コスト意識の基本 | マナビズ

コスト意識の基本

コスト意識の基本

毎週なんとなく出ている定例会議。「6人が60分」座っているこの時間に、いくらのお金がかかっているか、考えたことはありますか。「自分の時間にコストなんてかかってるの?」「会議は呼ばれたから出ているだけ」——そう感じるのが普通だと思います。でも、働いている時間には、給料=人件費というコストがかかっています。つまり、自分の時間も会社のお金。それを金額に直すと、「ただ座っているだけの30分」「誰も読まない資料」が、はっきりとした金額のムダとして見えてきます。これがコスト意識の出発点です。

読み終えたあなたは、次の3つができます。

  1. 自分の業務時間にも人件費というコストがかかっていることを、時間単価×時間で金額に換算できる
  2. 会議・作業の時間コスト(会議=人数×時間×時間単価)を試算できる
  3. 身近なムダなコストを1つ指摘し、同じ成果を少ない投入で出す改善案を出せる

この講座は最後まで、「自分が毎週出ている定例会議:6人×60分、1人あたりの時間単価は仮に2,000円」という、たった1つの身近な場面だけで説明します。同じ会議を、まず自分の時間を金額にし→その会議を人数×時間×時間単価で試算し→ムダを1つ見つけて改善する、と順に組み上げていきます。なお、会計の基礎(kouza-020)や粗利(kouza-022)で学ぶ「費用を引いて利益が残る」の“費用”の中には、私たち自身の人件費(時間)も入っています。020 の第4章で芽を出した「自分の時間にもコストがある」という気づきを、この講座では「金額に換算して試算し、改善する」段階へ一歩進めます。

ひとつだけ先にお伝えすると、コスト意識とは、ケチになることではありません。同じ成果を、より少ない投入(時間・人)で出す見方のことです。難しい会計知識は要らず、人数・時間・仮の時間単価さえあれば手を動かして身につけられます。

関連講座へ:この講座は「自分の時間の金額換算と、身近なムダの指摘・改善」に絞っています。利益全体の関係をおさらいするなら kouza-020(会計の基礎)、売上から原価を引いた粗利の計算なら kouza-022(粗利)、予算を立てて実績と比べるなら kouza-027(予算管理) で続けて学べます。

この講座のポイント

  • 自分の業務時間にも人件費というコストがかかっていることを、時間単価×時間で金額に換算できる
  • 会議・作業の時間コスト(会議=人数×時間×時間単価)を試算できる
  • 身近なムダなコストを1つ指摘し、同じ成果を少ない投入で出す改善案を出せる

コスト意識とは=自分の時間も会社のお金

いちばん見落としがちな「自分の時間にも値段がついている」ことを、自分の手で金額にして確かめます。

この章のゴール

この章を読み終えると、自分の業務時間にも人件費というコストがかかっていることを、時間単価×時間で金額に換算できるようになります。

コストは経費だけじゃない=働く時間にも人件費がかかる

「コストって、交通費や備品代みたいな、経費精算で出てくるお金でしょ」——そう思っている人は多いはずです。でも、それだけではありません。働いている時間そのものにも、給料=人件費というコストがかかっているのです。

あなたが1時間働けば、会社はその1時間分の給料を払っています。つまり、あなたの1時間は、会社にとってのお金(人件費)。会計の基礎(kouza-020)や粗利(kouza-022)で出てきた「利益=売上−費用」の“費用”には、この人件費——私たち自身の時間——が含まれています。だからコスト意識の第一歩は、「自分の時間にも値段がついている」と気づくことです。

時間を金額に直す:作業のコスト=時間単価×時間

では、時間をどう金額に直すか。一番シンプルな式はこれです。

作業のコスト=時間単価(1時間あたりの人件費)×かかった時間

ポイントは、分を時間に直すこと。30分なら0.5時間、45分なら0.75時間、60分なら1時間です。時間単価が2,000円で作業に30分かかったなら、2,000円×0.5時間=1,000円。その「30分の手直し」「30分の調べもの」も、金額に直せば1,000円のコストです。「自分の時間はタダ」ではありません。

