事業承継計画を立てる出発点として、まず取り組むべきこととして最も適切なものはどれか。
解説まとめ
正解はCです。事業承継計画の出発点は、自社の現状を正しく把握する「見える化」です。株主が誰で何株持っているか、どんな資産があるか、業績や知的資産はどうかを棚卸しすることで、何をどう引き継ぐべきかが見えてきます。いきなり売却契約や全面移譲を行うのは順序が逆で、関係者に隠したまま進めるのも適切ではありません。
ポイント
承継計画の核心は「現状把握から始める」という順序にあります。自社の株式・資産・強みの全体像が見えなければ、誰に何をどう渡すかの計画は立てられません。計画の前にまず棚卸し、という出発点を押さえることがつまずきどころです。
ワンポイントアドバイス
まずは株主名簿と決算書を手元に並べ、「誰が・何を・どれだけ持っているか」を一覧にしてみましょう。あわせて、社長にしかできない仕事や独自の技術といった知的資産も書き出します。現状が見えると、次に何を計画すべきかが具体的に浮かび上がってきます。
解説詳細
なぜ「見える化」が出発点なのか
事業承継計画は、自社の現状を正確につかむことから始まります。これを見える化と呼びます。具体的には、株主構成(誰が何株を保有しているか)、会社の資産と負債、業績の推移、そして取引先との関係やノウハウといった知的資産を棚卸しして、一覧の形で把握します。なぜこれが出発点なのかといえば、現状が分からなければ、何を・誰に・どう引き継ぐべきかという計画そのものが立てられないからです。たとえば株式が分散していることに気づかなければ集約の計画は立てられませんし、自社株の評価額を知らなければ税負担の見通しも立ちません。見える化は、計画づくりの土台になります。これを述べているのが選択肢Cです。
見える化から計画へつなげる
現状を見える化すると、自社の課題が具体的に浮かび上がります。株式が分散しているなら集約の計画を、評価額が高いなら税負担への対策を、後継者候補がいないなら育成や第三者承継の検討を、というように、次に取り組むべきことが見えてきます。見える化は単なる現状確認ではなく、その後の計画の優先順位を決めるための作業です。逆に、この土台を飛ばして個別の手続きに走ると、全体像を欠いたまま場当たり的な対応になり、抜け漏れや手戻りが生じます。だからこそ、まず見える化から始めるのが定石です。
なぜ他の選択肢が誤りなのか
選択肢Aの「すぐに第三者へ売却契約を結ぶ」は、現状把握も選択肢の比較もしないまま結論に飛びついており、出発点として不適切です。売却(M&A)は検討すべき選択肢の一つにすぎず、最初に行うべきことではありません。選択肢Bの「その日のうちに経営権を全面移譲する」は、後継者の育成も関係者の合意もないまま権限を渡すもので、承継を時間をかけて進めるという基本に反します。選択肢Dの「従業員へ一切知らせず秘密で進める」は、関係者の合意形成という承継の重要要素を欠いており、かえって混乱や不信を招きます。いずれも見える化という適切な出発点を飛ばしている点で誤りです。