議事録作成入門

議事録作成入門

「会議中、メモが追いつかない」「何を書けばいいか分からない」「書いたのに、後で読み返すと自分でも要点が分からない」。議事録を任されるたびに手が止まる——それは、あなたが書くのが遅いからではありません。会議の発言を全部書こうとしているだけです。

議事録は、会話の書き起こしではありません。一般に、議事録は決まったこと(決定事項)と、これからやること(TODO=誰が・いつまでに・何を)を残すものだ、と整理されています。読む人が知りたいのは「自分は何をすればいいか」。だから全部書く必要はなく、残す対象を絞れば、メモのスピードも後からの分かりやすさも一緒に解決します。この「議事録 書き方」の考え方さえ持てば、迷いは減ります。読み終えたあなたは、次の3つができるようになります。

  1. 議事録の目的(決定とTODOの共有・証跡)を、自分の言葉で説明できる
  2. 会議の内容を「決定事項・TODO(担当・期限)・論点・次回」に整理して書ける
  3. 会議前の準備から会議中・直後の手順で、要点を取り切れる

この講座は最後まで、「チームの定例会議(新商品の販促について話し合う)の議事録を取る」という1回の会議だけを題材に、目的の確認から型への記入、当日の段取りまで、一緒に1枚へ仕上げて説明します。

講座の最後で、この販促会議の議事録をそのまま1枚に仕上げます。5項目の枠が入った議事録テンプレも、無料会員登録で先にダウンロードして手元に置いておきましょう。
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第1章:議事録は何のためにあるのか

「メモが追いつかない」のは、あなたの手が遅いからではありません。書く対象を絞れていないだけです。まずは「何のために残すのか」をはっきりさせて、書くものを決めましょう。

この章のゴール

議事録の目的を「決定とTODOの共有・証跡」として、自分の言葉で説明できるようになります。

1-1 全部書こうとするから、メモが追いつかない

会議が始まると、つい一言も漏らすまいと発言を追いかけてしまいます。でも、話すスピードに手書きは追いつきません。結果、書ききれずに焦り、後で読み返しても「で、何が決まったんだっけ?」と要点が見えない。これは、残す対象を「全発言」にしているから起きます。議事録は発言の記録ではない、と最初に決めてしまえば、ここは楽になります。

1-2 議事録は「会話の記録」ではなく「決まったこと・やること」を残すもの

一般に、議事録の役割は①決まったこと(決定事項)と次にやること(TODO)を記録する/②出席者だけでなく欠席者・関係者へ共有する/③後から確認できる証跡にする、と整理されています。読む人が知りたいのは、議論の流れではなく「自分は何をすればいいか」です。

共通例の販促会議で見比べてみましょう。発言をそのまま書き起こすと、こうなります。

(書き起こし)
田中:初回のキャンペーン、予算はAとBどっちにします?
佐藤:Aの方が無難かと。Bは攻めすぎでは。
課長:じゃあAで。販路は店頭かECか、ちょっと持ち帰りで。
田中:見積もりは私が取ります。

これでは、後から読む人が要点を探さなければなりません。残すのは、次の2つだけで足ります。

決定:初回キャンペーンは予算案Aで進める
TODO:田中さん/来週末まで/見積もりを取る

役に立つのは後者です。この「決定とTODOだけを拾う目」を、この先ずっと使っていきます。

1-3 だから、後から動ける・言った言わないを防げる

決定とTODOを残すと、2つの効果があります。1つは、欠席者を含めた関係者が「次に何をすればいいか」を確認できること。もう1つは、後から「言った・言わない」になったときの証跡になることです。一般に、口頭の確認だけだと、やることの抜け漏れや認識のずれが起きやすい、とされています。だから、決定とTODOを文字にして共有しておきます。

ここでつまずきやすい
発言を全部書こうとして、肝心の決定とTODOが埋もれてしまう——これがいちばん多い失敗です。議事録は読む人が動くための地図、残すのは決定とやること、と考えれば、書く対象が自然に決まります。

この章の確認(演習)

直近で参加した会議を1つ思い出し、「決定したこと」と「TODO(誰が・いつまでに・何を)」だけを書き出してみてください。発言の流れは書かなくて大丈夫です。決定とTODOが拾えていれば合格です。