時間単価は様々=ここでは仮に2,000円と置く

ここで大事な注意点があります。時間単価(1人あたり1時間のコスト)の出し方は、実はいろいろあるのです。額面の給与だけで見るのか、社会保険料など会社が負担する分も含めて見るのか等で金額は変わり、一通りに決まっているわけではありません。

そこでこの講座では、計算をシンプルにするため、1人あたりの時間単価を仮に2,000円と置きます(実際の出し方は様々で、あくまで例です)。この2,000円は、特定の誰かの給料や実在の数字ではなく、計算を分かりやすくするための仮の数字です。

この前提で、共通例を置きましょう。「自分が毎週出ている定例会議は6人が参加して60分。1人あたりの時間単価は仮に2,000円とする」。1人分・1時間なら2,000円×1時間=2,000円、30分(0.5時間)なら2,000円×0.5時間=1,000円です。この共通例を、これから全章で「立ち戻る原点」として使っていきます。

つまずきやすいのは、コスト=経費だけだと思って時間を入れ忘れること、「自分の時間はタダ」だと思うこと、時間単価を実額のように断定してしまうことです。時間単価は出し方が様々なので、ここでは“仮に置いた数字”だと理解しておけば大丈夫です。

この章の確認(演習):共通例の時間単価2,000円(仮)で、自分の「45分かかった作業」のコストを金額にしてみてください(45分=0.75時間なので、2,000×0.75=1,500円)。次に、今日の自分の業務から作業を1つ選び、かかった時間×時間単価(仮の数字でよい)でコストを計算してみましょう。「何時間かかったか」ではなく「いくらかかったか」を自分の手で出せたら、ゴール達成です。

時間を金額に換算する=会議の時間コストを試算する

自分1人の30分が1,000円になるなら、複数人が同時に使う会議は、その何倍にもなります。ここでは同じ会議を、人数を含めて金額にしてみます。

この章のゴール

この章を読み終えると、会議・作業の時間コスト(会議=人数×時間×時間単価)を試算できるようになります。

会議は「みんなの時間の合計」=人数分のコスト

第1章で、自分1人の時間が金額になることを確かめました。会議は、複数の人が同時に時間を使っています。つまり、会議は人数分のコストになります。

1人の30分(1,000円)は小さく見えるかもしれません。でも、6人が同じ会議に60分集まれば、6人分の時間が同時に使われています。「会議は呼ばれたから出ているだけ」と感じていても、その裏では人数分の人件費が動いています。コスト意識のキモは、「自分1人の時間」ではなく「みんなの時間の合計」で見ることにあります。

会議のコスト=人数×時間×時間単価

会議を金額にする式は、第1章の作業の式に「人数」をかけるだけです。

会議のコスト=参加人数×かかった時間×1人あたりの時間単価

共通例で計算しましょう。定例会議は6人×60分(1時間)、時間単価は仮に2,000円でした。

会議のコスト=6人×1時間×2,000円=12,000円

「毎週なんとなく出ている定例会議」は、1回で12,000円かかっている計算です。資料作成も「かかった時間×時間単価」で金額に直せます。たとえば1人で資料を3時間作るなら、1×3×2,000円=6,000円です。

つまずきやすいのは、参加人数をかけ忘れること、分を時間に直さずに単価とかけてしまうこと(60分は1時間、30分は0.5時間)、会議を「拘束時間」とだけ見て金額に直さないことです。会議は人数分、分は時間に直す——この2つを押さえれば試算できます。

金額にすると規模感が見える

同じ会議でも、“1時間の会議”と思っているうちは、ムダかどうかを考えません。でも“12,000円の会議”だと分かると、「この12,000円分の成果は出ているか?」と立ち止まれます。会議1回(12,000円)は資料1本(6,000円)の2回分、と並べれば規模感も見えてきます。金額に直すと、時間のムダが「金額のムダ」としてはっきり見える——これが、第3章でムダを見つける土台になります。

