雑談力入門|会話が続く雑談のコツときっかけの見つけ方 | マナビズ

雑談力入門|会話が続く雑談のコツときっかけの見つけ方

雑談力入門|会話が続く雑談のコツときっかけの見つけ方

エレベーターで先輩と二人きりになった数十秒。打ち合わせが始まる前の数分。用件が終わったあとの帰り際。仕事の話は普通にできるのに、用がなくなったとたん、何を話せばいいか分からなくなって黙ってしまう——そんな経験はありませんか。沈黙が気まずくて、無理に話そうとして変なことを言ってしまう。「あの人はどうして自然に話しかけられるんだろう」と、まわりを見て焦る。

でも、それは話題のセンスがないからではありません。雑談の「きっかけの見つけ方」と「続け方」を、まだ知らないだけです。雑談は、面白い話で人を笑わせることではなく、用件のない短い会話で相手との距離を縮め、「話しかけやすい関係」をつくる行為です。大事なのは内容のうまさではなく、話しかけて、相手の答えを受け止める——その往復そのものです。

本講座は、この「用件のない軽い会話で関係をあたためる」ことだけに絞ります。相手・目的・場面で伝え方を選ぶ全体像はコミュニケーションの基礎、相談や用件で相手を深く理解して聴く本格的な聴き方は傾聴力の基本、あいまいな指示を確かめる“用件の質問”は質問力入門が、それぞれの正本です。本講座はそこには踏み込みません。

この講座を終えると、次の3つができるようになります。雑談が関係づくりに効く理由を自分の言葉で説明できること、相手や場面に合った話題のきっかけを自分で見つけられること、そして相手の答えを受けて会話を一往復以上続けられることです。覚えて帰る型は「今この場からきっかけを拾う → 軽く話しかける → 相手の答えを受け止めて一往復広げる」。本講座では、打ち合わせ前の数分、初対面(または久しぶり)の相手に、目に入った共通の状況を1つ取り上げて話しかけ、二〜三往復つなげる、という場面を通して追いかけます。

この講座のポイント

  • 雑談が関係づくりに効く理由を、自分の言葉で説明できる(雑談とは何かを説明できる)。
  • 相手や場面に合った雑談の話題のきっかけを、自分で見つけられる。
  • 相手の答えを受けて会話を一往復以上続けられる(うなずき・短い感想・軽い問いかけで広げる)。

雑談が関係づくりに効く理由——雑談力とは何か

この章のゴール

雑談が関係づくりに効く理由を、自分の言葉で説明できる(雑談とは何かを説明できる)。

雑談とは「用件のない短い会話」で話しかけやすい関係をつくること

雑談とは、用件のない短い会話で相手との心理的な距離を縮め、「話しかけやすい関係」をつくる行為です。目的は、面白い話をすることではありません。相手に「この人には安心して話せる」と感じてもらうことです。

ここで一つ、頼りになる手がかりがあります。厚生労働省の働く人向けサイト「こころの耳」は、相手に積極的な関心を向けて聴くと、相手は安心して話せるようになると述べています。「聴き手から積極的な関心が向けられることで、話し手は安心して自分の話をすることができるようになります」(出典:厚生労働省「こころの耳」傾聴のポイント)。さらに、話を聴いてもらえた人には「話を聞いてもらえた、尊重してもらえた、大切にしてもらえた、という感覚が生じ……この感覚が(相手への)信頼感につながっていきます」(出典:厚生労働省「こころの耳」傾聴の効果)とあります。

雑談も、この入り口です。用件がなくても一言かけて、相手の返事をきちんと受け止める。それだけで「この人は自分に関心を向けてくれている」と伝わり、話しかけやすい関係=信頼の土台ができていきます。深く相手を理解して聴く本格的な聴き方は傾聴力の基本に譲りますが、雑談に必要なのは、その手前の「軽く受け止める」往復です。

面白い話より「話しかけて受け止めた往復」そのものに意味がある

共通例で考えます。あなたは初対面の相手と、打ち合わせ前に二人になりました。ここでいきなり用件に入らず、「ここまで、迷いませんでしたか」と一言かわす。たったこれだけで、本題に入ったときの空気がやわらぎます。気の利いたことを言ったわけでも、面白い話をしたわけでもありません。それでも効くのは、「話しかけた・受け止めた」という往復が、お互いの距離を一歩縮めるからです。

逆に言えば、内容のうまさは雑談の本質ではありません。何度か言葉を交わすうちに、相手は少しずつ話しかけやすくなります。一回ごとの会話が名場面である必要はなく、用件のない一言を交わせる関係を積み重ねることのほうが、ずっと大切なのです。

