Excel×AI活用入門|Excel Copilotで集計と関数を頼み、検算して受け取る | マナビズ

Excel×AI活用入門|Excel Copilotで集計と関数を頼み、検算して受け取る

Excel×AI活用入門|Excel Copilotで集計と関数を頼み、検算して受け取る

「売上を分類ごとに出して」と言われて、SUMIF の引数の順番をまた検索している——。そんな afternoon、ありませんか。Excel で集計するたびに数式をググって、条件付きの合計の書き方が分からず手が止まる。Copilot に頼めば速いと聞いたのに、「いい感じに集計して」と頼んだら、見当違いの表が返ってきた。問題は AI の出来が悪いからではなく、実は「頼み方」と「受け取り方」のほうにあるのかもしれません。

Excel には、 Copilot というAIアシスタントが組み込まれています。Excel AI Copilot と呼ばれるこの機能は、いまあなたが開いている表をそのまま下敷きにして、言葉での指示から集計表や数式を作る道具です(出典:Microsoft「Copilot in Excel を使用して編集する」)。本講座は、この Excel の中の Copilot を使って、集計と数式を「正しく頼み、正しく受け取る」ことに一点集中します。

最初に、本講座が扱う範囲と、扱わない範囲をはっきりさせておきます。本講座は「Excel の中の Copilot に、集計と数式を作らせて検算する」ことに絞ります。SUM や SUMIF を自分でクリックして打つ、フィルタで切り出す、そうした Excel の基本関数や操作の手順そのものはExcel基礎入門が正本です。Word・PowerPoint・Outlook を含む Copilot 全体の入口や、そもそも Copilot とは何かはMicrosoft Copilot入門が正本です。表のデータをブラウザのAIチャット(ChatGPTやClaudeなど)に渡して集計・グラフ化させる実践はAIデータ分析入門へ、「どの軸で数えるか」という集計の切り口の判断の型はデータ分析入門へ、それぞれ送客します。これらの深掘りには本講座では踏み込みません。

この講座を終えると、次の3つができるようになります。出したい集計を「対象・条件・出し方」の形に言葉で分解し、Copilot への指示として書けること。Copilot に集計表や関数(数式)を作らせ、うまく動かない数式は症状を伝えて直させられること。そして、Copilot が出した数式や集計が元のデータと合っているかを、別の方法で検算して受け取れること。

全章を通して追うのは、次のような場面です。手元に、架空の売上一覧があるとします。

日付商品分類担当金額
6/1飲料佐藤10,000
6/1食品田中15,000
6/2飲料佐藤8,000
6/2日用品鈴木12,000
6/3食品田中20,000
6/3飲料佐藤5,000

6行の、いかにもありそうな売上の表です。この表を前にして、「商品分類ごとの売上合計を出したい」と思ったとき、Excel の中の Copilot にそれを作らせ、出てきた結果が本当に合っているかを自分で確かめる——この一本の糸を、全章で追いかけます。

この講座のポイント

  • Excel に組み込まれた Copilot が「集計と数式作成の相棒」であることと、向く作業・向かない作業を、自分の言葉で説明できる。
  • 出したい集計を「対象・条件・出し方」の形に分解し、Copilot への指示として書ける。
  • Copilot に数式(関数)を作らせ、エラーや思った結果と違う数式は症状を伝えて直させられる。
  • Copilot が出した数式・集計が元のデータと合っているかを、別の方法で検算して受け取れる。

Excel の中の Copilot で何ができて、何に向くか

この章のゴール

Excel に組み込まれた Copilot が「集計と数式作成の相棒」であることと、向く作業・向かない作業を、自分の言葉で説明できる。

Copilot は「いま開いている表を集計・整理させる相棒」である

まず、Excel の Copilot が何をしてくれる道具かを押さえます。公式の説明では、Copilot in Excel は「数式の生成、データの分析と集計、スプレッドシートへの役立つビジュアルの追加」に役立ちます(出典:Microsoft「Excel のヘルプとラーニング」)。要するに、あなたが言葉で「これを集計して」「こういう数式を作って」と頼むと、Excel の強力な組み込みツール(テーブル、グラフ、ピボットテーブル、数式など)を使って作業を完了してくれます(出典:Microsoft「Copilot in Excel を使用して編集する」)。

