若手育成入門 | マナビズ

若手育成入門

若手育成入門

「丁寧に教えているのに、いつまでも一人立ちしてくれない」「最初はあんなにやる気があったのに、最近は受け身だ」——若手を持つようになって、こんなモヤモヤを抱えていませんか。

多くのリーダーは、若手が育たない理由を「自分の教え方が下手だから」か「本人のやる気がないから」のどちらかで説明しようとします。でも、原因はそのどちらでもないことがほとんどで、本当の原因は関わり方が“その若手の今の段階”に合っていないことにあります。同じ若手でも、新しい仕事を始めたばかりの時と、半年たって慣れてきた時とでは、必要な関わり方はまるで違います。なのに、ずっと同じ関わり方——手取り足取り教え続ける、あるいは「もう大丈夫だろう」と丸投げする——を続けると、過保護で自分の頭で考えなくなったり、逆に放り出されて潰れてしまったりします。

実は、若手育成に「これさえやれば育つ」という唯一の正解はありません。「優れたリーダーシップに普遍的な正解はなく、相手の状況に応じて関わり方を変えるべきだ」という考え方は、「状況対応型リーダーシップ(SL理論)」と呼ばれ、ハーシィとブランチャードという2人の研究者が、1960年代後半から1970年代にかけて提唱しました。やることはシンプルで、「①今この若手はどの段階か? ②だから、自分はどう関わるか?」を考えるだけです。この講座を読み終えたあなたは、次の3つができるようになります。

  1. 若手育成を「一律に丁寧に教える・根性で頑張らせる」ことではなく、若手の今の成長段階を見極め、関わり方を段階別に変えることとして、自分の言葉で説明できる(同じ関わり方を続けるのが一番危ない、と言える)
  2. ある若手の、ある仕事について、「できる(能力)×やる気(意欲)」の2軸で、今どの段階にいるかを見極められる(やる気はあるができない/壁にぶつかりやる気も下がった/できるが自信がない/一人で回せる、の4段階)
  3. 見極めた段階に合わせて、関わり方(指示型→コーチ型→支援型→委任型)を使い分けられる(段階が上がれば手を放し、つまずいたら一段戻せる)

この講座は最後まで、「チームに配属された入社2年目の若手・健太(けんた)さんに、『お客様向けの月次レポート作成』を任せ、その成長に合わせて関わり方を変えていく」という、たった1つの場面だけで説明します。同じ健太さんを段階1(やる気はあるができない)から段階4(一人で回せる)まで追いながら、関わり方をどう変えるかを1マスずつ見ていきます。各章末には演習も置いているので、自分のチームの若手を1人思い浮かべながら読み進めてください。なお、任せる仕事の難易度の決め方や面談・声かけの技術といった各論は、関連講座で深められます。まずはこの1本で、「見極めて関わり方を変える」土台を掴みましょう。

この講座のポイント

  • 若手育成を「一律に丁寧に教える/自分のやり方を教える」ことではなく、若手の今の成長段階を見極め、関わり方を段階別に変えることとして、自分の言葉で説明できる
  • ある若手の、ある仕事について、「できる(能力)×やる気(意欲)」の2軸で、今どの段階にいるかを見極められる
  • 見極めた段階に合わせて、関わり方(指示型→コーチ型→支援型→委任型)を使い分けられる
  • 日々の関わりの中で段階を見極め直し、段階が上がれば手を放し、つまずいたら一段戻す、という調整ができる

若手育成とは何か(見極めて、関わり方を変える)

まずは「丁寧に教えているのに育たない」というモヤモヤの正体をはっきりさせ、若手育成を「気合いと丁寧さ」のイメージから、自分で使える1枚の地図に変えます。

この章のゴール

この章を読み終えると、若手育成を「一律に丁寧に教える/自分のやり方を教える」ことではなく、若手の今の成長段階を見極め、関わり方を段階別に変えることとして、自分の言葉で説明できるようになります。

「教え方」でも「やる気」でもない、育たない本当の原因

あなたの教え方が下手なわけでも、若手のやる気がないわけでもありません。多くの場合、若手が育たないのは、関わり方が“その若手の今の段階”に合っていない——これが正体です。