この章の確認(演習):共通例の定例会議が、もし8人×90分だったらコストはいくらか試算してみてください(90分=1.5時間なので、8×1.5×2,000=24,000円)。次に、自分が今週出た会議または打ち合わせを1つ選び、人数×時間×時間単価(仮の2,000円でよい)でコストを試算してみましょう。拘束時間を自分の手で金額に直せたらゴール達成です。

ムダを見つけて改善する=同じ成果を少ない投入で

金額にできたら、仕上げです。同じ12,000円の会議から、ムダを1つ見つけて改善し、削減額まで出します。

この章のゴール

この章を読み終えると、身近なムダなコストを1つ指摘し、同じ成果を少ない投入で出す改善案を出せるようになります。

コスト削減=ケチ・品質低下ではない=落とすのはムダな投入

「コスト削減」と聞くと、「ケチくさい」「品質を落とす話でしょ」と身構えてしまうかもしれません。でも、それは誤解です。コスト意識のゴールは、同じ成果を、より少ない時間・人数で出すこと。落とすのは“成果”ではなく、“ムダな投入”です。

たとえば「結論が出ないまま続く時間」「本当は出なくてよい人の参加」「誰も読まない作り込み」は、成果を生んでいないのに金額がかかっています。これがムダです。ここを削っても成果は変わらず、浮いた時間(お金)を成果が出る仕事に回せます。コスト削減とは、品質を落とすこともケチることもなく、ムダな投入を削って成果はそのままにすることなのです。

ムダの見つけ方=金額にしたコストに問う

ムダは気持ちで言うのではなく、第2章で出した金額に戻って見つけます。金額にしたコストに、こう問いかけます。

「この成果に、この金額は見合っているか?」「もっと少ない時間・人数で、同じ成果は出せないか?」

共通例の12,000円の定例会議で考えてみましょう。よく見ると、「前半30分は資料を読み上げる情報共有だけで、議論は後半30分」だと気づいたとします。前半の情報共有は、成果(=議論して決めること)を生んでいないのに、6人分の30分がかかっています。これがムダです。「長い会議」ではなく「○円のムダ」と金額で言えるようにするのがコツです。

改善後を再計算して削減額を出す

ムダが見つかったら、同じ成果を保ったまま時間・人数・作り込みのどれを減らせるかを考え、減らした後のコストをもう一度同じ式で計算します。前半30分の情報共有を事前にチャットで共有しておけば、会議は後半の議論30分だけで済みます。改善後を計算すると、

改善後の会議=6人×30分(0.5時間)×2,000円=6,000円

12,000円→6,000円で、6,000円分のムダを削減できました。減らしたのは情報共有の時間だけで、議論の30分(=成果)はそのまま残っています。これが「同じ成果を少ない投入で」です。

別の見方もあります。議論に関係ない2人が抜けて4人になれば、4人×60分×2,000円=8,000円4,000円削減。資料なら、3時間(6,000円)かけた完璧版を要点だけに絞って1時間(2,000円)にすれば、4,000円分を別の成果に回せます。どれも、成果は落とさずムダな投入だけを削った例です。

見直し計算結果
元の会議6人×60分×2,00012,000円
前半30分カット6人×30分×2,0006,000円(6,000円削減)
2人減らして4人4人×60分×2,0008,000円(4,000円削減)

「安くする」「減らす」と言う前に、金額で試算する。すると、ムダを「○円のムダで、改善すれば○円浮く。しかも成果は落ちない」と根拠つきで提案できます。なお、部署やチームの予算を立てて実績と比べる(予実管理)まで広げたい場合は kouza-027(予算管理)で扱います。この講座では、まず「自分の身近なムダを1つ、金額で指摘して改善する」ところに集中しましょう。