ここで一番誤解しやすいのが、「AI がゼロから数字を生み出してくれる」という思い込みです。Copilot が相手にするのは、いまあなたが開いているそのブックのデータだけです(出典:Microsoft「Copilot in Excel を使用して編集する」)。他のファイルやメール、社内の別データにはアクセスしません。つまり Copilot は、「あなたが用意した表を、集計しやすい形に整理し、集計表や数式に仕立てる」相棒であって、データそのものを捏造したり、外部から持ってきたりする道具ではありません。この「下敷きになるのは手元の表だけ」という前提を押さえると、後の章で Copilot がズレた結果を出してきたときの原因が見えやすくなります。

向く作業と向かない作業を切り分ける

では、どんな作業を Copilot に頼むのが向いているのでしょう。公式ドキュメントによれば、Copilot を使った編集は「データの変更、シートのマージ、複数の要素を含むレポートの作成など、複雑な複数ステップのタスクに最適」です(出典:Microsoft「Copilot in Excel を使用して編集する」)。冒頭の売上一覧でいえば、「商品分類ごとに売上の合計を出す」「担当ごとの件数を数える」「月ごとの平均を出す」といった、定型の集計や数式作成は、まさに Copilot の得意な領域です。

逆に向かない作業もあります。ひとつは、表にない事実を「作らせる」ことです。「来月の売上を予想して」と頼んでも、予測には過去の傾向や市場の前提など、表の外の情報が必要です。それは集計ではなく、判断や推論の仕事で、Copilot が魔法のように正解を出すわけではありません。もうひとつは、判断そのものを丸投げすることです。「どの商品分類を重点的に売るべき?」は、集計結果を見たうえで人が考えるべき経営判断であり、Copilot が出せるのは「分類ごとの売上」という事実までです。事実づくりと判断を切り分けること——これが Copilot を中級の使い方で扱う第一歩です。集計の切り口そのものをどう決めるかはデータ分析入門が正本ですので、本講座は「決めた集計を Copilot に作らせる」実行の側に絞ります。

Copilot に頼む前に、自分で決めておく3つのこと

Copilot を開く前に、少し立ち止まる時間が要ります。Copilot に「何を集計したいか」を先に自分で決めておくことです。これを忘れると、後で「いや、違う、こうじゃなくて」と作り直すことになります。具体的には、次の3点を頭の中で、あるいはメモにまとめておきます。第一に、「自分は何を集計したいか」を一文で決める。第二に、表が集計しやすい形になっているかを見る——見出し行があって、1行が1件(1取引)になっていて、列が分かれている形です。今回の売上一覧は、1行目に見出しがあり、2行目以降が1取引ずつ並んでいる、集計しやすい形です。第三に、Copilot に頼む範囲を集計・数式・整形に絞ることで、判断や予測は頼まない。

ここで、Copilot を使えるかどうかの前提も触れておきます。Excel で Copilot を使用して編集するには、Copilot を含む特定の Microsoft 365 のプランやライセンスが必要です(出典:Microsoft「Copilot in Excel を使用して編集する」)。また、計算オプションが「自動」に設定されている場合にのみサポートされ、現在開いているブックでのみ機能します(出典:Microsoft「Copilot in Excel を使用して編集する」)。具体的なプラン名や料金は、あなたの契約や組織の設定によって変わるため、本講座では断定しません。まずは、あなたの Excel 画面で Copilot を呼び出せるかを確認してください。Microsoft 365 全体での Copilot の呼び出し方や、どのアプリで何ができるかはMicrosoft Copilot入門が正本です。

この章の確認(演習)

あなたの業務で、Excel の Copilot に頼めそうな作業を1つ、逆に頼んでも向かない作業を1つ書き出してください。それぞれ、なぜそう分けたのかを一言で添えましょう。ヒント:「表のデータを集計・整理する作業」は向き、「表にない事実を推測する作業」や「数字を見て判断を下す作業」は向かない、という基準で線を引いてみてください。

