「うちもデジタルマーケティングをやろう」「SNSと広告で集客して」——配属されて間もないあなたは、先輩にそう言われて、さっそくSNSアカウントを作りました。毎日せっせと投稿を続け、フォロワーは少しずつ増えました。けれど、それが売上につながっている実感は、まるでありません。広告も出してみましたが、「で、成果はどうだった?」と聞かれて、何を見て答えればいいのか分からず、黙ってしまった——こんな経験はありませんか。
SNS、広告、SEO……施策の名前はいくつも知っているのに、それを何のために・どういう順番でやるのかが分からないと、施策が単発でバラバラになり、いつも空回りしてしまう。デジタルマーケティングを「SNSと広告を頑張ること」だと思っていると、まさにこの状態にはまります。
でも、安心してください。「デジタルでどう集客する?」にスラスラ答えられる先輩との違いは、ツールの知識量ではありません。いきなり施策から始めるか、“ある順番”で並べてから施策を選ぶかだけです。その順番こそが、この講座で渡す1枚の地図。実は、デジタルマーケティングで大事なのは、施策を並べる前に「何のため」で分けることです。その「何のため」が、集客(知ってもらう)→育成(欲しくなってもらう)→販売(買ってもらう)という3つの目的です。
この講座は、先に学んだ「マーケティングの基礎」(顧客→価値→届け方)の続きです。誰に・どんな価値を届けるかが決まったあと、それをデジタルでどう届けるかを具体化します。読み終えたあなたは、次の3つができるようになります。
- デジタルマーケティングを「SNSと広告を頑張ること」ではなく、集客(知ってもらう)→育成(欲しくなってもらう)→販売(買ってもらう)の3つの目的の順にデジタル施策を並べる全体像として、自分の言葉で説明できる
- SEO・Web広告・SNS発信・メール/LINE・ランディングページ・レビューといった代表的な施策を、それぞれ集客・育成・販売のどの目的のための施策かで並べ分けられる(同じSNSでも「知ってもらう」と「関係を育てる」で役割が違うと区別できる)
- ある商品について、地図に施策を並べて「いま足りない目的はどこか」を見つけて説明でき、デジタルの強み=各施策の成果を数字(何人来て、何人が買ったか)で見て改善するという考え方を説明できる
この講座は最後まで、「小さな雑貨メーカー『カルリ』で働くあなたが、新商品『1日背負っても肩がこりにくい軽量リュック(税込12,000円)』を、自社のオンラインショップとSNSで売り出す」という、たった1つの場面だけで説明します。この同じ商品を、デジタルマーケティングとは何か→どう知ってもらうか→どう関係を育てるか→どう買ってもらうか、と1マスずつ地図を埋めていきます。各章末には手を動かす演習も置いているので、書きながら読み進めてみてください。そして、この「集客→育成→販売」の地図を自分の会社の商品でも使えるようにしたくなったら、無料会員登録で続きの講座(SEO・Web広告・SNS・コンテンツ/メール・効果測定)に進めます。まずは、この1本で地図の全体像を掴みましょう。
この講座のポイント
- デジタルマーケティングを「SNSと広告を頑張ること」ではなく、集客→育成→販売の3つの目的の順に施策を並べる全体像として、自分の言葉で説明できる
- 集客(知ってもらう)の代表的なデジタル施策(検索/SEO・Web広告・SNS)を、「知ってもらう」目的で位置づけて説明できる
- 育成(欲しくなってもらう)の代表的なデジタル施策(SNSの継続発信・メール/LINE・コンテンツ・リターゲティング広告)を、「関係を育てて欲しくなってもらう」目的で位置づけて説明できる
- 販売(買ってもらう)の代表的なデジタル施策(ランディングページ・初回クーポン・レビュー/口コミ)を位置づけて説明でき、デジタルの強み=各目的を数字で見て改善する考え方を説明できる
デジタルマーケティングとは何か(集客→育成→販売の目的の地図)