第2章:何を書くか(議事録の型)

何を残すか決まったら、次は「どこに書くか」です。真っ白なメモにゼロから書こうとするから迷うのであって、入れる枠が決まっていれば、流し込むだけで形になります。

この章のゴール

会議の内容を「決定事項・TODO(担当・期限)・論点・次回」に整理して書けるようになります。

2-1 書く枠がないから、何を書けばいいか迷う

白紙のメモは、どこに何を書くかを毎回ゼロから考えることになります。だから手が止まります。議事録には、よく使われる定番の項目があります。先に枠を持ってしまえば、考えるのは中身だけになります。

2-2 議事録は5項目でできている

議事録は、次の5項目で組み立てます。

| 項目 | 中身 |
|---|---|
| ① 日時・参加者・議題 | いつ・誰が集まり・何を話したか(最低限の見出し) |
| ② 決定事項 | 会議で決まったこと(確定したこと) |
| ③ TODO(担当・期限・内容) | これからやること。誰が・いつまでに・何を |
| ④ 保留・論点 | まだ決まっていないこと・持ち帰り |
| ⑤ 次回予定 | 次の会議の日程や宿題 |

中心は②決定事項と③TODOです。①は最低限の見出し、④⑤は補足、と優先順位をつけて構いません。ここで大事なのは、②決定事項(決まったこと)と④保留・論点(まだ決まっていないこと)を混ぜないことです。一般に、決まったことと「一案・検討中」を区別して書くのが基本とされます。混ぜると、読む人が「これは確定なのか、まだ案なのか」を判断できなくなります。なお、項目は会社や会議によって増減するので、お勤め先のルールがあればそれに合わせてください。

2-3 TODOは「誰が・いつまでに・何を」の3点セットで書く

③のTODOは、「誰が(担当)・いつまでに(期限)・何を(内容)」の3つをそろえて書きます。担当と期限が抜けると、議事録があっても誰も動きません。

(抜けた例)見積もりを取っておく
(そろった例)田中さん/来週末まで/見積もりを取る

もし期限がその場で決まらなければ、「次回会議で再度決める」と書いておきます。曖昧なまま放置しないのがポイントです。

では、第1章で拾った決定とTODOを、5項目の型に流し込んでみましょう。

② 決定事項:初回キャンペーンは予算案Aで進める
③ TODO:
   ・田中さん/来週末まで/見積もりを取る
   ・佐藤さん/今週中/SNS投稿の下書きを作る
④ 保留・論点:販路は店頭かECか(次回までに各自で案を出す)

第1章で見比べた「決定とTODO」が、型のどこに入るかが見えてきました。これで1枚の議事録に近づきます。

ここでつまずきやすい
TODOの「誰が・いつまでに」が抜けて結局だれも動かない、決定とまだ決まっていない論点を混ぜてしまう——この2つがよくある失敗です。TODOは3点セット、決定は「決まったこと」だけ、保留は④に分ける、と決めておけば仕分けに迷いません。なお、読む人に伝わるよう見栄えを整える清書のコツは、kouza-007「資料作成の基本講座」で扱います。ここでは型への仕分けに集中します。

この章の確認(演習)

共通例(販促会議)の内容を、5項目の型に整理して書いてみてください。②決定事項と③TODOを先に埋め、TODOには「誰が・いつまでに・何を」を必ず入れます。決定と保留が分かれていれば合格です。

第3章:どう取るか(前・中・直後)

型が分かっても、会議が終わってから記憶だけで書こうとすると抜けます。議事録は会議中だけで完成するものではありません。会議の前・中・直後の3つに分けて、段取りで取り切りましょう。

この章のゴール

会議前の準備から会議中・直後の手順で、要点を取り切れるようになります。

3-1 会議が終わってから記憶で書こうとして、抜ける

「後でまとめて書こう」と会議中にメモをほとんど取らないと、終わったころには決定もTODOも思い出せません。逆に、会議中に全文を書き起こそうとすると、進行に取り残されて肝心なところを聞き逃します。どちらも、段取りがないことが原因です。前・中・直後の3フェーズに分ければ解決します。