「雑談=気の利いた面白い話」という思い込みがハードルを上げる

ここでのつまずきは2つあります。1つは「雑談=気の利いた面白い話」という思い込みです。面白く話さなければと身構えるほど、何も言えなくなります。実際には、面白さは要りません。目に入ったことを一言、で十分です。もう1つは、用件だけで会話を済ませてしまうこと。仕事の話は完璧でも、用が終わると毎回そこで会話が切れる。これでは関係はあたたまりません。雑談は、この「用件の外の一言」を足すだけで成り立ちます。

この章の確認(演習)

最近、「用件だけで会話が途切れてしまった」場面を1つ思い出してください。誰と、どんな状況でしたか。そのとき、用件のほかに一言かけられたとしたら、何が言えたでしょうか。実際のセリフの形で書き出し、「なぜその一言が関係づくりに効くのか」を自分の言葉で1文にまとめてみましょう。

話題のきっかけを見つける——何を話すか

この章のゴール

相手や場面に合った雑談の話題のきっかけを、自分で見つけられる。

話題は「思いつく」ものではなく「今この場にあるもの」から拾う

雑談が苦手な人の多くは、話題を頭の中で探そうとします。「何か面白いネタはないか」と記憶をたどるから、間が空いて余計に焦る。やめましょう。話題は思いつくものではなく、今この場にあるものから拾うものです。

拾い方は、大きく3つです。1つ目は、目に入った共通の状況。天気、場所、移動、相手が持っているもの——あなたと相手が今いっしょに体験していることなら、何でもきっかけになります。2つ目は、相手と自分に共通する事柄。同じ会議に出ている、同じ予定がある、同じ場所に向かっている、といった「共通している点」です。3つ目は、相手が答えやすい軽い問いかけ。この3つは、わざわざひねり出さなくても、目の前にすでにあります。

拾った話題は「答えやすい問い」にして渡す

きっかけを見つけたら、相手が答えやすい形にして渡します。ここで役立つのが、質問の2つの型です。厚生労働省のキャリア・コンサルティング資料は、質問を「閉じられた質問」と「開かれた質問」に分け、こう説明しています。「閉じられた質問は答えやすさはあるが、話が展開しにくいという面もある。反対に、開かれた質問は、話が展開しやすいという利点がある」(出典:厚生労働省「キャリア・コンサルティング 理論と実際」)。

つまり「迷いませんでしたか」(はい/いいえで終わる)よりも、「ここまで、どんな経路でいらっしゃいましたか」(自由に答えられる)のほうが、相手は話を続けやすくなります。共通例なら、初対面の相手に「お越しいただくの、道は分かりやすかったですか」と、今その場で共有している状況から1つ取り上げて話しかける。これが、今この場から拾った話題を、答えやすい問いにして渡す、ということです。

なお、これはあくまで雑談を広げるための軽い問いかけです。あいまいな指示を確かめ、認識を合わせる“用件の質問”の組み立ては別物で、それは質問力入門が正本です。本講座では、相手が話したくなる軽い問いに絞ります。

用件・評価・踏み込んだ私生活には立ち入らないのが雑談の境界

きっかけは何でもいい、と言いましたが、踏み込んではいけない領域があります。給料や家庭の事情、相手の評価にかかわること、答えに困る個人的な事柄——こうした話題は、軽い雑談のつもりでも相手を引かせます。雑談の境界は、「相手が気軽に、答えても損をしない話題かどうか」です。今この場の共通の状況から拾えば、たいてい安全な範囲に収まります。迷ったら、自分が同じことを聞かれて気軽に答えられるかを基準にしてください。

この章の確認(演習)

いま自分がいる場所・状況を見回して、雑談のきっかけになりそうな話題を3つ書き出してください。それぞれについて、相手が答えやすいように「はい/いいえで終わらない問いかけ」の形に直してみましょう。3つのうち、踏み込みすぎていて避けたほうがよいものがあれば、なぜ避けるのかも一言添えてください。

会話を続ける雑談のコツ——受け止めて広げる

この章のゴール

相手の答えを受けて会話を一往復以上続けられる(うなずき・短い感想・軽い問いかけで広げる)。

雑談が途切れるのは話題切れではなく「受け止めずに次を探す」から

話しかけたのに、一言で会話が終わってしまう。多くの人はこれを「話題が尽きた」と考えますが、本当の原因は別のところにあります。相手の答えを受け止めず、すぐ次の話題を探しに行ってしまうことです。

厚生労働省のキャリア・コンサルティング資料は、聴き手の基本姿勢の一つとして「言語的追跡をする(相手が話そうとする話題を安易に変えたりせずについて行く)」を挙げています(出典:厚生労働省「キャリア・コンサルティング 理論と実際」)。相手が出してくれた話題に、まず乗る。それをせずに自分の頭の中の次のネタへ飛ぶから、会話はぶつ切りになるのです。