まずは、「とりあえずSNS」で空回りしてしまうモヤモヤの正体を、はっきりさせましょう。デジタルマーケティングという言葉を、ふわっとした「ネットでの宣伝」のイメージから、自分で使える1枚の地図に変える土台の章です。
この章のゴール
この章を読み終えると、デジタルマーケティングを「SNSと広告を頑張ること」ではなく、集客→育成→販売の3つの目的の順に施策を並べる全体像として、自分の言葉で説明できるようになります。
「とりあえずSNS」で空回りする正体
あなたのがんばりが足りないわけではありません。フォロワーは増えたのに売上につながらない、広告を出したのに成果が分からない——その正体は、デジタルマーケティングを「SNSと広告を頑張ること」と狭く捉えていて、施策を並べる順番(目的の地図)を持っていないことにあります。
施策の引き出しは、あなたもいくつか持っています。SNSに投稿する、広告を出す、ホームページを直す。でも、引き出しがあっても、それを何のために・どの順番で開けるかが決まっていないと、いきなり施策から動いてしまい、「で、成果は?」と聞かれて止まってしまう。目的地を決めずに「とりあえず歩き出す」のと同じです。
ここで覚えてほしい背骨は、ひとつ。デジタルマーケティングは“施策を頑張る”ではなく“目的で並べる”こと。そして、その順番は、集客→育成→販売。この順番さえ持てば、SNSも広告もSEOも、地図のどこに置けばいいかが見えてきます。
デジタルマーケティング=買いたくなる流れをデジタルで作ること
デジタルマーケティングとは、検索・SNS・広告・メール・Webサイトといったネット上の道具を使った、宣伝テクニックの寄せ集めではありません。お客さんが「知って → 興味を持って → 比べて → 買う」までの流れを、デジタルの施策で作ることです。
ここで大事な前提が2つあります。ひとつは、お客さんは、知らないものは買えないということ。もうひとつは、知っても、すぐには買わないということです。特にネットでは、いったんページを離れ、他の商品と比べ、迷ってから買います。だから、施策を「とにかくやる」のではなく、お客さんの気持ちの段階に合わせて並べる必要があるのです。
ちなみに、こうしたネット時代の購買の流れは、「知って(Attention)→興味を持って(Interest)→検索して比べて(Search)→買って(Action)→口コミでシェアする(Share)」という頭文字で、AISAS(アイサス)というモデルにも整理されています(電通が提唱したものです)。名前は覚えなくて大丈夫。「お客さんは、知って・興味を持って・検索して比べて・買って・口コミを書く、という段階を踏むんだな」と掴めれば十分です。
全体像は1枚の地図:集客→育成→販売
では、その流れを、施策を打つ側はどんな順番で考えればいいのか。お客さんの気持ちの段階を、こちら側の「目的」で束ねると、この3つになります。
| 順番 | 目的 | お客さんの段階 | ひとことで言うと |
|---|---|---|---|
| ① 集客 | 知ってもらう | まだ知らない | どう見つけてもらう? |
| ② 育成 | 欲しくなってもらう | 知ったが、すぐ買わない | どう関係を育てる? |
| ③ 販売 | 買ってもらう | 迷って、決める | どう迷わず買ってもらう? |
これが、デジタルマーケティングの全体像=1枚の地図です。①集客から始めて、②育成、③販売の順に並べます。実はこの流れは、専門的には「ファネル」と呼ばれ、特に真ん中の「育成」には「リードナーチャリング(見込み客育成)」という名前が付いています。用語は覚えなくて大丈夫。集客→育成→販売の3つの目的、これだけ持って帰ってください。
そして、ここがいちばん大事なところ。SEO・広告・SNS・メール・ランディングページ……あなたが知っている施策は、すべてこの地図のどこかの目的に乗る部品です。検索やSNSや広告は「知ってもらう(集客)」のあたり、メールやコンテンツは「関係を育てる(育成)」のあたり、買うためのページやクーポンは「買ってもらう(販売)」のあたり。施策は、いちばん最後に選ぶ道具です。「とりあえずSNS」と手段から始めるのではなく、まず「これは何のため?(集客? 育成? 販売?)」から考える——これがコツです。
