業務改善の基本 | マナビズ

業務改善の基本

業務改善の基本

「もっと効率よくやってよ」「そのへんのムダ、なくせない?」「残業、減らそうか」——上司や先輩にそう言われたとき、あなたはどう動くでしょうか。まじめな人ほど、とっさに「来週はもっと早く手を動かそう」「金曜は気合いで一気に終わらせよう」と、頑張る方向で考えます。でも、いつものやり方を少し速くやるだけなので、毎週同じところでまた時間を取られて、結局また残業——こんなくり返しに心当たりはありませんか。

業務改善を「気合いでもっと速くやること」だと思っていると、こうなります。なぜなら、自分の業務のどこがムダか(見る目)も、何から手をつけるか(手順)も持っていないからです。目も手順もないまま頑張っても、根本は変わりません。

でも、安心してください。「効率化して」にスラスラ動ける先輩との違いは、センスでも根性でもなく、気合いで押し切るか、“ある順番”で考えるかだけです。その順番こそが、この講座で渡す1枚の地図。実は、業務改善の出発点は「速く手を動かすこと」ではなく、いまの業務をいったん止めて“見る”ことなのです。

この講座を読み終えたあなたは、次の3つができるようになります。

  1. 業務改善を「気合い・スピードアップ」ではなく、①業務を洗い出す→②ムダ・ムラ・ムリの目で問題を見つける→③ECRS(なくす・まとめる・順番を変える・簡単にする)で改善案を作るという1本道の手順として、自分の言葉で説明できる
  2. 自分のくり返し業務をステップに分けて洗い出し、各ステップをムダ・ムラ・ムリの3つの観点で見て、改善すべき問題を1つ見つけられる
  3. 見つけた問題に対して、ECRS の順で、実行できそうな改善案を1つ作れる

この講座は最後まで、「入社3年目のあなたが、毎週金曜の午後に作っている『週次売上レポート』作成業務」という、たった1つの業務だけで説明します。営業会議用に、A・B・C 3つの支店のExcelから数字を手でコピペして1枚にまとめるもので、毎回2時間ほどかかり、金曜は残業になりがち——そんな設定です。この同じ業務を、業務改善とは何か→どう洗い出すか→どこに問題があるか→どう改善案を作るか、と1ステップずつ埋めていきます。各章末には手を動かす演習も置いているので、書きながら読み進めてください。学んだやり方を自分の業務でそのまま試せるよう、章末でテンプレート(業務棚卸し&ムダ・ムラ・ムリ チェックシート/ECRS改善案テンプレート)のダウンロードもご案内します。

この講座のポイント

  • 業務改善を「気合い・スピードアップ」ではなく、①洗い出す→②ムダ・ムラ・ムリの目で見つける→③ECRS で改善案を作るの1本道の手順(地図)として、自分の言葉で説明できる
  • 自分のくり返し業務をステップに分けて洗い出し(見える化し)、その中身を説明できるようになります(「だいたいこんな感じ」で止めません)。
  • 洗い出した業務をムダ・ムラ・ムリの3つの観点で見て、改善すべき問題を1つ見つけられるようになります(「なんとなく大変」で止めません)。
  • 見つけた問題に対して、ECRS(なくす→まとめる→順番を変える→簡単にする)の順で、実行できそうな改善案を1つ作れる

業務改善とは何か(気合いでなく“見直す”・3ステップの地図)

まずは、「効率化して」に気合いで答えて空回りしてしまう、そのモヤモヤの正体をはっきりさせましょう。業務改善という言葉を、ふわっとした「頑張れ」のイメージから、自分で使える1枚の地図に変える土台の章です。

この章のゴール

この章を読み終えると、業務改善を「気合い・スピードアップ」ではなく、①洗い出す→②ムダ・ムラ・ムリの目で見つける→③ECRS で改善案を作るの1本道の手順(地図)として、自分の言葉で説明できるようになります。

「効率化して」に“気合い”で答えて空回りする正体

あなたの根性が足りないわけではありません。多くの場合、「効率化して」に空回りするのは、業務改善を「もっと速く・もっと頑張ること」だと捉えていて、考える順番(地図)を持っていない——これが正体です。

