「英語のメール、なんて書き出せばいいか分からない」「翻訳ツールに通したこの英語、本当にこれで合っているの?」——たまに英文メールを送る必要が出てくるたびに、辞書や過去のメールを切り貼りして1通に30分以上かけ、送ったあとも「失礼な言い方になっていないか」「意味が通じたか」が不安で、送信ボタンを押すのをためらう。そんな経験はないでしょうか。この講座は、その時間と不安を、AI 英文メール 作成の型を身につけることで大きく減らすためのものです。
最初に、この講座が扱う範囲と扱わない範囲をはっきりさせておきます。本講座は「日本語の用件から、相手・丁寧さに合った“英文”メールをAIで作り、誤訳や失礼がないか自分で点検して送るところまで」という、英語のアウトプット1点に絞ります。日本語も含めたAIメール下書きの基本の型はAIメール作成入門が正本です。汎用チャットAI・専用翻訳ツール・人のどれを選ぶかという翻訳手段の使い分けはAI翻訳活用入門へ、英文でない通常のビジネスメールの型や敬語マナーはビジネスメールの基本へ、それぞれ送客します。これらの深掘りには本講座では踏み込みません。
この講座を終えると、次の3つができるようになります。日本語で用件・相手・関係・丁寧さをAIに指定して、英文メールの下書きを作れること。出てきた英文の件名・宛名・本文・結びが英文メールの体裁に沿っているかを確認できること。そして、誤訳や固有名詞の誤り、失礼な表現がないか原文と照合して、点検・修正できること。
覚えて帰ってほしい型は、たったこれだけです。日本語で用件と相手・丁寧さを決める → AIで英文の下書きを作る → 誤訳・固有名詞・失礼を点検して送る。 英文メールは、直訳ツールに丸投げするのでも、ゼロから自力で英語をひねり出すのでもありません。英語で書く負担はAIに任せ、何を伝えるか(用件)と、出していいか(誤訳・失礼・固有名詞がないか)は人が確かめる。この共同作業だと考えてください。
全章を通して追うのは、次の場面です。海外の取引先へ「納期変更のお詫びと、新しい日程の提案」を英文メールで送りたい。この1通について、相手との関係と丁寧さを指定してAIに英文の下書きを作らせ、件名・宛名・結論・結びと、日付や社名などの固有名詞を点検して、自信を持って送る——この一本の糸を、3章で追いかけます。
この講座のポイント
- 英文メール作成を「日本語で用件を決める → AIで英文下書き → 自分で点検」の3ステップで説明でき、AIに任せる範囲と、自分が確かめる範囲を区別できる。
- 相手・関係・用件・してほしいこと・丁寧さをAIに具体的に指定して、件名・宛名・本文・結びの揃った英文メールの下書きを作成できる。
- AIが作った英文メールを原文と照合し、誤訳・固有名詞の誤り・失礼な表現がないか点検・修正して、送信できる。
AI 英文メール 作成は「下書き→点検」で進める
この章のゴール
英文メール作成を「日本語で用件を決める → AIで英文下書き → 自分で点検」の3ステップで説明でき、AIに任せる範囲と、自分が確かめる範囲を区別できる。
大変なのは「英語で書く」作業そのもの
英文メールが重く感じるのは、伝えたいことが難しいからではなく、それを「英語で書く」作業そのものが大変だからです。日本語ならすぐ書ける用件でも、英語にしようとすると手が止まります。だからこそ、英語にする部分をAIに肩代わりさせます。人がやるのは2つだけ。「何を伝えるか(用件)」を決めることと、「出していいか(誤訳・失礼・機密情報がないか)」を確かめることです。
ここで気をつけたいのが、日本語を直訳ツールに通すだけで済ませてしまうことです。直訳された英語は、丁寧さの度合いや英文メールの体裁が崩れやすく、相手にぶっきらぼうに見えたり、逆に不自然に硬くなったりします。相手や関係に合わせて整えるところまで含めて、はじめて安心して送れる英文になります。
共通例で2つのやり方を比べる