ここで、この講座を通して使う共通例に登場してもらいましょう。小さな雑貨メーカー「カルリ」で働くあなたです。カルリは、新商品「1日背負っても肩がこりにくい軽量リュック(12,000円)」を作り、自社のオンラインショップとSNSで売り出します。さて、どうするか。地図を持たない状態だと、「とにかくSNSを毎日投稿しよう」「広告を出そう」と、いきなり施策から動いてしまいます。そうではなく、「①どうやって知ってもらう?(集客)②すぐ買わない人とどう関係を育てる?(育成)③どうやって買ってもらう?(販売)」の順で考える——これがデジタルマーケティングです。この章では、まだ中身は埋めません。3つの目的の“枠”だけを立てておきます。
この章の確認(演習)
共通例「カルリの軽量リュック」について、いきなり施策を考えるのをやめて、次の3つの目的を、答えは空欄のまま書き出してみてください。
- ① 集客(どう知ってもらう):_____
- ② 育成(どう関係を育てる):_____
- ③ 販売(どう買ってもらう):_____
そのうえで、「デジタルマーケティングとは、施策を“何のため(集客→育成→販売)”で並べて、買いたくなる流れをデジタルで作ることだ」を、自分の言葉で1〜2行に書いてみます。施策からではなく“目的の枠”から入る感覚を、自分の手で言葉にできたら、この章はゴールです。空欄は、これから第2章・第3章・第4章で1つずつ埋めていきます。
集客(まず知ってもらう)=見つけてもらう施策を並べる
地図の1マス目、集客(知ってもらう)を埋めていきます。どんなに良いリュックでも、お客さんがその存在を知らなければ、何も始まりません。
この章のゴール
この章を読み終えると、集客(知ってもらう)の代表的なデジタル施策(検索/SEO・Web広告・SNS)を、「知ってもらう」目的で位置づけて説明できるようになります。
知られなければ、買われない
地図の出発点は、集客です。理由はシンプルで、お客さんが商品の存在を知らなければ、検討すらされず、買われないから。カルリの軽量リュックがどんなに肩にやさしくても、通勤で肩こりに悩んでいる人がその存在を知らなければ、その人の選択肢には一生入りません。
集客とは、お客さんに見つけてもらう・たどり着いてもらうための施策です。ネット上には、その入口がいくつもあります。次の節で、代表的な3つを見ていきましょう。
デジタルの集客は3つの入口:検索・広告・SNS
デジタルで「知ってもらう」入口は、大きく3つに整理できます。
| 入口 | 何をするか | ひとことで言うと |
|---|---|---|
| 検索(SEO) | 検索結果で(広告でなく)上のほうに出るようにする | 検索した人に見つけてもらう |
| Web広告 | お金を払って、検索結果やWebページ・SNSに表示する | お金を払って知らせる |
| SNS | 投稿が広がって知ってもらう | 発信で見つけてもらう |
ひとつめは、検索(SEO)です。SEOとは「検索エンジン最適化」のことで、ひとことで言えば「検索結果で、広告ではない自然な枠に、上のほうに出るようにする工夫」。広告費はかかりませんが、効果が出るまでには時間がかかります(数か月かけて育てるイメージ)。
ふたつめは、Web広告です。お金を払って表示してもらう方法で、代表的なのが2つ。検索したキーワードに合わせて検索結果に出るリスティング広告(検索連動型広告)と、いろいろなWebサイトやアプリに画像で出るディスプレイ広告です。前者は「○○が欲しい」と検索している買う気の高い人に届きやすく、後者は画像で幅広く知ってもらうのに向いています。
みっつめは、SNSです。役立つ投稿や共感される投稿が広がって、まだ知らない人に見つけてもらう入口です。
3つとも、やっていることは違っても、目的はまったく同じ。「まず知ってもらう(集客)」です。各ツールの細かい使い方(広告の出し方やSEOのテクニック)は、この講座では追いません。今は「これらは全部、集客のための入口なんだ」と地図の上に置ければ十分です。
