三点見積もり 楽観 悲観 最頻|資料作成の時間を3つの数字で答える手順
公開 2026.11.02
「この資料、何時間でできる?」と聞かれて、とっさに「4時間です」と一点で答えると、詰まった日に外れて気まずくなります。三点見積もり(楽観・最頻・悲観の3つの数字)は、その場で「2〜10時間、約束するなら約6時間です」と答えるための方法です。
この記事は、資料作成1件を例に、3つの数字を出す→計算する→前提を添えて約束する→終わったら直す、の順で進めます。計算例の数字は編集部が設定した架空の例で、実際の作業時間の調査結果ではありません。
この記事の要点
- 三点見積もりは、1つの作業を楽観値・最頻(最可能)値・悲観値の3つの数字で見積もる方法。
- 期待値は (楽観値+最頻値×4+悲観値)÷6。2・4・10時間の例では約4.67時間で、単純平均の約5.33時間とは違う。
- 上司に約束するのは期待値そのものではなく、期待値に標準偏差1つ分を足した約6時間のように少し長めの時間(編集部の置き方。確率の保証ではない)。
- 前提を1行添え、終わったら実績と3つの数字を見比べて次回の数字を1回だけ直す。
更新日: 2026年11月2日
所要時間は「2・4・10時間」のように3つの数字で答え、約束はその平均より少し長めにする
結論です。一点で答えず、3つの数字で幅を示し、約束する時間は計算で出した期待値より少し長めに置きます。
三点見積もりとは、1つの作業を楽観値・最頻(最可能)値・悲観値の3つの数字で見積もる方法のことです。国土交通省の委託事業教材(海洋開発ビジネス概論 改訂第2版、2022年3月)は、一つの数字で見積る方法を1点見積り、三つの数字で見積る方法を3点見積りと呼んでいます。この教材での3つの数字の呼び名は「楽観値・最可能値・悲観値」で、この記事では「最頻(最可能)値」と併記します。
出典は開発・海洋開発の文脈の説明です。事務作業の資料作成にどう当てはめるかは、この記事の編集部の提案として書き分けます。
手順は5つです。
- 3つの数字を出す(いつも通り・うまくいく・詰まる)
- 式で期待値を出す
- 前提を1行足す
- 「約束する時間」を決めて伝える
- 終わったら実績と見比べて直す
所要時間の見積りの前後(逆算や順番の組み立て)は段取り 苦手 克服で扱っています。ここでは「何時間かかるか」を答える部分だけに絞ります。
楽観・最頻・悲観は「うまくいった日・いつも通り・詰まった日」の時間で決める
結論です。3つの数字は、頭で作らず、過去の自分の同じような作業の時間から拾います。
この決め方は、上の教材の定義を事務作業に引き直した編集部の提案です。
| 数字 | 資料作成での決め方 | 資料作成の例(架空) |
|---|---|---|
| 楽観値 | 材料がそろっていて、うまく進んだ日の時間 | 2時間 |
| 最頻(最可能)値 | いつも通りに進んだとき、一番多かった時間 | 4時間 |
| 悲観値 | 差し戻し・他人待ち・材料不足で詰まった日の時間 | 10時間 |
過去の記録が無い初回は、先輩に「前回の似た資料はどのくらいかかりましたか」と聞いて数字を借りるのが現実的です。手元のタスクの大きさを見積もる話はタスク管理 できない 新人にもあります。
2・4・10時間なら期待値は約4.67時間で、単純平均の約5.33時間とは違う
結論です。2・4・10時間を式に入れると期待値は約4.67時間になり、3つを足して割る単純平均(約5.33時間)より小さくなります。
教材が示す式は、平均値=(楽観値+最可能値×4+悲観値)÷6です。最も起こりやすい最頻値に重みを置くため、悲観値が大きくても平均ほど引っ張られません。標準偏差は(悲観値−楽観値)÷6で、教材自身が「簡易的な計算式」と書いています。
以下は編集部が設定した架空の例の計算です(算出値は編集部算出で、公表値ではありません)。
| 項目 | 式 | 結果(編集部算出) |
|---|---|---|
| 楽観値 | 入力 | 2時間 |
| 最頻(最可能)値 | 入力 | 4時間 |
| 悲観値 | 入力 | 10時間 |
| 期待値 | (2+4×4+10)÷6 | 約4.67時間 |
