「今週もメルマガ出さなきゃ」と思いながら、ネタが浮かばず、書き出しで手が止まる——。メルマガ配信の担当になると、毎週のように訪れるこの感覚に覚えはありませんか。AI メルマガ作成と聞いて、生成AIに「メルマガ書いて」と打ってみたものの、返ってきたのは“それっぽいけど使えない”当たり障りのない原稿。結局自分で書き直して、配信が遅れる。問題は AI の出来が悪いからではなく、実は「丸投げ」という頼み方のほうにあるのかもしれません。
最初に、この講座が扱う範囲と扱わない範囲をはっきりさせておきます。本講座は「生成AIを使って、不特定多数へ一斉配信するメルマガ“1通の原稿”(件名と本文の下書き)を作り、配信前に人が確かめて整える」ことに一点集中します。誰に・いつ・何回送るか、開封やクリックをどう上げるかといった配信の“設計・改善”はメールマーケティング入門が正本です。1対1のビジネスメール1通をAIで作る型はAIメール作成入門へ、生成AI(ChatGPTなど)そのものの起動やプロンプトの基本はChatGPT入門へ、それぞれ送客します。これらの深掘りには本講座では踏み込みません。
この講座を終えると、次の3つができるようになります。メルマガ1通づくりを「ネタを決める→件名・本文の下書きをAIで作る→人が確かめて整える」の3ステップに分けて説明できること。AIにメルマガ原稿を作らせる指示(読者・目的・伝えたい1つ・トーン)を具体的に書けること。そして、AIが出した件名・本文を確認して整え、配信できるメルマガ原稿を1本作れることです。
全章を通して追うのは、次のような場面です。今週、自社の新サービスを告知するメルマガを1通出すことになったとします(架空の例)。このテーマから、読者・目的・伝えたい1点をAIに指定して件名案と本文の下書きを作らせ、事実と配信停止の連絡先を確かめて、配信できる1本に仕上げる——この一本の糸を、全章で追いかけます。
この講座のポイント
- メルマガ1通づくりを「ネタを決める→件名・本文の下書きをAIで作る→人が確かめて整える」の3ステップに分けて、自分の言葉で説明できる。
- AIにメルマガ原稿を作らせる指示(読者・目的・伝えたい1つ・トーン)を具体的に書ける。
- AIが出した件名・本文を確認して整え、配信できるメルマガ原稿を1本作れる。
AI メルマガ作成は「3ステップ」に分けると失敗しない
この章のゴール
メルマガ1通づくりを「ネタを決める→件名・本文の下書きをAIで作る→人が確かめて整える」の3ステップに分けて、自分の言葉で説明できる。
「メルマガ書いて」の丸投げが、当たり障りのない原稿を返す理由
まず、なぜ丸投げがうまくいかないのかを押さえます。共通例の「新サービス告知メルマガ」で、AIに「新サービスのメルマガ書いて」とだけ打ったとします。返ってくるのは、たいてい「いつも当社をご愛顧いただきありがとうございます。このたび新サービスを開始しました。ぜひご利用ください」といった、どこの会社でも使えそうな原稿です。読んでも心は動かないし、誰に何をしてほしいのかも伝わりません。
これは AI の性能が低いからではありません。「誰に、何を、どうしてほしいか」を伝えていないので、AIは“最大公約数の無難な文章”を返すしかなかったのです。伝えるべきことを人が決めて渡せば、AIは見違える原稿を作ります。AI メルマガ作成でつまずく原因の多くは、AIではなく頼み方の側にあります。
メルマガ作成は「人が決める・AIが形にする・人が確かめる」の共同作業
そこで、メルマガ1通づくりを3つのステップに分けて考えます。第一に、ネタを決める。何を伝えるメルマガなのか(テーマ)と、読者にどうしてほしいのか(目的)を人が決めます。第二に、件名・本文の下書きをAIで作る。決めた中身をもとに、件名案と本文の文章を“形にする”のはAIの得意分野です。第三に、人が確かめて整える。AIの下書きをそのまま配信せず、事実が正しいか、一斉配信として失礼がないかを人が確認して仕上げます。