納期変更のお詫びを例に考えます。一方は、いきなり英語で「I'm sorry...」と書き出そうとして、丁寧な言い回しが浮かばず固まってしまう人。もう一方は、まず日本語で「誰に・どんな関係で・何を伝え・どうしてほしいか・どのくらい丁寧に」を整理してから、それをAIに渡して英文化を頼む人です。後者のほうが速く、しかも相手に合った英文になります。
手順は3つです。①日本語で「誰に・どんな関係で・何を伝え・どうしてほしいか・どのくらい丁寧に」を決める、②それをAIに渡して英文の下書きを作らせる、③出てきた英文を点検する。②の具体的な頼み方は第2章、③の点検は第3章で扱います。つまずきやすいのは、日本語で用件を整理せずいきなり英語で書こうとすること、そして直訳ツールの結果をそのまま送ってしまうことです。なお、日本語メールも含めたAI下書きの基本の型をまず押さえたい方は、AIメール作成入門から始めると土台ができます。
この章の確認(演習)
自分が最近送った、またはこれから送る予定の英文メールを1件思い浮かべ、「日本語で決めること(誰に・関係・用件・してほしいこと・丁寧さ)」を箇条書きにしてみましょう。これが次章でAIに渡す材料になります。
AIに英文メールを作らせる(相手・関係・丁寧さの指定)
この章のゴール
相手・関係・用件・してほしいこと・丁寧さをAIに具体的に指定して、件名・宛名・本文・結びの揃った英文メールの下書きを作成できる。
的確な英文は「指示の具体度」で決まる
AIに「英訳して」とだけ頼むと、直訳に近い、丁寧さのちぐはぐな英文が返ってきます。良い英文下書きを得るコツは、指示を具体的にすることです。渡す材料は4つ。相手は誰か(取引先か社内か)、どんな関係か(初対面か継続取引か)、何を伝え・どうしてほしいか、そしてどのくらい丁寧にしたいか。これらは日本語で伝えて大丈夫です。英語にするのはAIの仕事だからです。
英文メールには、いくつかの決まった体裁があります。件名、宛名(初対面や格式が要る相手には「Dear ~」、距離が近い相手には「Hi ~」のように使い分けます・例)、結論を先に書く本文、そして結び(「Best regards」など・例)です。AIに頼むときは、この形で出してもらうよう伝えると、整った下書きが手に入ります。
共通例で指示文を組み立てる
納期変更のお詫びと新日程の提案を、AIにこう頼みます。「継続して取引している海外の取引先に、納期が遅れることをお詫びし、新しい納期を提案して了承をお願いする英文メールを作ってください。やや丁寧めのトーンで、件名・宛名・本文・結びの形でお願いします」。相手・関係・用件・依頼・丁寧さがすべて入っているのが分かります。
出てきた下書きが想定と違ったら、日本語で指示し直します。硬すぎれば「もう少し丁寧に、でも回りくどくならないように」、長すぎれば「要点を3文くらいに短く」と伝えれば、AIが調整してくれます。つまずきは2つ。「英訳して」とだけ頼んで直訳になること、そして相手との関係を伝えず、丁寧さがちぐはぐになることです。どの翻訳手段(汎用AIか専用の翻訳ツールか)を使うか迷う場合はAI翻訳活用入門へ、英文ではない日本語メールの型そのものを整えたい場合はビジネスメールの基本へ進んでください。
この章の確認(演習)
共通例の用件(納期変更のお詫びと新日程の提案)で、相手・関係・丁寧さを自分で設定し、AIへの指示文を1つ書き出してみましょう。指示文は日本語で構いません。
英文を点検して送る(誤訳・固有名詞・失礼の確認)
この章のゴール
AIが作った英文メールを原文と照合し、誤訳・固有名詞の誤り・失礼な表現がないか点検・修正して、送信できる。
流暢な英文ほど、そのまま送らない
