AI文字起こし入門|音声を文字にする仕組みと録音から確認までの手順 | マナビズ

AI文字起こし入門|音声を文字にする仕組みと録音から確認までの手順

AI文字起こし入門|音声を文字にする仕組みと録音から確認までの手順

会議のあいだ、ずっと手でメモを取っている。書くのに必死で、話の中身が頭に入ってこない。終わったあとに「あれは誰の発言だったか」を思い出しながら書き起こす——そんな記録の仕事を、AIに肩代わりさせられるかもしれません。録音さえ残っていれば、その音声を文字にするのは、AIの得意分野です(出典:内閣府CSTP「NICTにおける多言語音声翻訳技術の研究開発と社会実装」)。

本講座は、この「音声を文字にする工程そのもの」だけに絞ります。起こしたテキストを決定事項やToDoの議事録に要約・整形する手順はAI議事録の作り方が、AIそのものの基礎や機密情報を公開AIに入れてよいかといった判断はAI基礎入門が、それぞれの正本です。ここでは要約・議事録化やAI全般論には踏み込みません。

この講座を終えると、次の3つができるようになります。AI文字起こしの仕組み(音声を文字に変換すること)と、向く場面・苦手な場面を自分の言葉で説明できること。録音から文字起こしまでの基本手順を順に並べられること。そして、短い会議音声を実際にAIで文字起こしして、出てきたテキストの怪しい箇所を自分で見つけられることです。覚えて帰る型は「録音する → 取り込む → 文字起こしする → 確認して直す」の4ステップ。本講座では、短い社内打ち合わせ(例:5分程度の録音)を、AIで文字起こしして使える状態にする、という場面を全章で追いかけます。一言で言えば——文字にするのはAI、確かめるのは人、です。

この講座のポイント

  • AI文字起こしの仕組み(音声を文字に変換すること)と、向く場面・苦手な場面を、自分の言葉で説明できる。
  • 録音から文字起こしまでの基本手順を、順に並べられる。
  • 短い会議音声をAIで文字起こしし、出てきたテキストの聞き取りにくい箇所や怪しい箇所を、自分で見つけられる。

AI文字起こしとは何か——仕組みと得意・不得意

この章のゴール

AI文字起こしの仕組み(音声を文字に変換すること)と、向く場面・苦手な場面を、自分の言葉で説明できる。

AI文字起こしは音声を文字に変換する技術

AI文字起こしの正体は「音声認識」です。人が話した音声を聞き取って文字に変換する、という技術で、入力した音声を処理してテキストとして出力します(出典:内閣府CSTP「NICTにおける多言語音声翻訳技術の研究開発と社会実装」)。総務省の情報通信白書でも、人が話しかけた声を解析してその内容を判別する「音声解析技術」として位置づけられています(出典:総務省 平成26年版 情報通信白書)。つまりAI文字起こしとは、これまで人が「聞きながら書く」しかなかった作業を、音声をそのまま文字にしてもらう形に置き換えることです。共通例の打ち合わせで言えば、録音した5分(例)の音声をAIに渡し、人はメモを取らずに話そのものに集中する、という役割分担になります。

静かで明瞭な音声は得意、雑音の多い音声は苦手

得意・不得意は「入口の音声がどれだけ聞き取りやすいか」で決まります。音声認識の精度は、ディープラーニング(深層学習)が取り入れられてから大きく向上し、かつては難しかった雑音のある環境でも高い精度で認識できるようになってきました(出典:内閣府CSTP NICT資料、総務省・経済産業省「AI事業者ガイドライン」)。裏を返せば、雑音は伝統的に音声認識が苦手としてきた条件です。入力される音声の性質が認識結果を左右することは、入力音声の言語識別技術でも示されています(出典:NICT SEEDs「入力音声の言語識別技術」)。静かな場所ではっきり話された音声は得意、ガヤガヤした場所や複数の人が同時にかぶせて話す音声は苦手、と覚えておけば大きく外しません。

