サーバントリーダーシップ入門|支援型リーダーへの切り替えと明日の一手 | マナビズ

サーバントリーダーシップ入門|支援型リーダーへの切り替えと明日の一手

サーバントリーダーシップ入門|支援型リーダーへの切り替えと明日の一手

「結局、自分でやった方が早い」「何度言っても、指示通りに動いてくれない」——プレイヤーとして成果を出し、5人ほどのチームを任された。なのに毎日が忙しく、メンバーは指示待ちのまま。先頭で引っ張り、詰まればやり方を教え、足りないところは自分が巻き取る。それでも回らない。原因は、あなたやメンバーの能力ではないかもしれません。リーダーが立っている「位置」、つまり何を起点に関わるかにあるのかもしれません。

サーバントリーダーシップとは、引っ張り命じることを起点にせず、まず相手の障害を取り除き、支えることを起点に置く関わり方です。「下から支える弱腰」でも「何でも引き受ける甘やかし」でもありません。基準は手放さず、相手が力を出せる状態を整える側に回る——だから「自分でやった方が早い」をこらえ、指示・巻き取りの前に、まず支援の一手を入れる。本講座は、この「支援型のスタンスへ頭を切り替え、明日その一手を出す」ことだけに絞ります。

絞るからこそ、隣の領域は最初に住み分けを宣言しておきます。状況に応じて指示型と支援型をどう使い分けるかの全体像はリーダーシップの基本へ、答えを教えず問いで引き出す質問技法はコーチング入門へ、1つの仕事を範囲を決めて渡し切る任せ方は権限委譲入門へ、発言しやすい安全な場づくりは心理的安全性入門へ。本講座はそれぞれの手順には踏み込みません。

この講座を終えると、次の3つができるようになります。サーバントリーダーシップとは何かを支配型・指示型との違いを含めて説明できること、メンバーが詰まった場面で「いま何に困っているか/自分が外せる障害は何か」を支援の起点で問い・見立てられること、そして明日のチームで支援型の一手を1つ選んで実行できることです。覚えて帰る型は「先に聴く → 外せる障害を見立てる → 明日の一手を1つ選ぶ」。本講座では、若手のAさんがある作業で手が止まり、進捗が遅れている——これまであなたは「やり方を指示する/自分が巻き取る」で反応してきた——という同じ場面を、全章で追いかけます。

この講座のポイント

  • サーバントリーダーシップとは何かを、支配型・指示型リーダーシップとの違いを含めて、自分の言葉で説明できる。
  • メンバーが詰まった場面で、すぐ指示・巻き取りに走らず、「いま何に困っているか/自分が外せる障害は何か」を支援の起点として問い、見立てられる。
  • 明日のチームで実行する支援型の関わり(障害を1つ取り除く・先に聴く 等)を1つ選んで実行できる。

サーバントリーダーシップとは何か——支配型・指示型との違い

この章のゴール

サーバントリーダーシップとは何かを、支配型・指示型リーダーシップとの違いを含めて、自分の言葉で説明できる。

サーバントリーダーシップは「まず支え、それから導く」関わり

サーバントリーダーシップという言葉は、ロバート・K・グリーンリーフが1970年のエッセイ『The Servant as Leader(サーバント・アズ・リーダー)』で提唱したものです(出典:The Greenleaf Center「Robert K. Greenleaf Biography」)。その核にあるのは、「サーバントリーダーはまず奉仕する人(servant first)である」という考えです。まず相手に役立ちたいという自然な気持ちから始まり、その後の意識的な選択でリーダーを志す。これは「まずリーダーになろうとする人(leader first)」——権力欲や物質的な所有を満たそうとする——とは鋭く異なる、とグリーンリーフは述べています(出典:The Greenleaf Center「What is Servant Leadership?」)。

ここで誤解しやすいのは、「servant=奉仕」を「下手に出る弱腰」と取り違えることです。原典が言っているのは立場の上下ではなく、起点の選択です。自分の権力欲を満たすために命じるのが先か、相手のいちばん高い優先順位のニーズが満たされるよう気を配るのが先か。サーバントリーダーシップは後者を選ぶ、というだけのことです。

「先頭で命じる」が起点の支配型と、「相手が力を出せる状態を整える」が起点の支援型

従来型のリーダーシップは、ピラミッドの頂点に立つ一人が権力を蓄え、行使するモデルです。これに対してサーバントリーダーは権力を共有し、他者のニーズを第一に置き、人々が可能な限り高くパフォーマンスを発揮できるよう支援します(出典:The Greenleaf Center「What is Servant Leadership?」)。意思決定の仕方にも違いが出ます。地位の権限で服従を強制するのではなく、説得によって相手を納得させ合意を作る——この点が、従来の権威主義モデルとサーバントリーダーシップを分ける最も明確な違いの一つだとされています(出典:Larry C. Spears「Character and Servant Leadership」2010, Regent University)。

