取引先がオフィスに来て、お茶を出すとき。「どうぞ……いただいてください? いえ、召し上がってください?」と、出す手が一瞬止まる。上司に来客を伝えようとして「お客様が……来られました? いらっしゃいました?」と言いかけて、止まる。ていねいに言おうとしたら「お伺いさせていただきます」と言葉を盛りすぎて、自分でも「なんか変かも」と感じる——敬語を使おうとするたびに「これで合ってる?」と不安になる。配属されたばかりの頃、こんな経験はありませんか。学生時代はため口で困らなかったのに、急に「お客様」「部長」「取引先」と話す場面が増えて、言葉選びで毎回つまずいてしまう。
でも、安心してください。敬語がスラスラ出てくる先輩と、固まってしまうあなたの違いは、覚えているフレーズの数ではありません。敬語は、何百もの言い回しを丸暗記するものではなく、たった1つの軸=「これは、誰の動作か」で選べるからです。できる先輩も、ひとつひとつ暗記しているのではなく、「相手の動作か、自分の動作か」を見分けて、3種類の敬語から選んでいるだけなのです。この講座で渡すのは、その軸です。
この講座を読み終えると、あなたは次の3つができるようになります。
- 敬語には3種類(①丁寧語②尊敬語③謙譲語)があり、それぞれが誰への・誰の動作の敬語かを説明できる。迷ったら「これは誰の動作か」で見分ける軸を持てる
- ある動作を、相手(目上・社外)の動作なら尊敬語(いらっしゃる・おっしゃる・召し上がる)に、自分側(自分・身内)の動作なら謙譲語(伺う・申す・拝見する)に変換できる
- ありがちなつまずきを直せる——敬語を重ねすぎた言い方(二重敬語)を1つに、取引先に自社の上司を立てない言い方に、目上には「承知しました」を選べる
この講座は最後まで、「マナビズ商事の新人あおいさんのところに、取引先『みらい物産の田中部長』が来社し、あおいさんが応対する(途中、自社の上司『佐藤課長』に取り次ぐ)」という、たった1つの来客応対だけで説明します。各章末には手を動かす演習も置いているので、書きながら読み進めてください。そして、ここで身につけた「誰の動作かで選ぶ」を、あいさつ・メール・電話にも広げたくなったら、関連講座(ビジネスマナーの基礎/ビジネスメール・文書の基礎/電話応対の基本)で続きを学べます。まずは、この1場面で敬語の軸を手に入れましょう。
第1章:敬語は3種類——「誰の動作か」で選ぶ
まずは、敬語を使うたびに固まってしまうモヤモヤの正体をはっきりさせ、たくさんの言い回しを暗記する作業から、たった1つの軸で選ぶ作業へ切り替える、土台の章です。
この章のゴール
この章を読み終えると、敬語には3種類(①丁寧語②尊敬語③謙譲語)があり、それぞれが誰への・誰の動作の敬語かを説明できるようになります。そして、迷ったときに「これは誰の動作か」で見分ける軸を持てるようになります。
つまずく正体は「種類の地図」を持っていないこと
「お客様が来た」を、ていねいに言いたい。でも、「来られました」なのか「いらっしゃいました」なのか「お見えになりました」なのか、どれが正解か分からず、口ごもってしまう。このとき足りていないのは、言い回しの「数」ではありません。どの種類の敬語を・どんなときに使うのか、という地図です。種類ごとに「いつ使うか」が決まっていて、それを知らないまま一つひとつのフレーズを丸暗記しようとすると、場面が変わるたびに迷子になります。逆に、地図さえあれば、初めて出くわす動作でも、自分で組み立てられます。
ここで、この講座の背骨を先に渡しておきます。敬語は丸暗記ではありません。迷ったら「これは誰の動作か」と問う。相手の動作なら尊敬語、自分側の動作なら謙譲語、文末をていねいにするのが丁寧語。この一文を、最後まで何度も使います。
敬語は3種類(丁寧語・尊敬語・謙譲語)
では、その「種類」を見ていきましょう。敬語は、伝統的に次の3種類に分けられます。
| 種類 | 何をする敬語か | 例 |
|---|---|---|
| ①丁寧語 | 文末をていねいにして、聞いている相手(聞き手)に敬意を表す。誰の動作かに関係なく使える土台 | です・ます・ございます |