AIが出す英文はとても流暢で、つい安心してしまいます。でも、ここが一番大事なところです。AIには「ハルシネーション」という性質があります。これは、AIが事実に基づかない誤った内容を、もっともらしく作ってしまう現象のことです。総務省の白書も「生成AIは事実に基づかない誤った情報をもっともらしく生成することがあり、これをハルシネーション(幻覚)と呼ぶ」とし、「技術的な対策が検討されているものの完全に抑制できるものではない」ため、利用者が「出力した答えが正しいかどうかを確認することが望ましい」と述べています(出典:総務省「令和6年版 情報通信白書」)。英文メールでは、これが日付・社名・人名・数字の取り違えとして現れやすいので、注意が必要です。
送る前に確認するのは3つです。①伝えたい用件が抜けず、正しく入っているか。②固有名詞・日付・数字が原文どおりか。③相手に失礼・横柄に見えないか。流暢さに安心せず、特に②は元の情報と1つずつ突き合わせてください。
共通例で点検する
納期変更のお詫びメールなら、まず日本語の用件と英文を見比べ、「お詫び」「新しい納期の提案」「了承のお願い」が抜けていないかを確認します。次に、新しい納期の日付、相手の社名、担当者名を、元の情報と1つずつ照合します。ここが一番ハルシネーションの出やすいところです。最後に、結びや依頼の表現がそっけなくないか、丁寧さが相手との関係に合っているかを読み返します。意味が不安な箇所は、AIに「この英語は丁寧ですか」「こういう意味で合っていますか」と日本語で聞き直すと安心です。
つまずきで特に気をつけたいのが2つ。流暢さに安心して固有名詞を確認しないこと、そして、機密情報や個人情報をそのままAIに入力してしまうことです。白書も「個人情報や機密情報がプロンプトとして入力され、そのAIからの出力等を通じて流出してしまうリスク」を指摘しています(出典:総務省「令和6年版 情報通信白書」)。無料で誰でも使えるAIに、社外秘の取引条件や個人情報を入れない、社内のルールを確認する、という線は必ず守ってください。どこまでをAIに入れてよいかの線引きをきちんと知りたい方は、AIリテラシーと情報セキュリティへ進みましょう。
この章の確認(演習)
共通例の英文メール(例)を1通用意し、固有名詞・日付・依頼表現について点検チェックを1セット行ってみましょう。原文と食い違っている箇所や、そっけなく見える表現を書き出し、直す方針までメモしてください。
まとめ
英文メールは、直訳ツールへの丸投げでも、ゼロからの自力作文でもありません。日本語で用件と相手・丁寧さを決める(人)→ AIで英文の下書きを作る(AI)→ 誤訳・固有名詞・失礼を点検して送る(人) の3ステップでした。英語で書く負担はAIに任せ、何を伝えるか・出していいかは人が確かめる。これが安心して英文メールを送るコツです。
明日の一歩として、次に英文メールを送るときは、いきなり英語で書かず「日本語で決める → AIで英文化 → 固有名詞と丁寧さを点検」の順でやってみてください。一度この型を通すと、英文メール1通にかかる時間と不安が驚くほど軽くなります。日本語メールも含めたAI下書きの基本をもっと知りたいときは、AIメール作成入門へ進みましょう。
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よくある質問
AIが作った英文メールは、そのまま送っていいですか
そのままはおすすめしません。用件・固有名詞・丁寧さを人が点検してから送ります。特に日付や社名は、ハルシネーション(AIの事実誤り)で取り違えが起きやすいので、必ず原文と照合してください。
英語が苦手でも使えますか
使えます。AIへの指示は日本語で構いません。英語で書く負担はAIに任せ、人は「何を伝えるか」と「出していいか」を確かめる役に回ります。だからこそ、英語が得意でない人ほど効果を感じやすい型です。
直訳ツールに通すだけではダメですか
直訳された英語は、丁寧さの度合いや英文メールの体裁が崩れやすく、相手にぶっきらぼうに見えることがあります。相手・関係・丁寧さを指定し、固有名詞と礼儀の点検まで含めて、はじめて安心して送れます。