共通例で考えます。Aさんが作業で手を止めている。指示型なら「こうやって」と手順を渡し、巻き取りなら自分がやってしまう。どちらも起点は「自分が答えを出して動かす」です。支援型は起点が違います。「いま何に困ってる?」とまず聴き、Aさんが動けない原因を一緒に外しにいく。同じ場面でも、何を先にするかが逆になります。

支える=甘やかすではない——基準は下げず、妨げを外す側に回る

「支えると言っても、結局は甘やかしでは」という不安は、ここで解いておきます。サーバントリーダーが支援するのは、人々が可能な限り高くパフォーマンスを発揮できるようにであって、成果の基準を下げるためではありません。むしろ、サーバントリーダーは自分のチームに対して説明責任を持ち、メンバーのパフォーマンスにも責任を取る、と明記されています(出典:EBSCO「Servant leadership」)。相手の良い意図は前提としつつ、受け入れられない行動や成果については引き受けない——人として拒絶しないことと、基準を手放すことは別だ、というのが原典の立場です(出典:Spears 2010)。状況によって指示型と支援型をどう使い分けるかの全体像はリーダーシップの基本に譲り、本講座は「まず支援を起点に置く」スタンスに絞ります。

この章の確認(演習)

直近で自分が「やり方を指示した」または「自分が巻き取った」場面を1つ思い出してください。その場面を「支援型の起点(先に聴く・障害を外す)」に置き換えると、最初の一言や最初の一手がどう変わるかを、1文で書いてみましょう。

支援の起点で見立てる——困りごと・取り除ける障害を聴く

この章のゴール

メンバーが詰まった場面で、すぐ指示・巻き取りに走らず、「いま何に困っているか/自分が外せる障害は何か」を支援の起点として問い、見立てられる。

支援は「いきなり手を貸す」ことではなく、相手を理解することから始まる

支援型の関わりは、相手が困っていそうだからとすぐ手を出すことではありません。出発点は「聴く」です。従来リーダーはコミュニケーションや意思決定のスキルで評価されてきましたが、サーバントリーダーではそれらが、相手に真剣に耳を傾ける深いコミットメントによって補強される必要がある、とされています。サーバントリーダーはグループの意志を見極め、それを明確にする手助けをし、語られたことと、語られないことの両方を、受け止めるように聴く(出典:Spears 2010)。共感も同じ起点です。偏見を持たず、相手の視点とニーズを理解する——これがサーバントリーダーの欠かせない特性とされています(出典:EBSCO「Servant leadership」)。

具体的な行動はシンプルです。メンバーの話を遮らずに注意深く聴き、相手が話し終えてからフィードバックする(出典:EBSCO「Servant leadership」)。Aさんが手を止めているとき、すぐ正解で埋めずに「どこで詰まってる?」「自分の側で外せるものはある?」と先に聴く。この順番が、指示・巻き取りとの分かれ目になります。

リーダーが外せる障害と、相手自身が乗り越える部分を切り分ける

聴いて見立てると、詰まりの中身が見えてきます。たとえばAさんの詰まりが「判断に必要な材料がない」なら、その材料を渡すのはリーダーが外せる障害です。「他部署の返事待ち」なら、リーダーが一声かけて流れを作れます。一方で、Aさん自身が考えて乗り越えるべき部分もある。ここを切り分けるのが見立てです。なお、ここで言う「自己認識」も支えになります。自分の感情や行動を振り返り、自分の関わり方がメンバーにどう影響しているかを考える力です(出典:EBSCO「Servant leadership」)。自分がつい答えを被せていないか、という振り返りもこれに含まれます。

聴いた直後に答えを被せると、指示に戻ってしまう

つまずきは2つあります。1つは、聴くつもりが詰問になること。「なんで進んでないの?」では、相手は身構えて事実を話せません。もう1つは、「何に困ってる?」と聞いた直後に自分の答えをかぶせてしまい、結局いつもの指示に戻ることです。サーバントリーダーは、服従を強制するのではなく説得で合意を作る——つまり相手を納得させていく関わりを取ります(出典:Spears 2010)。聴いてから関わる、この順番を守るだけで、見立ての質は変わります。なお、相手の答えを問いで深く引き出す質問の型(傾聴の技法やGROW)はコーチング入門が正本です。本講座は「まず聴いて見立てるスタンス」までに絞り、技法には立ち入りません。

この章の確認(演習)

共通例のAさんに対して、最初の一言を「(すぐ正解を言わず)支援の起点で聴く問い」として1つ書いてください。そのうえで、相手の答え次第で自分が外せそうな障害を2つ挙げ、どこからがAさん自身が乗り越える部分かも一言添えてみましょう。