| 単純平均(比較用) | (2+4+10)÷3 | 約5.33時間 |
| 標準偏差(簡易式) | (10−2)÷6 | 約1.33時間 |
単純平均は比較のために置いた編集部の計算で、出典の定義ではありません。自分の作業で使うときは、表の2・4・10を自分の3つの数字に差し替えてください。標準偏差は「ばらつきの大きさの目安」として使い、「この時間内に終わる確率」を保証する数字としては読みません。
上司には期待値ではなく、前提つきで「約6時間」のように少し長めの時間を約束する
結論です。期待値(約4.67時間)は「真ん中の見込み」で、そのまま約束にすると、詰まった日に超えやすくなります。約束は少し長めに置きます。
教材も、1点で示す場合は作業のバラツキが大きいほど大きなバッファが必要になると述べています。ここから、編集部の置き方として「期待値に標準偏差1つ分を足す」を提案します。例では約4.67+約1.33で約6時間です(編集部算出。確率の保証ではなく、置き方の一例です)。
注意: 期待値の約4.67時間をそのまま約束しない。悲観値の10時間だけを伝えて「最悪でもこれだけかかります」と逃げるのも避ける。
| 避けたい伝え方 | こうすればOK |
|---|---|
| 「4時間でできます」(一点で言い切る) | 「いつも通りなら4時間、詰まると10時間です。約6時間でお約束します」 |
| 「早ければ2時間、遅ければ10時間です」(幅だけで終わる) | 「幅は2〜10時間で、約束は約6時間です。前提は〇〇です」 |
| 「たぶん大丈夫です」(根拠なし) | 「前回の似た資料が4時間でした。差し戻しが入ると10時間になります」 |
フレーズ例は編集部作成の例(架空)です。
- 「約6時間でお約束します。ただし、△△さんの確認待ちが1日以内に終わる前提です」
- 「材料が先にそろえば短く、そろわなければ長くなります。今日の夕方までにそろうか教えてもらえますか」
約束した時間が他の仕事と重なって決められないときは、優先順位 つけられない 新人の判断基準で何を先にやるかを決めてから伝えます。
前提を1行書くと、悲観値の理由が相手に伝わり、経験回数ごとの置き方も決まる
結論です。数字と一緒に前提を1行書くと、相手は「どの条件の楽観・悲観か」を理解できます。教材とは別の資料ですが、IPA(情報処理推進機構)の見積り解説書(2005年4月刊の初版)も、見積りの根拠を明確にすること、不確実な要素を洗い出してぶれ幅を合意することを挙げています。2005年刊でソフトウェア開発の説明なので、事務作業への援用は編集部の提案です。
前提の書き方は「(悲観値の原因)が(条件)なら、(数字)です」の形が使えます。例(架空):「他部署からの数字が今日中に届く前提です。届かないと10時間になります」。
次の表は編集部の提案で、職場のルールがあればそちらを優先してください。自分の行を引いてください。
| 作業の経験回数 | 悲観値の原因 | 悲観値の考え方 | 約束の置き方 |
|---|---|---|---|
| 初回 | 他人待ち | 相手の返事が遅れた場合を入れ、先輩に聞いて数字を借りる | 期待値より長めに置き、待ち条件を前提に書く |
| 初回 | 材料不足 | 材料が全くそろわない場合を悲観値にする | 材料がそろう日を先に確認し、それ以降で約束する |
| 数回目 | 差し戻し | 前回の差し戻し回数を数えて悲観値にする | 差し戻し1回を含めた時間を約束する |
| 慣れている | 他人待ち | 待ちが発生した直近の実績を悲観値にする | 待ちの有無で約束を分け、一点でもよい |
終わったら実績と3値を見比べ、次回の3値を1回だけ直す
結論です。作業が終わったら、実績が3つの数字のどこに入ったかを見比べ、次回の数字を1回だけ直します。
IPAの解説書は、終了後に実績との差を分析して、見積り方法そのものを評価することを挙げています(2005年刊・開発の説明。事務への適用は編集部の提案)。評価の対象は自分ではなく、見積りの方法です。
- 実績を3つの数字と並べる(楽観値より短い・最頻値の近く・悲観値より長い、のどこか)
