同業の2社A・Bで、調達割合や負債コストなどの他の条件がほぼ同じだとする。A社のほうが事業のリスクが高く β が大きいと推定される場合、A社のWACCはB社と比べてどうなる傾向があるか。
解説まとめ
正解はAです。CAPMでは β が大きいほど株主資本コストが高くなります。他の条件が同じなら、株主資本コストが高いA社のほうがWACCも相対的に高くなる傾向があります。WACCは株主資本コストを構成要素に含むため、その上昇は加重平均全体を押し上げるからです。リスクの高さがコストの高さに反映されます。
ポイント
この問題の核心は、β → 株主資本コスト → WACC という影響の連鎖です。β はCAPMを通じて株主資本コストを動かし、その株主資本コストはWACCの一部なので、最終的にWACCにも波及します。リスクが高い会社ほど資本コストも高い、という一貫した関係を押さえましょう。
ワンポイントアドバイス
2社の資本コストを比べるときは、「どちらのリスク(β)が高いか」をまず見てみましょう。β が高い会社は株主資本コストが高く、WACCも高くなりやすいと結びつけると、リスクとコストの関係を実感として理解できます。
解説詳細
β の上昇は株主資本コスト経由でWACCを上げる
CAPMでは株主資本コストは rf + β × (rm − rf) で表され、β が大きいほど大きくなります。事業リスクが高くβ が大きいA社は、株主資本コストがB社より高くなります。WACCは株主資本コストと税引後負債コストの加重平均なので、構成要素である株主資本コストが上がれば、他の条件が同じである限りWACC全体も上がる傾向になります。Aがこの連鎖を正しく説明しています。
他の選択肢が誤りである理由
Bの「β はWACCに影響しない」は誤りで、β は株主資本コストを通じてWACCに確かに影響します。Cの「β が大きいほど負債コストが下がる」は誤りで、β は株主資本コストに関係する指標であり、負債コストを下げる関係はありません。Dの「税効果が強まりWACCがゼロに近づく」も誤りで、β は税効果と無関係であり、WACCがゼロに近づく根拠もありません。β の上昇は株主資本コストを通じてWACCを押し上げます。