「任せれば完璧に文字になる」というつまずき

いちばんのつまずきは「AIに任せれば、完璧に正しいテキストが出てくる」という思い込みです。実際には、AIの出力は100%にはなりません。音声認識を含むAIの精度はディープラーニングで飛躍的に上がりましたが、それでも完全ではない、というのが出典の示すところです(出典:内閣府CSTP NICT資料)。だからAI文字起こしは「完璧な清書」を作る道具ではなく、「下書きを高速に作る」道具だと捉えてください。完璧でない前提に立てるかどうかが、このあと第3章の「確認して直す」につながります。なお、機密を含む音声を無料の公開AIにそのまま入れてよいかといった安全面の判断は、AI基礎入門で扱います。

この章の確認(演習)

自分の業務から、AI文字起こしが「向きそうな場面」を1つと「向かなそうな場面」を1つ挙げてください。たとえば「静かな会議室での1対1の打ち合わせ」と「雑音の多い現場で複数人が同時に話す場」のように。そのうえで、なぜ向く/向かないのかを、音声の聞き取りやすさという観点から一言で書いてみましょう。

録音から文字起こしまでの手順——始め方

この章のゴール

録音から文字起こしまでの基本手順を、順に並べられる。

文字起こしは「録音 → 取り込み → 文字起こし → 確認」の流れで進む

AI文字起こしは、どのツールを使っても大枠は同じ流れで進みます。「①録音する → ②音声をAIに取り込む → ③文字起こしする → ④出てきたテキストをざっと確認する」の4ステップです。AIは音声を入力すると文字にして返す、という入出力の道具なので(出典:内閣府CSTP NICT資料)、人がやることは「聞き取りやすい音声を用意して渡し、返ってきたテキストを確かめる」ことに尽きます。共通例で言えば、5分程度(例)の打ち合わせを録音し、その音声データを文字起こしの機能に渡してテキストにし、最後に出力を読む、という一連です。

きれいに起こすコツは入口の録音——近く・静かに・1人ずつ

仕上がりを左右するのは、いちばん最初の「録音」です。第1章で見たとおり、入力された音声の質が認識結果に効きます(出典:NICT SEEDs「入力音声の言語識別技術」、内閣府CSTP NICT資料)。だから録音のときは、マイク(スマホやPC)を話し手に近づけ、できるだけ静かな場所で、なるべく1人ずつ話すようにします。遠くに置いたマイクや、雑音だらけの環境で録ると、その後どれだけ良いAIを使っても、もとの音声が聞き取れない分は文字にできません。入口で手を抜くと、後の工程すべてが苦しくなる、ということです。自分の定型業務を丸ごとAIで効率化する全体の流れに広げたいときは、生成AIを仕事で使うが参考になります。

「遠くのマイク」「録音し忘れ」「読み返さない」というつまずき

この章のつまずきは3つあります。1つ目は、マイクが遠い・雑音が多い録音。音が拾えていなければ文字起こしは始まりません。2つ目は、そもそも録音し忘れる・容量が足りずに音声が残っていないこと。録音が無ければAIの出番もありません。会議の冒頭で「録れているか」を一度確認するだけで防げます。3つ目は、起こしたテキストを一度も読み返さないこと。これは次の第3章でくわしく扱いますが、確認しないまま配ってしまうと、AIの誤りがそのまま広まります。

この章の確認(演習)

次に記録する予定の会議を1つ思い浮かべてください。そのうえで、「①録音 → ②取り込み → ③文字起こし → ④確認」の4ステップを、自分の状況に当てはめて箇条書きにします。とくに「どこで・何を使って録音するか」「録った音声をどうやって文字起こしの機能に渡すか」の2点を、具体的に書き出してみましょう。

起こしたテキストを確かめて整える——誤りの見つけ方と次の一歩

この章のゴール

短い会議音声をAIで文字起こしし、出てきたテキストの聞き取りにくい箇所や怪しい箇所を、自分で見つけられる。

AI文字起こしは「起こして終わり」ではない

文字起こしは、テキストが出てきた時点では半分です。AIの出力は、もっともらしく誤ることがあるからです。総務省の情報通信白書は、AIが事実に基づかない誤った情報をもっともらしく生成することがある(ハルシネーション)と説明し、利用する際は出力した答えが正しいかどうかを確認することが望ましい、としています(出典:総務省 令和6年版 情報通信白書「生成AIが抱える課題」)。AI事業者ガイドラインでも、AIに単独で判断させるだけでなく、適切なタイミングで人間の判断を介在させることが求められています(出典:総務省・経済産業省「AI事業者ガイドライン」)。文字起こしの結果も同じで、人が一度ざっと読み、音声と照らして怪しい箇所を直すところまでが、この工程の仕事です。