この章の確認(演習):共通例の12,000円の会議について、「前半30分カット」以外の改善案を1つ出し、改善後のコストと削減額を計算してみてください(例:参加を4人に絞る→4×1×2,000=8,000円・4,000円削減)。次に、自分の身近な業務(会議・資料・作業)からムダなコストを1つ指摘し、改善案と「改善後いくらになるか・成果は落ちないか」を書いてみましょう。ムダを、金額と「成果は落とさない」根拠つきで言えたら、ゴール達成です。

まとめ:自分の時間は、会社のお金。金額に直すと、ムダが見える

おつかれさまでした。「6人×60分・時間単価は仮に2,000円の定例会議」という1つの場面を、自分の時間→会議の試算→ムダの改善と順に組み上げてきました。歩いてきた道をまとめます。

  1. 作業のコスト=時間単価×時間……働く時間にも人件費がかかる=自分の時間も会社のお金(共通例:時間単価2,000円・仮なら、30分=1,000円)。
  2. 会議のコスト=人数×時間×時間単価……会議は人数分のコスト。金額にすると規模感が見える(共通例:6人×60分×2,000=12,000円)。
  3. ムダを1つ見つけて、同じ成果を少ない投入で出す……コスト削減はケチでも品質低下でもなく、ムダな投入を削って成果はそのまま(共通例:前半30分カットで12,000円→6,000円・6,000円削減)。

この3つは、すべて1つの問いに戻ります。「自分の時間を金額に換算し、身近なムダを1つ指摘して、同じ成果を少ない投入で出す改善案を出せているか」。いちばん覚えて帰ってほしいのは——自分の時間は、会社のお金。金額に直すと、ムダが見える

明日の最初の一歩:明日、自分が出る会議か、時間をかけている作業を1つ選び、人数×時間×時間単価(仮の数字でよい)でコストを金額にしてみてください。そのうえで「同じ成果を、もっと少ない時間・人数で出せないか」をひとつ考えて、改善案を1行書く。人数・時間・仮の時間単価さえあれば手で出せます。

関連講座へ:自分の時間を金額にしてムダを見つける力がついたら、次は数字でビジネスを見る力を一歩深めましょう。部署やチームの予算を立てて実績と比べる(予実管理)まで進むなら kouza-027(予算管理)、コストを含む利益全体の関係をおさらいするなら kouza-020(会計の基礎)、売上から原価を引いて残るお金(粗利)の計算なら kouza-022(粗利) で続けて学べます。

よくある質問

コスト意識とは何ですか?

コスト意識とは、ケチになることではありません。働く時間にも給料=人件費というコストがかかると理解したうえで、同じ成果をより少ない時間や人数で出す見方のことです。

時間単価はどうやって出せばよいですか?

時間単価の出し方は一通りに決まっておらず、額面の給与だけで見るか社会保険料など会社負担分も含めるかで金額が変わります。この講座では計算をシンプルにするため、仮に2,000円と置いて練習します。

会議のコストはどう計算しますか?

「参加人数×かかった時間×1人あたりの時間単価」で計算します。たとえば6人×1時間×時間単価2,000円(仮)なら12,000円です。分は時間に直してから掛けることがポイントです。

コスト削減すると仕事の質が下がりませんか?

この講座が目指すコスト削減は、成果を落とすことではなく、ムダな投入(結論が出ない時間、不要な参加者、誰も読まない作り込みなど)だけを削ることです。成果はそのまま保ちながらムダな投入を減らすのが目的です。

会計の知識がなくても理解できますか?

はい、難しい会計知識は必要ありません。必要なのは人数・時間・仮の時間単価の3つだけで、掛け算ができれば手を動かして試算できます。会計の全体像を学びたい場合はkouza-020(会計の基礎)で補えます。

監修
マナビズ編集部

マナビズ(Manabiz)編集部。AIを活用した原稿制作に加え、人間によるレビューで品質を担保しています。 編集ポリシー

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