集計の指示を「対象・条件・出し方」で言葉にする

この章のゴール

出したい集計を「対象・条件・出し方」の形に分解し、Copilot への指示として書ける。

Copilot がズレるのは AI のせいではなく、頼み方が曖昧だから

第1章の売上一覧で、Copilot に「売上をいい感じにまとめて」と頼んだと想像してください。これで何が返ってくるか、自分でも読めないはずです。商品分類ごとの合計が出るかもしれませんし、担当ごとの件数になるかもしれませんし、グラフが出るかもしれません。Copilot が勝手にズレたわけではありません。指示が曖昧なため、Copilot が「まとめ方」を推測して、たまたまあなたの意図と違う道を選んだだけです。

公式ドキュメントによれば、Copilot はプロンプト(自然言語での指示)を受け取ると、タスクを分析してステップバイステップの計画を作り、ドキュメント内で直接実行します(出典:Microsoft「Copilot in Excel を使用して編集する」)。つまり Copilot は、あなたの指示を「計画」に翻訳してから動きます。指示が曖昧だと、その翻訳の幅が広くなり、結果がブレる。逆に言えば、指示が明確なら、Copilot が立てる計画も明確になります。ズレを防ぐ一番の近道は、Copilot の性能を疑うことではなく、自分の頼み方を整えることなのです。

集計の指示は「対象・条件・出し方」の3点に分解すると伝わる

では、曖昧な指示をどう明確にするか。集計の指示は、次の3点に分解すると伝わりやすくなります。ひとつめは「対象」——どの列、どの範囲を集計の対象にするか。売上なら「金額の列」です。ふたつめは「条件」——どう絞るか、どう分けるか。「商品分類ごとに」が条件です。みっつめは「出し方」——合計、平均、件数、分類ごとのクロス集計の、どれを出すか。今回は「合計」です。

この3点は、Excel で集計する仕組みそのものに由来します。SUMIF のような条件付き集計でも、ピボットテーブルでも、結局「何を(対象)」「どう分けて(条件)」「どう計算するか(出し方)」の3要素で成り立っています。Copilot は Excel の組み込みツールを使って作業をします(出典:Microsoft「Copilot in Excel を使用して編集する」)ので、この3点を明示すれば、Copilot が使う道具も自ずと定まります。覚えやすい型として、「対象・条件・出し方」と三つ並べて覚えてください。

「いい感じに集計して」を、3点を埋めた一文に書き直す

それでは、冒頭の曖昧な指示を、3点を埋めた一文に書き直してみましょう。「売上をいい感じにまとめて」→「金額の列を対象に、商品分類ごとに、売上の合計を出して」。これなら、Copilot が何を立てばよいか一目で分かります。同じ売上一覧で、「担当ごとの件数」を出したいなら、「金額の列ではなく件数(行数)を対象に、担当ごとに、件数を出して」に差し替えるだけです。「月ごとの平均」なら、「金額の列を対象に、月ごとに、売上の平均を出して」です。3点の枠は同じまま、中身を差し替えるだけで、いろいろな集計に使い回せます。

最後にもう一点、出力の形も添えるとさらに確実です。「結果を表で出して」「1つのセルに合計だけ出して」と、欲しい形を一句添えるのです。今回は「商品分類ごとの合計を、表で出して」とすれば、Copilot は分類ごとに合計を並べた表を作ってくれます。頼むときの最大のコツは、列名や切り口を省略しないことです。「売上を集計して」では対象も条件も抜けていますが、「金額の列を、商品分類ごとに、合計で」と言えば、すべて埋まります。また、複数の集計を一度に詰め込むと、何が返ってくるか読めなくなるので、まずは1集計を1文で、3点をきちんと埋めて頼むのがコツです。

この章の確認(演習)

冒頭の売上一覧(架空の例)を使って、「対象・条件・出し方」を埋めた集計指示を2つ書いてください。1つめは合計を出す指示、2つめは件数か平均を出す指示です。たとえば1つめは「金額の列を対象に、商品分類ごとに、売上の合計を表で出して」。2つめは、対象・条件・出し方を自分で決めて書いてみましょう。書けたら、その指示で Copilot が何を出しそうかを、自分で想像できるか確認してください。

