「リストはあるのに、誰から声をかければいいか分からない」。資料請求やセミナー申込で見込み客は少しずつ増えているのに、その一覧を表計算ソフトで寝かせたまま、思い出したときに全員へ同じ案内メールを一斉送信していないでしょうか。温度の低い相手に営業を回して断られ、逆に関心が高まっていた相手を放置して、気づいたら競合に決めていた——手作業の追客には、どうしても限界があります。問い合わせから受注までの検討期間が長いBtoBでは、接点を持っただけの見込み客を放置すると、そのまま競合へ流れてしまいます(出典:シャノン「リードナーチャリングとは?」)。
この講座で扱うマーケティングオートメーション、略してMA(マーケティングオートメーション)は、その「放置」と「手作業」を解く仕組みです。MAとは、見込み客の行動を記録し、関心度に応じて次の接点を自動で出す仕組みのこと。ただし最初に強くお伝えしたいのは、自動化されるのは追客の“流れ”であって、誰に声をかけるかの判断や、送る中身そのものまで自動で良くなるわけではない、ということです。流れは自動でも、何を送るかはあなたが決めます。
本講座は「集めた見込み客を、放置せず・手作業せず育てる“流れ”の設計」だけに絞ります。顧客の情報を一元管理する台帳そのものの考え方はCRM入門が、その流れの中で送る「メール1チャネル」の配信改善はメールマーケティング入門が、送る記事そのものの作り方はコンテンツマーケティング入門が、それぞれの正本です。本講座はそこには踏み込みません。
この講座を終えると、次の3つができるようになります。MAが自動化する範囲と、CRMや単なるメール配信との違いを自分の言葉で説明できること。見込み客を関心度(行動)で分け、営業に渡す“温まった見込み客”の条件を決められること。そして「誰に・いつ・何を送り、どの行動で次に進めるか」を分岐させた自動育成シナリオを1本、紙の上で設計できることです。覚えて帰る型は「行動で温度を測る → ホット(営業へ渡す)の条件を決める → 起点・接点・分岐で1本の流れにする → 段階の数字で抜けを直す」。本講座を通して、ある会社が「資料DLで集めた見込み客を、開封やページ閲覧といった行動に応じて自動で育て、温まったら営業へ渡す」というBtoBの追客フローを1つ作り上げていく場面を、全章で追いかけます。
この講座のポイント
- MAが自動化する範囲(見込み客の行動を記録し、関心度に応じて次の接点を自動で出す)を、CRMや単なるメール配信との違いとあわせて自分の言葉で説明できる。
- 見込み客を関心度(行動)で分けられ、営業に渡す“温まった見込み客”の条件(ホットの定義)を、自分の言葉で決められる。
- 「誰に・いつ・何を送り、どの行動で次に進めるか」を分岐させた自動育成シナリオを1本、紙の上で設計できる。
- 設計したシナリオを「どの段階で見込み客が抜けたか」で読み、改善する点を1つ挙げられる。
マーケティングオートメーションとは何か——手作業の追客との違い
この章のゴール
MAが自動化する範囲(見込み客の行動を記録し、関心度に応じて次の接点を自動で出す)を、CRMや単なるメール配信との違いとあわせて自分の言葉で説明できる。
マーケティングオートメーションは「行動を引き金に次の接点を自動で出す」仕組み
MAとは、見込み客を獲得し、育て、選び、営業へ引き渡すまでのマーケティング業務を自動化する仕組み、またはそのためのツールを指します(出典:ferret One「MAとは」)。この説明の中心にあるのは「行動の記録」です。MAは、見込み客が自社サイトのどのページを見たか、どのメールを開封してどのリンクをクリックしたか、どの資料をダウンロードしたかといった行動履歴を自動で収集・蓄積します(出典:ferret One)。
ここが手作業の追客と決定的に違う点です。表計算で名簿を持っているだけでは、相手が今どんな行動をしているかは見えません。MAは行動を記録し、その行動を引き金(トリガー)にして、あらかじめ決めておいた次の接点を自動で出します。たとえば「資料をダウンロードした」という行動を引き金に、自動でお礼メールを送る。「そのメールを開封した」という次の行動を引き金に、関連するお役立ち情報を送る——このように、行動が次の接点を呼ぶ形をつくれるのが、画一的な一斉配信との違いです(出典:セールスフォース・ジャパン「MAとは」)。
