「借方と貸方って、結局どっちがどっち?」——会計ソフトに数字を入力しているのに、自分がいま何をしているのかをうまく説明できない。経費を入れるたびに「これは何費ですか」と先輩に聞いてしまう。そんなモヤモヤを抱えたまま、言われた通りに入力を続けている方は少なくありません。
でも、安心してください。簿記は暗記の作業ではありません。1つの取引を「何が増えて、何が減ったか」の2つの面に分けて記録する、決まった共通ルールにすぎません。このルールが分かると、「借方・貸方」も「勘定科目」も、丸暗記ではなく仕組みとして見えてきます。
この講座でできるようになることは、3つです。1つめは、簿記が何のための作業かと、取引を借方・貸方の2面で記録する仕組みを説明できること。2つめは、勘定科目を5つのグループ(資産・負債・純資産・収益・費用)に分類できること。3つめは、身近な取引を1件、借方・貸方に分けた仕訳の形で書け、仕訳から帳簿(試算表)までの流れを説明できることです。
最初に、この講座が扱う範囲をはっきりさせておきます。本講座は「取引を記録する手続き」だけを扱います。具体的には、取引を仕訳にして帳簿に転記し、試算表で点検するところまでです。記録した数字が「利益」になる仕組みを掴みたい方は会計の基礎を学ぶ会計入門講座(kouza-020-accounting-basic)へ、財務三表(PL・BS・CS)の役割と読み方は財務諸表の基礎講座(kouza-021-financial-statements)へ、決算書そのものの読み方は決算書の読み方講座(kouza-102-financial-report-reading)へ進んでください。ここでは「書類を作る前の、記録する側」の手続きに集中します。
例として、小さなお店の毎日の取引——「消耗品を買う」「商品を売る」「家賃を払う」(金額はすべて例)——を、借方・貸方の仕訳に直して帳簿に積み上げていく場面を、全章で使い回します。同じ場面を繰り返すので、章が進むほど見え方が深まっていくはずです。
この講座のポイント
- 取引を2つの面で記録する複式簿記の仕組みを説明できる。
- 勘定科目を5つのグループ(資産・負債・純資産・収益・費用)に分類できる。
- 身近な取引(例)を1件、借方・貸方に分けた仕訳の形で書ける。
- 仕訳から帳簿(試算表)までの流れを説明できる。
簿記とは何のための作業か
この章のゴール
取引を2つの面で記録する複式簿記の仕組みを説明できる。
簿記は「取引を帳簿に残す」作業
簿記とは、毎日のお金に関わる取引を、決まったルールで帳簿に記録していくことです。なぜ記録するのかというと、後で「いくら稼いだか(利益)」や「いま何をどれだけ持っているか(財産)」を集計できるようにするためです。記録がなければ、1年経ったときに会社の成績も財産もわかりません。
ここで大切なのが「複式簿記」という記録の方法です。複式簿記とは、すべての取引を「二面性」に着目して記録し、左右の合計が必ずつり合う(貸借平均の原理)ように組織的に記録・計算・整理する記帳法をいいます。少し硬い言い方ですが、要するに「1つの取引を必ず2つの面に分けて、左と右に書く」という方法のことです。
似たものに「単式簿記」があります。単式簿記は、収入と支出というお金の出入りだけを記録するシンプルな方法で、家計簿やお小遣い帳をイメージするとわかりやすいです。これに対して複式簿記は、お金の出入りだけでなく、資産や負債の増減も合わせて二重に記録します。そのぶん手間はかかりますが、財産の状態と稼ぎの状態の両方を同時に把握できるのが強みです。
1つの取引には「原因」と「結果」の2面がある
複式簿記の核心は、「1つの取引には、原因の面と結果の面という2つの側面が同時にある」という見方です。
共通例で考えてみましょう。お店が「現金(例)で消耗品を買った」とします。このとき、お店から見ると2つのことが同時に起きています。1つは〈消耗品という費用が発生した〉こと、もう1つは〈手元の現金が減った〉ことです。買い物という1つの行動の裏で、必ず2つの出来事が起きているわけです。
別の例でも同じです。「建物を現金で買った」なら、〈建物が増えた〉という面と〈現金が減った〉という面が同時に起きています。複式簿記では、この2つの面を、片方は左に、もう片方は右に、同じ金額で書きます。これが後の章で学ぶ「仕訳」の出発点です。