数ではなく「買ってくれそうな人」に届ける
集客でひとつ、気をつけたいことがあります。それは、数をたくさん集めることが目的ではないということです。1万人に知ってもらっても、その全員がリュックに興味のない人なら、売上にはつながりません。大事なのは、買ってくれそうな人に見つけてもらうことです。
そのためのコツは、絞った顧客が、ふだんどこを見て、何を検索しているかを考えること。カルリのリュックなら、お客さんは「毎日の通勤で重い荷物に肩がこっている、20〜30代の会社員」でした(これは先に学んだ「顧客→価値」で決めたことです)。この人は、たとえば「通勤 リュック 軽い」「肩こり リュック」と検索するかもしれません。だったら、その検索ワードで自社ショップのページが出るようにする(SEO)、その検索に連動した広告を出す(リスティング広告)、通勤の参考になる投稿をSNSでする——と、施策の置き場所が見えてきます。
そして、ここで集めた人は、知ってくれただけで、すぐには買いません。だから集客の次に、その人とつながり続ける工夫が必要になります。それが、次の章の「育成」です。
この章の確認(演習)
共通例「カルリの軽量リュック」の集客を考えてみましょう。絞った顧客「通勤で肩がこる会社員」が、ふだんどこで・何を検索して・どんなSNSを見ているかを、1〜2行で書いてみてください。
そのうえで、検索(SEO)・広告・SNSのうち、どの入口で知ってもらうかを1つ選んでみます。このとき、「これは“知ってもらう(集客)”のための施策だ」と、目的を一言そえるのがポイントです。施策を“何のため”で言える感覚が身についたら、ゴールです。
育成(すぐ買わない人と関係を育てて、欲しくなってもらう)
地図の2マス目、育成(欲しくなってもらう)を埋めます。ここが、多くの人が飛ばしてつまずく場所です。あの「フォロワーは増えたのに売れない」の正体も、ここにあります。
この章のゴール
この章を読み終えると、育成(欲しくなってもらう)の代表的なデジタル施策(SNSの継続発信・メール/LINE・コンテンツ・リターゲティング広告)を、「関係を育てて欲しくなってもらう」目的で位置づけて説明できるようになります。
お客さんは、知ってもすぐには買わない
第2章で、お客さんに知ってもらいました。では、知ってもらえれば、すぐ売れるのでしょうか。残念ながら、売れません。これが、デジタルマーケティングでいちばん飛ばされやすい大事な事実です。
お客さんは、商品を知っても、その場ですぐには買いません。「いいな」と思っても、「本当に軽いのかな」「もっと安いのはないかな」「今すぐじゃなくていいか」と、いったん離れて、比べて、迷います。カルリのリュックを知ってフォローしてくれた人も、ほとんどはその日には買いません。
だから、集客で終わってしまうと、せっかく知ってもらった人が、そのまま素通りして終わってしまいます。これこそが、「フォロワーは増えたのに、売上につながらない」の正体です。知ってもらった人とつながり続けて、関係を育て、少しずつ欲しくなってもらう——この一手間が「育成」です。専門的には「リードナーチャリング(見込み客育成)」と呼ばれる、集客と販売の“あいだ”の工程です。
育成=つながり続けて、欲しくなってもらう
では、どうやって関係を育てるのか。代表的な育成の施策は、次の4つです。
| 施策 | 何をするか | ねらい |
|---|---|---|
| メール/LINE | 登録してもらい、役立つ情報を定期的に届ける | つながり続けて思い出してもらう |
| SNSの継続発信 | 使う様子やお客さんの声を投稿し続ける | “いいな”を積み重ねる |
| コンテンツ(記事・動画) | 買う前の不安・疑問に答える記事を用意する | 不安を先に解消する |
| リターゲティング広告 | 一度サイトを見た人に、もう一度広告を見せる | 思い出してもらう |