本講座が全章で追う共通例で考えます。資料DLで集まった見込み客に、これまでは思いついたときに全員へ同じ案内を一斉送信していました。MAを使うと、これを「資料DL(行動)→ 自動でお礼メール →(開封したら)次の案内」という、行動に応じて枝分かれする流れに置き換えられます。送る通数や中身は同じでも、「全員に同じものを一度に」から「行動した人に、その行動に合ったものを」へと変わるわけです。
なお、見込み客(リード)に継続的なコミュニケーションを行い、購買意欲を段階的に高めていく取り組みを、リードナーチャリング(見込み客の育成)と呼びます(出典:シャノン)。MAは、このナーチャリングを自動化する道具だと捉えると分かりやすいです。
顧客台帳を持つCRM・1通を送るメール配信とは役割が違う
「それはCRMやメール配信ツールと何が違うの?」という疑問は当然です。役割の地図で整理します。MAは、主に商談前の見込み客の獲得・育成・選別を担い、質の高い見込み客を営業へ引き渡す側にあります。これに対してCRMは、主に受注後の既存顧客の情報を一元管理し、関係を維持してリピーターを育てる側にあります(出典:ferret One/セールスフォース・ジャパン)。
平たく言えば、CRMは顧客情報を持つ「台帳そのもの」、MAはその台帳に載った見込み客へ「自動で動きかける側」です。本講座はこの動きかける側に立ちます。台帳に何の項目を持ち、どう一元管理するかという設計そのものはCRM入門の領域なので、そちらに譲ります。
メール配信ツールとの違いも同じ軸で見えてきます。単にメールを一斉に送る機能だけなら、MAでなくてもできます。MAが違うのは、行動履歴を記録し、その履歴を次の施策に活かして、行動に応じて送る内容を変えられる点です(出典:シャノン)。「メールを送る」単機能ではなく、「行動を見て次の接点を出す」という流れの自動化が本質だ、と押さえてください。流れの中の「メール1通の作り込みや開封改善」はメールマーケティング入門が深く扱うので、本講座は1通ごとの良し悪しには立ち入りません。
「MA=高機能なメール配信ツール」「契約すれば自動で売上が上がる」というつまずき
ここでつまずきやすいのが2点です。1つは「MA=高機能なメール配信ツール」という思い込み。これだと、結局は全員への一斉送信を少し賢くしただけ、という使い方に留まってしまいます。MAの中心は配信そのものではなく、行動を引き金に流れを進めることだと捉え直してください。
もう1つは「ツールを契約すれば、あとは自動で売上が上がる」という期待です。これは実態と違います。MAは育成業務の全部を自動化するわけではなく、ペルソナの設定やシナリオの設計、施策の効果測定など、人が行う作業が多く残ります(出典:ferret One)。そもそもの戦略が不十分なら、ツールを入れても期待した効果は得られにくく、成果が出るまでには時間もかかります(出典:セールスフォース・ジャパン)。つまり自動化されるのは“流れ”であって、誰に声をかけるかの判断や、送る中身そのものではありません。この一文が、本講座の背骨です。
この章の確認(演習)
自社(または身近な例)で、いま手作業でやっている追客を1つ挙げてください。そのうえで、それが「①見込み客の行動を記録できているか」「②関心度を判断できているか」「③次の接点を出せているか」の3つのうち、どこで止まっているかを書き出します。最後に、MAとCRM・単なるメール配信の違いを、それぞれ一言で説明してみましょう。
見込み客を「温度」で分ける——リードと関心度の見える化
この章のゴール
見込み客を関心度(行動)で分けられ、営業に渡す“温まった見込み客”の条件(ホットの定義)を、自分の言葉で決められる。
全員に同じ熱量で接しても刺さらない——行動を関心度のサインとして読む
流れを自動化する前に、決めておくべきことがあります。それは「誰を、どれくらい温まっていると見なすか」です。すべての見込み客に同じ施策を同じ熱量で行っても、十分な効果は得られず、営業の手間も分散してしまいます(出典:シャノン)。だからまず、見込み客を温度で分けます。
温度を測るものさしが「行動」です。見込み客がサイトのどのページを見たか、どのメールを開封しクリックしたかといった行動履歴を読むと、その人の興味関心や検討の度合いが客観的に見えてきます(出典:ferret One)。たとえば、お役立ち記事を載せたオウンドメディアを訪れている段階は「認知レベル」、導入事例のページを見ている段階は「興味・関心レベル」、価格ページを見ている段階は「比較・検討レベル」、というふうに、行動を検討フェーズのサインとして読み取れます(出典:シャノン)。価格ページを自分から見にきた人は、ただ資料をダウンロードしただけの人より、明らかに温まっています。
