AIプロンプトの基本 | マナビズ

AIプロンプトの基本

AIプロンプトの基本

「今週のチームの動き、要約しといて」——金曜の夕方、AIにそう打ち込んだあなたに返ってきたのは、長すぎて要点のずれた文章でした。結局、そこから30分かけて自分で書き直し、部長に送ったのは夜。AIを使ったはずなのに、なぜか手間が増えている。こんな経験はありませんか。

ChatGPT や Claude、Gemini を仕事で何度か使ってみて、「便利そうだ」とは思う。でも、うまくいく時とダメな時の差が自分でも読めない。同じことを頼んでいるのに出来はバラバラで、たまにうまくいっても、何を打ったから良かったのか分からないから、次回は再現できない。世の中の“神プロンプト集”をコピペしても、自分の仕事には合わない——。

実は、AIから安定して使える出力を引き出せる人は、特別な“呪文”を知っているわけでも、文章がうまいわけでもありません。違いは、たった一つです。プロンプトを「お願い文」ではなく「設計するもの」として扱い、①役割②前提③出力形式 の3つの要素を渡しているか。そして、一度うまくいった設計を“型”として保存し、毎回使い回しているか。たったこれだけです。OpenAI や Google といった開発元が公開している公式の手引きでも、共通して「役割・前提(背景)・出力形式を具体的に与える」ことがすすめられています。難しい理論ではなく、3つの要素を埋めて、良い型を保存するだけ。

この講座を読み終えたあなたは、次の3つができるようになります。

  1. プロンプトを「お願い文」ではなく「設計するもの」として捉え直し、AIの出力が安定して使えるかどうかは ①役割②前提③出力形式の3要素を渡しているかで決まる、という全体像を自分の言葉で説明できる
  2. ある作業について、①役割(誰として答えさせるか)②前提(読み手・目的・材料・制約)③出力形式(形・長さ・項目)の3要素を組み立てて1つのプロンプトに設計でき、出力が外れたときは3要素のどれが欠けていたかを特定して指示を足し、狙った出力に近づけられる
  3. うまくいったプロンプトを、変わる部分を“穴”にした型(テンプレート)として保存して再利用でき、固有名詞・数字・日付の確認と機密の確認まで含めて、自分とチームで使い回せる

この講座は最後まで、「若手リーダーのあなたが、毎週金曜に、チームの一週間を、忙しい部長に共有する『週次まとめ』を、AIプロンプトで作る」という、たった1つの作業だけで説明します。この同じ作業を、プロンプトとは何か→役割と前提→出力形式→型として保存して再利用、と1要素ずつ設計していきます。各章末には手を動かす演習も置いているので、あなたが毎週くり返している作業を1つ思い浮かべながら読み進めてください。そして、ここで組み上げる「役割・前提・出力形式」入りのプロンプトは、最後にテンプレートとしてダウンロードして、自分の業務に差し替えてそのまま使えます。まずは、AIへの頼み方の“地図”を手に入れましょう。

この講座のポイント

  • プロンプトを「お願い文」ではなく「設計するもの」と捉え直し、出力の安定は ①役割②前提③出力形式の3要素+再利用で決まる、という全体像を、自分の言葉で説明できる
  • あるプロンプトに ①役割(誰として答えさせるか)と②前提(読み手・目的・材料・制約) を具体的に与えて、出力を用途に合わせられる
  • プロンプトに ③出力形式(形・長さ・項目・順序) を指定して、毎回そろった形の・そのまま使える出力にでき、再利用に備えられる
  • 役割・前提・出力形式を入れたプロンプトを、変わる部分を“穴”にした型(テンプレート)として保存し、次回は穴を差し替えて再利用でき、事実確認と機密の確認まで含めて使い回せる形に仕上げられる

プロンプトとは何か(お願い文ではなく「設計図」)