考えてみてください。「もっと早く」「気合いで残業して」というのは、いまのやり方をそのままにした“足し算”です。やり方の中身は変えず、自分の頑張りだけを足している。だから一時的に早く終わっても、来週も同じ作業が同じだけ待っていて、同じところで時間を取られます。根っこが変わっていないからです。

ここで覚えてほしい背骨は、ひとつです。業務改善は“頑張る”ではなく“見直す”こと。そして、考える順番は、洗い出す→ムダ・ムラ・ムリ→なくす・まとめる・順番を変える・簡単にする。この順番さえ持てば、「どこから手をつければいいか分からない」がなくなります。

業務改善=いったん止めて“見える化”し、やめる・へらす・変えること

では、業務改善とは何でしょうか。それは、いまのやり方のまま速く頑張ることではなく、いったん業務の手を止めて、やっていることを“見える化”し、ムダ・ムラ・ムリを見つけて、やり方そのものを「やめる・へらす・変える」ことです。

この「ムダを見つけて取り除き続ける」考え方は、もともとトヨタ生産方式の中で育ち、カイゼンという言葉で世界中に広まりました(今では KAIZEN という英語にもなっています)。大事なのは、悪いところを直すだけでなく、「いまのやり方、本当にこれでいいんだっけ?」とあえて疑ってみる姿勢です。だから、業務改善で最初に考えるのは「どう速くやるか」ではなく、「そもそも、この作業は本当に必要なのか」。出発点は、いつでも“いまのやり方を疑って見る”ことです。

理想は、頑張る量を増やさずに、もっとラクに同じ成果が出る状態。残業を増やして終わらせるのはゴールではありません。ここをはき違えて「改善=もっと頑張ること」と思い込むのが、いちばんありがちな誤解です。

全体像は3ステップの地図:洗い出す→ムダ・ムラ・ムリ→ECRS

では、その“見直し”を、どんな順番で進めればいいのか。順番は、この3つのステップです。

ステップやることひとことで言うと
① 洗い出す業務をステップに分けて書き出す(見える化)まず見えるようにする
② 見つけるムダ・ムラ・ムリの3つの目で問題を見つける直す場所を1つ決める
③ 作るECRS(なくす・まとめる・順番を変える・簡単にする)で改善案を作るやめる・へらす・変える

これが、業務改善の全体像=1枚の地図です。①洗い出して、②問題を見つけて、③改善案を作る。上から順に進めるだけです。

ちなみに、よく耳にする「RPA」「自動化ツール」「DX」といった言葉は、すべてこの地図の③のあとに乗るものです。多くは「簡単にする(あとで出てくるECRSの“S”)」の手段で、いきなりそこから始めるものではありません。「便利な道具も、まず洗い出して問題を見つけてから使うんだな」とだけ掴んでください。手段は、いちばん最後に開ける引き出しです。

ここで、共通例「毎週金曜午後の『週次売上レポート作成』業務」に登場してもらいましょう。3つの支店のExcelから数字を手でコピペして1枚にまとめ、毎回2時間、金曜は残業がち。これをどう改善するか。地図を持たない状態だと、「来週はもっと早く打とう」「金曜に気合いで一気に」と、いきなり頑張る方向で動いてしまいます。そうではなく、「①この業務を洗い出す→②ムダ・ムラ・ムリで見る→③なくす・変える」の順で考える——これが業務改善です。この章では、まだ中身は埋めません。3ステップの“枠”だけを立てておきます。

この章の確認(演習)

共通例「週次売上レポート作成」について、いきなり「速くやる方法」を考えるのをやめて、次の3ステップを、中身は空欄のまま書き出してみてください。

  • ① 洗い出す(業務をステップに分けて書く):_____
  • ② 見つける(ムダ・ムラ・ムリで問題を1つ):_____
  • ③ 作る(ECRS で改善案を1つ):_____

そのうえで、「業務改善とは、この3ステップで“やめる・へらす・変える”を考えることだ」を、自分の言葉で1〜2行に書いてみます。気合いからではなく“手順”から入る感覚を、自分の手で言葉にできたら、この章はゴールです。空欄は、これから第2章・第3章・第4章で1つずつ埋めていきます。

まず業務を洗い出す(見える化・棚卸し)

