MASTER / COMMUNICATION

質問が上手い人の考え方

質問の上手さは言い回しより「分からないことの形」をはっきりさせる準備で決まる。仕事の目的をつかみ、不明点を5つの箱に分け、仮説を添えて聞き、答えを次の行動に変える方法を、仕事の場面と演習で学びます。

約30分入門演習 3問講義をはじめる

※ 打ち合わせ資料・顧客アンケート・電話対応マニュアルなどの依頼は、説明のための架空の場面です。質問例は唯一の正解ではありません。

この講義でできるようになること

  • 「誰のための仕事か・何を決めるための仕事か・何ができれば完了か」から仕事の目的を確かめられる
  • 不明点をゴール・範囲・期限・基準・権限に分け、優先して聞くことを選べる
  • 自分の理解や仮説を添えて、相手が答えやすい形で質問できる
  • 答えを自分の作業条件に変え、次の行動として短く返せる

前提知識

特になし。はじめての人でも学べます。

傾聴・質問力報連相の基本

00:00 / 19:43

1第1章「何を聞けばいいか分からない」の正体

Space 再生/停止・← → 10秒移動・N / P で章を移動・C で字幕。右の「文字で読む」で、話している内容を文字で追えます。

演習:手を動かして確かめる

講義を見終えたら取り組みましょう。入力した内容はこの画面の中で使うだけで、どこにも送信されません。

問題 1 / 3

上司から「来週の打ち合わせ用に資料をまとめておいて」と頼まれました。最初の質問として役立つことが多いのは?

選択肢

依頼を受けたときの質問チェックリスト

  • 目的:誰のための仕事か、何を決めるための仕事か、何ができれば完了かを確かめたか
  • 5つの箱:ゴール・範囲・期限・基準・権限のうち、空いている箱はどこか
  • 順番:間違えたときの影響が大きいことから聞いているか(目的・判断基準 → 条件 → 細部)
  • 自分で調べること:過去の資料や社内ルールで分かることは、先に自分で確かめたか
  • 仮説:「〜と理解しています。〜で合っていますか」と、自分の理解を添えて聞けているか
  • 次の行動:答えをもらったら、作業条件に変えて「では〜します」と返したか
次の講座聞いたことを正確に理解する
テキストで読む(文字起こし)

第1章 「何を聞けばいいか分からない」の正体

上司から来週の打ち合わせ用に資料をまとめておいてと頼まれました あなたなら何から始めますか 早速作り始める人もいるでしょう ですが打ち合わせの相手も資料の目的もわからないまま進めると 頑張って作った資料が使えないことがあります 一方で最初の一つの質問が数時間の手戻りを防ぐこともあります うまい人は単に質問が多い人ではありません 仕事を前に進めるために何を確かめるべきかを考えている人です 質問しようとしてもどうしたらいいですかしか出てこない 逆に細かいことばかり聞いてしまう そんな経験はありませんか 問題は質問の言い回しだけではありません 何が分かっていて何が分からないのか その整理ができていないと相手も答えにくいのです まず必要なのは質問文を作ることではなく わからないことの形をはっきりさせることです この講座では質問を4つのステップに分けて練習します まず仕事の目的を確かめる 次に不明点を分ける そして自分なりの仮説を持ち 答えをもらったら次の行動に変える 最後には曖昧な仕事の依頼を受けても 必要な質問を優先順位付きで考えられるようになりましょう