| ②尊敬語 | 相手(目上・社外)の動作やものを高めて、その人を立てる | いらっしゃる・おっしゃる・召し上がる |
| ③謙譲語 | 自分側(自分・身内)の動作をへりくだって、結果的に相手を立てる | 伺う・申す・拝見する |
①の丁寧語は、「です・ます・ございます」で文末をていねいにする敬語です。「来た」を「来ました」、「資料がある」を「資料がございます」にするだけ。誰の動作かに関係なく使える、いちばんやさしい土台です。ちなみに、「お茶」「お料理」のように、言葉に「お」「ご」を付けて上品にする言い方(美化語といいます)も、この丁寧語の仲間だと思っておけば十分です。
②の尊敬語は、相手の動作を「高めて」立てる敬語、③の謙譲語は、自分の動作を「へりくだって」相手を立てる敬語です。この2つの使い分けが、敬語のいちばんの山場。第2章と第3章で、じっくり扱います。
なお、もっと正確には、文化庁が2007年にまとめた「敬語の指針」という公式の指針では、敬語を5種類(尊敬語・謙譲語Ⅰ・謙譲語Ⅱ〔丁重語〕・丁寧語・美化語)に細かく整理しています。ただ、初めての人がまず押さえるべきは、使い分けの軸になるこの3種類です。本講座は3種類で進めます。
選ぶ軸は、たった1つ——「これは誰の動作か」
3種類の敬語を、どう選び分けるのか。答えは、たった1つの問いです。「いま敬語にしたい動作は、誰の動作か」。これを問うだけで、使う敬語が決まります。
| いま敬語にしたい動作は… | 使う敬語 |
|---|---|
| 相手(目上・社外)の動作 | 尊敬語(高める) |
| 自分側(自分・身内)の動作 | 謙譲語(へりくだる) |
| (動作に関係なく)文末をていねいに | 丁寧語(です・ます) |
たとえば「来る」という同じ動作でも、田中部長が来るなら相手の動作だから尊敬語、あなたが(部長のところへ)行くなら自分の動作だから謙譲語。同じ言葉でも、誰の動作かで、使う敬語がきれいに分かれます。だから、フレーズを丸暗記するより先に、「これは誰の動作か」を問うクセをつけるのが近道なのです。
では、この講座の主人公に登場してもらいましょう。マナビズ商事で働く、入社1年目のあおいさんです。今日は取引先「みらい物産の田中部長」が来社します。あおいさんはまず、文末を「です・ます」にするだけで、ぐっとていねいになります。これが土台。そのうえで、田中部長の動作には尊敬語、あおいさん自身の動作には謙譲語、と使い分けていきます。この同じ来客応対を、最後まで追いかけます。
この章の確認(演習)
共通例の来客応対の中から、動作を3つ抜き出してみましょう。たとえば——「田中部長が来る」「あおいさんがお茶を出す」「あおいさんが説明する」。この3つを、「相手(田中部長)の動作」か「自分側(あおいさん)の動作」かで、○をつけて仕分けてみてください。
仕分けができたら、最後に「相手の動作には尊敬語、自分側の動作には謙譲語、文末は丁寧語」を、自分の言葉で1〜2行に書いてみます。軸「これは誰の動作か」を、自分の手で言葉にできたら、この章はゴールです。仕分けた動作を、次の第2章・第3章で実際に敬語へ変換していきます。
第2章:尊敬語——相手(目上・社外)の動作を高める
第1章の軸で「これは相手の動作だ」と分かったら、使うのは尊敬語です。相手の動作を高める尊敬語の作り方を、田中部長の動作で練習します。
この章のゴール
この章を読み終えると、相手(目上・社外)の動作を、尊敬語(いらっしゃる・おっしゃる・召し上がる・ご覧になる 等)に変換できるようになります。「お(ご)〜になる」という作り方も使えるようになります。
相手の動作だと分かったら、尊敬語
尊敬語とは、相手(目上・社外)の動作やものを「高めて」、その人を立てる言い方です。文化庁「敬語の指針」でも、尊敬語は「相手側の行為などについて、その人物を立てて述べるもの」と定義されています。ポイントは、高めるのは相手の動作だということ。自分の動作を尊敬語にすると、自分で自分を持ち上げることになり、おかしくなります(自分の動作は、第3章の謙譲語です)。だから、田中部長(相手)の動作なら、迷わず尊敬語です。