明日の一手を選ぶ——支援型の関わりを1つ実行する

この章のゴール

明日のチームで実行する支援型の関わり(障害を1つ取り除く・先に聴く 等)を1つ選んで実行できる。

スタンスを変えても、行動を1つ変えなければ現場は変わらない

考え方が変わっても、行動を1つも変えなければ、Aさんから見たあなたは昨日と同じです。サーバントリーダーシップは、人々の成長への関与を具体的な行動で示すものとされ、原典でも「全員のアイデアや提案に個人的な関心を持つ」「意思決定への参加を促す」といった、目に見える行動の例が挙げられています(出典:Spears 2010)。大切なのは、明日その場で出せる小さな一手に落とすことです。

そこで決めておきます。「次にメンバーの詰まりに出会ったら、指示・巻き取りの前に、1つだけ支援の一手を入れる」。一手は小さく1つで構いません。たとえば、先に「何に困ってる?」と聴く。たとえば、判断に必要な情報を1つ渡す。たとえば、他部署への確認をあなたが代わりに一声かける。どれも数分でできて、Aさんが次に進める状態を整えます。

一度で反応が薄くても、元に戻さない

つまずきは2つです。1つは、あれもこれもと支援を増やして続かなくなること。だから1つに絞ります。もう1つは、一度やって反応が薄いと「やはり指示の方が早い」と元に戻ってしまうことです。サーバントリーダーシップの特性は、多くの人に自然に備わっていることが多く、学習と実践を通じて高められるとされています(出典:Spears 2010)。一度で身につくものではなく、繰り返す中で伸びる、という前提で続けてください。

支援型の関わりは、メンバー一人ひとりの成長だけでなく、チームの土台にも効きます。サーバントリーダーシップは、メンバー間の交流を促すことでコミュニティ(信頼でつながった場)を築けるとされ(出典:EBSCO「Servant leadership」)、支え合う関わりが安心して動ける場の土台になります。その「任せて支える」が仕事を範囲を決めて渡し切る方向に向かうなら権限委譲入門へ、発言しやすい安全な場づくりを会議の行動で進めたいなら心理的安全性入門へ。本講座はスタンスと一手までで、各論はそちらに送ります。

この章の確認(演習)

共通例のAさん、または自分の実際のメンバーに対して、明日出す支援型の一手を1つだけ決めて書いてください。そのうえで、それが「やり方を指示する/自分が巻き取る」とどう違うのかを、1文で説明してみましょう。

まとめ

サーバントリーダーシップとは、引っ張り命じることを起点にせず、まず相手の障害を取り除き支えることを起点に置く関わり方です。支える=甘やかしではなく、基準は手放さずに妨げを外す側に回ること。グリーンリーフは、サーバントリーダーシップが効いているかを測る「最も難しいテスト」を、こう示しました——奉仕された人は、より健康で、賢明で、自由で、自律的になり、自らも人を支える側になっていくか(出典:The Greenleaf Center「What is Servant Leadership?」)。覚えて帰る型は「先に聴く → 外せる障害を見立てる → 明日の一手を1つ選ぶ」です。

明日の一歩は、たった1つで構いません。次にメンバーが詰まったら、指示・巻き取りの前に「いま何に困ってる?」と1回だけ先に聴いてみてください。それが、支援型リーダーへの最初の一手です。さらに、状況によって指示型と支援型をどう使い分けるかの全体像を知りたい方は、リーダーシップの基本へ進むのが次のステップです。

本講座の特典として、「先に聴く/外せる障害/明日の一手」を点検できる、支援型リーダーへの切り替えチェックをご用意しています。チェックの入手案内と、チームづくりに役立つ実務情報のお届けは、メルマガ登録からどうぞ。

よくある質問

サーバントリーダーシップとは何ですか

引っ張り命じる前に、まず相手の障害を取り除き支えることを起点に置く関わり方です。ロバート・グリーンリーフが1970年に提唱しました。

サーバントリーダーシップは部下を甘やかすことですか

違います。支えるのは相手が高くパフォーマンスを発揮できるためで、基準は下げず、メンバーの成果にも責任を取る関わりです。

何から始めればよいですか

次に詰まりに出会ったら、指示・巻き取りの前に「いま何に困ってる?」と先に聴くことです。一手は小さく1つで十分です。

支援型と指示型は使い分けるべきですか

状況による使い分けの全体像はリーダーシップの基本で扱います。本講座は、まず支援を起点に置くスタンスへの切り替えに絞っています。

監修
マナビズ編集部

マナビズ(Manabiz)編集部。AIを活用した原稿制作に加え、人間によるレビューで品質を担保しています。 編集ポリシー

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