第2章 先に「相手と仕事の目的」をつかむ

質問の前に仕事を3つの視点から見ます 1つ目は誰のための仕事か 資料を読むのが社内のメンバーなのかお客様なのかで 必要な説明は変わります 2つ目は何を決めるための仕事か 情報共有だけなのか何かを選ぶためなのか そして3つ目は何ができれば完了か 完成した資料を送ればよいのか その資料を使って打ち合わせが進めばよいのか ここを押さえるだけで質問の質は大きく変わります 例を見てみましょう 来週の打ち合わせ用に資料をまとめて もし目的が状況共有なら 進捗や未完了の仕事が重要です もし2つの商品を比較する会議なら 価格や違い選ぶ基準が重要です もし新しい企画を承認する会議なら 狙いと費用懸念点が重要です 同じ資料でも目的によって中身が全く違います ですから最初の質問は資料は何ページ必要ですかではなく この会議で何を決めたいですかの方が役立つことがあります 質問にも順番があります まず目的や判断基準 次に期限や求められる品質など 仕事の進め方を左右する条件 最後に資料の色やファイル名のような細部です 細部が大切でないわけではありません ただ目的が変われば細部も作り直しになります もちろん安全や法令、顧客への影響に関わる不明点がある場合は そこを最優先に確認してください 確認する順番は聞きやすさではなく 間違えた時の影響の大きさで考えます

第3章 「分からない」を分解する

わからないことを5つの箱に分けてみましょう ゴール・範囲・期限・基準・権限です ゴールは最終的に何を実現するのか 範囲はどこまで自分が担当するのか 期限はいつまでに必要なのか 基準は何を満たせばよいのか 権限は自分で決めてよいことと確認が必要なことです 質問が思い浮かばないときはこの5つの箱のうち空いている場所を探してみてください 例えば顧客アンケートの結果を来週までに整理してと依頼されたとします ゴールは課題を知りたいのか改善策を決めたいのか 範囲は全部の回答か最近の回答だけか 期限は来週の何曜日か 基準は件数を集計するのか 自由記述を分類するのか 権限は分析項目を自分で決めてよいのか このように分けるとただ分かりませんというよりも 質問が具体的になります 大切なのは不明点をすべて埋めることではなく 作業を始める前に欠かせない点を選ぶことです ここで何でもすぐ質問する必要はないことも覚えておきましょう 過去の資料や社内のルールを見れば分かることはまず自分で確かめます 一方で今回の目的や上司の優先順位のように その人の判断が必要なことは質問します ただし調べるのに長い時間がかかったり 誤ったまま進める影響が大きかったりする場合は 早めに聞く方が合理的です 自分で調べることと相手に聞くことの境目も仕事の一部です ここで一つ練習です 新商品の紹介資料を金曜までに作って 5つの候補のうちまず優先して確認したいことを3つ選んでください 文字の色、見せる相手、見せた後にしてほしいこと 昨年の資料があるか金曜の何時までか 動画を止めて考えてみましょう 選び方の一例は見せる相手、してほしいこと、期限の時刻です 昨年の資料は自分で探せるなら先に確認できます 文字色はその後で決められることが多いですね 状況によって優先順位は変わりますが 選ぶ理由まで言えると質問設計が上達します

第4章 「丸投げ」ではなく「仮説」を添える

次に質問の伝え方を変えてみます 何を書けばいいですかという質問は相手に考える仕事を全部渡してしまいがちです これを営業担当者が読むので商品の違いを比較できる表を中心にする案です 今回の目的に合っていますかと変えるとどうでしょう 相手はその考えが合っているか どこを直せばよいか答えやすくなります 自分が上手い人は知ったかぶりをするのではなく 自分の理解を仮置きして確かめます 実務で使いやすい型があります 状況を短く伝える 自分の理解や仮説を示す 確認したい一点を聞く そして答えをもらったら何をするかを伝える この4点です 例えば来週の打ち合わせ資料についてです 比較して選べるようにするのが目的だと理解しています 比較する基準は価格と導入のしやすさであっていますか 確認できたらその2軸で表を作ります これなら質問と次の行動が一度につながります もちろんいつでも仮説を持てるわけではありません 初めての仕事で何を考えればよいかもわからないことはあります その時無理にわかったふりをする必要はありません 初めて担当するため まず何を判断する資料なのか確認させてください と目的を聞けば十分です 仮説は相手に答えを押し付けるためのものではありません 自分の理解がどこまで進んでいるかを相手と共有するためのものです 一度に10個の質問を並べると相手は何から答えるべきか迷います まず作業を左右する一問を出しその答えで次の問いを考えましょう 別の質問が複数ある場合は確認したい点が3つありますと先に数を伝えます 小さな確認はまとめて聞き緊急の確認はすぐ聞く 質問は数を増やすほど良いのではありません 仕事を止めずに進められる順番にすることが大事です