尊敬語の作り方は3パターン
尊敬語の作り方は、3つあります。
まず①特定の語に変える。よく使う動作には、専用の尊敬語があります。これを覚えるのが、いちばん速くて自然です。
| 普通の言い方 | 尊敬語(相手の動作) |
|---|---|
| 言う | おっしゃる |
| 行く・来る・いる | いらっしゃる(来る=お越しになる・お見えになる も可) |
| する | なさる |
| 食べる・飲む | 召し上がる |
| 見る | ご覧になる |
| くれる | くださる |
次に②「お(ご)〜になる」にはめる。専用の語がない動作は、この型で尊敬語にできます。「読む」→「お読みになる」、「使う」→「お使いになる」、「待つ」→「お待ちになる」。動詞をこの形に入れるだけです。
最後に③「〜れる/られる」を付ける。「行く」→「行かれる」、「帰る」→「帰られる」。これも尊敬語ですが、①②より敬意がやや軽く、受け身(「〜される」)と形が同じで紛らわしいのが難点です。よく使う動作は、できるだけ①の特定の語を使うのがおすすめです。
ていねいにしすぎる落とし穴——二重敬語
ここで、まじめな人ほどはまる落とし穴を、先に埋めておきます。「ていねいにするほど良い」と思って、敬語を重ねすぎることです。
たとえば「ご覧になる」(すでに尊敬語)に、さらに「られる」を足して「ご覧になられる」。「おっしゃる」(すでに尊敬語)に「られる」を足して「おっしゃられる」。これらは、1つの動作に同じ種類の敬語を二重に重ねた言い方で、二重敬語と呼ばれます。文化庁「敬語の指針」でも、二重敬語は一般的に適切ではないとされています。
直し方は簡単です。重ねず、1つにする。
| 重ねすぎ(二重敬語) | 正しい言い方 |
|---|---|
| ご覧になられましたか | ご覧になりましたか |
| おっしゃられました | おっしゃいました |
| お読みになられましたか | お読みになりましたか |
敬語は、足し算でていねいになるわけではありません。正しい敬語を1つ使えば、それで十分に敬意は伝わります。冒頭の「お伺いさせていただきます」のように盛りすぎるのも、これと同じクセ。ひとつ選んで、すっきり言い切りましょう。
共通例で確かめます。田中部長(相手)の動作を、尊敬語にしてみましょう。
| 田中部長の動作(普通の言い方) | 尊敬語 |
|---|---|
| 来た | いらっしゃいました・お越しになりました |
| (資料を)見た? | ご覧になりましたか |
| (お茶を)飲む | 召し上がってください |
| (〜と)言った | おっしゃいました |
田中部長は社外の目上の人ですから、その動作はすべて尊敬語で高めます。ここで「ご覧になられましたか」と言いたくなったら、二重敬語のサイン。「ご覧になりましたか」と1つに直しましょう。
この章の確認(演習)
共通例で、田中部長の動作を3つ選んでください(来る・見る・言う・飲む など)。そして、それぞれを尊敬語に変換してみます。専用の語があるものは特定の語で、なければ「お(ご)〜になる」で作ってみましょう。
さらにもう1つ。「お読みになられましたか」のような二重敬語の例を1つ自分で作り、それを正しい1つの敬語に直してみてください。「相手の動作を高める」「でも敬語は重ねない」——この2つを、自分の手で確かめられたら、ゴールです。
第3章:謙譲語——自分側(自分・身内)の動作をへりくだる
第1章の軸で「これは自分側の動作だ」と分かったら、使うのは謙譲語です。あおいさんの動作で練習しながら、この章には敬語のいちばんの関門——「身内」の扱いも出てきます。
この章のゴール
この章を読み終えると、自分側(自分・身内)の動作を、謙譲語(伺う・申す・拝見する・いただく 等)に変換できるようになります。さらに、取引先に対して自社の上司(身内)を立てない言い方に直せるようになります。
自分側の動作だと分かったら、謙譲語
謙譲語とは、自分側(自分・身内)の動作を「へりくだって」、結果的に相手を立てる言い方です。尊敬語が「相手を高めて立てる」のに対し、謙譲語は「自分を低くして、相対的に相手を立てる」。ちょうど裏返しの関係です。たとえば「見る」も、田中部長が見るなら「ご覧になる」(尊敬語)、あおいさんが見るなら「拝見する」(謙譲語)。動作の主が変われば、使う敬語も変わります。