たとえば、まだできない若手に丸投げすれば固まり、もう一人でできる若手に細かく口を出せばやる気をなくします。どちらも、関わり方そのものが悪いのではなく、相手の段階に合っていないのです。

ここで覚えてほしい背骨は、ひとつです。若手育成は“同じ関わり方”を続けることではなく、“段階に合わせて変える”こと。まず見極め、それから関わり方を変える。この順番さえ持てば、「丁寧に教えているのに育たない」と思ったとき、自分を責める前に「今の関わり方は、この子の段階に合っているか」と問い直せます。

関わり方に“唯一の正解”はない——相手の段階で変える

新人とベテランに同じ関わり方をする人はいません。新人にはやり方を教え、ベテランには任せる。これは誰でも自然にやっています。若手育成でつまずくのは、その「相手で変える」を、同じ若手の中でも時間とともに変える、というところまで広げられていないからです。同じ健太さんでも、新しい仕事を任せた初日と半年後とでは、必要な関わり方はまるで違う。つまり「手取り足取り教える」も「任せて見守る」も、それ自体に良い・悪いはなく、相手の今の段階に合っているかどうかで、良い関わりにも逆効果にもなります。これが、先ほどの状況対応型リーダーシップ(SL理論)の考え方です。「相手によって、同じ相手でも時期によって、ベストな関わり方は変わる」——この一点だけ持って帰ってください。

若手育成は2ステップ——①見極める、②関わり方を変える

では、具体的にどうするのか。やることは、たった2ステップです。

ステップやることひとことで言うと
① 見極めるその若手が、その仕事で今どの段階にいるかを見る今どこ?
② 関わり方を変えるその段階に合った関わり方をするだからどう関わる?

これが、若手育成の全体像=1枚の地図です。①で「今どの段階か」を見極めてから、②で「だから、どう関わるか」を決める。いきなり「どう教えよう」「どう任せよう」と関わり方から考えると、相手の段階に合わなくなります。よく聞く「ティーチング(教える)」「コーチング(引き出す)」「任せる」も、すべてこの地図に乗る関わり方の一種です。今は細かいやり方を覚える必要はなく、「どれも、相手の段階に合わせて選ぶ道具なんだな」とだけ掴んでください。

ここで、この講座を通して使う共通例に登場してもらいましょう。入社2年目の健太さんです。あなたは健太さんに、新しく「お客様向けの月次レポート作成」を任せることにしました。さて、どう関わるか。地図を持たないと、「2年目だし任せても大丈夫だろう」と丸投げするか、「不安だから全部教えよう」と抱え込むか、いつも自分が決めている“同じやり方”で動いてしまいます。そうではなく、「①健太さんは、この仕事で今どの段階? ②だから、自分はどう関わる?」の順で考える——これが若手育成です。この章では中身は埋めず、2つの問いの“枠”だけを立てておきます。

この章の確認(演習)

共通例「健太さんの月次レポート」について、いきなり「どう教えるか/どう任せるか」を考えるのをやめて、次の2つの問いを、答えは空欄のまま書き出してみてください。

  • ① 健太さんは、この仕事で今どの段階か:_____
  • ② だから、自分はどう関わるか:_____

そのうえで、「若手育成とは、相手の段階を見極めて関わり方を変えることだ」を、自分の言葉で1〜2行に書いてみます。「どう教えるか」からではなく「今どの段階か」から入る感覚を言葉にできたら、ゴールです。空欄は、第2章・第3章で1つずつ埋めていきます。

成長段階を見極める(できる×やる気の2軸で)

地図の1つ目のステップ、「見極める」に入ります。関わり方を変える前に、「今この若手はどの段階か」を見られるようにします。

この章のゴール

この章を読み終えると、ある若手の、ある仕事について、「できる(能力)×やる気(意欲)」の2軸で、今どの段階にいるかを見極められるようになります。

見極めのものさしは「できる」と「やる気」の2軸

段階を見極めるものさしは2つ、「できる(能力・スキル)」「やる気(意欲・自信)」です。

  • できる(能力)……その仕事を一人で最後までできるか。どこで詰まるか。
  • やる気(意欲)……前向きか、自信があるか。不安や停滞はないか。

ここで大事なのは、必ず2軸の両方で見ることです。やる気だけで「やる気があるから大丈夫」と判断すると、まだできていないのに任せて失敗させてしまう。逆に、できるかどうかだけで見ると、自信をなくしかけているサインを見逃します。能力と意欲の両方を見て、はじめて「今どの段階か」が分かります。