まずは、「同じことを頼んでいるのに、出来がバラバラ」というモヤモヤの正体を、はっきりさせましょう。プロンプトという言葉を、ふわっとした“お願い文”のイメージから、自分で使える1枚の設計図に変える、土台の章です。

この章のゴール

この章を読み終えると、プロンプトを「お願い文」ではなく「設計するもの」と捉え直し、出力の安定は ①役割②前提③出力形式の3要素+再利用で決まる、という全体像を、自分の言葉で説明できるようになります。

「同じ頼みなのに出来がバラバラ」の正体

「今週のこと要約して」と打って、長すぎ・要点ずれの出力に手直しを繰り返す。あの出来のバラつきは、AIの気まぐれでも、AIの実力不足でもありません。正体は、こちらがAIに渡している情報が、毎回違っていたり、足りなかったりすることです。

プロンプトとは、生成AI(対話型のAI)に出す指示文のことです。ここで大事なのは、AIは、あなたが渡した材料の範囲でしか答えられない、という性質です。「要約して」という一言には、「誰の立場で」「誰に向けて」「どんな形で」要約するのか、という情報が、まるごと抜けています。空欄だらけのまま頼まれたAIは、その空欄を自分で勝手に推測して埋めて答えます。だから、ある時は長文、ある時は箇条書きと、毎回ブレるのです。実際、思ったような結果が出ないとき、原因の多くはAIの側ではなく、渡したプロンプトの側にあります。

ここで覚えてほしい背骨は、ひとつです。プロンプトは“お願い”ではなく“設計”。役割・前提・出力形式を渡し、良い型は保存して使い回す。この一文さえ持てば、AIの出力は「運任せ」から「自分でコントロールできるもの」に変わります。

空欄を自分で埋める、それが「設計する」ということ

では、どうするか。答えはシンプルです。AIに勝手に推測させていた空欄を、自分で埋める。これが「プロンプトを設計する」ということです。お願い文を、設計図に置き換えるイメージです。

埋めるべき空欄は、大きく3つあります。これが、この講座で何度も出てくる3要素です。

要素埋めることひとことで言うと
① 役割どんな立場・専門家として答えるか誰として?
② 前提読み手・目的・材料・守ってほしい条件何を前提に?
③ 出力形式どんな形・長さ・項目・順序で出すかどんな形で?

この3つを埋めてからAIに渡すと、出力は「それっぽいけど使えない文章」から、「狙った通りの、そのまま使える文章」へと近づきます。実際、OpenAI や Google の公式の手引きでも、「役割を与える」「背景(前提)を与える」「出力形式を指定する」ことが、効果的なプロンプトの基本として共通して挙げられています。あなたが探していた“神プロンプト”の正体は、実はこの3要素だったのです。

全体像は「3要素 + 再利用」の地図

3要素を埋めて設計できるようになったら、もう一歩あります。再利用です。一度うまくいったプロンプトを、“呪文”として暗記したり、毎回ゼロから打ち直したりするのではなく、変わる部分だけ差し替えられる「型(テンプレート)」として保存して、使い回す。これで、毎週・毎回の作業が一気にラクになります。

つまり、プロンプトの全体像は、この地図1枚です。①役割 → ②前提 → ③出力形式 で設計し、うまくいったら ④型として保存して再利用する。この講座では、第2章で「役割と前提」、第3章で「出力形式」、第4章で「型として保存して再利用」と、地図のマスを1つずつ埋めていきます。「神プロンプトを探す」でも「毎回ゼロから書く」でもない、第3の道です。

ここで、この講座を通して使う共通の作業に登場してもらいましょう。あなたは、ある小さなチームのリーダーです。毎週金曜、チームの一週間の動きを、忙しい部長に「週次まとめ」として共有しています。今のあなたは、その都度「今週のこと要約して」と打っては、長すぎ・要点ずれの出力を手直ししている状態。この一言には、役割(誰として)も、前提(誰向けに・何を材料に)も、出力形式(どんな形で)も、3要素が全部抜けています。この章では、まだ中身は埋めません。「あ、自分は3つとも渡していなかったな」と、空欄の枠に気づくところまでで十分です。この週次まとめを、次章から1要素ずつ設計していきます。