ひとつめは、メールやLINEです。メールマーケティングは、メールやLINEに登録してもらって、役立つ情報を定期的に届け、関係を築いていく方法。コツは、いきなり「買ってください」と売り込まないこと。まずは役立つ情報で「この会社、いいこと言うな」と思ってもらい、思い出してもらう関係を作ります。
ふたつめは、SNSの継続発信です。一度知ってフォローしてくれた人に、使っている様子やお客さんの声を投稿し続けて、「いいな」を少しずつ積み重ねます。
みっつめは、コンテンツ(記事や動画)です。コンテンツマーケティングは、お客さんが買う前に抱く不安や疑問に、先回りして答える情報を用意する方法。「本当に軽いの?」「耐久性は?」という疑問に記事で答えておけば、お客さんは安心して購入に近づけます。
よっつめは、リターゲティング広告。「一度サイトを見た人に、別のサイトでもう一度その広告を見せて、思い出してもらう仕組み」です。商品ページを見たけれど買わなかった人に、後日もう一度広告が表示される——あの体験のことです。一度興味を持った人なので、思い出してもらえると戻ってきてくれやすいのです。
同じSNSでも、集客と育成では役割が違う
ここで、この章のいちばん大事なところをお話しします。第2章でもSNSが出てきて、この章でもSNSが出てきました。「同じSNSじゃないか」と思うかもしれません。でも、同じSNSでも、集客と育成では役割がまったく違います。
集客のSNSは、まだ知らない人に見つけてもらうための投稿です。一方、育成のSNSは、一度知ってフォローしてくれた人に「いいな」を積み重ねてもらうための発信です。相手が違えば、投稿の中身も変わります。前者は「肩がこらないリュックの背負い方」のような、知らない人の役に立って広がる投稿。後者は「お客さんがこんなふうに使っています」という、すでに興味のある人の気持ちを温める投稿です。
この区別ができると、あの悩みの答えが見えてきます。「フォロワーは増えたのに売れない」——その正体は、集客(知ってもらう)まではできていたのに、育成(関係を育てて欲しくなってもらう)が抜けていたから。集客と育成を切り分けて考えられると、自分の施策の“どこが抜けているか”が見えるようになります。
この章の確認(演習)
共通例「カルリの軽量リュック」で、第2章で知ってもらった人とつながり続ける手段を1つ選んでみてください(メール/LINE登録・SNSフォロー・リターゲティング広告など)。
そのうえで、その人が買う前に抱きそうな不安や疑問を1つ書き出し、それを先に解消する発信やコンテンツを1つ考えてみます。たとえば「本当に肩がこらないの?」という不安に、どんな投稿や記事で答えるか。最後に「これは“欲しくなってもらう(育成)”のための施策だ」と、目的を一言そえます。集客と育成の役割の違いを、自分の手で区別できたら、ゴールです。
販売(買ってもらう・買った後につなげる)=最後のひと押しと数字で改善
地図の3マス目、販売(買ってもらう)を埋めます。育成で「欲しいな」と思った人に、迷わず買ってもらい、そして買った後を次につなげます。デジタルならではの強み「数字で改善する」も、ここで身につけます。
この章のゴール
この章を読み終えると、販売(買ってもらう)の代表的なデジタル施策(ランディングページ・初回クーポン・レビュー/口コミ)を位置づけて説明でき、デジタルの強み=各目的を数字で見て改善する考え方を説明できるようになります。
迷わず買えて、買った後につなげる
育成で「欲しいな」と思ってもらえても、いざ買おうとしたときにページが分かりにくいと、お客さんは離れてしまいます。販売の施策は、迷わず買えて、買った後も良い体験につながるようにすることです。代表的なのは、次の3つです。
ひとつめは、ランディングページ(LP)です。LPとは「その商品を買ってもらうための、1枚のWebページ」のこと。あちこちにリンクが散らばった普通のページと違い、縦に長い1ページの中に、「肩がこらない理由・お客さんの声・価格・買うボタン」を分かりやすい順番で並べ、お客さんを迷わせずに購入へ導きます。
ふたつめは、最後のひと押しです。「欲しいけど、もう少し」という人の背中をそっと押す工夫で、初回購入クーポンや送料無料などがこれにあたります。