謙譲語の作り方は2パターン
謙譲語の作り方は、2つです。
まず①特定の語に変える。自分側の動作にも、専用の謙譲語があります。
| 普通の言い方 | 謙譲語(自分側の動作) |
|---|---|
| 言う | 申す・申し上げる |
| 行く・来る | 伺う・参る |
| する | いたす |
| 見る | 拝見する |
| もらう | いただく |
| 聞く・訪ねる | 伺う |
次に②「お(ご)〜する/いたす」にはめる。専用の語がない動作は、この型で謙譲語にできます。「届ける」→「お届けする」、「案内する」→「ご案内する」、「報告する」→「ご報告いたします」。
ここでおすすめなのが、尊敬語と謙譲語を「相手用・自分用」のペアで覚えることです。取り違えがぐっと減ります。
| 動作 | 相手用(尊敬語) | 自分用(謙譲語) |
|---|---|---|
| 行く・来る・いる | いらっしゃる | 伺う・参る |
| 言う | おっしゃる | 申す・申し上げる |
| 食べる・飲む | 召し上がる | いただく |
| 見る | ご覧になる | 拝見する |
「いらっしゃる」は相手、「伺う」は自分。「おっしゃる」は相手、「申す」は自分。このペアが頭に入れば、「『いらっしゃる』と『伺う』、どっちを自分に使うんだっけ」と迷うことはなくなります。
いちばんの関門——社外では、自社の上司も「身内」
さて、この章の山場です。謙譲語でいちばん間違えやすいのが、「身内」の範囲です。
家族が身内なのは分かりますね。でも、ビジネスでは、会社の外の人(取引先)と話すとき、自社の上司も「身内」になります。つまり、田中部長(社外)に対しては、あおいさんから見て、自社の佐藤課長も「うちの人」。だから、佐藤課長の動作に尊敬語を使ってはいけません。
たとえば、佐藤課長が席にいないとき。取引先の田中部長に、こう言ってしまいがちです。「佐藤課長は、ただいま外出していらっしゃいます」。気持ちは分かります。でも、これは社外の人に対して、身内(佐藤課長)を高めてしまっている言い方です。正しくは、身内としてへりくだり、呼び捨てにします。
| 言ってしまいがち(身内を高めている) | 正しい言い方(身内はへりくだる) |
|---|---|
| 佐藤課長はいらっしゃいません | 佐藤はただいま席を外しております |
| 部長がおっしゃっていました | (部長の)田中が申しておりました |
「課長」も付けず、「佐藤」と呼び捨てにするのがポイントです。普段は「佐藤課長」と呼んでいても、社外の人の前では「佐藤」。文化庁の解説でも、これは身内(ウチ)と社外(ソト)の関係でとらえた言い方であって、上司への敬意が無いわけではない、とされています。最初は抵抗があるかもしれませんが、これがビジネスの型です。
もう一つ。田中部長から「この資料を送っておいて」と頼まれたとき、「了解しました」と言いたくなりますが、ビジネスの場面では、目上・社外の人には「承知しました」「かしこまりました」が広く定着していて、こちらが好まれます。ここでは「承知しました」と返しましょう。
共通例で、自分側(あおいさん)の動作を、謙譲語にしてみます。
| あおいさんの動作(普通の言い方) | 謙譲語 |
|---|---|
| (会議室へ)案内する | ご案内します・ご案内いたします |
| (資料を)見た | 拝見しました |
| (のちほど部長のところへ)行く | 伺います |
| (〜と)言う | 申します・申し上げます |
田中部長の動作は尊敬語、あおいさんと佐藤課長(身内)の動作は謙譲語。第1章で立てた軸が、最後まで一本に通っているのが分かりますね。
この章の確認(演習)
共通例で、あおいさんの動作を3つ選んでください(案内する・見る・行く・言う など)。そして、それぞれを謙譲語に変換してみます。専用の語があるものは特定の語で、なければ「お(ご)〜する」で作ってみましょう。
