AIを壁打ち相手に使う講座|賛同マシンを批評相手に変え、自分の案を磨く | マナビズ

AIを壁打ち相手に使う講座|賛同マシンを批評相手に変え、自分の案を磨く

AIを壁打ち相手に使う講座|賛同マシンを批評相手に変え、自分の案を磨く

「自分の案をAIに相談したのに、返ってきたのは“いいですね!”だけ」——そんな経験はないでしょうか。せっかく壁打ちしたつもりが、ほめられて終わって、案はちっとも深まらない。これはAIの力不足ではありません。AIへの渡し方と頼み方を変えていないだけなのです。この講座では、AIを「賛同してくれる相手」から「打ち返してくれる壁」に変える、AI 壁打ち 使い方の型を、手を動かしながら身につけます。

最初に、この講座が扱う範囲をはっきりさせます。本講座は「すでに自分の中にある案・考えを、AIを壁打ち相手にして評価し、磨く」という収束の作業ひとつに絞ります。まだ案が無く、ゼロからアイデアの量を広げたいときはAIブレスト入門が正本です。AIへの問いかけ方を型として設計・再利用したいならプロンプト入門へ、AIに頼らず自分の頭で前提を疑う思考法そのものはクリティカルシンキング入門へ、案を「企画書」という文書に組み上げる作業はAIで企画書づくり入門へ、それぞれ送客します。これらの深掘りには本講座では踏み込みません。

この講座を終えると、次の3つができるようになります。AIを壁打ち相手にすると何が得られて何は得られないかを説明できること。自分の案を、AIが評価できる形(前提・狙い・評価軸)に言語化して渡せること。そして、AIから批評・反論・抜け漏れを引き出し、返ってきた指摘を取捨選択して案を一段深められることです。

覚えて帰ってほしい型は、これだけです。役割を渡す(賛同→批評)→ 評価できる形で渡す(前提・狙い・評価軸)→ 指摘を取捨選択して深める。 AIの壁打ちは、AIに案を「決めてもらう」ことではありません。賛同マシンを批評相手に変えて、自分の案を「磨く」ことです。価値は、いい返事をもらうことではなく、効く指摘を選んで案を一段深めるところにあります。

全章を通して追うのは、次の場面です。あなたが温めている業務改善案——たとえば「形骸化した定例会議のやり方を変える案」——を、AIに壁打ち相手として渡し、批評を引き出して一段深めていく。この一本の糸を、3章で追いかけます。

この講座のポイント

  • AIを壁打ち相手にすると何が得られて何は得られないか(AIが賛同しやすい癖を含む)を、自分の言葉で説明できる。
  • 自分の案を、AIが評価できる形(前提・狙い・評価軸)に言語化して渡せる。
  • AIから批評・反論・抜け漏れを引き出し、返ってきた指摘を取捨選択して、案を一段深められる。

AI 壁打ち 使い方の第一歩は「賛同マシンを批評相手に変える」こと

この章のゴール

AIを壁打ち相手にすると何が得られて何は得られないか(AIが賛同しやすい癖を含む)を、自分の言葉で説明できる。

「いいですね!」しか返らないのには理由がある

壁打ちとは、自分の案を投げて、返ってくる指摘で案を磨くことです。人間の相手なら、時間をもらう遠慮があり、いつでも頼めるわけではありません。その点、AIはいつでも・遠慮なく・観点を変えて反応を返せる相棒になります。ここが壁打ち相手としてのAIの強みです。

一方で、弱みもあります。AIは既定では、相手の言うことに肯定的に応じやすい性質があります。案を「どう思う?」とだけ聞くと、たいてい「いいですね、特にここが良いと思います」といった一般論の賛同が返ってきます。放っておくと、AIは「賛同マシン」になってしまうのです。これを「いい案だという裏づけ」と受け取ってしまうのが、最初のつまずきです。

ではどうするか。役割と頼み方を与えればいいのです。同じ業務改善案でも、「賛成意見ではなく、この案の弱点・抜け・反対意見を挙げて」と頼むと、返り方ががらりと変わります。AIは批評相手にも賛同マシンにもなる。どちらになるかは、こちらの頼み方しだいです。だから壁打ちを始める前に、「自分はいま賛同がほしいのか、批評がほしいのか」を先に決めてください。批評がほしいなら、「辛口のレビュアーとして見て」と役割を渡すところから始めます。

なお、そもそも案がまだ無く、選択肢の数を広げたい段階なら、それは壁打ち(収束)ではなく発散の作業です。その場合はAIブレストでアイデアを広げる方法へ進んでください。本講座は、すでに手元にある案を磨くことに絞ります。

この章の確認(演習)

最近あなたがAIに相談した案を1つ思い出してください。それは「賛同を求めた相談」だったでしょうか、それとも「批評を求めた壁打ち」だったでしょうか。どちらだったかを判定してみましょう。

自分の案を渡せる形に言語化する

この章のゴール

自分の案を、AIが評価できる形(前提・狙い・評価軸)に言語化して渡せる。

頭の中のままでは、AIは深く批評できない

AIは、渡された情報の範囲でしか評価できません。頭の中にある案をそのまま「定例会議を変えたい」とだけ投げても深まらないのは、AIに判断材料が足りないからです。足りないのは次の3点です。前提(どんな状況なのか)、狙い(何を達成したいのか)、評価軸(何で良し悪しを測るのか)。この3つを添えると、AIは的を絞って批評できるようになります。

