クラウド基礎入門|クラウドとは何かを物置と貸し倉庫のたとえで理解する | マナビズ

クラウド基礎入門|クラウドとは何かを物置と貸し倉庫のたとえで理解する

クラウド基礎入門|クラウドとは何かを物置と貸し倉庫のたとえで理解する

「そのファイル、クラウドに上げておいて」「うちもそろそろクラウド化しよう」。仕事をしていると、毎日のようにこの言葉に触れます。ところが、いざ「クラウドって結局どこにあるの?」と聞かれると、うまく答えられない。雲の上にある何か、実体のない便利なもの——そんな漠然としたイメージで止まっている方は少なくありません。

でも、クラウドは雲の上の不思議な何かではありません。もっと身近なたとえで説明できます。本講座では、「自分の家の物置」と「街の貸し倉庫」のたとえを最初から最後まで使い続けます。自前で持つのが物置(自社のパソコンや社内サーバー)、ネット越しに借りて使うのが貸し倉庫(クラウド)です。荷物がデータ、倉庫の管理人が事業者、そして倉庫に入るための鍵と入館証が、あなたのアカウントと権限にあたります。このたとえを通して、ある会社の社員が同僚から「クラウドって何?」と聞かれて1〜2分で説明できるようになる、その状態を目指します。

この講座を終えると、次の3つができるようになります。クラウドの仕組みを物置と貸し倉庫のたとえで説明できること、自前で持つ場合とクラウドの違いを「場所・管理者・アクセス範囲」の3点で挙げて比べられること、そして会社がクラウドを使う理由と、利用者として最低限守る注意点を自分の言葉で言えることです。覚えて帰る型は「自前(物置)か、借りる(貸し倉庫)か → 違いは場所・管理者・アクセス範囲 → 鍵(アカウント・権限)は自分で守る」。本講座は、この「クラウドという仕組みの理解」だけに絞ります。実際にクラウドサービスを操作して使い分ける手順はGoogle Workspace の使い方Microsoft 365 の基本が、安全に使う実務は情報セキュリティ入門が正本です。本講座は操作やセキュリティの実務には踏み込みません。

この講座のポイント

  • クラウドの仕組みを、物置と貸し倉庫のたとえを使って「ネット越しに機能や置き場所を借りる仕組み」として説明できる。
  • 自社のパソコン・サーバーに置く場合とクラウドを使う場合の違いを、「場所・管理者・アクセス範囲」の3点で挙げて比べられる。
  • 会社がクラウドを使う理由と、利用者として最低限守る注意点を、自分の言葉で言える。

クラウドとは何か——ネット越しに借りる仕組み

この章のゴール

クラウドの仕組みを、物置と貸し倉庫のたとえを使って「ネット越しに機能や置き場所を借りる仕組み」として説明できる。

クラウドは「自前で持つ」のではなく「ネット越しに借りる」仕組み

まず、言葉の正体を押さえます。クラウドとは「クラウドコンピューティング」を略した呼び方で、データやアプリケーションなどのコンピューター資源を、ネットワーク経由で利用する仕組みのことです(出典:総務省「平成30年版 情報通信白書」)。難しく聞こえますが、要は「自分の機械の中に全部持つのではなく、ネット越しによその機械の機能や置き場所を借りて使う」ということです。

スマートフォンのアプリを思い浮かべてください。メールやゲームのアプリは、スマホの中だけで動いているわけではありません。ネットワークでつながったデータセンターという大きな施設に置かれたサーバーやソフトと連携して、はじめてサービスとして成り立っています(出典:総務省「平成30年版 情報通信白書」)。つまりクラウドの実体は「雲の上の何か」ではなく、よその場所にある機械(データセンター)なのです。

物置(自前)と貸し倉庫(クラウド)——荷物はどこにあるか

ここで共通のたとえに置き換えます。自分の家の物置に荷物をしまうのが「自前」です。会社でいえば、自社が買ったパソコンや社内サーバーにデータを置く形で、これをオンプレミスと呼びます。これに対して、街の貸し倉庫に荷物を預けるのが「クラウド」です。倉庫そのものは事業者のもので、あなたはネット越しに自分の荷物を出し入れします。事業者の側から見ると、自社で機器を買って運用するのがオンプレミス、その調達も運用も保守も事業者が引き受けてくれるのがクラウドサービス、という違いになります(出典:IPA「中小企業のためのクラウドサービス安全利用の手引き」)。

貸し倉庫の便利なところは、ネットにつながる環境さえあれば、どこからでも荷物を取り出せることです(出典:J-Net21「クラウド・サービスのメリット、デメリット」)。実際、企業がクラウドで多く使っているのは「ファイル保管・データ共有」「社内情報共有」「電子メール」などで、その利用は年々広がっています(出典:総務省「令和7年版 情報通信白書」)。