地図の1ステップ目、洗い出し(見える化)を埋めていきます。いきなり直すのではなく、まず“見えるようにする”——その第一歩です。

この章のゴール

この章を読み終えると、自分のくり返し業務をステップに分けて洗い出し(見える化し)、その中身を説明できるようになります(「だいたいこんな感じ」で止めません)。

頭の中では、ムダは見えない

業務改善は、見えていないものは直せません。ところが、ここで多くの人がつまずきます。「自分の業務は毎週やっていて頭で分かっているんだから、わざわざ書き出す必要はない」——気持ちは分かりますが、これが落とし穴です。

なぜなら、頭の中にあるうちは、どこに時間がかかっているか・どこにムダがあるかが見えないからです。なんとなく2時間かけて終わらせていると、その2時間が「どの作業に・どれだけ」使われているのか、自分でも意外と説明できません。ぼんやり「大変だ」と感じるだけでは、直す場所を決められないのです。

だから、ステップに分けて書き出す(見える化・棚卸し)

ではどうするか。業務を、作業のステップ(手順)に分けて、紙やシートに書き出します。これを業務の棚卸し、あるいは見える化と呼びます。見える化とは、ひとことで言えば「頭の中の業務を、誰が見てもひと目で分かる“目で見える状態”にすること」です。トヨタ生産方式でも「目で見る管理」と呼ばれ、問題やムダをあぶり出すための出発点とされています。

コツは、各ステップに「だれが・どれくらい時間がかかるか」を添えることです。時間を書き添えると、どの作業が時間を食っているかが、数字としてはっきり見えてきます。もうひとつのコツは、細かく分けすぎないこと。いきなり1秒単位で分解すると手が止まるので、最初は5〜10ステップくらいで十分です。

時間を添えると、直すべき工程が浮かび上がる

実際にやってみましょう。共通例「週次売上レポート作成」を、ステップに分けて書き出すと、たとえばこうなります。

ステップ作業だれが・時間
(1)A支店のExcelを開いて数字をコピー自分・10分
(2)レポートに貼り付け自分・5分
(3)B支店も同じようにコピー&貼り付け自分・10分
(4)C支店も同じようにコピー&貼り付け自分・10分
(5)3支店の合計を電卓で計算して入力自分・15分
(6)グラフを作り直す自分・20分
(7)コメントを書く自分・20分
(8)上司に提出自分・5分

どうでしょう。「だいたい2時間」のままだと、どこを直せばいいか分かりませんでした。でも、ステップに分けて時間を添えたとたん、「3支店ぶんの手コピペ転記〔(1)〜(5)で約50分〕」と「グラフの作り直し〔20分〕」に時間が集中していることが、はっきり見えてきましたよね。頭の中では見えなかったものが、書き出すと見える。これが見える化の力です。

この章の確認(演習)

共通例「週次売上レポート作成」を、自分なりに5〜10ステップに分けて書き出し、各ステップにざっくりの所要時間を添えてみてください。上の表をそのまま写すのではなく、「自分ならこういう手順だな」と想像して書くのがコツです。

書き終えたら、いちばん時間がかかっている工程に、1つ印をつけます。次の章では、その印をつけた工程を、ムダ・ムラ・ムリの目で見ていきます。手を動かして見える化する感覚は、自分の実際の業務でも使えます。章末の業務棚卸しチェックシート(テンプレートDL)に書き込んでみると、同じ手順をそのまま自分の仕事に当てはめられます。

ムダ・ムラ・ムリの3つの目で問題を見つける

地図の2ステップ目、問題を見つける目を手に入れます。洗い出しただけでは、どこを直すかは決まりません。そこで、業務を見るための“3つの目”を使います。

この章のゴール

この章を読み終えると、洗い出した業務をムダ・ムラ・ムリの3つの観点で見て、改善すべき問題を1つ見つけられるようになります(「なんとなく大変」で止めません)。

業務を見る3つの目:ムダ・ムラ・ムリ

業務を見直すときの定番の道具が、ムダ・ムラ・ムリという3つの目です。トヨタ生産方式の中で体系化された考え方で、頭文字をとって「3M(スリーエム)」とも呼ばれます。もとは製造現場の言葉ですが、今では事務やサービスの仕事でも広く使われています。3つの意味を、ひとつずつ押さえましょう。