若手が通る4つの段階

この2軸で見ると、若手はある仕事について、おおむね次の4つの段階を通っていきます。

段階できる(能力)やる気(意欲)どんな状態か
段階1まだできない高い新しい仕事にはりきっている初心者
段階2まだできない下がっているやってみて壁にぶつかり、自信もやる気も落ちた
段階3できるゆらいでいる一人でできるが、まだ自信がなくムラがある
段階4できる高い一人で回せて、自分から動ける

注目してほしいのは、段階2です。「最初はあんなにやる気があったのに、最近下がってきた」——多くのリーダーが「最近の子は受け身だ」と感じる場面ですが、これは性格でも世代のせいでもなく、新しいことを学ぶ人なら誰もが通る自然な段階です。

自転車の練習と同じです。最初は「乗れるようになりたい!」とわくわくしますが(段階1)、実際にやると何度も転んで「自分には向いてないかも」と気持ちが沈みます(段階2)。だから、若手のやる気が下がってきたら、「受け身になった」と決めつける前に、「今は段階2だな」と見極めることが大切なのです。

段階は「人」ではなく「その仕事」で見る

もう一つ、見極めで間違えやすいポイントがあります。それは、段階を“人”に貼りつけてしまうことです。「健太さんは2年目だから、まあ段階2くらいかな」というように、人をひとくくりにランクづけしてしまう。これは間違いです。

段階は、人の性格ランクではありません。“その仕事についての、今の状態”です。同じ健太さんでも、新しく任せた月次レポートは段階2(まだ苦戦中)でも、入社以来やってきた電話応対は段階4(もう一人で完璧)、ということが普通に起きます。つまり「健太さんは段階2」とは言えず、「健太さんは、レポートは段階2、電話応対は段階4」と、仕事ごとに見るのが正しい見方です。これを押さえると、「2年目なんだから、これくらいできて当然」という思い込みから抜け出せます。その仕事が初めてなら、2年目でも段階1からのスタートなのです。この月次レポートも、健太さんははりきる段階1から始まり、壁にぶつかる段階2、作れるが自信のない段階3を経て、一人で回せる段階4へと上っていきます。

この章の確認(演習)

まず、共通例「健太さんの月次レポート」を、4段階それぞれで「できる(能力)」と「やる気(意欲)」が高いか低いかを、自分の言葉で書き分けてみてください。

そのうえで、自分のチームの若手を1人選び、その人がやっている仕事を1つに絞って、今どの段階かを「できる×やる気」で見極めて書いてみましょう。このとき、「あの子は段階◯」と人で決めず、「あの子は“この仕事”については段階◯」と、仕事に紐づけて書くのがコツです。仕事ごとに見る感覚が身についたら、ゴールです。

段階別の関わり方を使い分ける(指示→コーチ→支援→委任)

地図の2つ目のステップ、「関わり方を変える」に入ります。第2章で見極めた段階に対して、具体的にどう関わるのかを身につけます。

この章のゴール

この章を読み終えると、見極めた段階に合わせて、関わり方(指示型→コーチ型→支援型→委任型)を使い分けられるようになります。

関わり方は「教える量」と「支える量」で4つに分かれる

関わり方は、2つのつまみの組み合わせで決まります。「やり方をどれだけ細かく示すか(=教える量)」と、「気持ちにどれだけ寄り添い支えるか(=支える量)」です。この2つの上げ下げで、関わり方は次の4つに分かれます。

関わり方教える量支える量ざっくり言うと
指示型多い少なめやり方を具体的に教えて、一緒にやる
コーチ型多い多い教えながら、気持ちも支える
支援型少なめ多い本人に考えさせ、背中を押す
委任型少なめ少なめゴールだけ握って、任せきる

