贈与税の「暦年課税」と「相続時精算課税」の基本的な違いの説明として最も適切なものはどれか。
解説まとめ
正解はCです。暦年課税は、その年に受けた贈与を年ごとに集計して贈与税を計算する原則的な方式です。相続時精算課税は、選択した場合に、贈与時の課税を一定の範囲で抑える代わりに、相続が起きたときその贈与財産を相続財産に合算して税を精算する方式です。両者は課税のタイミングと精算の仕方が異なります。
ポイント
2つの方式の違いを「課税のタイミングと精算の有無」で捉えることが核心です。暦年課税は毎年その都度で完結、相続時精算課税は贈与時に抑えて相続時にまとめて精算、という時間軸の違いがポイントです。控除額や税率といった可変数値ではなく、仕組みの違いで判別するのがつまずきどころです。
ワンポイントアドバイス
どちらの方式が自社の承継に向くかは、株式の移転計画と相続全体の見通しで変わります。一度選ぶと変更できない方式もあるため、安易に決めず、長期の移転シナリオを描いてから選びましょう。専門家とともに、贈与と相続を通した全体像で比較することが効果的です。
解説詳細
暦年課税とはどういう方式か
暦年課税は、贈与税の原則的な計算方式です。一年(暦の上の一月から十二月まで)という期間ごとに、その間に受け取った贈与を集計し、それに対して贈与税を計算します。毎年その年で完結する仕組みで、贈与を受けた都度、年単位で税が確定していくイメージです。多くの人が「贈与税」と聞いて思い浮かべるのがこの方式です。年ごとに集計して課税する、という点が暦年課税の特徴で、選択肢Cの前半が正しくこれを表しています。
相続時精算課税とはどういう方式か
相続時精算課税は、一定の関係にある親子間などで選択できる方式です。この方式を選ぶと、贈与を受けたときの課税を一定の範囲で抑えることができますが、その代わり、贈与した人が亡くなって相続が起きたときに、過去にこの方式で贈与した財産を相続財産に合算し直して、相続税として精算します。つまり「贈与時はいったん軽く、相続時にまとめて精算する」という時間をまたいだ仕組みです。承継で株式を計画的に移したい場合などに検討されますが、いったん選ぶと暦年課税に戻せないなどの制約があるため、慎重な判断が必要です。なお、それぞれの控除額や対象範囲は改正され得るため、本問では仕組みの違いのみを問うています。
なぜ他の選択肢が誤りなのか
選択肢Aの「法人だけ・個人だけが使える」は誤りで、贈与税は個人間の財産移転に関わる税であり、法人・個人で使い分ける制度ではありません。選択肢Bの「内容は同じで名称だけ違う」は明確な誤りで、両者は課税のタイミングと精算方法がはっきり異なる別の方式です。選択肢Dの「暦年課税は贈与、相続時精算課税は売買に課される」も誤りで、相続時精算課税はあくまで贈与に関する課税の選択肢であり、売買(有償取引)に対する課税方式ではありません。2つの方式の本質的な違いである「課税のタイミングと精算」を正しく示しているのはCだけです。