意味仕事での例
ムダなくしても成果が変わらない作業手作業の転記、二重入力、手待ち、使われない資料づくり
ムラ人や時期によって、やり方・出来ばえ・量がバラつくこと担当が変わると手順が違う、月末だけ急に増える
ムリ一人に・特定の時間に・能力以上に負荷が集中すること金曜午後に作業が集中、特定の人しかできない

この3つは、バラバラにあるのではなく、つながっています。「ムリがムラを生み、ムラがムダを生む」と言われます。たとえば一人に負荷が集中する(ムリ)と、忙しさで出来にバラつきが出て(ムラ)、やり直しという余計な作業(ムダ)が生まれる、というように。だから3つをセットで見るのがコツで、まずは「ムダ」から探すと、いちばん見つけやすいです。

3つの問いを当てて、問題を1つ選ぶ

3つの目の使い方は、とてもシンプルです。第2章で洗い出した各ステップに、上から順に、次の3つの問いを当てていくだけです。

  • これはムダ?(なくても、成果は変わらない?)
  • これはムラ?(人や時期で、やり方や量がバラつく?)
  • これはムリ?(一人に、特定の時間に、負荷が集中している?)

どれかが当てはまった工程に印をつけ、その中からいちばん効きそうな問題を1つ選びます。たくさん見つかっても、欲ばらないこと。まず1つに絞るのが、最後までやり切るコツです。

共通例:手コピペ転記を3つの目で見る

では、第2章で印をつけた「3支店ぶんの手コピペ転記(約50分)」を、3つの目で見てみましょう。

この工程を見ると
ムダ同じ数字を、人が手でコピペしている。合計を出すための作業で、本来は手でやらなくてもよい
ムラ担当が休むと別の人がやり、貼り付け位置や書式がバラついて、後で直す手間が出る
ムリ金曜午後にまとめて集中するので、他の仕事が押して残業になる

見てください。「手コピペ転記」という1つの工程に、ムダ・ムラ・ムリが3つとも乗っているのが分かります。こういう工程は、改善の効果が大きい“当たり”です。だから、ここを問題として1つ選びます。「なんとなくレポート作成が大変」だったものが、「3支店ぶんの手コピペ転記が、ムダ・ムラ・ムリの問題だ」と、はっきり名指しできました。これが、3つの目の力です。

この章の確認(演習)

共通例「週次売上レポート作成」の各ステップに、ムダ・ムラ・ムリの3つの問いを当てて、当てはまる工程に印をつけてみてください。そのうえで、いちばん改善したい問題を1つ選び、「これは(ムダ/ムラ/ムリ)で、こう困っている」という形で1文に書きます。

たとえば「グラフの作り直しは、毎回ゼロから作っていてムダ」のように、自分なりに見つけてみてください。3つの目を当てる作業は、章末のムダ・ムラ・ムリ チェックシート(テンプレートDL)を使うと、ステップごとに当てはめやすくなります。

ECRS で改善案を1つ作る(なくす・まとめる・順番を変える・簡単にする)

地図の3ステップ目、改善案を作るを埋めます。問題が見つかっても、「で、どう直すの?」のアイデアが出ないと、そこで止まってしまいます。実は、アイデアの出し方にも、効果的な順番があります。

この章のゴール

この章を読み終えると、見つけた問題に対して、ECRS(なくす→まとめる→順番を変える→簡単にする)の順で、実行できそうな改善案を1つ作れるようになります。

改善アイデアを出す順番=ECRS

改善のアイデアを出すための、定番の4つの問いがあります。ECRS(イクルス)と呼ばれる、改善の4原則です。これも、もともとは製造現場の業務改善の中から生まれた考え方です。英語の頭文字は覚えなくて大丈夫。「なくす・まとめる・順番を変える・簡単にする」の4つだ、と掴んでおけば十分です。

ECRS日本語問いかけ
E(Eliminate)なくすそもそも、やめられないか?
C(Combine)まとめる別の作業と、一緒にできないか?
R(Rearrange)順番を変える順番・場所・担当・タイミングを変えられないか?
S(Simplify)簡単にするもっとラクなやり方・道具にできないか?

