AIで会議準備をする講座 | マナビズ

AIで会議準備をする講座

AIで会議準備をする講座

「会議の準備、毎回ぶっつけ本番になってる」——そんな心当たりはないでしょうか。当日の朝に議題を数行メモして本番に入り、話が脱線して、結局「次回持ち越し」。AIに「アジェンダ作って」と頼んでみても、当たり障りのない一般論しか返ってこない。これはAIの力不足ではありません。問題は、AIに渡す材料と頼み方にあります。この講座では、AIを使った会議準備、とくに「AI 会議準備 アジェンダ」づくりを、手を動かしながら身につけます。

最初に、この講座が扱う範囲をはっきりさせます。本講座は「会議の“前”に、AIで準備物(アジェンダと想定問答)を作って持ち込む」という一点に絞ります。会議当日の進め方・場の回し方はファシリテーション基礎が正本です。そもそもどんな会議体を置くか、頻度や目的をどう設計するかという上流は会議体設計の考え方へ、会議が終わった後の議事録をAIで作る話はAIで議事録を作る方法へ、AIを使わない段取りそのものは会議準備の段取りへ、それぞれ送客します。当日の進行・会議体の設計・議事録には、本講座では踏み込みません。

この講座を終えると、次の3つができるようになります。AIに会議準備を頼む前に渡すべき材料(目的・参加者・決めたいこと・制約)を整理できること。時間配分つきのアジェンダ案を、AIへの指示(プロンプト)として作成できること。そして、参加者から出そうな反論・質問を洗い出した想定問答リストをAIに作らせ、自分の会議に合わせて取捨選択できることです。

覚えて帰ってほしい型は、これだけです。材料を整理する → アジェンダ案を作らせる → 想定問答を作らせて取捨選択する。 AIで会議準備を楽にする鍵は“丸投げ”ではありません。会議の材料を自分で整理してAIに渡し、たたき台を作らせ、最後は自分の現場知識で取捨選択することです。AIは準備の置き換えではなく、準備の加速役だと考えてください。

全章を通して追うのは、次の場面です。あなたが来週開く合同進捗会議——たとえば「開発と営業の定例(例)」を題材にします。遅延している案件の対応方針を決めたいが、参加者の利害が違い、放っておくと脱線しそう。この一本の糸を、AIへの材料整理、アジェンダ、想定問答と、3章で追いかけます。

この講座のポイント

  • AIに会議準備を頼む前に渡すべき材料(目的・参加者・決めたいこと・制約)を、自分の言葉で整理できる。
  • 時間配分つきのアジェンダ案を、AIへの指示(プロンプト)として作成できる。
  • 参加者から出そうな反論・質問を洗い出した想定問答リストをAIに作らせ、自分の会議に合わせて取捨選択できる。

AIに渡す会議の材料を整理する

この章のゴール

AIに会議準備を頼む前に渡すべき材料(目的・参加者・決めたいこと・制約)を、自分の言葉で整理できる。

「いい感じのアジェンダ作って」では一般論しか返らない

AIが当たり障りのない答えを返すのは、会議の文脈をひとつも渡していないからです。「来週の進捗会議のアジェンダを作って」とだけ頼めば、AIはどんな会社のどんな会議にも当てはまる一般論を返すしかありません。良い準備物を出させる鍵は、頼む前に「この会議で何を決めたいのか/誰が出るのか/どんな制約があるのか」を、自分の言葉で言語化しておくことです。材料を出すのは自分で、AIはその清書・拡張役だと考えてください。

整理する材料は、次の4点です。目的(この会議で決めたいこと・共有したいこと)、参加者(誰が出るか、各自の立場と関心)、決めたいこと(今日のゴール=終わったとき何が決まっていればよいか)、制約(持ち時間・場所・前提)。共通例で書き出すと、こうなります。

【会議の前提ブロック】(例)
・目的:遅延している案件の今後の対応方針を決める
・参加者:開発リーダー1名、営業2名、自分(進行)
・決めたいこと:納期を延ばすか、機能を削るか、増員するかの方針を1つ決める
・制約:持ち時間30分/予算は追加しない前提