「まだ先の人」「関心が上がってきた人」「いま動きそうな人」に分ける
この読み取りを、共通例にあてはめてみます。資料をDLしただけの段階は「関心ふつう(まだ先の人)」。そのあと送ったお役立ち記事を開封した段階は「関心やや上(関心が上がってきた人)」。さらに価格ページまで閲覧した段階は「関心高(いま動きそうな人)」。同じ名簿の中の見込み客を、こうして3つの温度に振り分けます。大事なのは、役職や会社の規模といった属性「だけ」で順位をつけないことです。出典でも、属性データに加えて、ページ閲覧やメール開封といった行動を条件に組み合わせることがすすめられています(出典:ferret One)。肩書きが立派でも行動が静かな人より、肩書きは普通でも価格ページを何度も見ている人のほうが、いま温まっている可能性が高いのです。
なお、行動を細かく点数化して関心度を数値で測る「スコアリング」という考え方もあります(出典:セールスフォース・ジャパン)。たとえば「料金ページ閲覧は(例)10点、事例ページは(例)5点」のように配点して合計で見る方法です。ただし点数の設計は奥が深く、本講座では深入りしません。まずは「弱い関心/強い関心」の2段階に仕分けられれば十分です。何を台帳に記録し、どう持つかという土台づくりはCRM入門に譲ります。
営業へ渡す“ホット”の条件を先に言葉で決めておく
温度で分けたら、最後に必ず決めておきたいのが「どの状態になったら営業へ渡すか」です。検討度や購買意欲が高まった見込み客を、ホットリードと呼びます。そして、一定の関心を示した見込み客を評価して「商談化すべき相手」を選び出すことを、リードクオリフィケーション(選別)と言います(出典:シャノン)。この選別の基準——本講座で言う“ホットの定義”——を、施策を始める前に言葉で決めておくのがコツです。
定義は1文で構いません。共通例なら「価格ページを閲覧し、かつ案内メールを2回以上開封したら、営業へ渡す」のように書きます。条件を満たした人を有望リストへ自動で抽出し、営業へ通知する、という流れにつなげられます(出典:ferret One)。逆に、この定義を決めずに「なんとなく良さそうな人」を感覚で営業へ回すと、温度の低い相手を渡して断られる、という最初の問題に逆戻りします。先に言葉で決めておくことが、勘の追客から抜け出す分かれ目です。
この章の確認(演習)
共通例の見込み客が取りそうな行動を3つ挙げてください(例:資料DL、お役立ち記事の開封、価格ページの閲覧)。それぞれを「弱い関心のサイン」か「強い関心のサイン」かに仕分けます。そのうえで、営業へ渡す“ホット”の条件を、自分の言葉で1文に書いてみましょう。
自動育成シナリオを設計する——誰に・いつ・何を・どの分岐で
この章のゴール
「誰に・いつ・何を送り、どの行動で次に進めるか」を分岐させた自動育成シナリオを1本、紙の上で設計できる。
シナリオは「起点(トリガー)→ 接点 → 待つ → 行動を見て分岐」の連なり
温度の分け方とホットの定義が決まったら、いよいよ“流れ”を組みます。この流れを、MAではシナリオと呼びます。シナリオとは、顧客が情報収集から検討、導入に至る流れに合わせて、どの情報をどうアプローチするかを計画したものです(出典:セールスフォース・ジャパン)。検討期間の長いBtoBでは、行動や関心度に応じてフェーズごとに施策を組み立てます(出典:セールスフォース・ジャパン)。
シナリオの骨格は「起点(トリガー)→ 接点 →(少し)待つ → 行動を見て分岐」の連なりです。起点とは、流れが始まるきっかけの行動。何かアクションがあったら感知して次のアクションを起こす仕組みを、トリガーといいます(出典:ferret One)。資料DLや価格ページの閲覧が、その典型的な起点です。接点とは、起点を受けて自動で送る内容のこと。特定の行動をとった見込み客に、複数回にわたり自動でメールを配信する施策を、ステップメールと呼びます(出典:ferret One)。そして接点のあとに少し待ち、相手の行動を見て次の枝を変える——これが分岐です。
ゴールから逆算し、各ステップで「見る行動」を決める
シナリオを書くときは、最初にゴールを決め、そこから逆算します。本講座のゴールは「温まった見込み客を営業へ渡す」こと。共通例を1本のシナリオに展開すると、こうなります。
- 起点:資料DL(この行動でシナリオが始まる)
- 接点1:自動でお礼メールを送る
- 待つ:(例)3日
- 接点2:お役立ち記事を送る
- 分岐:その記事を開封したか?