第5章 答えを引き出す聞き方

質問には、相手に自由に話してもらう質問と、 選択肢や事実を絞って確認する質問があります。 今回、特に気になる点は何ですか? は、考えや優先順位を広く聞く質問です。 価格が最優先であっていますか? は、特定の点を確認する質問です。 どちらが優れているということではありません。 まだ論点がわからないときは広く聞き 論点が見えたら絞って確認する 2つを使い分けると話が進みます なぜですかを重ねれば いつでも深い答えが出るわけではありません 相手によっては責められているように感じたり 言葉にしにくかったりします 例えば今の資料は使いにくいと言われたら なぜ使いにくいですか? だけでなく、どんな場面で困りましたか? どの情報を探すのに時間がかかりましたか? と聞いてみましょう。 相手が経験した具体的な場面を尋ねると、改善すべき点が見つかりやすくなります。 もう一つ気をつけたいのが誘導質問です。 この案が一番ですよね。 では、相手が反対しにくくなることがあります。 この案の懸念点はありますか? や 比較するとき何を重視しますか? の方が判断材料を集めやすいでしょう 質問の目的は自分が望む答えを引き出すことではありません 見落としている情報を知り、より良い判断につなげることです 質問の後、答えを聞いて終わりにしないことも大切です 例えばお客様向けで価格より使いやすさの比較が重要 木曜に一度見たいと返ってきたら資料の対象はお客様 比較軸は使いやすさ木曜に確認版を出す この3点を自分の作業条件に変えます そしてでは使いやすさを中心に比較表を作り 木曜に確認版をお見せしますと短く返します ここから先の正確な理解確認は次の講座で詳しく扱います

第6章 仕事で使う三つの質問設計

ここからは仕事の場面です ケース1 2つの依頼が同じ日に重なりました どちらをやればいいですかだけでも聞けますが さらに前に進める聞き方があります Aは今日中 Bは明日の会議用と理解しています 両方を今日終えるのは難しい見込みです Aを先に進め、Bは明日の朝に仕上げる案ですが、優先順位は合っていますか? 大切なのは、状況と自分の案をセットにすることです ケース2 顧客一覧を整えておいて 整えるとは何でしょう? 重複した行を削除することかもしれません 会社名の表記を揃えることかもしれません ただしデータを勝手に削除すると問題になる場合もあります そこで今回は表記揺れの修正までを想定しています 重複行の削除は担当者に確認してからで良いですかと聞きます 曖昧な動詞に出会ったら実際の作業と判断権限に分解しましょう ケース3 詳しくまとめて でも1枚で今日中にと言われました 条件が両立しないように見えるとき どれかを勝手に捨てないことが重要です 1枚にすることと詳細さを両立するため 本文は要点だけにして 詳しい情報は別添にする案はいかがでしょうか 今日中に必要なのは1枚の概要版であっていますか 条件がぶつかったときこそ何を優先するかを相手に確認しましょう 良い質問とは仕事の進め方を具体化する質問です

第7章 最終演習とまとめ

最後にあなた自身で質問を作ってみましょう 来月の新人向けに電話対応マニュアルを見直して 来週見せて この依頼を受けたと想像してください まだわからないことを5つの箱に分け 先に聞くべき質問を3つ考えてください そのうち1問は自分の仮説を添えた聞き方にしてみましょう 動画を止めて実際に書き出してください 例えばこう考えられます 新人が一次対応を一人でできる状態を目指す理解であっていますか 対象は代表電話の受付までですか それとも問い合わせへの回答も含みますか 来週は何曜日までに確認版が必要ですか 仮説を添えるなら、新人が迷いやすい取り次ぎ場面を中心に見直す案ですが、 今回の狙いに合っていますか? 答えが一つに決まる課題ではありません 仕事の手戻りを減らす質問になっているか、理由を説明できるかを確認してください 質問は、わからないことを相手に渡すだけの行為ではありません 目的をつかみ不明点を分け仮説を示して仕事を前に進める技術です 次の講座ではせっかく得た答えを思い込みで取り違えない方法を学びます