この章の確認(演習)

あなたが直近でAIに頼む予定の作業(or 想像の作業)を1つ選び、いまのお願い文を、一度そのまま書き出してみてください。「議事録まとめて」でも「メールの返信考えて」でも構いません。

そのうえで、そのお願い文に ①役割②前提③出力形式 が入っているかを、○×でチェックしてみます。たいていは、3つとも×か、入っていても1つだけのはずです。抜けている枠を指摘できたら、この章はゴールです。中身はまだ埋めなくて構いません。「お願い文」を「埋めるべき空欄がある設計図」として見られるようになること——それが、すべての出発点です。

役割と前提を与える(誰として・何を前提に答えさせるか)

地図の最初の2マス、①役割②前提を埋めていきます。この2つは、AIに丸投げできない、“人が決める”核心です。

この章のゴール

この章を読み終えると、あるプロンプトに ①役割(誰として答えさせるか)と②前提(読み手・目的・材料・制約) を具体的に与えて、出力を用途に合わせられるようになります。

役割:「誰として答えるか」を与える

まず、1つ目の要素「役割」です。AIに「あなたは◯◯です」と立場や専門性を与えると、答える視点・前提知識・トーンが、その役割に寄っていきます。

たとえば、ただ「要約して」と頼むのと、「部長への報告に慣れたチームリーダーとして要約して」と頼むのとでは、出てくる文章の質感が変わります。後者では、報告として筋の通った、結論を先に置いた要約に寄りやすくなります。「小学生にも分かるように説明する先生として」と置けば、専門用語が消えて平易な説明になり、「経験豊富なマーケターとして」と置けば、戦略的な視点を含んだ回答に寄る。役割は、AIの語り口や視点を調整する“ハンドル”のようなものです。何も設定しないと、AIは当たり障りのない一般的な回答になりがちです。

ひとつ、正直にお伝えしておきます。役割を与えると、出力の視点やトーンは寄りますが、計算問題の正答率のような“正解の精度”そのものが上がるわけではありません(この点は研究でも意見が分かれています)。ですから役割は、「AIを賢くする魔法」ではなく、「誰の立場で・誰向けに書くか」を安定させる道具だと捉えてください。報告書やメールのような“文章を作る”仕事では、この安定がとても効きます。

前提:読み手・目的・材料・制約を渡す

2つ目の要素は「前提」です。前提とは、AIに前もって渡しておく情報——読み手・目的・材料・守ってほしい条件のことです。

ここがいちばん大事なポイントです。AIは、あなたの状況を何も知りません。あなたの部長がどんな人かも、今週チームに何があったかも、知らないのです。だから、知らないまま頼むと、AIは知らない部分を“それっぽく”作文してしまいます。これを防ぐために、次の4つを渡します。

前提渡すこと
読み手誰が読むのか(例:忙しい部長。結論を先に、専門用語は控えめに)
目的何のための出力か(例:来週の判断材料にしてもらう)
材料元にする情報(例:今週の出来事メモを貼り付ける)
制約守ってほしい条件(例:事実だけ。推測で埋めない)

特に抜けやすいのが、「読み手は誰か」です。これが空欄だと、AIは誰に向けた文章か決められず、出力がぼやけます。「材料を渡さず、いい感じにやっておいて」も危険です。材料がなければ、AIは中身を想像で埋めてしまうからです。役割と前提は、あなたにしか決められません。ここを渡すかどうかが、出力の質を大きく分けます。