ですから、取引を見たときにまずやってほしいのは、「何が増えて、何が減ったか」を2つ書き出すことです。1つの取引について1つの面しか書かない、というのが最初のつまずきポイントです。必ず2つセットで考える癖をつけてください。
借方・貸方は「左・右」という位置の名前
ここで、つまずきやすい用語を片付けておきます。「借方」「貸方」です。
結論から言うと、借方とは「左側」、貸方とは「右側」を意味するだけの言葉です。歴史的な語義はすでに失われており(ちなみに、この訳語を当てたのは福澤諭吉だと言われています)、今では単純に左か右かの位置を指す名前にすぎません。実際、簿記では左側に記載するものが借方、右側に記載するものが貸方です。
ここを「借方=お金が入る」「貸方=お金が出る」と意味で覚えようとすると、必ず混乱します。お金が増える取引でも借方に書くこともあれば貸方に書くこともあるからです。借方・貸方は、良い・悪いでも、入る・出るでもありません。ただの「左・右」です。では、どちらに書くかはどう決まるのか——それは取引で動いた科目のグループによって機械的に決まります。その仕組みは第2章と第3章で順に組み立てていきます。
なお、簿記はあくまで「記録する道具」です。記録してできあがった数字を読み解いて利益を語ったり経営を分析したりするのは、また別の作業です。「簿記=会計=財務諸表を読むこと」と混同しがちですが、本講座は記録の入口だけを扱う、と覚えておいてください。
この章の確認(演習)
「現金(例)でペンを買った」という取引について、同時に起きている2つの出来事を、自分の言葉で2つ書き出してみましょう(左右の振り分けは第3章で扱うので、ここでは「何が増えて/何が減ったか」を言葉にできれば十分です)。ヒント:ペンという消耗品の面と、現金の面の2つです。
勘定科目を5つのグループに分ける
この章のゴール
勘定科目を5つのグループ(資産・負債・純資産・収益・費用)に分類できる。
取引で動いた中身には「名前」が付く——勘定科目
第1章で、取引のたびに「何が増えて、何が減ったか」を2つ書き出す、という見方を持ちました。この「何が」にあたる中身には、簿記の世界での名前が付いています。それが勘定科目です。
たとえば共通例の「現金で消耗品を買った」なら、動いた中身は「現金」と「消耗品費」です。「現金」も「消耗品費」も勘定科目の名前です。会計ソフトの入力欄に並んでいる選択肢も、この勘定科目です。だから「どの科目を選べばいいかわからない」という悩みは、勘定科目の仕組みを知ると一気に楽になります。
5つのグループとその意味
勘定科目は、その性質によって5つのグループのどれかに必ず入ります。資産・負債・純資産・収益・費用の5つです。1つずつ見ていきましょう。
資産は、企業が保有する財産で、将来お金を生み出すもとになるものです。「持っているもの」と覚えてください。代表的な科目は、現金・預金・売掛金・備品などです。
負債は、将来支払う義務のある債務です。「返すべきもの」です。代表的な科目は、借入金・買掛金などです。
純資産は、資産から負債を差し引いた、返済義務のない自己資本です。言いかえると会社運営の元手にあたります。代表的な科目は資本金・利益剰余金などで、たとえば資本金は株主からの出資で得た事業活動の元手です。
収益は、事業活動で得た収入です。「稼ぎ」です。代表的な科目は、売上(売上高)・受取利息などです。
費用は、収益を得るために使った支出・経費です。「使った分」です。代表的な科目は、仕入・給料・水道光熱費・消耗品費などです。
共通例のお店で出てくる科目を、実際に振り分けてみます。「現金」と「備品」は持っているものなので資産、「借入金」は返すべきものなので負債、「売上」は稼ぎなので収益、「消耗品費」と「水道光熱費」は使った分なので費用です。このように、科目名を見たら「持っているもの?/返すもの?/元手?/稼ぎ?/使った分?」と自問し、5グループのどれかに置く、というのが分類の手順です。迷ったときは、身近な家計に置き換えると掴みやすくなります。財布の中身は資産、ローンは負債、といった具合です。
似た科目名で混同しやすいポイント
分類でつまずきやすいのが、名前が似ている科目の取り違えです。代表的な2組を押さえておきましょう。