「雲の上の実体のない何か」「ネットにつながれば全部クラウド」というつまずき

つまずきは2つあります。1つは「クラウド=どこか遠くの実体のないもの」という思い込み。実体は、よその場所にある機械(データセンター)です。もう1つは「ネットにつながっていれば全部クラウド」と広げすぎることです。見分け方はシンプルで、「①それは自分の機械の中にあるか、よその機械にあるか」「②ネット経由で借りて使っているか」を問えば判定できます。自分のパソコンの中のファイルは物置(自前)、ネット越しに保存サービスへ預けたファイルは貸し倉庫(クラウド)です。

この章の確認(演習)

自分が今使っているサービスやファイルの置き場所を1つ挙げてください。それが「自分の機械の中(物置=自前)」か「ネット越しに借りているクラウド(貸し倉庫)」かを判定し、なぜそう言えるのかを一文で書いてみましょう。

自社で持つ場合と何が違うのか——クラウドの利点と注意点

この章のゴール

自社のパソコン・サーバーに置く場合とクラウドを使う場合の違いを、「場所・管理者・アクセス範囲」の3点で挙げて比べられる。

違いは3点——置き場所・管理する人・アクセスできる範囲

物置と貸し倉庫の違いは、3点に整理できます。1つ目は置き場所です。自前なら自社の中、クラウドなら事業者のデータセンターにデータがあります。2つ目は管理する人です。自前なら機器の調達も運用も保守も自分たちで行い、クラウドなら事業者が引き受けます(出典:IPA「中小企業のためのクラウドサービス安全利用の手引き」)。3つ目はアクセスできる範囲です。自前は基本的に社内のその機械から、クラウドはネットにつながる環境があればどこからでも入れます(出典:J-Net21「クラウド・サービスのメリット、デメリット」)。

会社がクラウドを使う理由も、この3点から自然に説明できます。自社に大きな設備を持たずに始められるので、初期の設備投資を抑えやすい。申し込めばすぐ使い始められ、性能や機能を増やしたいときも管理画面の設定で対応できる。そして社外からも使えるので、在宅勤務でも同じデータを開けます(出典:J-Net21「クラウド・サービスのメリット、デメリット」)。在宅から同じファイルを開けるのは、まさに「貸し倉庫だから外からでも入れる」からです。

「必ず安い・必ず安全」と決めつけ、裏側を見落とすつまずき

便利な一方で、裏側もあります。クラウドは自分で機械を管理しない分、コンピューターを自ら管理しないことによる制約や、データを自分の管理範囲の外(社外)に預ける不安が生じます。また、多くの利用者で共有する仕組みのため、細かなカスタマイズが受け付けられないこともあります(出典:IPA「中小企業のためのクラウドサービス安全利用の手引き」、J-Net21「クラウド・サービスのメリット、デメリット」)。さらに、クラウドはネットワークを通じてサービスを提供するため、攻撃などによってサービスの停止や低下が生じるおそれもあります(出典:総務省「クラウドサービス提供における情報セキュリティ対策ガイドライン」)。平たく言えば、ネットが切れれば貸し倉庫には入れません。

ここでのつまずきは「クラウドだから必ず安い・必ず安全」と決めつけることです。利点だけを見て、ネット依存や、管理を事業者に預ける裏側を見落とすと判断を誤ります。なお、コストがどれだけ下がるかは会社や使い方によって変わるため、本講座では具体的な削減率の数字は扱いません。実際にどのサービスをどう操作して使い分けるかは、Google Workspace の使い方Microsoft 365 の基本で学べます。

この章の確認(演習)

身近な業務データ(例:共有資料)を1つ取り上げてください。それを「自前で持つ場合」と「クラウドに置く場合」で、場所・管理者・アクセス範囲の3点に分けて表にし、どこがどう違うかを書き出してみましょう。

利用者として気をつけること——安全に使い始めるための最低限

この章のゴール

会社がクラウドを使う理由と、利用者として最低限守る注意点を、自分の言葉で言える。

貸し倉庫を安心して使う鍵は「アカウントと権限」の管理

貸し倉庫を安心して使うには、鍵と入館証の管理が要になります。クラウドでいえば、これがアカウントと権限です。大切なのは、クラウドの安全は事業者だけが守るものではない、ということです。クラウドサービスのセキュリティは、事業者と利用者が役割・責任を分担して、はじめて維持・向上します(出典:IPA「中小企業のためのクラウドサービス安全利用の手引き」)。倉庫の建物や防犯設備は事業者が用意しますが、自分の鍵を誰かに渡さない、許可された人だけが入れるようにする——この部分は利用者の役割です。