英語の名前は覚えなくて大丈夫です。「教える量」と「支える量」を相手の段階に合わせて上げ下げするのだ、とだけ掴んでおけば十分です。

段階別の関わり方——段階が上がるほど、手を放す

では、第2章の4段階に、この4つの関わり方を当てはめます。組み合わせは、こうなります。

段階若手の状態合う関わり方具体的に何をするか
段階1やる気はあるが、できない指示型やり方を具体的に教え、手順を見せて一緒にやる
段階2できないし、やる気も下がったコーチ型理由を説明し、できている点を認め、対話で詰まりを解く
段階3できるが、自信がない支援型「どうするのがいい?」と考えさせ、背中を押して見守る
段階4一人で回せる委任型ゴールと締切だけ握り、やり方は任せきる

この表で一番大事なのは、段階が上がるほど「教える量」を減らし、最後は手を放すという流れです。最初は手取り足取り教え(指示型)、できてきたら口を出すより耳を傾け(支援型)、最後は任せきる(委任型)。育成とは、この「だんだん手を放していく」プロセスそのものです。重心も、最初は「教える(ティーチング)」が中心ですが、できるようになったら「本人に考えさせて引き出す(コーチング)」へと移ります。その基準も年次ではなく、相手の今の能力・段階です(具体的なやり方は関連講座で)。

段階がズレると、良かれと思った関わりも逆効果になる

ここで、第1章の「関わり方そのものに良い・悪いはない」を回収します。同じ関わり方でも、段階に合えば活き、ズレれば逆効果です。

たとえば、もう一人で回せる段階4の健太さんに、段階1向けの関わり方(手取り足取り、横について細かく指示)をすると、「信用されていない」と感じてやる気をなくします(過干渉)。逆に、まだやり方も分からない段階1の健太さんに、段階4向けの関わり方(ゴールだけ伝えて丸投げ)をすれば、どこから手をつけていいか分からず固まります(丸投げ)。

つまり、「丁寧に教える」も「任せる」も、それ自体は良い関わりで、問題は相手の段階に合っているかだけ。だから、「全員に同じ」「いつも同じ」をやめて、①見極めた段階を確認する、②その段階に合う関わり方を選ぶ、③段階が上がったら一段“手を放す”側へずらす、という手順で関わりを選びます。

健太さんの例で、4段階の関わり方を具体的に見てみましょう。

  • 段階1(指示型):テンプレートと手順書を見せ、「まずこの数字をここに入れて…」と、最初の1回を一緒に作ります。
  • 段階2(コーチ型):落ち込む健太さんに「この項目はお客様が必ず見るから大事なんだ」と理由を伝え、「先月より数字の拾い方が正確になってるよ」とできている点を認めたうえで、詰まりを一緒に解きます。
  • 段階3(支援型):数字が合わない月に、すぐ答えを教えず「健太さんなら、どこを確認する?」と問いかけ、出てきた答えを「それでいこう」と後押しします。口を出すより耳を傾ける。
  • 段階4(委任型):「今月もよろしく。締切は5日ね」と、ゴールと締切だけ伝えて任せます。

同じ健太さん、同じレポートでも、段階が上がるにつれて、関わり方が「教える」から「任せる」へと変わっていくのが分かりますね。

この章の確認(演習)

共通例「健太さんの月次レポート」の4段階に、それぞれ「自分なら具体的にどう声をかけ、どこまで関わるか」を1〜2行ずつ書いてみてください。段階1なら何を見せて一緒にやるか、段階2ならどんな理由とどんな“できている点”を伝えるか、段階3ならどんな問いで考えさせるか、段階4なら何だけ握って何を任せるか、です。

そのうえで、第2章で見極めた自分のチームの若手1人について、今の段階に合う関わり方を1つ選び、明日かける具体的な一言を書いてみましょう。関わり方を「段階に合わせて選ぶ」感覚が形になったら、ゴールです。