1組めは「売上」と「売掛金」です。売上は、本業の営業活動の対価として得られた収益そのものなので、収益グループです。一方の売掛金は、商品やサービスを販売したけれど、代金は後日支払われると約束されたお金です。これは将来代金を請求できる権利なので、資産グループに入ります。「稼ぎそのもの(売上)」か「あとで受け取る権利(売掛金)」かで区別してください。
2組めは「消耗品費」と「備品」です。両方とも物を買う場面で出てきますが、使い切ってなくなるもの(少額な物品)は消耗品費で、費用です。長く使い続けて手元に残るものは備品で、資産です。「買って消える=費用」「買って残る=資産」と覚えるとぶれません。判断の目安として、取得価額が10万円未満(例)なら消耗品費などの費用、10万円以上(例)なら原則として固定資産として扱う、という線引きがありますが、その先の減価償却の細かい計算までは本講座では踏み込みません。まずは「使い切るか、残るか」の感覚を持てれば十分です。
この5グループが借方・貸方の向きを決める土台になる
ここまでの分類は、次の第3章への大事な準備です。実は、借方(左)と貸方(右)のどちらに書くかは、この5グループのどれかと、それが増えたか減ったかだけで機械的に決まります。つまり、科目を5グループに置けるようになっていれば、向きの判断はあとはルールを当てはめるだけです。だから、この章の分類が確実にできることが、仕訳を書ける自分への近道になります。
なお、5グループのうち「収益」から「費用」を引いたものが会社の儲け(利益)になる、という仕組みそのものに興味が湧いた方は、利益の生まれ方を学ぶ会計の基礎講座(kouza-020-accounting-basic)で掘り下げてください。本章は、あくまで科目を分類できるところまでが守備範囲です。
この章の確認(演習)
身近な科目(例:現金・売上・家賃・借入金・備品)を、資産・負債・純資産・収益・費用の5グループに自分で分類してみましょう。それぞれ「持っているものだから資産」のように、なぜそのグループなのかを一言添えてください。
取引を仕訳に書く
この章のゴール
身近な取引(例)を1件、借方・貸方に分けた仕訳の形で書ける。
仕訳とは——1行で取引を表す形式
いよいよ、取引を実際に書く段階です。仕訳とは、取引を「原因」と「結果」に着目して借方(左)と貸方(右)の2つに分け、それぞれに該当する勘定科目と金額を当てはめて帳簿に記録する作業をいいます。経理の基本となる、いちばん大事な作業です。
形としては、左に「借方の科目と金額」、右に「貸方の科目と金額」を並べて、1つの取引を1行で表します。そして複式簿記の鉄則として、左の金額と右の金額は例外なく必ず一致します。1つの取引を、同じ金額で左右の2方面から書いているだけなので、一致しないことはありえません。もし一致しなければ、どこかに仕訳のミスがある、というサインです。
向きを決める増減ルール
では、どちらを左(借方)に、どちらを右(貸方)に書くのか。ここで第2章の5グループが効いてきます。向きは、次のルールで決まります。
- 資産が増えたら左(借方)、減ったら右(貸方)
- 費用が発生(増加)したら左(借方)、減ったら右(貸方)
- 負債が増えたら右(貸方)、減ったら左(借方)
- 純資産が増えたら右(貸方)、減ったら左(借方)
- 収益が発生(増加)したら右(貸方)、減ったら左(借方)
ぱっと見は覚えることが多そうですが、見方はシンプルです。「資産・費用」は増えたら左、「負債・純資産・収益」は増えたら右、と2グループに分けるだけです。減ったときはそれぞれ反対側に書きます。判断のコツは、第1章で身につけた「何が減って、何が増えたか」を見ることに尽きます。
仕訳を書く4ステップ
実際の手順は次の4つです。
1つめ、取引で動いた科目を2つ挙げる。2つめ、それぞれが5グループのどれかを確認する。3つめ、グループの増減ルールで左右に置く。4つめ、左右の金額が一致しているか確かめる。
共通例で実演します。まず「現金(例)で消耗品を買った」場合です。動いた科目は「消耗品費」と「現金」の2つ。消耗品費は費用で、今回は発生(増加)したので左(借方)。現金は資産で、今回は減ったので右(貸方)。よって、借方:消耗品費/貸方:現金、となります。出典の例で言えば、コピー用紙代3,000円(例)を現金で支払った場合、借方 消耗品費 3,000円(例)/貸方 現金 3,000円(例)です。