大事なのは役割分担です。「何を伝えるか」は人が決め、「どう文章にするか」はAIに任せ、「配信していいか」は人が確かめる。覚えて帰る型として、「ネタを決める → 件名・本文の下書きをAIで作る → 人が確かめて整える」と三つ並べて覚えてください。書く手間はAIに渡し、伝えることと確かめることは人がやる。これがAIでメルマガを書くということです。
AIに向かう前に、ネタと目的を1行ずつ決めておく
3ステップのうち、いちばん飛ばされがちなのが最初の「ネタを決める」です。AIに向かう前に、たった2行でいいので先に書き出しておきます。1行目はネタ(テーマ)——今回なら「新サービスの告知」。2行目は目的(読者にどうしてほしいか)——今回なら「新サービスの無料体験に申し込んでほしい」。この2行があるだけで、AIへの指示は驚くほど具体的になります。
逆に、ここを決めずにAIの出力をぼんやり待つと、第2章で見る「具体的な指示文」が書けず、また丸投げに逆戻りしてしまいます。なお、そもそも「今週は誰に・どんなテーマで・どれくらいの頻度で送ると成果が出るのか」という配信そのものの設計は、本講座の範囲ではありません。配信を“施策”として組み立てる考え方はメールマーケティング入門が正本ですので、そちらにお任せします。本講座は、テーマと目的が決まった後の「その1通の原稿をAIで形にする」作業に絞ります。
この章の確認(演習)
あなたが次に出すメルマガのテーマを1つ選んでください。そのうえで、「読者は誰か」と「読者にどうしてほしいか(目的)」を、それぞれ1行で書き出しましょう。たとえば「読者:既存のお客さま」「目的:新サービスの無料体験に申し込んでほしい」のように、短くて構いません。この2行が、次の章で書く指示文の材料になります。
AIへの指示文を「読者・目的・伝えたい1つ・トーン」で書く
この章のゴール
AIにメルマガ原稿を作らせる指示(読者・目的・伝えたい1つ・トーン)を具体的に書ける。
原稿の質は、指示文(プロンプト)の具体性で決まる
第1章で、丸投げが当たり障りのない原稿を返すことを見ました。では、何を変えれば原稿は良くなるのか。答えは、AIへの指示文(プロンプト)の具体性です。AIは、あなたが渡した言葉を手がかりに文章を組み立てます。手がかりが「メルマガ書いて」だけなら無難な原稿しか出せませんが、「誰に・何のために・何を・どんな調子で」が渡されていれば、AIはその枠の中で具体的な原稿を作れます。
ここで朗報があります。良い指示文に、特別な文章力は要りません。決まった4つの要素を埋めるだけです。難しく考えず、第1章で書き出した2行(ネタと目的)を出発点に、あと2つを足していきましょう。
メルマガの指示に最低限入れる4点=読者・目的・伝えたい1つ・トーン
メルマガ原稿の指示に最低限入れたいのは、次の4点です。ひとつめは読者——誰に向けた一斉配信か。「みんな」ではなく「20〜40代の既存顧客」のように具体的に絞ります。ふたつめは目的——読んでどうしてほしいか。「新サービスの無料体験に申し込んでほしい」です。みっつめは伝えたい1つ——1通で伝えるメッセージを1つに絞ります。あれもこれもと詰め込むと、結局何も伝わりません。今回なら「今なら初月無料」の1点です。よっつめはトーン——「やわらかく」「丁寧に」など、文章の調子です。
なぜ「伝えたい1つ」に絞るのか。メルマガは1通=1メッセージが基本だからです。全機能・料金・導入事例・キャンペーンを1通に盛り込むと、読者はどこを見ればいいか分からず読み飛ばします。いちばん動いてほしい行動(無料体験の申し込み)に直結する1点だけを主役にし、残りはリンク先に譲りましょう。読者像を「みんな」のままにしたり、伝えたいことを盛り込みすぎたりするのが、ここでの二大つまずきです。
「件名案を複数」「本文は◯字程度」と出力の形も指定する