利用者ができる最低限の3つ——使い回さない/許可された倉庫だけ/勝手に持ち出さない

利用者が守る最低限は、3つに絞れます。1つ目は、自分の鍵を守ること。パスワードは破られにくいものにし、IDやパスワードを人と共有しないのが基本です(出典:IPA「中小企業のためのクラウドサービス安全利用の手引き」)。2つ目は、会社が許可した倉庫だけを使うこと。会社が許可していないサービスを業務に勝手に使うのは避けます。これは「認可されていない目的でシステムを使わせない」という考え方に沿うものです(出典:総務省「クラウドサービス提供における情報セキュリティ対策ガイドライン」)。3つ目は、大事な荷物を勝手に外の倉庫へ持ち出さないこと。機密データを、会社が許可していないクラウドへ自分の判断で上げてしまうと、データを社外に預ける危険がそのまま大きなリスクになります。

こうした「利用者側のうっかり」は、実際に事故につながっています。クラウド利用者が適切に利用できていないことが原因で、情報流出のおそれに至る事案も起きています(出典:総務省「令和4年版 情報通信白書」)。公的機関の事故事例でも、クラウドへの不正アクセスをきっかけに個人情報や未公表情報が漏えいしたケースが報告されています(出典:IPA「中小企業のためのクラウドサービス安全利用の手引き」)。

「事業者が全部守ってくれる」という任せきりのつまずき

つまずきは「クラウドだから事業者が全部守ってくれる」と任せきりにすることです。倉庫の建物は事業者が守っても、あなたの鍵の管理まで肩代わりはしてくれません。クラウドを使う前に、「①これは会社が許可したサービスか ②自分のアカウントで正しく入っているか ③この荷物(データ)は外に置いていい種類か」を確認する習慣をつけましょう。パスワード管理や機密データの扱いをさらに深く学びたい場合は情報セキュリティ入門へ、システム同士がデータをやり取りする仕組みに関心が向いたらAPI入門へ進んでください。

この章の確認(演習)

自分の職場で「クラウドを安全に使うために自分が守ること」を、本章の3つの注意点(鍵を守る/許可された倉庫だけ使う/勝手に持ち出さない)をもとに3項目、自分の言葉で書き出してみましょう。

まとめ

クラウドとは、自分の機械の中に持つのではなく、ネット越しによその機能や置き場所を借りる仕組みです。難しい技術というより「自前(物置)か、借りる(貸し倉庫)か」の違いとして説明できます。自前との違いは「場所・管理者・アクセス範囲」の3点で整理でき、会社がクラウドを使う理由もこの3点から見えてきます。そして利用者は、鍵と入館証=アカウントと権限の管理という、自分の役割だけは最低限守る——これが覚えて帰る型です。

明日の一歩として、身近な業務データを1つ選び、「自分の機械の中か、ネット越しに借りているか」を判定し、同僚に物置と貸し倉庫のたとえで一度説明してみてください。説明できれば、この講座のゴールに到達しています。次は、クラウドを実際に使う手順をGoogle Workspace の使い方Microsoft 365 の基本で身につけましょう。DXの全体像から押さえたい場合はDX入門が出発点になります。

本講座の特典として、物置と貸し倉庫の違い(場所・管理者・アクセス範囲)と、利用者が守る注意点3つを1枚で確認できる「クラウド早わかりシート」をご用意しています。無料会員登録をすると、このシートをダウンロードできます。

よくある質問

クラウドとは結局どこにあるのですか

よその場所にある機械(データセンター)です。雲の上の実体のない何かではなく、ネット越しに借りて使うサーバーやストレージのことを指します。

クラウドと自社のパソコンに保存するのは何が違うのですか

違いは「場所・管理者・アクセス範囲」の3点です。クラウドは事業者の設備にデータを置き、管理を事業者が担い、ネットがあればどこからでも使えます。

クラウドは事業者に任せておけば安全ですか

いいえ。安全は事業者と利用者の役割分担で成り立ちます。鍵(アカウント・パスワード)の管理や、許可されたサービスだけを使うことは利用者の責任です。

会社が許可していないクラウドに資料を上げてもよいですか

避けてください。許可外のサービスへ機密データを勝手に置くと情報漏えいのリスクになります。会社が許可した倉庫だけを業務に使うのが原則です。

監修
マナビズ編集部

マナビズ(Manabiz)編集部。AIを活用した原稿制作に加え、人間によるレビューで品質を担保しています。 編集ポリシー

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