なお、ここでAIに渡す「材料」に、社外秘の情報や個人情報を入れてよいかどうかは、入れる前に必ず確認が必要です。これについては第4章でくわしく扱います。

共通例:週次まとめに、役割と前提を与える

では、週次まとめに役割と前提を与えてみましょう。第1章では空欄だった枠が、ここで2つ埋まります。

  • 役割:部長への報告に慣れたチームリーダー
  • 前提(読み手):忙しい部長。結論を先に、専門用語は控えめに
  • 前提(目的):来週の判断材料にしてもらう
  • 前提(材料):今週の出来事メモ(箇条書きで貼り付ける)
  • 前提(制約):事実だけを使い、推測で埋めない

これを1つの指示文にまとめると、こうなります。

あなたは、部長への報告に慣れたチームリーダーです。
以下の「今週のメモ」をもとに、忙しい部長が来週の判断材料にできるよう、
週次まとめを作ってください。結論を先に、専門用語は控えめに。
メモにない事実を推測で補わないでください。

【今週のメモ】
・新製品の試作が完成、来週から社内テスト
・取引先A社との契約、先方の確認待ち
・メンバーBが体調不良で2日休み、業務は分担済み

ただ「要約して」と打ったときと比べてみてください。役割と前提を与えただけで、出力は「誰向けか分からない長文」から、「忙しい部長に向けた、結論先の報告」へと、ぐっと方向が定まります。まだ“形”はそろっていませんが、それは次の第3章で整えます。

この章の確認(演習)

第1章で選んだあなたの作業について、①役割②読み手③目的④材料⑤制約 を、1つずつ書き出してみてください。そして、それを上の例のように1つの指示文にまとめて、実際にAIに渡してみます。

そのうえで、役割も前提もない“素のお願い”の出力と、役割と前提を与えた出力を、見比べてみてください。どこがどう変わったかを、1〜2行で書き留めます。「読み手を入れたら、急に相手に合った言葉づかいになった」——その変化を自分の目で確かめられたら、ゴールです。

出力形式を指定する(形・長さ・項目をそろえる)

地図の3マス目、③出力形式を埋めます。ここを指定できると、出力が毎回そろい、そのまま使える形になり、次章の「再利用」への準備が整います。

この章のゴール

この章を読み終えると、プロンプトに ③出力形式(形・長さ・項目・順序) を指定して、毎回そろった形の・そのまま使える出力にでき、再利用に備えられるようになります。

形を指定しないと、毎回バラつく

第2章で役割と前提を与えました。でも、それだけだと、まだ問題が残ります。出力の“形”を指定していないからです。形を運任せにすると、ある時は長い文章、ある時は箇条書き、ある時は見出しつき、と毎回バラバラになります。

ここで効くのが、3つ目の要素「出力形式」です。どんな形・長さ・項目・順序で出すかを指定すると、出力の形が安定します。形が安定するということは、そのまま貼って使える、ということ。そして何より、次回も同じ形で出せる=再利用しやすくなる、ということです。Google の公式の手引きでも、「出力の構造を運任せにせず、形式を明示せよ」とはっきり書かれています。指定しなければ、AIが“たぶんこれだろう”と勝手に形を選んでしまうのです。

指定できるのは「形・長さ・項目と順序・トーン」

出力形式として指定できることは、主に4つです。

指定すること
箇条書き/表/見出しつき
長さ全体で200字以内/要点は3つ/1項目1行
項目と順序「今週の要点 → 来週の注力 → 相談事項」の順で
トーンです・ます調/硬すぎず

コツは、ただ「箇条書きで」と言うだけで止めないことです。「今週の要点を3つ(各40字以内)→ 来週の注力を1つ → 相談したい点を1つ、この順で」というように、項目と順序まで決めると、形が固定されて、次章で作る“型”にぐっと近づきます。

「短く」「いい感じに」といった曖昧な言葉は避けましょう。“短く”の基準は、人とAIで食い違います。「200字以内」「3つまで」と、数で指定するのが確実です。

言葉で伝わらないときは、「見本」を1つ見せる

形を言葉で説明しても、なかなか思い通りにならないことがあります。そんなときは、理想の完成形の例を1つ、見せてしまうのが近道です。「たとえば、こんな形で出してほしい」と見本を1つ添えると、AIはその形をまねしてくれます。これは“見本を見せる書き方(例示)”と呼ばれ、特に「この形で出してほしい」という形式を伝えるのに有効です。Google の公式の手引きでも、望む形式を確実に伝えるために例を見せることがすすめられています。