- 開封し、かつ価格ページも閲覧 → 「商談化候補」として営業へ通知(=ゴール到達)
- 未開封 → 別の切り口の記事で、もう一度アプローチ
ポイントは、各接点のあとに必ず「見る行動」と「分岐の条件」を置くことです。「開封したか」「価格ページを見たか」という行動を見て、次に進めるか・別の枝へ回すかを決めます。MAは、こうした条件による分岐を組めます(出典:ferret One)。実際、資料請求のフォームまで来たのに登録せず離脱した人へ、翌日に自動でフォローメールを送る、といった行動起点のシナリオも組まれています(出典:シャノン)。
送る中身そのものより「順番と分岐の条件」を設計する
ここで意識したいのは、設計の重心です。本章で設計するのは、メール1通の文面の出来栄えではありません。設計するのは「どの順番で・どの行動を見て・どう枝分かれさせるか」です。送る記事そのものの作り方はコンテンツマーケティング入門が、1通ごとの配信設計や開封改善はメールマーケティング入門が深く扱います。本章は、それらの中身を“どの順で誰に出すか”という流れだけに絞ります。
つまずきは2つあります。1つは、分岐を作らず全員に同じ流れを流してしまうこと。これでは一斉送信を自動化しただけで、温度に応じた育成になりません。もう1つは、ステップや条件を増やしすぎて、どの行動で次に進むのかが自分でも分からなくなること。「獲得 → 育成 → 選別」という一連の流れで「どの顧客に・どのタイミングで・どの施策を行うか」が明確になることが、シナリオ設計の狙いです(出典:シャノン)。まずは起点・接点2〜3個・分岐1か所・ゴール条件という、シンプルな1本から始めましょう。
この章の確認(演習)
共通例について、自動育成シナリオを1本、箇条書きまたは簡単な図で設計してください。必ず「起点」「接点(2〜3通)」「各接点のあとに見る行動と分岐の条件」「ゴール(営業へ渡す)の条件」の4要素を入れます。日数や通数は例で構いません。書けたら、分岐が1か所以上あるか、ゴール条件が1文で言えるかを確認しましょう。
シナリオを回し、改善する——成果の見方と落とし穴
この章のゴール
設計したシナリオを「どの段階で見込み客が抜けたか」で読み、改善する点を1つ挙げられる。
シナリオは作って終わりではない——各ステップの通過を段階ごとに見る
シナリオは、作って動かし始めたら終わり、ではありません。むしろそこからが本番です。MAには、施策の成果を分析するレポート機能があり、開封率やクリック率、コンバージョン率といった指標を見て、どの内容やアプローチが効いたかを分析して改善に活かせます(出典:ferret One)。ただし、その数字を読んで手を入れる作業そのものは、ツールではなく人が行います(出典:ferret One)。
見方のコツは、結果を「段階ごと」に並べて読むことです。共通例のシナリオなら、「資料DLした人のうち、お礼メールを開封した割合」「お役立ち記事を開封した割合」「価格ページまで来た割合」「営業へ渡った割合」と、ステップ順に通過の状況を並べます。そのうえで、前後の段階と比べて落ち込みが大きいところ——つまり最も人が抜けている1か所を探します。なお、開封率やクリック率の“あるべき水準”は業種や商材で大きく変わるため、本講座では具体的な目安の数値は示しません。判断は、他社の数字ではなく自社の過去の実績を基準に行うのが現実的です。
最も抜けが大きい1ステップから手を入れる
改善は、全部を一度に直そうとしないことが肝心です。最も抜けが大きい1ステップを特定し、そこに原因の仮説を1つ立て、直す対象を1つだけ決めます。たとえば共通例で、お役立ち記事の開封がほとんどない場合は、件名か、送るタイミングに問題がある、という仮説が立ちます。開封はされているのに価格ページに進む人が少ない場合は、記事の内容と次の案内のつながりが弱い、と読めます。