ここで、いちばん大事なポイントがあります。この4つは、必ず「なくす(E)」から順に当てることです。理由は2つ。1つは、4つの中で「なくす」がいちばん効果が大きいから。もう1つは、苦労して作業を速くしたのに、その作業はそもそも丸ごと無くせるものだった——という手戻りを防ぐためです。だから、まず「これ、そもそもやめられない?」から問うのが、いちばん賢い順番なのです。

ツール・自動化は「簡単にする(S)」の手段

ここで、第1章で出てきた「いきなりRPAやツールから考える」という話を回収しましょう。RPA・自動化ツール・DXといった便利な手段は、ECRSでいえば、多くがいちばん最後の「簡単にする(S)」にあたります。

気をつけたいのは、いきなり「S(ツールで速くする)」から入らないことです。本当はやめられる作業をツールで自動化してしまうと、それは「速いムダ」になって、ずっと残り続けます。だから、まず E・C・R で仕事の形そのものを整えてから、最後に「それでも残る作業を、ラクにする道具はないか」と考える。この順番を守るだけで、改善の質がぐっと上がります。

共通例:手コピペ転記を ECRS で改善する

では、第3章で選んだ「3支店ぶんの手コピペ転記」を、ECRS で改善してみましょう。E から順に当てていきます。

ECRSこの問題への改善アイデア
E(なくす)上司が会議で見るのは合計の3項目だけと分かれば、2支店ぶんの細かい明細表は、載せるのをやめられる
C(まとめる)3支店バラバラのExcelを、1つの集計シートにまとめ、1回の貼り付けで済むようにする
R(順番を変える)金曜午後にまとめてではなく、各支店の数字が出たら木曜までに小分けで入れておき、集中を分散する
S(簡単にする)集計シートに合計の関数を入れて、電卓計算とグラフの作り直しを自動でやってもらう

4つを順に当てるだけで、こんなに改善アイデアが出てきました。これを組み合わせると、「2時間かかっていた転記と集計が、数字を貼り付けて自動集計するだけの30分になる」という改善案が、1つできあがります(この時間はあくまで例ですが、やり方を変えれば大きく縮むイメージが掴めると思います)。

そして、もし最後の「Sの自動化」をRPAなどの道具でやろうと考えるなら、それは正しい順番です。E・C・R で形を整えたうえで、最後に道具を足している。第1章で空回りしていた「いきなりツールから」とは、まったく違う動き方になっているのが分かりますか。

この章の確認(演習)

共通例「週次売上レポート作成」で第3章で選んだ問題に、ECRS(なくす→まとめる→順番を変える→簡単にする)を、E から順に当てて、改善アイデアを書き出してみてください。

そのうえで、いちばん実行できそうな改善案を1つ選び、「だれが・何を・どう変えるか」が分かる形で、1〜2文に書きます。コツは、「頑張る」「気をつける」といった精神論で終わらせないこと。「なくす」「まとめる」「順番を変える」「道具にする」という、やり方が変わる動詞で書けたら、ゴールです。章末のECRS改善案テンプレート(テンプレートDL)に沿って書くと、E→C→R→S を順番に埋められます。

まとめ:業務改善は“頑張る”ではなく“見直す”こと

おつかれさまでした。「週次売上レポート作成」という、たった1つの業務を、業務改善とは何か→どう洗い出すか→どこに問題があるか→どう改善案を作るか、と1ステップずつ地図に埋めてきました。第1章で空欄だった3ステップを、ここで振り返ります。

  1. 業務改善とは……いまのやり方のまま速く頑張ることではなく、いったん止めて見える化し、ムダ・ムラ・ムリを見つけて「やめる・へらす・変える」こと。順番は、洗い出す→ムダ・ムラ・ムリ→ECRS。気合い・残業は、やり方を変えない“足し算”にすぎません(第1章)。
  2. 洗い出す(見える化)……頭の中ではムダは見えない。業務を5〜10ステップに分けて書き出し、時間を添えると、直すべき工程が浮かび上がる。レポート例では「手コピペ転記」と「グラフ作り直し」に時間が集中していた(第2章)。
  3. ムダ・ムラ・ムリで見つける……洗い出した各ステップに3つの問いを当て、問題を1つに絞る。「手コピペ転記」には、ムダ・ムラ・ムリが3つとも乗っていた(第3章)。
  4. ECRS で作る……改善アイデアは「なくす(E)」から順に。ツール・自動化は「簡単にする(S)」の手段で、まずEから問う。レポート例では「2時間→30分」の改善案が1つできた(第4章)。