関数(数式)を作らせ、動かない数式を直させる

この章のゴール

Copilot に数式(関数)を作らせ、エラーや思った結果と違う数式は症状を伝えて直させられる。

Copilot は集計表だけでなく、セルに入れる数式そのものも作れる

第2章では、Copilot に集計表を作らせました。「商品分類ごとの売上合計」を表で出す、という頼み方です。実は Copilot には、もう一段階細かい頼み方ができます。集計表そのものではなく、「セルに入れる数式(関数)」を作らせることです。公式ドキュメントでも、Copilot in Excel は「数式の生成」に役立つと明記されています(出典:Microsoft「Excel のヘルプとラーニング」)。

違いを整理します。集計表を頼むのは「結果そのものを表で出して」です。一方、数式を頼むのは「その結果を出すための計算式を作って」です。たとえば、「商品分類ごとの売上合計を出す数式を作って」と頼めば、Copilot は条件付きで合計を出す関数(例えば条件に合うものだけ足し合わせる関数)を、セルに埋め込んでくれる可能性があります。出てきた数式は、表のデータが変わっても自動で再計算されるという利点があります。なお、Copilot が生成する関数の具体的な名前や構文、引数の順番は、Excel のバージョンや設定で変わるため、本講座では特定の関数名を断定しません。関数の構文を自分で読み解く土台はExcel基礎入門が正本ですので、そちらを参照してください。

出てきた数式は「何をしているか説明させて」意味を確認する

ここが、初心者と中級者の分かれ目になります。Copilot が出した数式を、そのまま何も見ずに貼り付けるのが初心者です。中級者は、出てきた数式が「何をしているか」を確認してから受け取ります。ありがたいことに、Copilot は動いているあいだ、自分の推論プロセスをウィンドウ内に表示してくれます(出典:Microsoft「Copilot in Excel を使用して編集する」)。つまり、何をしようとしているかが見えるのです。

この見える仕組みを活かして、出てきた数式の意味を確認します。一番確実なのは、Copilot に直接聞くことです。「この数式は何をしていますか」と聞けば、Copilot はその数式が「どの範囲の、どういう条件の、何を計算しているか」を説明してくれます。たとえば「この数式は、金額の列のうち、商品分類が『飲料』のものだけを足し合わせています」という説明が返ってくれば、あなたの意図(飲料の売上合計)と合っています。丸暗記する必要はありません。「この数式は何をしているか」を自分の言葉で説明できる状態にすることが、中級の使い方です。説明が意図と違えば、それがズレの兆候です。

動かないときは「期待と実際のズレ」を症状として伝える

うまく動かないとき、あるいは思った結果と違う数式が出たとき、初心者は「動かない」とだけ言って終わります。これでは Copilot も直しようがありません。「動かない」だけでは、エラーなのか、計算が合わないのか、そもそも違う集計になっているのか、どこが悪いのか分からないからです。

直すためのコツは、「期待」と「実際」のズレを、症状として具体的に伝えることです。「商品分類ごとの合計を出す数式を頼んだが、出てきたのは全体の件数だった。合計ではなく件数になっている」と伝えます。あるいは「飲料の合計のはずが、食品も含まれている」と伝えます。こうして「期待は〇〇、実際は〇〇」というズレを言語化すると、Copilot は「では条件の絞り方を直します」と、ピンポイントで修正できます。Copilot はタスクを分析して計画を立て直せるので(出典:Microsoft「Copilot in Excel を使用して編集する」)、症状が具体的なほど、立て直す計画も的確になります。最後に、直した数式の対象範囲や条件が、自分の表(見出し行の位置やデータ範囲)に合っているかを、目で確かめて受け取ります。

この章の確認(演習)

冒頭の売上一覧(架空の例)で、Copilot に数式を1つ作らせてください(例:「商品分類ごとの売上合計を出す数式を作って」)。出てきた数式が「何をしているか」を、Copilot の説明を聞いたうえで、自分の言葉で1〜2文に書きましょう。そのあと、わざと条件を1つ変えてみてください(例:「今度は食品だけにして」)。どう直すかを Copilot に頼み直し、変更前と変更後で、数式のどこが変わったかを確認してください。

