素質ではなく、質問する・記録する・時間を割り当てるといった行動を通じて、練習で身につくスキルだとされています(出典:同上)。だから最初はうまく回らなくても、振り返って直すこと自体が上達の一部です。

3か月分の完璧な計画を立てて続かない、というつまずき

つまずきは2つです。1つは、最初から3か月分の完璧な計画を立ててしまい、その通りにいかずに息切れすること。先のことは状況で変わるので、確度高く決められるのは最初の1週間だけ、と割り切るほうが回ります。もう1つは、予定どおりいかなかった日に「もうダメだ」と全部やめてしまうこと。1日できなくても計画全体が破綻するわけではありません。振り返りの日に、現実に合わせて翌週分を組み直せば十分です。なお、こうして作った計画を続けて習慣に変えていく仕組みは、本講座の範囲を超えます。継続の設計は習慣化の基本へ進んでください。

この章の確認(演習)

自分の学習テーマで、最初の1週間の計画を「いつ・何を・どの方法で」の形で1セット作ってください(例:「平日の朝20分・通勤前/問題集を1日5問/問題演習」)。あわせて、1週間後に振り返る日を1つ決め、カレンダーに書き込みます。その日に、進み具合と方法の手応えを見て、翌週分を直しましょう。

まとめ

効果的な学習法とは、万人に効く最強の勉強法ではなく、目的・使える時間・自分の学習タイプの3要素に噛み合った方法のことです。続かないのは意志が弱いからではなく、合わない方法を選んでいるから。覚えて帰る型は「3要素を知る → 選択肢を比べて選ぶ → 最初の1週間を計画にする」の3ステップ。最強の学習法より、自分に合う学習法、です。

明日の一歩として、今やりたい学習について3要素を書き出し、候補を2〜3個比べて1つ選び、最初の1週間の計画を「いつ・何を・どの方法で」で作ってみてください。それが、学び直しの最初の一歩です。そして、選んだ学習法を続けて習慣にするコツは習慣化の基本が次のステップになります。

本講座の特典として、目的・時間・学習タイプの3要素チェックと、最初の1週間の計画フォーマットをまとめた「学習法えらびシート」をご用意しています。シートの入手と、学び方・自己研鑽に役立つ情報のお届けは、無料会員登録からどうぞ。

よくある質問

自分に合う学習法は、どうやって見分ければいいですか

目的・使える時間・自分の学習タイプの3要素に照らして候補を○△×で比べ、一番噛み合う1つを選びます。選んだ理由を一言で言えるかが目安です。

学習スタイル(視覚タイプ・聴覚タイプなど)に合わせれば成績は上がりますか

「タイプに合わせれば効果が上がる」という主張は研究上の裏づけが十分ではありません。タイプは成績を上げる魔法ではなく、無理なく続けやすい入口を選ぶ目安と考えましょう。

学習計画は何か月先まで立てればよいですか

まずは最初の1週間だけで十分です。先は状況で変わるため、1週間後に振り返る日を決め、進み具合を見て翌週分を組み直すほうが続きます。

再読やハイライトでは効果が低いのですか

研究レビューでは、再読やハイライトは効果が限定的とされ、問題を解いて思い出す練習などに置き換えることが勧められています。目的に直結するかで方法を選びましょう。

監修
マナビズ編集部

マナビズ(Manabiz)編集部。AIを活用した原稿制作に加え、人間によるレビューで品質を担保しています。 編集ポリシー

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