怪しい箇所を音声と照らして直す

「もっともらしく誤る」というのが厄介で、流し読みではなかなか気づけません。だからこそ、取り違えると影響の大きい箇所を重点的に確かめます。社名や人名といった固有名詞、金額や日付などの数字、その場の専門用語——このあたりは、間違っていても文として自然に見えてしまうので、特に注意して読みます。手順はシンプルです。①出力テキストを最初から読む。②固有名詞・数字・専門用語など、間違うと困る箇所に印をつける。③怪しい所は録音を聞き直して直す。④読みやすいように発言の区切りを整える。ここまでが文字起こしです。なお、起こしたテキストを決定事項やToDoの議事録に要約・整形するのは、次の工程としてAI議事録の作り方で扱います。

「出力を鵜呑み」「全文を完璧に直そうとする」というつまずき

ここでのつまずきは2つ、しかも正反対の方向です。1つは、AIの出力を正しいと信じて、確認せずにそのまま配ってしまうこと。もっともらしい誤りが、そのまま共有されてしまいます。もう1つは逆に、全文を一字一句完璧に直そうとして、時間をかけすぎること。文字起こしは下書きなので、固有名詞や数字といった「外すと困る要点」を確かめれば十分です。すべてを清書しようとせず、要点だけを確かめる割り切りを持ちましょう。

この章の確認(演習)

短い音声(例:5分程度の打ち合わせ)を、実際にAIで文字起こししてください。出てきたテキストを最初から読み、固有名詞や数字の誤りを最低1つ見つけて、録音を聞き直して直します。直し終えたら、「このテキストを議事録に整えるのは次の工程だ」と位置づけて、ここで一度区切りましょう。

まとめ

AI文字起こしは、「録音 → 取り込み → 文字起こし → 確認して直す」の流れで、音声を文字にする手間をAIに肩代わりさせる工程です。仕組みは音声を文字に変換すること(出典:内閣府CSTP NICT資料)。得意なのは静かで明瞭な音声、苦手なのは雑音の多い音声。そしてAIの出力はもっともらしく誤ることがあるので、人が一度確かめて直すところまでが仕事です(出典:総務省 令和6年版 情報通信白書)。覚えて帰るのはこの一言——文字にするのはAI、確かめるのは人。

明日の一歩として、次の短い打ち合わせを1つ録音し、AIで文字起こしして、固有名詞の誤りを1つ見つけて直してみてください。それが、AI文字起こしの最初の実務です。起こしたテキストを議事録としてまとめる手順はAI議事録の作り方へ、AIそのものをもっと知りたい方はAI基礎入門へ進むのが次のステップです。

本講座の特典として、向く場面の判定・録音の4ステップ・確認のポイントを1枚にまとめた「AI文字起こしスタートチェックシート」をご用意しています。チェックシートの入手は、無料会員登録からどうぞ。

よくある質問

AI文字起こしと議事録づくりは何が違うのですか

文字起こしは音声を文字にする工程、議事録づくりはそのテキストを決定事項やToDoに要約・整形する次の工程です。本講座は前者に絞っています。

AI文字起こしは、出てきた文字をそのまま使ってよいですか

そのままは使いません。AIの出力はもっともらしく誤ることがあるため、固有名詞や数字を中心に人が確認し、録音と照らして直してから使います。

きれいに文字起こしするコツはありますか

入口の録音が決め手です。マイクを話し手に近づけ、静かな場所で、なるべく1人ずつ話すと、認識しやすい音声になり仕上がりが安定します。

機密を含む会議の音声をAIに入れても大丈夫ですか

入れる前に確認が必要です。機密情報が入力を通じて流出するリスクがあるため、使ってよいAIかを確かめましょう。判断の基礎はAI基礎入門で扱います。

監修
マナビズ編集部

マナビズ(Manabiz)編集部。AIを活用した原稿制作に加え、人間によるレビューで品質を担保しています。 編集ポリシー

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