みっつめは、買った後につなげること。買ってくれたお客さんの口コミやレビューを、次のお客さんのために活かす施策です(次の節で詳しく見ます)。
ここで、ひとつ誤解を潰しておきます。販売とは、値引きでむりやり売り込むことではありません。「欲しい」と思ってくれた人が、迷わず・安心して買えるようにすること。売り込むのではなく、買いやすくするのが販売の施策です。
デジタルの強み:数字で見て、弱い目的を直せる
ここで、デジタルマーケティングのいちばんの強みをお伝えします。それは、ここまでの集客→育成→販売の一つひとつを、数字で見られることです。
テレビCMやチラシ(マス広告)だと、「何人が見て、そのうち何人が買ったか」を正確に数えるのは、とても難しい。でもデジタルなら、「何人が知って(集客)→何人が登録・フォローして(育成)→何人が買ったか(販売)」を数えられます。この「買う・申し込むといった“ゴールの行動”」のことをコンバージョン(CV)と呼びます。
数字で見られると、何がうれしいのか。どの目的でお客さんが減っているか(どこが弱いか)を見つけて、そこだけ直せるのです。たとえば、こんな数字が出たとします。
| 目的 | 数字(例) | 読み取れること |
|---|---|---|
| 集客 | 商品ページを1,000人が見た | 知ってもらえている |
| 育成 | そのうち200人がメール登録した | 関係づくりは進んでいる |
| 販売 | そのうち5人しか買わなかった | 「買う」の手前で大きく減っている |
この数字を見れば、「集客はできている。でも、買う直前で離れている。LPが分かりにくい? 価格で迷っている?」と当たりをつけて、販売のところだけ直せます。
ここで気をつけたい誤解が、ひとつ。「アクセス数が増えた」「フォロワーが増えた」だけで満足してしまうことです。これらは大事ですが、あくまで途中の数字。最後に「で、何人が買ったか(コンバージョン)」まで見ないと、本当の成果は分かりません。冒頭で広告の成果を聞かれて答えられなかったあなたも、これからは「知った人→登録した人→買った人」の数字で答えられます。
地図が1周つながる:買った人の声が、次の集客・育成に戻る
販売には、もうひとつ大事な役割があります。それは、買った後を、次のお客さんにつなげることです。
買ってくれたお客さんに、口コミやレビューを書いてもらいましょう。お客さん自身が書いた口コミやレビューを、UGC(ユーザー生成コンテンツ)と呼びます。会社が出す広告よりも、実際に使った人の「本当に肩がラクになりました」というリアルな声のほうが、これから買おうとしている人には信頼されやすいのです。
そして、このレビューは、次の人の集客と育成に戻っていきます。商品ページやSNSに載せれば、まだ知らない人が「良さそう」と知るきっかけ(集客)になり、迷っている人の「本当に軽いの?」という不安を解消する材料(育成)にもなります。こうして、集客→育成→販売が、買った人の声を通じて1周つながる。地図は、一本道ではなく、ぐるぐる回る輪なのです。
この章の確認(演習)
共通例「カルリの軽量リュック」で、欲しくなった人に買ってもらう施策を1つ選んでみてください(LPを分かりやすくする・初回クーポンを付ける・レビューを集めて載せる、など)。
そのうえで、「知った人 → 登録した人 → 買った人」のうち、どの数字を見れば、いま弱い目的が分かるかを1つ書いてみます。最後に、「これは“買ってもらう(販売)”のための施策で、○○の数字を見て改善する」と、目的と測り方を一言そえます。数字で弱い目的を見つけて直す感覚が身についたら、ゴールです。
まとめ:デジタルマーケティングは“施策を頑張る”ではなく“目的で並べる”こと
おつかれさまでした。「カルリの軽量リュックをオンラインで売り出す」という、たった1つの場面を、1マスずつ地図に埋めてきました。第1章で空欄だった3つの目的を、ここで振り返ります。
