経営者の死亡に伴い、後継者が自社株式を取得した場合に、原則として課されるのはどの税か。
解説まとめ
正解はDです。経営者の死亡をきっかけに財産(自社株式)が後継者へ移ることは「相続」にあたり、原則として相続税が課されます。生前の無償移転は贈与税ですが、死亡を原因とする移転は相続税です。消費税は消費に、固定資産税は土地・家屋などの保有に課される税であり、株式の相続には当てはまりません。
ポイント
「死亡を原因とする財産移転=相続=相続税」という対応を、贈与税と対にして押さえることが核心です。設問11(生前・贈与税)との違いは、移転のきっかけが生前か死亡後か、という時点の違いにあります。同じ株式でも移転の原因で税目が変わる点がつまずきどころです。
ワンポイントアドバイス
相続による承継は、いつ起こるかを選べないという難しさがあります。準備のないまま相続が発生すると、後継者が突然の納税資金に困ることがあります。経営者が元気なうちから、株式の所在と評価額、納税資金の手当てを家族と共有しておくことが効果的です。
解説詳細
なぜ相続税が課されるのか
財産が動いた原因が税の種類を決める、という原則は相続でも同じです。経営者が亡くなり、その保有していた財産が後継者を含む相続人へ移ることを「相続」と呼びます。後継者が相続によって自社株式を取得した場合、その株式は相続財産の一部として扱われ、原則として相続税の対象になります。相続税は、亡くなった人の財産を受け継いだ人に対して、受け継いだ財産の価額に応じて課される税です。したがって、死亡を原因とする株式の移転に対応する税は相続税であり、選択肢Dが正解になります。
相続による承継の特有の難しさ
生前贈与による承継は、経営者が自分のタイミングで計画的に進められます。これに対して相続による承継は、経営者の死亡という、時期を選べない出来事をきっかけに発生します。そのため、準備が整わないうちに相続が起きると、後継者は短い期間で多くのことに対応しなければなりません。株式の評価、遺産分割の話し合い、そして相続税の納税資金の確保などです。特に納税資金は、現金が手元になければ困難に直面します。だからこそ、相続を待つ場合でも、生前からの計画と関係者間の情報共有が欠かせません。
なぜ他の選択肢が誤りなのか
選択肢Aの「贈与税」は、生前に無償で財産を渡したときに課される税であり、死亡を原因とする相続の場面には当てはまりません。設問11と本設問は、移転のきっかけが生前か死亡後かで税目が分かれることを問うており、ここを取り違えるとAを選んでしまいます。選択肢Bの「消費税」は消費に課される税で、相続とは無関係です。選択肢Cの「固定資産税」は、土地・家屋・償却資産などを保有していることに対して毎年課される税であり、株式の相続に課される税ではありません。原因(相続)と税目(相続税)の対応を外している点で、いずれも誤りです。