3-2 会議前:アジェンダから「枠」を先に作っておく

議題(アジェンダ)が事前に分かっているなら、5項目の枠と議題の見出しを、会議前にテンプレートへ書き込んでおきます。一般に、こうしておくと当日は空欄を埋めるだけになり、どこに何を書くかで迷いにくくなる、とされています。

共通例の販促会議なら、議題が「①予算案 ②販路 ③次回日程」と分かっています。会議前に、こう用意しておきます。

【○○定例会議(新商品の販促)】
日時: /参加者:
議題:①予算案 ②販路 ③次回日程
② 決定事項:
③ TODO(誰が・いつまでに・何を):
④ 保留・論点:
⑤ 次回予定:

枠さえあれば、会議中は埋めるだけです。

3-3 会議中は決定とTODOに集中、直後に整えて共有

会議中は、全文を起こさず、決定事項・TODO・保留の要点だけを枠に書き込みます。「決定は○」のように記号で印をつけたり、数字やキーワードだけ拾ったりして構いません。会議中のメモは、後で整える前提の「自分用メモ」と割り切ってよい、とされています。

会議が終わったら、記憶が新しいうちに整えます。自分にしか分からない走り書きを、読む人に伝わる言葉に直し、②決定・③TODO・④保留に並べ直して関係者へ共有します。時系列のメモのままにせず、議題ごとに整理するのがコツです。

枠を埋めて整えると、販促会議の議事録は1枚にまとまります。これが講座全体の到達点です。

【新商品 販促 定例会議】
日時:6月12日(木)15:00–15:30 参加者:課長・田中・佐藤

② 決定事項
 ・初回キャンペーンは予算案Aで進める

③ TODO(誰が・いつまでに・何を)
 ・田中さん/来週末まで/見積もりを取る
 ・佐藤さん/今週中/SNS投稿の下書きを作る

④ 保留・論点
 ・販路は店頭かECか(次回までに各自で案を出す)

⑤ 次回予定
 ・6月19日(木)15:00〜 販路を決定する

このように、決定とTODOを中心に5項目が埋まっていれば、後から誰が見ても次の動きが分かります。

ここでつまずきやすい
会議後に記憶だけで書こうとして決定やTODOが抜ける、会議中に全文を起こそうとして追いつかない——この2つが代表的な失敗です。枠を先に作り、会議中は決定とTODOだけ、直後に整える、と段取りで分ければ取り切れます。なお、その場で「これで決定でいいですか?」と口頭で確認する伝え方は、kouza-003「報連相の基本」で扱います。ここでは議事録の取り方に絞ります。

この章の確認(演習)

次に出る会議のアジェンダを1つ選び、会議前の「枠」(5項目+議題の見出し)を1枚作ってみてください。次の会議で実際に埋め、会議直後に整えて共有できれば合格です。

まとめ:議事録は「次に動くための地図」

おつかれさまでした。「チームの定例会議(新商品の販促)の議事録を取る」という1回の会議を、目的の確認から1枚の完成形まで仕上げてきました。最後に、その道を1枚にまとめます。

  1. 何を残すか、目的を定める……議事録は会話の記録ではなく、決定とTODOを残すもの。読む人は「自分は何をすればいいか」を知りたい(第1章)
  2. 型(5項目)に整理して書く……日時・議題/決定事項/TODO(誰が・いつまでに・何を)/保留・論点/次回。決定と保留を混ぜない(第2章)
  3. 前・中・直後の段取りで取り切る……会議前に枠を作り、会議中は要点だけ、直後に整えて共有(第3章)

この3つは、すべてたった1つの問いに戻ります。

これは「決まったこと・やること(誰が・いつまでに)」か?

「議事録=発言の書き起こし」は誤解です。全部書かないほうが、読む人には親切。だからこそ、議事録は次に動くための地図なのです。

明日の最初の一歩:次の会議で、決定とTODO(担当・期限)だけ確実にメモしてみてください。第1・2章の演習を、実務で1回。残すものを絞れば、メモも後からの共有も迷いません。

次の講座へ:会議を記録できるようになった次は、それを伝える資料です。整理した内容を相手に伝わる形に仕上げる型は、kouza-007「資料作成の基本講座」でお渡しします。

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