出てきた集計・数式を検算して受け取る

この章のゴール

Copilot が出した数式・集計が元のデータと合っているかを、別の方法で検算して受け取れる。

AI が出した結果をそのまま信じないのが中級の所作

ここまでで、集計を正しく頼み、数式を作らせ、意味を確認するところまでできました。では、Copilot が出した「商品分類ごとの売上合計」を、そのまま業務に使っていいでしょうか。中級者の答えは、もう一段階待つ、です。AI が出した結果を、見た目がそれらしいというだけで信じて使わない——これが中級の所作です。

なぜか。Copilot は賢いですが、完璧ではありません。指示の解釈を間違えることも、表の範囲を取り違えることも、あります。公式ドキュメントでも、Copilot は計算結果が意図と一致するかを評価し、不一致なら調整する仕組みを持つとされる一方で(出典:Microsoft「Copilot in Excel を使用して編集する」)、最終的に「これで合っている」と受け取るのは人の責任です。検算を挟まずに使うと、間違った数字が報告書や意思決定に混入し、後で「あの数字、違いました」と恥をかくことになります。検算とは、その恥を未然に防ぐ、たった数十秒の保険です。

検算とは、別の手段で同じ答えを出し、一致するか確かめること

検算というと難しく聞こえますが、仕組みは単純です。Copilot の出した結果を、Copilot とは別の方法で、もう一度計算し直し、二つの答えが一致するかを見るだけです。別の方法とは、手計算、別の関数、合計の突き合わせ、件数の照合など、何でも構いません。要は、別ルートで同じ答えにたどり着くかを確かめるのです。

冒頭の売上一覧で、Copilot が「商品分類ごとの売上合計」として、飲料23,000、食品35,000、日用品12,000を出したとします。これを検算してみましょう。一番簡単なのは、全体の合計を別途出すことです。元の表の金額を全部足すと、10,000+15,000+8,000+12,000+20,000+5,000=70,000円です。一方、Copilot の分類合計を足すと、23,000+35,000+12,000=70,000円。二つが一致しました。これで、各分類の合計は少なくとも「全部足すと全体合計になる」という意味で辻褄が合っています。もう一段階攻めるなら、飲料の行だけを手で拾って足し直します。飲料は佐藤さんの3件(10,000+8,000+5,000)で23,000円。Copilot の23,000と一致しました。件数も確かめましょう。元の表は6行なので、商品分類ごとの件数を足すと6にならなければおかしいです。飲料3、食品2、日用品1で、合計6。行数と一致しました。このように、別ルートで同じ答えが出ることを確かめて、初めて「受け取る」という判断が下ります。

ズレたら、頼み方か数式を直して作り直す(手で上書きしない)

検算してズレが見つかったとします。たとえば、Copilot の分類合計を足すと68,000円になり、全体合計70,000円と合わなかった。ここで絶対にやってはいけないのが、Copilot の出力を手で上書きして辻褄を合わせることです。「2,000円足りないから、このセルに2,000足しておこう」——こうしてしまうと、その数字がどこから来たか分からなくなり、後で再現できなくなります。データの信用が崩れるのは、こうした場当たり的な修正からです。

正しい対応は、原因を切り分けて、Copilot に作り直させることです。ズレの原因は大きく2つです。ひとつは頼み方が曖昧だったケース(第2章の「対象・条件・出し方」の抜け)。もうひとつは、数式の対象範囲が違っていたケース(第3章の症状伝達)。どちらかを疑って、指示や症状を直して Copilot に再度頼みます。Copilot は変更をいつでも簡単に元に戻せるので(出典:Microsoft「Copilot in Excel を使用して編集する」)、失敗を恐れず何度でも作り直して構いません。ズレがなくなり、検算が通り、初めてその集計を業務に使います。速く出すことより、合っていることを確かめて使う——これが本講座のいちばん伝えたかったことです。なお、機密性の高いファイルや共有ファイルでは、Copilot が直接変更を加えるため慎重に扱うよう、公式でも注意喚起されています(出典:Microsoft「Copilot in Excel を使用して編集する」)。