実践——任せて、見て、関わり方を調整する

ここまでで「見極める」と「関わり方を変える」の2ステップを手に入れました。最後に、これを日々の中で回し続けるコツを押さえます。

この章のゴール

この章を読み終えると、日々の関わりの中で段階を見極め直し、段階が上がれば手を放し、つまずいたら一段戻す、という調整ができるようになります。

見極めと関わり方は、一度きりではなく回し続ける

第2章で段階を見極め、第3章で関わり方を決めました。でも、段階は日々動きます。だから一度決めて終わりにせず、「任せる→様子を見る→関わり方を調整する」を繰り返します。何か任せたら結果と様子を見て(どこができ、どこで詰まったか)、段階が上がっていれば関わり方を一段“手を放す”側へ、下がっていれば一段“手をかける”側へ調整する。この繰り返しが、育成の実態です。

段階は行ったり来たりする——つまずいたら、一段戻す

ここで知っておいてほしいのは、段階は一直線に上がるとは限らないということです。新しい難しさにぶつかると、一度上がった段階がまた下がることがあります。これは、本人がサボっているのでも成長が止まったのでもなく、新しい壁にぶつかったサインです。

たとえば、健太さんが段階3(一人で作れるが、まだ自信がない)まで来たとします。ところがある月、大口顧客向けの様式の違う特殊なレポートで大きなミスをし、一気に自信をなくして落ち込んでいます。

ここで「もう一人でできるはずだろ」と突き放すのは、関わり方が段階に合っていません。今の健太さんは、新しい難しさにぶつかって一時的に段階2に戻っているのです。だから関わり方も一段戻して、コーチ型にします。「この特殊レポートは、普段と違ってここが難しいんだ」と理由を伝え、「いつものレポートは、もう完璧にできてるよ」とできている点を確認する。落ち着いたら、また支援型へ戻していく。段階が下がったときに責めるのではなく、関わり方を戻す——これが調整です。

「見てから関わる」を習慣に——巻き取りと丸投げの両極端に戻らない

最後に、一番ありがちな落とし穴をお伝えします。それは、忙しくなると、関わり方が両極端に戻ってしまうことです。時間がないと、つい「自分でやった方が早い」と巻き取ってしまう(=過剰な手取り足取り)か、逆に「もう適当に任せておこう」と丸投げしてしまう。どちらも、相手の段階を見ないまま関わり方を決めている点で同じ失敗です。段階を見ずに巻き取れば若手は自分で考えず自律が育たないし、見ずに丸投げすれば、まだできない若手は潰れてしまいます。

ここで思い出してほしいのが、「任せる」と「放置」は違う、ということです。任せるとは、ゴールを握り、やり方を委ね、様子は見ている状態。放置は、見てもいない状態です。段階4の健太さんに任せるときも、「締切は5日」とゴールは握り、出てきたものには目を通します。

だから、習慣にしてほしいのは「見てから関わる」の一言です。忙しくても、関わり方を決める前に、ほんの一瞬「今この子は、この仕事でどの段階だっけ?」と見極める。これだけで、巻き取りと丸投げの両極端から抜け出せます。

この章の確認(演習)

まず、共通例「健太さんが段階3で、特殊なレポートで大きなミスをして自信をなくした」場面で、自分なら関わり方をどう調整するかを3〜4行で書いてみてください。どの段階に戻し、何を確認し、いつまた手を放すか、です。

そのうえで、自分のチームの若手1人について、次の1か月で「段階を見極め直す節目」を1つ決め(たとえば「来月の月例会議のあと」など)、その時に確認することを書いてみましょう。どこができ・どこで詰まったか、段階は上がったか下がったか、関わり方をどう調整するか——を見直すと決めておけば、「見てから関わる」が習慣になります。

まとめ:若手育成は“同じ関わり方”ではなく“段階に合わせて変える”こと

おつかれさまでした。「入社2年目の健太さんに月次レポートを任せる」という1つの場面で、若手育成の地図を1マスずつ描いてきました。健太さんの旅を振り返りましょう。

段階健太さんの状態あなたの関わり方
段階1やる気はあるが、やり方が分からない指示型(手順を見せて一緒に作る)
段階2ミスが続き、やる気も下がったコーチ型(理由を伝え、できている点を認める)
段階3作れるが、自信がない支援型(考えさせ、背中を押す)
段階4一人で回せて、改善提案もする委任型(ゴールだけ握って任せる)