このひとかたまりを、私は「前提ブロック」と呼んでいます。第2章でも第3章でも、毎回これをAIに渡すところから始めます。逆に言えば、ここが曖昧だと、後の工程すべてが一般論に流れます。よくあるつまずきは2つ。1つは文脈ゼロで「いい感じのアジェンダ作って」と頼むこと。もう1つは、目的が「進捗確認」のように漠然としていて、決めたいことが定まっていないことです。「確認する」ではなく「◯◯の方針を1つ決める」と、終わったときの状態で書くのがコツです。

ひとつ注意があります。会議の前提ブロックには、未公開の案件情報や社外秘が含まれることがあります。総務省の白書も「生成AIの利用において、個人情報や機密情報がプロンプトとして入力され、そのAIからの出力等を通じて流出してしまうリスク」を指摘しています(出典:総務省「令和6年版 情報通信白書」)。固有名詞や具体的な数字は伏せる、社内で使ってよいAIと入れてよい情報の範囲を確認する、という線は守ってください。なお、AIを使わない段取り全体(事前の資料共有や根回しなど)を見直したいときは、会議準備の段取りが土台になります。

この章の確認(演習)

自分が次に開く会議を1つ選び、目的・参加者・決めたいこと・制約の4点を、上の前提ブロックの形で書き出してみましょう。これが次章でAIに渡す材料になります。

AIで会議準備のアジェンダ案を作る

この章のゴール

時間配分つきのアジェンダ案を、AIへの指示(プロンプト)として作成できる。

アジェンダは「議題の羅列」ではなく「目的と時間の割り当て」

アジェンダを「話すことを並べたリスト」だと思っていると、会議は時間内に終わりません。良いアジェンダは、各項目に「その項目の目的(共有なのか・相談なのか・決定なのか)」と「持ち時間」を割り当てたものです。この設計を、第1章で作った前提ブロックを渡したうえでAIに頼むと、たたき台が一気に出ます。

共通例の前提ブロックを貼って、たとえばこう指示します。

(前提ブロックを貼ったうえで)
この会議のアジェンダ案を作ってください。
・全体30分、4項目以内
・各項目に「目的(共有/相談/決定のどれか)」「持ち時間(分)」「担当」を付ける
・最後に必ず「決定事項の確認」の時間を入れる
・合計が30分に収まるように調整する
表形式で出してください。

ポイントは、出力の形式まで指定することです。「項目/目的/持ち時間/担当」と枠を決めて頼むと、AIは埋めるだけになり、抜けが減ります。出てきた案は、そのまま使ってはいけません。自社の事情に合わない項目を削り、抜けている論点を足す——この最後のひと手間が、あなたの会議に合わせる工程です。たとえばAIが「全員の近況共有(10分)」を入れてきても、今日の目的に対して不要なら削り、その分を「対応方針の決定」に回します。

つまずきは2つあります。1つは、AIの出力をそのまま清書して使い、自社の事情に合わない項目が残ること。もう1つは、全項目を「決定」にしてしまい、時間が足りなくなることです。30分の会議で決定できることは、せいぜい1〜2個です。共有・相談・決定のバランスを、自分の目で見て調整してください。なお、そもそも「この会議体を毎週開くべきか」「目的や頻度をどう設計するか」という上流が気になってきたら、それは準備ではなく設計の話です。会議体設計の考え方へ進んでください。

この章の確認(演習)

第1章で書いた前提ブロックをAIに渡す指示文(プロンプト)を1つ作り、時間配分つきのアジェンダ案を出力させてください。出てきた案から、不要な項目を1つ削り、足りない論点を1つ足してみましょう。

AIで想定問答を作り、取捨選択する

この章のゴール

参加者から出そうな反論・質問を洗い出した想定問答リストをAIに作らせ、自分の会議に合わせて取捨選択できる。

会議が紛糾するのは、想定外の反論に答えられないから

アジェンダが整っても、会議が紛糾することはあります。原因の多くは、想定していなかった反論にその場で答えられず、議論が止まってしまうことです。これは、AIに先回りさせておけます。参加者の立場を伝えて、「この人たちから出そうな反論・質問と、それへの応答案」を事前に洗い出させておくのです。