さらにもう1つ。「(取引先の田中部長に向かって)佐藤課長は外出していらっしゃいます」を、身内に敬語をつけない正しい言い方に直してみてください。「自分側の動作はへりくだる」「社外では自社の上司も身内」——この2つを、自分の手で確かめられたら、ゴールです。
まとめ:敬語は丸暗記じゃない。迷ったら「これは誰の動作?」
おつかれさまでした。「マナビズ商事に田中部長が来社する」という、たった1つの来客応対を、丁寧語→尊敬語→謙譲語と、最後まで1つの軸で使い分けてきました。その軸を、もう一度確かめます。
| 種類 | いつ使うか | 例 |
|---|---|---|
| ①丁寧語 | 文末をていねいに(誰の動作でも・土台) | です・ます・ございます |
| ②尊敬語 | 相手(目上・社外)の動作を高める | いらっしゃる・おっしゃる・召し上がる・ご覧になる |
| ③謙譲語 | 自分側(自分・身内)の動作をへりくだる | 伺う・申す・いただく・拝見する |
敬語は、何百ものフレーズを丸暗記するものではありませんでした。「これは誰の動作か」という、たった1つの軸で、この3種類から選ぶ作業です。相手の動作なら尊敬語、自分側の動作なら謙譲語、文末は丁寧語。この順に問えば、初めての場面でも、自分で組み立てられます。
つまずきやすい3つも、軸さえあれば直せます。ていねいにしようと敬語を重ねた「ご覧になられる」は、二重敬語だから1つに(「ご覧になりました」)。取引先の前で「佐藤課長はいらっしゃいません」と身内を高めてしまったら、社外では上司も身内だから呼び捨てでへりくだる(「佐藤は席を外しております」)。目上への返事は、「了解しました」より「承知しました」。
この講座でいちばん覚えて帰ってほしいのは、このひと言です——敬語は丸暗記じゃない。迷ったら「これは誰の動作?」。相手なら尊敬語、自分なら謙譲語、文末は丁寧語。
明日の最初の一歩:次に目上・社外の人と話すとき、口を開く前に一拍おいて「いま敬語にしたいのは、誰の動作か」と1回だけ問いましょう。相手の動作なら尊敬語、自分側なら謙譲語、文末は丁寧語。そして、よく使う言葉を「相手用・自分用」のペア(いらっしゃる⇔伺う/おっしゃる⇔申す)で手元のメモに書いておいてください。軸は、使うほど体に入っていきます。
そして、ここで身につけた「誰の動作かで選ぶ」を広げたくなったら、その先の道も用意されています。クッション言葉やあいさつ・名刺交換を含めたビジネスマナーの基礎、書き言葉の敬語(メール・文書)のビジネスメール・文書の基礎、敬語を電話の1場面で実地に練習する電話応対の基本——続きは、関連講座で学べます。まずはこの「これは誰の動作?」を、明日の自分の口グセにしてみましょう。それが、すべての土台になります。
よくある質問
尊敬語と謙譲語はどう使い分ければいいですか
迷ったら「誰の動作か」を問うだけです。相手(目上・社外)の動作なら尊敬語(いらっしゃる・おっしゃる・召し上がる)、自分側の動作なら謙譲語(伺う・申す・拝見する)を選びます。
「了解しました」はビジネスで使っても問題ないですか
目上や社外の方には「承知しました」または「かしこまりました」が広く定着していて好まれます。「了解しました」は同等・目下の相手に対して使われることが多い表現です。
二重敬語とは何ですか。どう直せばいいですか
1つの動作に同じ種類の敬語を二重に重ねた言い方を二重敬語といいます。「ご覧になられる」「おっしゃられる」などが代表例です。正しくは重ねず1つにして「ご覧になる」「おっしゃる」と言い切ります。
取引先の前で自社の上司の名前はどう呼べばいいですか
社外の人と話すときは自社の上司も「身内」になるため、呼び捨てにしてへりくだります。「佐藤課長はいらっしゃいません」ではなく「佐藤はただいま席を外しております」が正しい言い方です。
敬語を自然に使えるようになるにはどうすればいいですか
まず「誰の動作か」を問う習慣をつけることが出発点です。そのうえで、よく使う言葉を「相手用・自分用」のペア(いらっしゃる⇔伺う、おっしゃる⇔申す)として手元に書いておき、実際の場面で繰り返し使うことで体に入っていきます。