4点を決めたら、最後に出力の形も指定すると、受け取った後の作業がぐっと楽になります。たとえば「件名案を3つ出して」と頼めば、複数の中から選べます。「本文は(例)300字程度で」と長さの目安を添えれば、長すぎる原稿を削る手間が減ります。
4点と出力の形をつないだ指示文の例を見てみましょう。「20〜40代の既存顧客向け(読者)に、新サービスの無料体験に申し込んでほしい(目的)。伝えたいのは“今なら初月無料”の1点(伝えたい1つ)。やわらかいトーンで、件名案を3つと本文(例:300字程度)を出して(出力の形)」。第1章の「メルマガ書いて」とは別物の、具体的な指示になっているのが分かるはずです。なお、件名の最適な文字数や本文の最適な長さといった“正解の数値”は、信頼できる形では一概に言えないため、ここでの字数はあくまで指示の書き方の一例です。生成AIそのものの起動方法やプロンプトの基本をもっと知りたい場合はChatGPT入門へ、1対1のビジネスメールをAIで作る型はAIメール作成入門へ進んでください。
この章の確認(演習)
第1章で選んだテーマで、読者・目的・伝えたい1つ・トーンの4点と、出力の形(件名◯案・本文◯字程度)を盛り込んだAIへの指示文を、1つ書き上げてください。書けたら、4点がすべて1文に入っているかを指差し確認しましょう。「読者」が「みんな」になっていないか、「伝えたい1つ」が本当に1つに絞れているかが、特にチェックすべきポイントです。
AIの原稿を確かめて、配信できる1本に整える
この章のゴール
AIが出した件名・本文を確認して整え、配信できるメルマガ原稿を1本作れる。
AIの下書きは「そのまま配信」せず、人が確かめてから出す
第2章の指示文で、AIが件名案と本文の下書きを出してくれました。では、これをそのまま配信していいでしょうか。答えは、いいえ、です。AIが作るのは“下書き”であって、“配信できる原稿”ではありません。ここから人が確かめて整えて、初めて配信できる1本になります。
メルマガは1対1のメールと違い、一度送ると不特定多数の受信者に同時に届きます。間違いがあっても個別に取り消せません。だからこそ、配信前の確認が1対1のメール以上に重要になります。確認すべきは、大きく分けて「事実」と「一斉配信ならではの体裁」の2方向です。
事実を確かめる——AIは事実と違う内容をもっともらしく作ることがある
まず事実の確認です。ここを軽く見てはいけません。生成AIは、事実に基づかない誤った情報をもっともらしく生成することがあり、これは「ハルシネーション(幻覚)」と呼ばれます。技術的な対策は検討されているものの完全には抑えられないため、利用する際は、検索を併用するなどして、出力が正しいかどうかを人が確認することが望ましいとされています(出典:総務省「令和6年版 情報通信白書」生成AIが抱える課題)。
具体的には、AIの本文に書かれたサービス名・価格・日付・URL・特典の内容が、社内の正しい情報と一致しているかを1つずつ突き合わせます。AIは「初月無料」を「初月半額」と書き換えたり、存在しない特典を“それっぽく”足したりすることがあります。見た目が自然なほど見逃しやすいので、雰囲気で納得せず、固有名詞と数字を正しい資料と照合してください。確認できないものは本文から削るか、正しい情報に直します。
一斉配信ならではの体裁——呼びかけ・配信停止・件名と本文の整合
事実を確かめたら、一斉配信ならではの体裁を整えます。確認したいのは次の点です。第一に、呼びかけ。AIは1対1の宛名(「○○様」)を前提に書くことがありますが、メルマガは不特定多数への語りかけです。読者全体に向けた自然な呼びかけになっているか直します。