- 集客(知ってもらう)……知られなければ買われない。検索(SEO)・Web広告(リスティング/ディスプレイ)・SNSで、“買ってくれそうな人”に見つけてもらう。数ではなく、絞った顧客がふだん見ている場所に施策を置く(第2章)。
- 育成(欲しくなってもらう)……お客さんは知ってもすぐ買わない。メール/LINE・SNSの継続発信・コンテンツ・リターゲティング広告で、“すぐ買わない人”とつながり続けて、欲しくなってもらう。「フォロワーは増えたのに売れない」の正体は、この育成が抜けていたこと(第3章)。
- 販売(買ってもらう)……欲しくなった人が迷わず買えるLPと、最後のひと押し(クーポン等)。買った人のレビュー(UGC)は、次の集客・育成に戻って、地図が1周つながる。そして、知った人→登録した人→買った人の数字を見て、弱い目的を直す(第4章)。
この3つは、すべて1つの問いに戻ります。「『デジタルでどう集客する?』に、施策からではなく、“集客→育成→販売”の目的の順で答えられているか?」。この講座でいちばん覚えて帰ってほしいのは、このひと言です——デジタルマーケティングは“施策を頑張る”ではなく“目的で並べる”こと。順番は、集客→育成→販売。そして、数字で見て直す。これが身につくと、会議で「うちもデジタルで集客を強化しよう」と言われたとき、「まず何のためで分けませんか。知ってもらう(集客)ならSEOや広告、関係を育てる(育成)ならメールやSNS発信、買ってもらう(販売)ならLPやクーポン。こう並べると、うちは“育成”が抜けていますね」と、目的の地図の上で話せるようになります。
明日の最初の一歩:自分の会社の商品やサービスを1つ選び、いま行っているデジタル施策を、①集客②育成③販売の3つの目的に仕分けてみてください。そのうえで、「いま、どの目的の施策が抜けている/弱いか」を1つ見つけます。多くの場合、抜けているのは“育成”です。施策を“何のため”で並べ直せたら、それが第一歩です。
そして、この「集客→育成→販売」の地図を、もっと具体的に使えるようになりたくなったら、その先の道も用意されています。検索で見つけてもらうSEO、お金を払って届けるWeb広告、発信で関係を育てるSNSマーケティング、つながり続けるコンテンツ/メールマーケティング、数字で改善するアクセス解析——これらは、今日描いた地図の各マスを、ひとつずつ深掘りするものです。続きは、無料会員登録で次の講座に進めます。まずはこの「集客→育成→販売」の地図を、自分の手で1枚描けるようにしておきましょう。それが、すべての土台になります。
よくある質問
デジタルマーケティングとは何ですか?
検索・SNS・広告・メール・Webサイトといったネット上の道具を使い、「知ってもらう(集客)→欲しくなってもらう(育成)→買ってもらう(販売)」の3つの目的の順に施策を並べ、お客さんが買いたくなる流れをデジタルで作ることです。
集客・育成・販売のどれから始めればよいですか?
必ず「集客(知ってもらう)」から始めます。お客さんが商品の存在を知らなければ検討もされないからです。集客で見つけてもらい、育成で関係を育て、販売で買ってもらうという順番は変わりません。
SNSはどの目的に使いますか?
SNSは集客にも育成にも使えますが、役割が異なります。まだ知らない人に見つけてもらう投稿が「集客」、すでにフォローしてくれた人に「いいな」を積み重ねる発信が「育成」です。同じSNSでも目的によって投稿の内容を使い分ける必要があります。
フォロワーが増えても売上につながらないのはなぜですか?
集客(知ってもらう)まではできていても、育成(関係を育てて欲しくなってもらう)が抜けているためです。お客さんは知ってもすぐには買わないので、メールやSNS継続発信・コンテンツ等でつながり続ける工程が必要です。
デジタルマーケティングで成果をどう測ればよいですか?
「知った人(集客)→登録した人(育成)→買った人(販売)」の3段階を数字で追います。どの目的でお客さんが減っているかを見つけ、そこだけ改善するのがデジタルならではの強みです。最終的な「買う」行動をコンバージョンと呼びます。