共通例:週次まとめに、出力形式を指定する

週次まとめに、出力形式を足してみましょう。第2章のプロンプトの最後に、形の指定を追記します。

あなたは、部長への報告に慣れたチームリーダーです。
以下の「今週のメモ」をもとに、忙しい部長が来週の判断材料にできるよう、
週次まとめを作ってください。メモにない事実を推測で補わないでください。

【出力形式】次の形で、全体200字以内、です・ます調で出してください。
1. 今週の要点(3つ・各40字以内の箇条書き)
2. 来週の注力(1つ)
3. 部長への相談事項(あれば1つ。なければ「なし」)

【今週のメモ】
・新製品の試作が完成、来週から社内テスト
・取引先A社との契約、先方の確認待ち
・メンバーBが体調不良で2日休み、業務は分担済み

これで、出力は毎回この形でそろうようになります。先週も今週も来週も、「今週の要点3つ → 来週の注力 → 相談事項」という同じ並びで返ってくる。だから、そのままコピーして部長に送れるし、毎週見比べるのもラクになります。役割・前提・出力形式の3要素が、これで全部そろいました。第1章で立てた空欄の枠が、すべて埋まったことになります。

この章の確認(演習)

第2章で作ったあなたの指示文に、出力形式(形・長さ・項目・順序・トーン)を追記して、実行してみてください。「箇条書きで、3つまで、各1行で」のように、数と順序まで決めるのがコツです。

そのうえで、形式を指定する前と後で、出力の“そろい方”がどう変わったかを確かめます。もし思った形にならなければ、理想の完成形を1つ見本として添えて、もう一度実行して比べてみましょう。出力が毎回同じ形でそろうようになったら、ゴールです。

型として保存して、再利用する

地図の最後のマス、④再利用です。ここまでで設計したプロンプトを“型”にして保存し、来週からは差し替えるだけで使えるようにします。あわせて、安心して使い回すための2つの確認も、型に組み込みます。

この章のゴール

この章を読み終えると、役割・前提・出力形式を入れたプロンプトを、変わる部分を“穴”にした型(テンプレート)として保存し、次回は穴を差し替えて再利用でき、事実確認と機密の確認まで含めて使い回せる形に仕上げられるようになります。

変わらない部分を固定し、変わる部分を“穴”にする

ここで、週次まとめの作業をよく観察してみてください。毎週、変わるものは何でしょうか。変わるのは、「今週のメモ」だけです。役割(チームリーダー)も、前提(読み手は部長・結論先)も、出力形式(要点3つ+来週の注力+相談事項)も、毎週まったく同じです。

ということは——変わらない部分はそのまま固定して、変わる部分(今週のメモ)だけを“穴”にしておけば、来週からはその穴を差し替えるだけで済みます。この“穴”のことを、プレースホルダ(あとで差し替える空欄の印)と呼びます。___(ここに今週のメモを貼る)のように書いておくのです。

第1章から組み上げてきたプロンプトを、型(テンプレート)として保存すると、こうなります。

■ 週次まとめプロンプト(保存用テンプレート)

あなたは、部長への報告に慣れたチームリーダーです。
以下の「今週のメモ」をもとに、忙しい部長が来週の判断材料にできるよう、
週次まとめを作ってください。メモにない事実を推測で補わないでください。

【出力形式】次の形で、全体200字以内、です・ます調で出してください。
1. 今週の要点(3つ・各40字以内の箇条書き)
2. 来週の注力(1つ)
3. 部長への相談事項(あれば1つ。なければ「なし」)

【今週のメモ】
___(ここに今週のメモを貼る)