第二に、配信停止と送信者の表示です。広告宣伝メールを送る場合、同意を得て送るときでも、送信者には法律で表示が義務づけられています。具体的には、メール本文に送信者の氏名または名称、受信拒否(配信停止)の通知を受けるためのメールアドレスまたはURL、そして受信拒否の通知ができる旨の表示などが必要です(出典:迷惑メール相談センター/総務省・消費者庁「特定電子メール法」)。また、配信停止の通知を受けた後は、その人への送信は禁止されます(同)。AIの下書きにはこれらが抜けがちなので、配信停止の連絡先と送信者表示が入っているかを必ず確認し、抜けていれば加えます。手続きの正確なやり方は、お使いのメール配信サービスや社内の決まりに従ってください。
第三に、件名と本文の整合です。AIが出した件名案から1つ選び、その件名が本文の中身と食い違っていないかを見ます。「今なら初月無料」を件名でうたうなら、本文でもその1点が主役になっているはずです。件名と本文がそろって初めて、配信できる1本になります。
この章の確認(演習)
第2章の指示文でAIに出させた件名・本文(架空の例で構いません)を、次の4点でチェックして、配信できる原稿1本に整えてください。①事実(サービス名・価格・日付・URL・特典)を正しい情報と照合したか。②不特定多数への呼びかけになっているか。③配信停止の連絡先と送信者の表示が入っているか。④選んだ件名と本文の中身が食い違っていないか。直した箇所を3行でメモすると、次回の確認が速くなります。
まとめ
AIでメルマガを書くとは、AIに丸投げすることではありません。「ネタを決める→件名・本文の下書きをAIで作る→人が確かめて整える」という3ステップの共同作業です。何を伝えるか(ネタ・目的・伝えたい1点)は人が決め、それを件名と本文に形にするのはAIに任せ、配信していいかを人が確かめる。この役割分担が、本講座の骨格です。覚えて帰る型は、これだけです。「ネタを決める → 件名・本文の下書きをAIで作る → 人が確かめて整える」。
明日、メルマガを出すことになったら、まずネタと目的を2行で書き出してください。次に、読者・目的・伝えたい1つ・トーンの4点を盛り込んだ指示文を1つ書いてからAIに向かう。そして、出てきた下書きを、事実・呼びかけ・配信停止の表示・件名整合の4点で確かめてから配信する。この流れを習慣にするだけで、「それっぽいけど使えない原稿」から「配信できる1本」へと、確実に近づけます。
仕上げた原稿を、今度は「誰に・いつ・どの頻度で・どう改善しながら配るか」まで考えたくなったら、それは配信を“施策”として設計する次のステップです。その先はメールマーケティング入門へ進んでください。1通の原稿をAIで作れるようになったあなたなら、配信の設計にもすんなり入っていけるはずです。
メルマガ原稿づくりの型プロンプト(読者・目的・伝えたい1つ・トーンの型)と、配信前チェックリスト(事実・呼びかけ・配信停止・件名整合)を、無料会員登録でダウンロードできます。 次にメルマガを書くとき、この型に当てはめて指示文を作り、チェックリストで確かめてから配信する——その一連の流れを1枚にまとめました。無料会員登録いただいた方にお届けします。
よくある質問
AIが書いたメルマガをそのまま配信しても大丈夫ですか?
おすすめしません。AIは事実と違う内容をもっともらしく出すことがあるため、サービス名・価格・日付などを正しい情報と照らし、配信停止の表示も確かめてから配信してください。
AIに「メルマガ書いて」と打っても良い原稿が出ないのはなぜですか?
読者・目的・伝えたい1点が渡っていないため、AIが無難な最大公約数の文章しか作れないからです。4点を入れた指示文に直すと、具体的な原稿になります。
メルマガに必ず入れないといけない表示はありますか?
広告宣伝メールでは送信者の氏名・名称、配信停止(受信拒否)の連絡先、受信拒否ができる旨の表示などが法律で義務づけられています(出典:総務省・消費者庁「特定電子メール法」)。
1対1のビジネスメールとメルマガはAIの使い方が違いますか?
違います。メルマガは不特定多数への一斉配信で配信停止の配慮が要ります。1対1のメールをAIで作る型はAIメール作成入門が正本です。