次に「商品を現金(例)で売った」場合です。動いた科目は「現金」と「売上」の2つ。現金は資産で、今回は増えたので左(借方)。売上は収益で、今回は発生(増加)したので右(貸方)。よって、借方:現金/貸方:売上、となります。出典の例なら、商品を売り上げて現金50,000円(例)を受け取った場合、借方 現金 50,000円(例)/貸方 売上 50,000円(例)です。同じ「現金」でも、買ったときは右、売れて受け取ったときは左、と向きが変わる点に注目してください。増えたか減ったかで決まるからです。
よくある向きのミスとその対策
最後に、つまずきやすいミスを2つ。
1つめは、「現金が減った」のに左(借方)に書いてしまうミスです。現金は資産なので、増えたら左ですが、減ったら右です。「資産の減少は右」を忘れて、つい現金を左に固定しがちなので注意してください。
2つめは、科目は合っているのに左右が逆になるミスです。これは、科目のグループを取り違えているか、増減ルールをうろ覚えで当てているときに起きます。対策はシンプルで、迷ったら必ず「この科目は5グループのどれか」をまず確認し、増減ルールに戻ることです。仕訳で使う科目のグループがあやしくなったら、第2章に戻って分類を確かめてください。なお、こうして記録した仕訳の数字が、最終的にどう「利益」として積み上がるのかが気になったら、利益の仕組みを学ぶ会計の基礎講座(kouza-020-accounting-basic)へ進みましょう。本章のゴールは、向きを決めて1件の仕訳を書けることです。
この章の確認(演習)
「家賃(例)を現金で払った」という取引を、借方・貸方の科目と金額に分けた仕訳1行で書いてみましょう。動いた科目は「支払家賃(費用)」と「現金(資産)」です。費用が発生し、現金が減ったことを思い出して、左右に置き、最後に左右の金額が一致するか確かめてください。
仕訳から帳簿・試算表へ
この章のゴール
仕訳から帳簿(試算表)までの流れを説明できる。
仕訳は記録の「入口」にすぎない
第3章で、1件ずつの取引を仕訳に書けるようになりました。ただ、仕訳は1件ずつバラバラに並んでいるだけでは、全体像が見えません。「現金がいま結局いくらあるのか」「売上は合計でいくらになったのか」を知るには、仕訳を科目ごとに集計し直す必要があります。
そこで使うのが帳簿です。複式簿記では、仕訳を記録していく仕訳帳と、その仕訳で使った勘定科目の増減を科目ごとにまとめ直した総勘定元帳を使います。つまり仕訳は記録の入口で、その先に集計のための帳簿が控えている、という関係です。
転記——帳簿に科目ごとに積み上げる
仕訳帳に記録した仕訳を、勘定科目ごとに総勘定元帳へ書き移す作業を「転記」といいます。事業で発生した取引はその都度、仕訳帳に記録し、勘定科目ごとに作った総勘定元帳へ転記していきます。
共通例で見てみましょう。1日のあいだに「消耗品を買う」「商品を売る」「家賃を払う」(すべて例)という取引があったとします。これを1件ずつ仕訳にし、そのうち「現金」が動いた部分を、すべて「現金」の帳簿ページに集めて積み上げていきます。すると、その日に現金がどれだけ増え、どれだけ減り、いま残高がいくらか、が見えてきます。同じように「売上」だけを集めれば、その日の売上合計が見えます。バラバラの仕訳が、科目ごとに集まることで意味のある数字になる——これが転記のはたらきです。
試算表——左右がつり合うか点検する
科目ごとの集計ができたら、次は「ちゃんと記録できているか」を点検します。そのために作るのが試算表です。試算表とは、仕訳帳から総勘定元帳へ転記したデータが正しいかどうかを確認するためのチェックシートで、その最大の役目は、仕訳や転記のミスをあぶり出すことです。
なぜミスを見つけられるのかというと、複式簿記では1つの取引を必ず借方・貸方に同じ金額で記帳しているからです。そのため、すべての科目を集めた借方合計と貸方合計は、本来いつも一致するはずです。試算表で左右の合計を出してみて一致していなければ、どこかの仕訳か転記にミスがあるサイン、というわけです。1件の仕訳の向きや金額を間違えただけでも左右がずれるので、点検の網として役立ちます。