【送る前の確認】
・固有名詞・数字・日付は自分で確認する
・このメモを、このAIに入れてよいか(機密)を確認する

来週のあなたは、もう「今週のこと要約して」と打ちません。この型を開いて、___の穴に今週のメモを貼り、実行するだけ。これが、「設計して・保存して・使い回す」の完成形です。

型に組み込む確認①:事実(ハルシネーション)

ただし、AIの出力を、そのまま部長に送ってはいけません。理由の1つ目は、事実です。

生成AIには、事実と異なる内容を、もっともらしく書いてしまうという性質があります。これをハルシネーション(AIが事実でないことを、それっぽく書いてしまう現象)と呼びます。AIに悪気があるわけではなく、学習したデータの中から“それらしい言葉”をつないだ結果として起きるものです。やっかいなのは、文章が流暢なので、一見しただけでは間違いに気づきにくいこと。特に、固有名詞・数字・日付が危ない。たとえば、メモに「来週」としか書いていないのに、AIが勝手に「来週月曜」と具体的な日付を補ったり、取引先の名前の字を変えたりすることがあります。

だから、型の末尾に「固有名詞・数字・日付は自分で確認する」という確認手順を入れておきます。AIが出すのは、あくまで“下書き(たたき台)”。最後に事実を突き合わせて仕上げるのは、人の仕事です。

型に組み込む確認②:機密/そして、型は資産になる

理由の2つ目は、機密です。型の___の穴に貼る「今週のメモ」に、社外秘の数字や個人情報が含まれていないか——これを、入れる前に確認します。

なぜなら、無料で使えるパブリックな生成AIは、入力した内容が、AIの学習に使われる場合があるからです(とくに無料版や個人向けの契約では、その可能性があります)。うっかり、未公開の売上や、取引先との契約金額、メンバーの個人情報をそのまま貼ってしまうと、社外に出してはいけない情報が外に流れるリスクになります。ですから、「社内で許可されたツールか」「この情報を入れてよいか」を社内のルールで確認し、迷ったら入れないを原則にしてください。これも、型の確認欄に一行入れておけば、毎回忘れずに済みます。

そして、ここがうれしいところ。こうして仕上げた型は、あなただけの資産になります。さらに、後輩から「そのAIの使い方、教えてください」と言われたら、この型を渡しながら、「役割・前提・出力形式を入れて、穴だけ差し替えて使ってね」と説明できます。かつて30分かけて書き直していた週次まとめが、今は穴を差し替えて事実を確認するだけの5分の作業に変わり、しかもそのやり方を、再現できる形で人に渡せる。これが、プロンプトを“設計して保存する”ことの本当の価値です。

この章の確認(演習)

第3章までで完成した、あなたのプロンプトを、変わる部分を“穴”にした型(テンプレート)にして、名前を付けて保存してください。役割・前提・出力形式は固定し、毎回変わる部分だけを___(◯◯を貼る)にします。

そして、型の末尾に、「固有名詞・数字・日付を確認」「機密を入れてよいか確認」の2行を足しておきます。最後に、この講座のプロンプトテンプレートをダウンロードして、週次まとめ以外の自分の業務——議事録のまとめ、メールの下書き、資料のたたき台など——にも、役割・前提・出力形式を差し替えて当てはめてみましょう。1つの型を作れた人は、もう、どんな作業のプロンプトも設計できます。

まとめ:プロンプトは“お願い”ではなく“設計”

おつかれさまでした。「毎週金曜の、部長への週次まとめ」という、たった1つの作業を、プロンプトとは何か → 役割と前提 → 出力形式 → 型として保存して再利用、と1要素ずつ設計してきました。第1章で空欄だった3要素は、もうすべて埋まり、型として手元に残っています。ここで、地図の全体を振り返ります。