この章の確認(演習)

冒頭の売上一覧(架空の例)で、Copilot に集計を1つ作らせてください(例:「商品分類ごとの売上の合計を表で出して」)。その結果を、別の方法(全体合計を別途出す、分類ごとに手で足す、件数を行数と照合する、など)で検算してください。一致したか、ズレたかを書き、ズレた場合はどう直したか(頼み方を直した/症状を伝えて数式を直させた)を3行でまとめましょう。

まとめ

Excel の Copilot は、「集計と数式を作る相棒」です。出したい集計を「対象・条件・出し方」の3点に分解して言葉で頼み、出てきた数式が何をしているか意味を確認し、別の方法で検算して受け取る——この3ステップが、本講座の骨格です。Copilot は、いま開いている表を下敷きに集計や数式を作る道具であって、ゼロから数字を生む魔法でも、判断を下してくれる上司でもありません。速く結果を出すことより、合っていることを確かめて使うこと、そのほうが中級の使い方です。覚えて帰る型は、これだけです。「対象・条件・出し方で頼む → 数式の意味を確認する → 別の方法で検算して受け取る」。

明日、集計の業務が来たら、まず1分だけ立ち止まってください。「自分は、どの列を対象に、どういう条件で、合計か平均か件数のどれを出したいのか」を一文にまとめてから Copilot を開く。出てきた数式に「これは何をしていますか」と聞いて意味を確認する。そして、別の方法で検算してから使う。この3つを習慣にするだけで、Copilot の結果を「たぶん合ってる」ではなく「確かに合っている」と言って受け取れるようになります。

手元の表データを Excel の外(ブラウザのAIチャット)に渡して、集計からグラフ化までやらせる次の一歩は、AIデータ分析入門へ進んでください。Copilot に作らせる集計と、チャットに渡して分析する集計は、得意なことが少しずつ違います。二つを組み合わせられると、Excel の中と外の両方で、AI に集計を任せられるようになります。

Excel×Copilot 集計指示テンプレ(対象・条件・出し方の型+検算チェック)を、メルマガ登録でダウンロードできます。 次の集計で Copilot に頼む前に、この型に当てはめて一文にまとめ、検算まで済ませる——その一連の流れを1枚のシートにまとめました。登録いただいた方に無料でお届けします。

よくある質問

Copilot が出した数式をそのまま貼って使っても大丈夫ですか?

おすすめしません。出てきた数式が「何をしているか」を確認し、別の方法で検算して、元のデータと一致することを確かめてから使ってください。見た目がそれらしいだけで使うと、後で数字が合わなかったときに困ります。

「いい感じに集計して」と頼んでも Copilot は動いてくれますか?

動きますが、何が出てくるか読めません。指示が曖昧だと、Copilot が「まとめ方」を推測して意図と違う結果を出すことがあります。「対象・条件・出し方」を埋めた一文に直すと、意図通りに動きます。

Copilot に数式を直してもらうにはどう頼めばいいですか?

「動かない」とだけ言うのではなく、「期待は〇〇、実際は〇〇」とズレを症状として伝えてください。「合計のはずが件数になっている」などと具体的に言うと、Copilot がピンポイントで直してくれます。

Excel の Copilot を使うには何が必要ですか?

Copilot を含む特定の Microsoft 365 のプランやライセンスが必要で、計算オプションが「自動」に設定されている必要があります(出典:Microsoft「Copilot in Excel を使用して編集する」)。具体的なプラン名や料金は契約や組織の設定で変わるため、ご自身の環境で使えるかをご確認ください。

データをテーブル形式にしないと Copilot は使えませんか?

集計しやすい形(見出し行があって1行が1件の形)にしておくことが、実務上は大切です。ただ「テーブル形式への変換が必須」という要件については、現時点で確認できた Microsoft の公式資料には明示的な記載がありませんでした。まずは、表を見出し付きの1行1件の形に整えることをお勧めします。

監修
マナビズ編集部

マナビズ(Manabiz)編集部。AIを活用した原稿制作に加え、人間によるレビューで品質を担保しています。 編集ポリシー

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