試算表には3種類あります。勘定科目ごとに借方合計・貸方合計をまとめた合計試算表、借方・貸方の差額(残高)だけをまとめた残高試算表、そしてその両方を1つにまとめた合計残高試算表です。合計試算表は取引の総額が見えてミスに気づきやすく、残高試算表は各科目の残高が一目でわかる、という違いがあります。まずは「左右の合計を突き合わせて点検する表」というイメージを持てれば十分です。
ここまでをまとめると、簿記の手続きは「取引 → 仕訳 → 帳簿(転記)→ 試算表」と流れていきます。この試算表までが、本講座のゴール地点です。
試算表の先に何があるか
試算表で点検した残高は、そのまま捨てられるわけではありません。試算表のうち資産・負債・純資産の部分は貸借対照表へ、費用・収益の部分は損益計算書へと引き継がれ、財務諸表(決算書)の数字のもとになります。つまり、記録の手続きの先に、会社の成績表である決算書が待っている、という流れです。
ただし、その財務諸表をどう読むか・どう分析するかは、本講座の範囲を超えます。試算表の先で作られる財務三表(PL・BS・CS)の役割と読み方を学びたい方は財務諸表の基礎講座(kouza-021-financial-statements)へ、決算書そのものの読み方を身につけたい方は決算書の読み方講座(kouza-102-financial-report-reading)へ進んでください。ここでは「決算書を作るための、正しい記録を積み上げる」ところまでが守備範囲です。
この章の確認(演習)
第3章までで作った仕訳(例)を、「取引 → 仕訳 → 帳簿 → 試算表」の流れのどこにあるかで並べてみましょう。そのうえで、試算表の次に何が作られるかを一言で説明してください(ヒント:試算表の残高をもとに財務諸表が作られます)。
まとめ
この講座でお伝えしたかった背骨は、1つです。簿記とは、毎日の取引を借方・貸方の2面に分け、5グループの科目で仕訳して帳簿に積み上げる「記録のルール」だということ。丸暗記ではなく、「何が増えて、何が減ったか」を左右に振り分けるだけの作業です。そして、左か右かの向きは、科目のグループと増減で機械的に決まります。
流れで言えば、取引を2面に分ける → 科目を5グループに置く → 増減ルールで借方・貸方に振り分ける → 帳簿に積み上げて試算表で点検する、という順番でした。左右がそろえば、記録は正しい。これが簿記のいちばんの安心材料です。
明日からの一歩として、次に経費を入力するときは、選んだ科目が5グループのどれかを口に出し、借方・貸方の向きを自分で言ってから確定してみてください。それだけで、入力作業が「言われた通り」から「仕組みがわかってやっている」に変わります。
ここから先、記録した数字が「利益」になる仕組みを掴みたい方は会計の基礎を学ぶ会計入門講座(kouza-020-accounting-basic)へ、その結果がまとまる財務三表を読めるようになりたい方は財務諸表の基礎講座(kouza-021-financial-statements)へと進むのがおすすめです。
5グループ × 借方・貸方の向きを1枚にまとめた「仕訳早見シート」を、無料会員登録でダウンロードできます。仕訳に迷ったときの手元の地図としてご活用ください。
よくある質問
借方・貸方はどうやって覚えればいい?
丸暗記ではなく、科目の5グループと増減ルールで覚えます。「資産・費用は増えたら左、負債・純資産・収益は増えたら右、減ったら反対側」とだけ押さえれば、あとは当てはめるだけです。
勘定科目はどうやって選べばいい?
「持っているもの?/返すもの?/元手?/稼ぎ?/使った分?」と自問し、資産・負債・純資産・収益・費用のどれかに置きます。この5分類が決まれば、迷いはぐっと減ります。
会計ソフトを使えば仕訳は不要になる?
いいえ、不要にはなりません。会計ソフトも内部で仕訳を自動生成しているだけで、仕組み自体は同じです。仕訳がわかると、ソフトが何をしているかを点検できるようになります。
仕訳と領収書の保管は関係ある?
関係あります。仕訳はあくまで記録で、その記録が正しいことの証拠が領収書などの書類です。記録(仕訳)と証拠(書類)はセットで残すのが基本です。
簿記の資格を取るには何から始めればいい?
代表的なのが日本商工会議所が主催する日商簿記検定試験で、級区分は1級・2級・3級・簿記初級・原価計算初級です。本講座で学んだ仕訳と帳簿の基礎は、入門として3級の学習に直結します。最新の試験内容は主催団体の公式情報で確認してください。