共通例なら、前提ブロックに参加者の立場を足して、こう頼みます。

(前提ブロックを貼ったうえで)
この会議で、参加者から出そうな反論・質問を洗い出してください。
・営業側と開発側、それぞれの立場から出そうなものを5つずつ
・各項目に「想定される反論・質問」と「応答の方向性」を付ける
・できるだけ具体的に、立場の利害が出るように

すると、「営業側:『納期を延ばすと顧客との約束が崩れる』」「開発側:『機能を削ると品質保証が間に合わない』」といったリストが返ってきます。ここからが本番です。AIの想定は一般論を含むので、全部を抱え込んではいけません。自分の現場知識で「これは確かに出る」「これはうちでは出ない」を仕分け、当日ほんとうに出そうな3つほどに絞ります。絞った各項目に、自分なりの応答を一言メモしておけば、当日は落ち着いて進められます。

仕分けるときに、必ず守ってほしいことがあります。AIが応答案の中で挙げてくる事実や数字——「業界の平均納期は◯日」「他社では◯%」といったもの——は、鵜呑みにしないでください。生成AIには「ハルシネーション」という性質があります。これは、AIが事実に基づかない誤った内容を、もっともらしく作ってしまう現象です。総務省の白書も「生成AIは事実に基づかない誤った情報をもっともらしく生成することがあり、これをハルシネーション(幻覚)と呼ぶ」とし、「技術的な対策が検討されているものの完全に抑制できるものではない」ため、利用者は「検索を併用するなど、生成AIの出力した答えが正しいかどうかを確認することが望ましい」と述べています(出典:総務省「令和6年版 情報通信白書」)。想定問答に出てきた数字を会議で使うなら、採用する前に自分で裏を取りましょう。

つまずきは、AIが出した想定問答を全部準備しようとして手が回らなくなること、逆に「うちでは出ない」と決めつけて検証せずに削ってしまうことの両方です。準備した想定問答を当日どう場に出して合意に持っていくか——その進行そのものは、ファシリテーション基礎の領域です。本講座で作った想定問答を手元資料にして、当日の回し方はそちらで磨いてください。

この章の確認(演習)

第1章の参加者情報をもとに、AIへ想定問答リストを作らせてください。返ってきたリストから、当日「実際に出そう」と思うものを3つに絞り、それぞれに応答の一言メモを添えましょう。

まとめ

AIで会議準備を楽にする鍵は、“丸投げ”ではありませんでした。材料を整理する(目的・参加者・決めたいこと・制約)→ アジェンダ案を作らせる(時間配分つき)→ 想定問答を作らせて取捨選択する、この3工程です。AIは会議を回してくれるわけでも、あなたの代わりに判断してくれるわけでもありません。準備のたたき台を、あなたより速く出してくれるだけ。最後に自分の現場知識で取捨選択するところに、あなたの価値があります。

明日の一歩として、次に開く会議を1つ選び、目的・参加者・決めたいこと・制約の4点を書き出してみてください。それをAIに渡して、時間配分つきのアジェンダ案を1つ作らせ、不要な項目を削るところまでやってみる。それだけで、当日の手応えが変わります。準備物を持って当日どう会議を回すかはファシリテーション基礎へ、会議後の議事録づくりをAIで効率化するならAIで議事録を作る方法へ進みましょう。

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よくある質問

AIに「アジェンダ作って」と頼めば、会議準備は終わりますか

終わりません。渡す材料と取捨選択の質で準備物の良し悪しが決まります。目的・参加者・制約を整理して渡し、出力を自分で直すのが前提です。

AIが作ったアジェンダや想定問答は、そのまま使っていいですか

たたき台として使い、自分の会議に合わせて項目を取捨選択・修正します。とくに数字や固有名詞はハルシネーションがあるため、使う前に確認してください。

検討中の会議情報をAIに入力して大丈夫ですか

機密情報の入力には流出リスクがあります。固有名詞や具体的な数字は伏せ、社内で使ってよいAIと入れてよい情報の範囲を確認してから渡しましょう。

監修
マナビズ編集部

マナビズ(Manabiz)編集部。AIを活用した原稿制作に加え、人間によるレビューで品質を担保しています。 編集ポリシー

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