共通例で考えてみましょう。「定例会議を変えたい」だけで渡すのではなく、こう添えます。前提=参加者◯名、週1回、最近は報告だけで形骸化している。狙い=意思決定のスピードを上げたい。評価軸=実行しやすさと、参加者の負担。ここまで渡すと、AIは「実行しやすさの観点では…」「参加者の負担という軸で見ると…」と、あなたの土俵に乗った批評を返せます。漠然と「総合的にどう?」と丸投げすると一般論しか返らないのは、評価軸を渡していないからです。

つまずきは2つ。1つは、自分では分かっているつもりで前提を省いてしまうこと。もう1つは、評価軸を指定せずに丸投げすることです。手順はシンプルで、①前提を1〜2文、②狙いを1文、③評価軸を2〜3個、と書き出して案に添えるだけです。この「渡す問いかけ方」を一度きりにせず、型として保存して使い回したくなったら、プロンプトを型として設計する基本が役に立ちます。

この章の確認(演習)

自分の案を1つ選び、前提・狙い・評価軸の3点を書き添えた「壁打ち用の渡し方」を1つ作ってみましょう。これが次章でAIに渡す材料になります。

批評を引き出して案を深める

この章のゴール

AIから批評・反論・抜け漏れを引き出し、返ってきた指摘を取捨選択して、案を一段深められる。

壁打ちの価値は「選んで直す」ところにある

ここが一番大事な章です。壁打ちの価値は、AIの指摘を全部受け入れることではありません。引き出した指摘の中から、自分の案に効くものを選び、案を修正することにあります。

まず、観点を増やすために頼み方を工夫します。「賛成ではなく弱点・抜け・反対意見を3つ挙げて」「あえて反対の立場から批判して」「見落としている前提はないか点検して」「別のやり方と比べると何が弱い?」——こうして役割と評価軸を渡すと、賛同ではなく批評が返ってきます。

次に、返ってきた指摘を「採用・保留・却下」の3つに仕分けます。共通例なら、AIが挙げた弱点を並べて、「これは前提が違うので却下」「これは確かに抜けていたので採用」「これは判断保留」と分けていきます。そして採用した指摘だけを案に反映して直す。これで案が一段深まります。指摘を全部正しいと思って案を振り回されるのも、逆に都合の悪い指摘を全部却下して何も変えないのも、どちらも壁打ちが機能していない状態です。

仕分けるときに必ず守ってほしいことがあります。事実関係や数字を含む指摘は、AIの出力を鵜呑みにせず、自分で確かめてください。生成AIには「ハルシネーション」という性質があるからです。これは、AIが事実に基づかない誤った内容をもっともらしく作ってしまう現象を指します。総務省の白書も「生成AIは事実に基づかない誤った情報をもっともらしく生成することがあり、これをハルシネーション(幻覚)と呼ぶ」とし、「技術的な対策が検討されているものの完全に抑制できるものではない」ため、利用者は「検索を併用するなど、生成AIの出力した答えが正しいかどうかを確認することが望ましい」と述べています(出典:総務省「令和6年版 情報通信白書」)。AIが根拠として挙げた数字や事例は、採用する前に裏を取りましょう。

もう1つ、壁打ちでは検討中の案=まだ社外に出していない情報をAIに渡すことになります。白書は「個人情報や機密情報がプロンプトとして入力され、そのAIからの出力等を通じて流出してしまうリスク」も指摘しています(出典:総務省「令和6年版 情報通信白書」)。未公開のアイデアや社外秘を安易に入力しない、社内で使ってよいAIと入れてよい情報の範囲を確認する、という線は守ってください。なお、AIに頼らず自分の頭で前提を疑い、論の筋を点検する力そのものを鍛えたいときは、クリティカルシンキングで前提を疑う考え方へ進むと土台が固まります。

この章の確認(演習)

前章で作った渡し方を使ってAIに批評を頼み、返ってきた指摘を採用・保留・却下に仕分けてみましょう。そのうえで、採用した1点を使って、自分の案を1か所だけ直してみてください。

まとめ

AIの壁打ちは、AIに案を決めてもらうことではありませんでした。役割を渡して賛同マシンを批評相手に変え → 評価できる形(前提・狙い・評価軸)で渡し → 引き出した指摘を取捨選択して案を深める、この3工程です。価値は「いい返事」ではなく、「効く指摘を選んで案を一段深める」ところにあります。

明日の一歩として、次に温めている案を1つ、前提・狙い・評価軸を添えてAIに渡し、「賛成ではなく弱点を3つ」と頼んでみてください。返ってきた指摘を仕分けて、1か所だけ直す。それだけで、案の手応えが変わります。そもそも案がまだ無い、選択肢の数を広げたいというときは、AIでアイデアを発散させる方法へ進みましょう。

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よくある質問

AIの壁打ちは、結局「いいですね!」しか返ってこないのでは

役割と評価軸を渡せば批評相手に変わります。賛同を求めるのか批評を求めるのかを先に決め、「賛成ではなく弱点を挙げて」と頼むのがコツです。

AIの指摘は全部取り入れるべきですか

いいえ。採用・保留・却下に仕分け、自分の案に効く指摘だけを採用して直します。全部受け入れても全部却下しても、案は深まりません。

壁打ちで出た事実や数字は、そのまま使っていいですか

そのままは使わないでください。生成AIにはハルシネーション(事実と違う内容をもっともらしく作ること)があるため、数字や事例は採用する前に自分で確認します。

監修
マナビズ編集部

マナビズ(Manabiz)編集部。AIを活用した原稿制作に加え、人間によるレビューで品質を担保しています。 編集ポリシー

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