- 外れた理由を1行で書く(例:確認待ちが想定より長かった)
- 次回の3つの数字のうち、理由に関係する1つだけを直す
- 前提の1行を、理由を踏まえて書き換える
毎回すべてを直すと、どの数字が効いているか分からなくなります。1回に1箇所だけ直してください。
三点見積もりは万能ではない。複数作業の合算や、同じ作業を何度もやる場面では扱いを変える
結論です。三点見積もりは、1つの作業が初めて・不確実なときに向いた方法で、合算や仕様変更には注意が要ります。
教材は、3点見積りは複数作業が絡むと扱いが複雑になり、通常のプロジェクトでは1点見積りを使う場合が多いと述べています。数時間の作業をいくつも足し合わせて約束を作ると、ずれがそのまま積み上がるので、作業ごとに前提を確認してください。IPAの解説書は、仕様変更が頻繁に発生すると見積りの前提が変わり続けることも課題に挙げています。前提が変わったら、数字を作り直して伝え直します。
開発の計画では、PERT図などの別の手法や、確度の考え方もあります。この記事の範囲は、事務・資料作成1件を答えるところまでです。慣れた作業は一点で答えて構いません。
CTA: 仕事の段取りと時間の使い方を体系的に身につけたい人は、マナビズの無料講座「業務の段取り・計画」「タスク・時間管理」から始められます(無料会員登録)。
参照した一次情報(取得日: 2026年11月2日)
- 国土交通省(委託事業教材)・海洋開発ビジネス概論 改訂第2版(2022年3月)第5章 5.4(開発・海洋開発の文脈の教材): https://www.mlit.go.jp/common/001235501.pdf
- 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)SEC・ITユーザとベンダのための定量的見積りの勧め(2005年4月刊、ソフトウェア開発の文脈): https://www.ipa.go.jp/archive/publish/qv6pgp0000000wvg-att/000005104.pdf
計算例の数字(2・4・10時間)と会話例・フレーズは編集部作成の例(架空)です。期待値・単純平均・標準偏差・約6時間は編集部算出で、公表値ではありません。
よくある質問
最頻値と最可能値は同じ意味ですか?
この記事では同じ意味として併記しています。参照した国土交通省の委託事業教材(2022年3月改訂)では「最可能値」と書かれており、「最頻値」と同義に扱うのは編集部の整理です。資料作成では「いつも通りに進んだときの時間」と考えると使えます。
3つの平均ではだめですか?
だめではありませんが、結果が変わります。2・4・10時間の編集部設定の架空例では、単純平均は約5.33時間、式(楽観値+最頻値×4+悲観値)÷6の期待値は約4.67時間です(編集部算出)。いつも通りの時間を重く見るのが期待値の考え方です。
悲観値はどこまで悪く見ればいいですか?
極端な最悪を想定する必要はありません。IPAの見積り解説書(2005年刊・ソフトウェア開発の説明)は、不確実な要素を洗い出し、ぶれ幅を合意することを挙げています。事務作業では、過去に実際に詰まった日の時間を悲観値にし、上司とぶれ幅を確認するのが編集部の提案です。
上司に3つの数字を全部伝えるべきですか?
相手の聞きたいことによります。答えは「約束する時間」と前提の1行を先に伝え、聞かれたら3つの数字を説明する形が編集部の提案です。約束は期待値に標準偏差1つ分を足した約6時間のような置き方で、確率の保証ではありません。
三点見積もりを使わない方がいい場面は?
慣れた作業や、毎回ほぼ同じ時間で終わる作業は、一点で答えて構いません。参照した教材も、通常のプロジェクトでは1点見積りを使う場合が多いと述べています。仕様変更が頻繁に起きる場面では、見積りの前提が変わり続けるため、前提を確認し直してください。
複数の作業が重なるときはどうしますか?
教材は、3点見積りは複数作業が絡むと扱いが複雑になると述べています。この記事は資料作成1件の範囲です。複数の作業は、1件ずつ前提を確認して伝え、単純に足し合わせた数字だけを約束にしないでください。