続けるコツは「拾う→受け止める→軽く広げる」の一往復

会話を続けるコツは、相手の答えの中から一語を拾い、うなずきと短い感想で受け止めて、そこから軽く広げる、という一往復です。

受け止めの中心になるのが、うなずきとあいづちです。「こころの耳」はこう述べています。「傾聴していることを相手に伝える最良の方法は、うなずきやあいづちを返すことです。自然で落ち着いたテンポやタイミングで、心のこもったうなずきやあいづちを返してもらえるだけで、聴いてもらえていると感じやすく、次の言葉が出てきやすくなります」(出典:厚生労働省「こころの耳」傾聴のポイント)。同じ資料群では、うなずきや相づちで相手の発言を促すことを「はげまし」と呼び、「会話を活性化したり、焦点を明確化する働きをする」と説明しています(出典:厚生労働省「キャリア・コンサルティング 理論と実際」)。

共通例で見てみましょう。相手が「道は分かりやすかったです」と答えたとします。ここですぐ次の話題を探さず、まず受け止めます。「よかったです」とうなずき、「この辺り、少し分かりにくいと聞くので」と短い感想を足す。そして相手が答えやすい一言を添える。これで、一言で終わるはずだった会話が、自然に二往復目へ進みます。

尋問にしない——自分の短い感想も少し混ぜる

ここで気をつけたいのが、質問の連打です。受け答えを続けようと焦って、「どこから来たんですか」「何時に出たんですか」と問いを浴びせると、相手は答えるばかりで負担になります。先ほどの資料も、開かれた質問について「連発すると問われた側に負担を感じさせることもある」と注意しています(出典:厚生労働省「キャリア・コンサルティング 理論と実際」)。

尋問にしないコツは、問いと問いのあいだに、自分の短い感想を少し混ぜることです。「この辺り、私も最初は迷いました」のように、ほんの一言、自分側を開く。相手が話したそうなら、無理に話題をつくらず聞き役に回る。沈黙が来ても、あわてて自分だけ話し続けなくて大丈夫です。相手の話を深く受け止めて、要約して確かめながら聴く本格的な聴き方は傾聴力の基本に進んでください。本講座では、雑談を一往復つなぐための軽い受け止めまでを身につければ十分です。

この章の確認(演習)

共通例の場面(打ち合わせ前、初対面の相手との数分)を思い浮かべてください。あなたが「道は分かりやすかったですか」と話しかけ、相手が短く答えたところから、「受け止め+軽く広げる」一往復を、あなた自身のセリフで書き出してみましょう。書けたら、その中に「自分の短い感想」が1つ入っているかを確認してください。

まとめ

雑談力とは、用件のない短い会話で相手との距離を縮め、話しかけやすい関係をつくる力です。面白い話をする力ではなく、話しかけて、相手の答えを受け止める往復をつくる力。覚えて帰る型は「今この場からきっかけを拾う → 軽く話しかける → 相手の答えを受け止めて一往復広げる」の3ステップです。きっかけは頭の中ではなく今この場から拾い、答えやすい問いにして渡し、相手の答えはまずうなずきと短い感想で受け止める——尋問にせず、自分の一言も少し混ぜる。これだけで、用件のあとの沈黙は、関係をあたためる数分に変わります。

雑談は、面白く話すことではなく、話しかけて受け取ること。明日、誰かと二人になる数分があったら、目に入った共通の状況を1つ取り上げて話しかけ、相手の答えにうなずいて、一言だけ足してみてください。それが、雑談力の最初の一歩です。そして、相手の話をもっと深く受け止めて聴く力をつけたくなったら、傾聴力の基本が次のステップになります。

本講座の特典として、今この場から話題を拾うための「雑談のきっかけ3パターン早見シート」をご用意しています。目に入った共通の状況・相手との共通点・答えやすい軽い問い——3つの拾い方をいつでも思い出せる1枚です。無料会員登録でダウンロードいただけます。

よくある質問

雑談力とは、面白い話をする力のことですか

いいえ。用件のない短い会話で相手との距離を縮め、話しかけやすい関係をつくる力です。話しかけて相手の答えを受け止める往復そのものに意味があります。

何を話せばいいか思いつきません。どうすればいいですか

頭の中で探さず、今この場にあるものから拾います。天気・場所・移動など、相手と共有している状況を1つ取り上げ、答えやすい問いにして渡しましょう。

話しかけても一言で会話が終わってしまいます

相手の答えを受け止める前に、次の話題を探しているのが原因です。一語を拾い、うなずきと短い感想で受け止めてから、そこを軽く広げると続きます。

質問しても尋問のようになってしまいます

問いを連発すると相手は負担を感じます。問いのあいだに自分の短い感想を一言混ぜ、相手が話したそうなら聞き役に回ると、自然な往復になります。

監修
マナビズ編集部

マナビズ(Manabiz)編集部。AIを活用した原稿制作に加え、人間によるレビューで品質を担保しています。 編集ポリシー

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