この4つは、すべて1つの問いに戻ります。「『効率化して』に、気合いからではなく、“洗い出す→ムダ・ムラ・ムリ→ECRS”の順で筋道立てて答え、改善案を1つ作れているか?」。この講座でいちばん覚えて帰ってほしいのは、このひと言です——業務改善は“頑張る”ではなく“見直す”こと。順番は、洗い出す→ムダ・ムラ・ムリ→なくす・まとめる・順番を変える・簡単にする。これが身につくと、上司に「あのレポート、効率化できない?」と聞かれても、「まず洗い出すと、3支店の手コピペ転記に時間が集中していて、上司が見るのは合計だけなので、明細表はやめて、関数で自動集計にすれば、2時間が30分になりそうです」と、手順で筋道立てて話せるようになります。

明日の最初の一歩:自分のくり返し業務を1つ選び、①ステップに分けて書き出す(見える化)②各ステップにムダ・ムラ・ムリの3つの目を当てて問題を1つ選ぶ③その問題に ECRS を当てて改善案を1つ作るを、上から順にやってみてください。全部きれいにできなくてかまいません。「効率化して」に、気合いではなく「この作業をなくせます」と1つ言えたら、それが第一歩です。

そして、今日学んだ「洗い出す→ムダ・ムラ・ムリ→ECRS」を、そのまま自分の業務で1周まわせるように、テンプレートを用意しました。業務棚卸し&ムダ・ムラ・ムリ チェックシートと、ECRS改善案テンプレートです。下のボタンからダウンロードして、まずは1つの業務で試してみてください。さらに深く学びたくなったら、その先の道もあります。見える化をもっと細かくやる方法、タスク管理・段取りで時間を整える方法、RPA・自動化で「簡単にする(S)」を実現する方法、そして組織全体の業務プロセスを変える DX——これらは、今日描いた地図の各ステップを、ひとつずつ深掘りするものです。続きは、無料会員登録で次の講座に進めます。まずはこの地図を、自分の手で1周まわせるようにしておきましょう。それが、すべての土台になります。

よくある質問

業務改善とは何ですか?

業務改善とは、いまのやり方のまま速く頑張ることではなく、いったん業務を止めて見える化し、ムダ・ムラ・ムリを見つけて「やめる・へらす・変える」ことです。気合いや残業量を増やすのではなく、やり方そのものを見直す点が出発点です。

ムダ・ムラ・ムリはどう使い分けますか?

ムダはなくしても成果が変わらない作業、ムラは人や時期によってやり方や出来ばえがバラつくこと、ムリは一人や特定の時間に負荷が集中することです。まずムダから探すと見つけやすく、3つをセットで見ると改善効果の大きい工程を特定しやすくなります。

ECRSはどの順番で使えばよいですか?

「なくす(E)→まとめる(C)→順番を変える(R)→簡単にする(S)」の順に当てます。なくすことがいちばん効果が大きいため、最初に「この作業、そもそもやめられないか」と問うのが正しい順番です。いきなりツール導入から始めると、本来やめられる作業を自動化するだけになります。

業務の洗い出しはどこまで細かく分ければよいですか?

最初は5〜10ステップ程度が目安です。各ステップにざっくりの所要時間を添えると、どの工程に時間が集中しているかが数字として見えてきます。細かく分けすぎると手が止まるため、まずは大まかに書き出すことを優先してください。

初心者でも業務改善はできますか?

この講座で示した3ステップ(洗い出す→ムダ・ムラ・ムリで見つける→ECRSで改善案を作る)に沿えば、業務改善の経験がなくても取り組めます。まず自分の一つのくり返し業務をステップに分けて書き出すことが最初の一歩で、センスや特別な知識は必要ありません。

監修
マナビズ編集部

マナビズ(Manabiz)編集部。AIを活用した原稿制作に加え、人間によるレビューで品質を担保しています。 編集ポリシー

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