この講座で覚えて帰ってほしいことは、ひとつです。若手育成は“同じ関わり方”を続けることではなく、“段階に合わせて変える”こと。まず見極め、それから関わり方を変える。やることは2ステップ——①「できる×やる気」の2軸で今どの段階かを見極め、②その段階に合わせて関わり方を指示型→コーチ型→支援型→委任型へ変える。そして、段階が上がれば手を放し、つまずいたら一段戻す。これを「任せて、見て、調整する」で回し続ける。それが若手育成です。

この地図を持つと、見え方が変わります。やる気が下がった若手を見て「最近の子は受け身だ」と決めつける代わりに「今は段階2だな、コーチ型に変えよう」と考えられ、「丁寧に教えているのに育たない」と自分を責める代わりに「関わり方が、この子の段階に合っているかな?」と問い直せる。一番危ないのは、相手の段階が変わっているのに、自分の関わり方をずっと同じにしておくことだと、もう分かっているからです。

明日の最初の一歩:自分のチームの若手を1人思い浮かべ、ある仕事について、①今どの段階か(できる×やる気)、②だから明日、自分はどう関わり方を変えるかを、1つだけ書いて、実際に試してみてください。きれいにまとめる必要はありません。「いつも同じ関わり方」から一歩外れて、相手の段階に合わせて関わりを変えてみる。それが第一歩です。

そして、この「見極めて関わり方を変える」を、もっと具体的に使えるようになりたくなったら、その先の道も用意されています。任せる仕事の難易度を段階的に上げていく部下育成、ふりかえりの場をつくる1on1、任せる先のゴールをそろえる目標設定、途中の声かけを磨くフィードバック、リーダーの役割全般を学ぶマネジメントの基礎——これらは、今日の地図の上で関わり方の中身を深めるものです。続きは、関連講座で深められます。まずは今日の「見極めて、関わり方を変える」を、自分のチームの若手1人で試してみてください。それが、育てるリーダーへの一歩になります。

よくある質問

若手育成で大切なことは何ですか

結論から言うと、若手の成長段階を見極め、その段階に合わせて関わり方を変えることです。教え方の巧拙や若手のやる気ではなく、「能力×意欲」の2軸で段階を見て、指示型・コーチ型・支援型・委任型の関わり方をその都度選ぶことが若手育成の土台になります。

能力と意欲の2軸で見るとはどういう意味ですか

その若手がその仕事を一人でできるか(能力)と、前向きに取り組んでいるか・自信があるか(意欲)の両方を確認することです。どちらか一方だけで判断すると段階を見誤り、合わない関わり方になってしまいます。必ず2軸セットで見ることが大切です。

最初はやる気があった若手が急に受け身になったのはなぜですか

新しい仕事を任されてやる気があった段階1から、実際にやってみて壁にぶつかり能力も意欲も下がる段階2へ移行したサインです。これは性格や世代の問題ではなく、新しいことを学ぶ人なら誰もが通る自然な段階です。「受け身になった」と決めつける前に段階2と見極め、コーチ型の関わり方に切り替えましょう。

一度任せた仕事でまたつまずいた場合はどうすればよいですか

段階が一時的に戻ったサインなので、関わり方を一段「手をかける」側に戻します。新しい難しさにぶつかって自信をなくしているときに同じ関わり方を続けると逆効果になります。できている点を確認してから詰まりを一緒に解き、落ち着いたら再び手を放す方向へ調整してください。

チームリーダーになったばかりでも使えますか

はい、この講座は若手を持ち始めたばかりのチームリーダーを対象にしています。やることは「今どの段階か」を2軸で見極め、段階に合った関わり方を選ぶという2ステップだけです。難しい面談技術や特別な知識は前提としていないので、初めてのリーダーでも今日から試せる内容になっています。

監修
マナビズ編集部

マナビズ(Manabiz)編集部。AIを活用した原稿制作に加え、人間によるレビューで品質を担保しています。 編集ポリシー

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