MAの運用でありがちな失敗が、最初から複雑なシナリオや細かい条件を作り込みすぎることです。条件が細かすぎると、効果の検証もメンテナンスも膨大な手間がかかり、設定がやがて形骸化します(出典:ferret One)。だからこそ、まずは検証しやすいシンプルな形で始め、評価しながら少しずつ改善していくのが、結果的にうまくいく進め方です(出典:ferret One)。改善の優先順位づけそのものは、公的機関も同じことを言っています。定期的に数を集計して方法別に費用対効果を測り、良いものは続け、悪いものは改善するか、場合によっては終了する——この継続・改善・終了の判断を回し続けることが大切です(出典:J-Net21「集客販促」)。施策にかけた費用が成果に見合うかという投資の判断そのものは投資対効果ROI入門に譲り、本章は「段階の数字で抜けを見つけ、1つ直す」に絞ります。
「最後の商談数」だけで見ない——自動化のしすぎは信頼を損なう
落とし穴は、成果を「最後に何件商談化したか」だけで見てしまうことです。これだと、どの段階で抜けたのかが分からず、次に何を直せばいいかも見えません。途中の段階の通過を見るからこそ、手を入れる場所が分かります。また、一度に複数の箇所を変えると、何が効いたのかが分からなくなります。変えるのは1か所ずつにしましょう。
もう1つ、自動化だからこそ気をつけたい落とし穴があります。送りすぎ・自動化しすぎは、かえって信頼を損ないます。問い合わせた直後に営業メールが立て続けに届いたり、相手の状況を無視して機械的に案内が飛んだりすると、スパムと受け取られ、企業への信頼低下や顧客離れにつながります(出典:セールスフォース・ジャパン)。公的機関も、同じところから一日に何通もメールが来れば迷惑メールと判断されて解除されやすくなる、と注意しています(出典:J-Net21「メールマガジンを効果的な販促に活かすには」)。自動で送れるからといって、頻度と中身への配慮を欠いてはいけません。流れは自動でも、何を・どれくらいの頻度で送るかは、やはりあなたが決めることです。
この章の確認(演習)
第3章で設計したシナリオの各ステップに、「そこで見る数字(通過の状況)」を1つずつ添えてください。そのうえで、もし1ステップだけ改善するならどこを直すかを選び、なぜそこなのか・件名/送るタイミング/分岐条件のどれを変えるのかを、1文で説明してみましょう。
まとめ
マーケティングオートメーション(MA)とは、見込み客の行動を記録し、関心度に応じて次の接点を自動で出す仕組みです。手作業の一斉送信と違うのは、行動を引き金に流れが進む点。CRMが顧客情報を持つ台帳そのものなら、MAはその台帳の見込み客へ自動で動きかける側に立ちます。覚えて帰る型は「行動で温度を測る → ホット(営業へ渡す)の条件を決める → 起点・接点・分岐で1本の流れにする → 段階の数字で抜けを直す」。そして繰り返しになりますが、自動化されるのは“流れ”であって、誰に声をかけるかの判断や、送る中身そのものではありません。何を送るかは、あなたが決めます。
明日の一歩として、いま手作業でやっている追客を1つ選び、「起点 → 接点 → 分岐 → 営業へ渡す条件」の1本のシナリオを紙に書き出してみてください。それが、放置と手作業から抜け出す最初の設計になります。さらに進んで、その流れの中で送る「メール1チャネル」の配信を深く磨きたい方はメールマーケティング入門へ、見込み客を載せる顧客台帳側の整え方を知りたい方はCRM入門へ進むのが次のステップです。
本講座の特典として、起点・接点・分岐条件・ホットの定義を埋めるだけで1本の流れが完成する「自動育成シナリオ設計シート」をご用意しています。シートの入手案内と、MAや見込み客育成に役立つ実務情報のお届けは、メルマガ登録からどうぞ。
よくある質問
MAとメール配信ツールは何が違うのですか
MAは行動を記録し、その行動を引き金に送る内容を変えられます。全員へ同じものを一斉送信する配信ツールと違い、行動を見て次の接点を自動で出す“流れ”の自動化が本質です。
MAを導入すれば自動で売上は上がりますか
上がりません。MAが自動化するのは流れだけで、ペルソナ設定・シナリオ設計・効果測定などは人が行います。戦略が不十分なら効果は出にくく、成果には時間もかかります。
何から始めればよいですか
まず見込み客を行動で「弱い関心/強い関心」に分け、営業へ渡すホットの条件を1文で決めます。次に起点・接点2〜3個・分岐1か所・ゴール条件のシンプルなシナリオを1本作るのが現実的です。
シナリオはどう改善すればよいですか
各ステップの通過状況を段階順に並べ、最も抜けが大きい1か所を探します。直すのは一度に1つだけ。目安は他社の数字ではなく、自社の過去の実績を基準に判断します。