  1. プロンプトとは……AIへの「お願い文」ではなく「設計するもの」。出力がバラつくのは、渡す情報が毎回違う・足りないから。空欄を自分で埋める=設計する(第1章)。
  2. 役割と前提……「◯◯として」と役割を与えると、答える視点・トーンが寄る。読み手・目的・材料・制約という前提を渡すと、AIは推測で作文しなくなる。特に「読み手は誰か」を忘れない(第2章)。
  3. 出力形式……形・長さ・項目・順序を指定すると、出力が毎回そろい、そのまま使える。「3つ」「200字以内」と数で指定し、順序まで決める。伝わらなければ見本を1つ見せる(第3章)。
  4. 型として保存して再利用……変わる部分を“穴”にして、型として保存する。来週は穴を差し替えるだけ。型には「固有名詞・数字・日付の確認」と「機密の確認」を入れておく(第4章)。

この4つは、すべて1つの問いに戻ります。「いま打とうとしているプロンプトに、役割・前提・出力形式は入っているか。そして、良い型は保存して使い回しているか」。この講座でいちばん覚えて帰ってほしいのは、このひと言です——プロンプトは“お願い”ではなく“設計”。役割・前提・出力形式を渡し、良い型は保存して使い回す。これが身につくと、「同じ頼みなのに出来がバラバラ」だったAIが、「毎回そろった、そのまま使える出力を返してくれる相棒」に変わります。

明日の最初の一歩:あなたが毎週・毎回くり返している作業を1つ選び、(1)役割・前提・出力形式の3要素でプロンプトを設計する → (2)変わる部分を“穴”にした型として保存する → (3)次回その型を使い回す、を1つだけ通してみてください。完璧でなくて構いません。「お願い文」から「設計+保存+再利用」へ、1周まわせたら、それが第一歩です。

そして、その第一歩をすぐ踏み出せるように、この講座で組み上げた「役割・前提・出力形式」入りのプロンプトを、テンプレートとしてダウンロードできるようにしています。まずはこれを自分の業務に差し替えて、今日から使い始めてください。さらに、AIを議事録づくりやメール作成、提案資料のたたき台に広げたくなったら、関連講座(AI議事録/AIメール/AI資料作成)へ。各ツールそのものをもっと知りたくなったら、ChatGPT・Claude・Gemini の入門講座へ進めます。今日手に入れた「3要素+再利用」の型は、それらすべての土台になります。プロンプトを”設計”できるあなたは、もう、AIを使いこなす側に立っています。

よくある質問

プロンプトとは何ですか?

プロンプトとは、ChatGPTやClaudeなどの生成AIに出す指示文のことです。「お願い文」ではなく「設計するもの」と捉え直し、役割・前提・出力形式の3要素を渡すことで、出力を安定させることができます。

役割・前提・出力形式の3要素は、どう使い分けますか?

役割は「誰の立場で答えるか」、前提は「読み手・目的・材料・制約」、出力形式は「どんな形・長さ・項目で出すか」です。この3つを揃えてから指示することで、毎回そろった使える出力が得られます。

初心者でも自分でプロンプトを設計できますか?

できます。難しい理論は不要で、3つの空欄(役割・前提・出力形式)を一つずつ埋めるだけです。この講座では「週次まとめ」という身近な作業を使って、手順を1ステップずつ体験しながら習得できます。

うまくいったプロンプトは毎回書き直す必要がありますか?

その必要はありません。変わらない部分(役割・前提・出力形式)は固定し、毎回変わる部分だけを「穴」(プレースホルダ)にして型として保存すれば、次回は穴を差し替えるだけで再利用できます。

AIの出力をそのまま送っても大丈夫ですか?

そのまま送るのは避けてください。出力は「たたき台」として扱い、固有名詞・数字・日付を自分で確認し、元のメモに機密情報が含まれていないかも確認してから使うことが大切です。

監修
マナビズ編集部

マナビズ(Manabiz)編集部。AIを活用した原稿制作に加え、人間によるレビューで品質を担保しています。 編集ポリシー

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